本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

九方便(くほうべん)

2024-05-23 20:24:04 | 十地経

十地経の第七地の面目が

方便智によって発起された

殊勝の行、ということに

なります。

そこで、ここのところ

ずっと「方便」ということ

が気にかかり、考えて

いたのですが。

 

そういえば、身近に

唱えるお経がありました。

胎蔵界の修法をするとき

「九方便」という偈頌が

あります。

金剛界の時は

「五悔」(ごかい)という

ものです。

 

九、九つの方便智という

ものです。

方便ということも

大まかには

心身をあげて修行する

実践するということです。

そういうことを

九つに分けて説明している

のが、九方便ということ

になります。

 

第一は作礼方便、

 仏・法・僧を敬礼する

 ということです。

 敬い礼拝する。

まず「行」に入ると

礼拝加行ということから

始まります。

 

第二は出罪方便、

 罪を懺悔(さんげ)する

金剛界で出てくる「五悔」

もやはり五つの懺悔です

懺悔ということが中心です

奈良のお水取りも

悔過(けか)といって

懺悔の法要です。

ただ、懺悔(ざんげ)と

違うのは、

懺というのはクシャマの

音写で忍という、認識と

意味を持ています。

悔い改めれば許される

というものではなく、

罪の意識というものを

持ち続けるということも

含んでいるようです。

 

第三は帰依方便、

 仏・法・僧に帰依する

三帰依の実践です。

ほとけと仏が説かれた教え

そしてそれを実践する仲間

僧に身を捧げるということ

です。

 

第四は施身方便、

 身を捧げるというか

身を投げ出すことです。

施身聞偈が有名ですが

羅刹に自分の身を捧げて

教えを請うという話しが

あります。

「身を捨ててこそ

  浮かぶ瀬もあれ」

とい言った人がいますが

逆にいえば

「身を捨てずに何が

  できますか」

ということがあります。

 

第五に発菩提心方便、

 第五番目にやっと

菩提心がおこるという

礼拝があり罪の懺悔があり

三帰依がおこり、

教えのために身を投げ出す

ということがあって

菩提心が起こるのです。

 

第六が随喜方便、

 他人が為した善いことは

どんなに小さい事であっても

それを共に喜ぶ、

 

第七が勧請カンジョウ方便

 勧め請うということで

釈尊がさとりを開かれた時

梵天が悟りを聞き付け

その教えを説いて欲しいと

請うという話があります。

教えを広めるように仏に

請い願うことです。

 

第八が奉請法身方便

奉請(ぶじょう)ですから

請いたてまつるという

法身ですから

さとりを体現できる身と

なるように請う、さらに

奉るという

重ねて願っているのです

 

第九が廻向方便

廻向(えこう)ですから

回し向けるという

以上のような功徳を

自分だけにするのではなく

一切の人びとのために

振り向け、

衆生と共にさとりを願う

ということになります。

 

ここで説かれる九方便は

修行としての具体的な

実践方法を指し示している

ようです。

 

この「九方便」は

『大日経』に説かれるもので

迷いを転じてさとりに至る

方法(方便)を述べています

『十地経』では

七地に入ると方便智殊勝の行

を得るのですが、

それが無量でなく無功用で

ない場合もあるが

それがまた障りになるという

ことで、

八地になると

自然無功用

(じねんむくゆう)という

努力がなくなるという

それが自然ジネンである

ということが出てきます。

 

やはり方便ということは

宗の別なく説かれている

ようです。

 

 

 

 

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