本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

青が荒ぶる 金剛蔵王大権現

2012-06-01 22:01:59 | 住職の活動日記

 先日、金峯山寺にお邪魔して、

ご本尊 『 金剛蔵王大権現 』 をお参りして以来、

この仏様が気にかかっていました。

 名前の由来も不思議です。

「 蔵王 」  と書いて  ( ざおう ) ZAOU と読む、

普通に読めば ( ぞうおう ) ZOUOU  それが訛って、

( ざおう )  となったのでしょう。

 仏教に出てくる仏さまはほとんどが、インド由来の仏さまです。

ところが、この 「 金剛蔵王大権現 」 は日本発祥の仏様のようです。

 

 伝えるところによると、

『 役小角 』 ( えんのおづぬ )  が金峯山寺で衆生を守護する

仏を祈請したところ、最初は

「 釈迦如来 」 そして 「 千手観音 」 最後に 「 弥勒菩薩 」 が

現われた。

しかし、役小角は満足できず、さらに祈請したところ、

この 「 金剛蔵王大権現 」 が出現した、

これこそ、自分の意にかなう仏として 「 金峯山寺 」 に祭祀した、

ということです。

 ですから、蔵王堂の 「 金剛蔵王大権現 」 は

まさに、 『 青が荒ぶる 』  というように

そのお姿は7メートルもあり、全身真っ青で、

その怒りも頂点に達したように、私たちを見下ろしています。

 

 でも、わかったようでわからない ???

やおら、

 

  

 

という、本を引っ張り出してきて、読み進めてみました。

 私は醍醐派のお寺なのですが、恥ずかしいことながら、

修験のことは全く知らなかったのです。

 しかし、読んでみると実に面白い興味深いことが書いてあります。

 

そこで、私なりに気になった一文が、

『 和歌森太郎 』 氏の

 「 金剛蔵王権現の前身を執金剛神としながらも、

  そこに見られる 『 金剛 』 の文字に注目して、

  その背景に鉱山神の信仰があることを指摘している。」

また、 『 五来重 』 氏は

 「 金剛蔵王権現という語のうちには金峯山に埋蔵する

   金属を支配する王という意味があるのではないか。」

と、興味深いことを述べられています。

さらに、 『 宝田正道 』 氏は

 「 金峯山を黄金所成の地とする伝承に注目し、

   『 金峯山信仰の伝説とその思想的展開 』

  という論文を出しておられます。

 

そして、それに関連して、面白く思ったのは

『 石山寺 』  です。

 ちょうど、醍醐寺とは背中合わせのような位置関係にあるお寺で、

東寺の末寺になり、私のいる頃、

石山寺の座主 「 鷲尾隆輝 」 さんは東寺の長者を兼務しておられました。

この石山寺の本尊が 『 如意輪観音 』  で、

その脇時は 「 金剛蔵王権現 」  と  「 執金剛神 」  を

おまつりしてあります。

 

石山寺の開創は 「 良弁 」 ( ろうべん ) 、 で

また、大仏造立にあたり、大量の金の調達を良弁に命じた。

金峯山寺はその名の通り 「 金の山 」 と信じられていた。

良弁が祈ったら 「 金剛蔵王権現 」 のお告げで、

  『 金峯山の黄金は56億7千万年後に弥勒菩薩が現われて

    衆生を救ってくれる。

   そのために、その地を金で覆うために使うもので、

   大仏造立には使うことができない。

   近江の地 湖水の南に観音の現われたまう地がある、

   そこで祈れ、 …  ( この地が石山寺 )  』

そのお告げの通り、2年後に

陸奥から黄金が産出され、大仏造立が出来たということです。

そして、良弁は 「 東大寺 」  の最初の別当に任じられています。

 

 面白かったのは  『 金剛蔵王大権現 』  を中心にして、

金峯山寺  石山寺  醍醐寺  が繋がってきたことです。

 

 ざ~ としたことで、申し訳ないのですが、

なまっかじりながら、とてもおもしろく

さらに、探っていく興味を覚えました。

 

 

 

 

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