本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

『佛』という字

2018-05-01 21:27:22 | 漢字

「仏」ブツとも

普通には「ほとけ」とも

いっていますが、

面白い字にも見えてきます。

 

本来はブッダという言葉を

音写して「仏陀」(ぶつだ)と

書いたことが略して「仏」と

そして、その言葉を「ほとけ」と

言うようになったのです。

 

「仏」は昔は「佛」と書き

人偏に「弗」を書きます。

「弗」は「あらず」という

意味もあって、

佛とは人にあらず

ということにもなります。

 

確かに、

人間がさとりを開き仏になった

ということですが、

「お釈迦さんワールド」という

展示会では

人間釈迦として表現されている

ようですが、

人間と仏とでは一線を画するものが

あるのです。

人間の延長線上に

仏があるのではなく、

迷える人間と目ざめた仏とでは

同じ人であっても人でない、

「佛」という字も音写でありながら

意味的にも的確なようです。

 

一概には「仏」という字で

ことたりているようですが

先人たちはこの「仏」という存在を

どのように表現したら的確かと

苦労の後が感じられます。

 

それで、仏とはどういうものか

どういう働きがあり

どういう素晴らしいところがあって

私たち人間とどこが違うのか

そのことを表現するため

仏と一語で言わずに

その徳を表す言葉で言っています。

「一切知者」、

すべてのことを知り尽くしている

「世尊」、

世の中の尊い人

「世雄」(せおう)、

一切の煩悩を断つのに勇猛である

とか、

「大医王」という名前もあり

名医のように悩みに応じて

説法が巧みである、というような

「両足尊」という名前も

よく聞く名前です。

二本足の生き物の中で最も尊い

という意味もあれば、

願いと実践が勝れている

という意味もあります。

 

そういうことをまとめて

「仏の十号」と表現しています。

1.応供(おうぐ)

供養される資格のあるもの。

2.正遍知(しょうへんち)

正しく真理を覚った者。

3.明行足(みょうぎょうそく)

明は智慧、行足は実践

それが完全である。

4.善逝(ぜんぜい)

善く逝ける者。

迷いの世界を超えてゆく者。

5.世間解(せけんげ)

世間の事を知り尽くしている者。

6.無上士(むじょうし)

世間において最も尊い者。

上がないということで、

比べるものがないという意味。

7.調御丈夫(じょうごじょうぶ)

調伏制御して涅槃に導く者。

調御というのはチャリオットという

意味があるようです。

8.天人師(てんにんし)

天と人との師匠。

9.仏。仏陀

さとれる者。目ざめたもの。

10.世尊(せそん)

多くの徳を具え世間から尊ばれる者

 

という名前を持っておられます。

人にはあらず、

ということで、かといって

全く異質なものでもなく

人でありながら人でない

目覚めたもの、という意味で

具体的にいちいち

列挙したことが

仏の十号といって

十の名前を持っておられる

ということなのです。

 

ほとけ、ほとけ、といっても

わかったようでわからない

人間釈迦といっても

そこには明らかに私たちと違う

何かがあり、

異質ではないけど同じではない

体は同じでも位が違う

ということも言います。

身体という体は同じでも

迷える人と迷いを見つけた人では

自ずから位が違うということです。

 

もう一度考え直してみるのも

必要かもしれません。

 

 

 

 

 

 

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