久しぶりに映画を見てきました。「ミリオンダラーベイビー」の脚本を書いたポール・ハギスさんが脚本を書いて原案を作り監督・製作までした映画です。アメリカ社会が持つ問題点・人種差別とか、銃社会とか、貧富の差とかをしっかりと描いているこういう映画は好感が持てます。複雑で根が深い問題だけれど、それを隠さずに掘り起こして解決の方向を見せてくれる映画です。「ミリオンダラーベイビー」がなんともやりきれない後味の悪い結末だったのに比較して「クラッシュ」はより良い社会が出来るんだ、解り合える人間関係も出来るんだという希望を感じさせてくれます。
ロサンジェルスが舞台になりますが、この都市は白人よりも有色人種の人口が多い町です。21世紀半ばには、アメリカの4人に一人がヒスパニックになり、総体で白人人口を有色人が上回る予想も出ています。
映画の冒頭からクラッシュ(自動車事故)の場面、運転手がちが互いを罵倒しあってる場面です。黒人にカージャックされてしまうWASP検事夫妻。職務質問される黒人ディレクター夫妻は黒人であるが上に白人警官ライアンに屈辱的なボディーチェックを受けてしまいます。そのライアン「黒人のために、我々白人の雇用機会が失われているんだ!」と病院の受付で叫ぶような差別主義者なのに、クラッシュして燃え盛る車の中から黒人女性を命かけて救い出します。ライアンも家に帰れば父一人、子一人でデブで尿道炎で病んでいる父親を看病する身です。登場人物の生活背景、性格形成の要因がとても丁寧に深く描かれていて納得性を高めています。
イラン系の雑貨店主は、ペルシャ人なのにアラブと間違われ、差別を受けてノイローゼにかかっています。黒人の錠前屋が鍵を治さなかったと逆恨みして、拳銃を手に入れ、錠前屋へ復讐に向います。アメリカ人にはペルシャ系もアラブ系も区別がつかない現実が抉り出されます。
登場人物一人一人のエピソードが、誤解とか差別意識にあって、解決されていくように見えますが、根本的な問題は解決されず、個々のエピソードも、まだまだ変転があるんですよ!・という余韻にも満ちています。
9,11以来、アメリカを席巻する「キリスト教右翼」と「ネオコン」という不毛な二大潮流はアメリカを硬直させてしまっている感じがします。
ハギス監督は、そのアメリカ社会の危機と、それを改革して行く灯火を示してくれました。だから感動も深いんだと思います。
ロサンジェルスが舞台になりますが、この都市は白人よりも有色人種の人口が多い町です。21世紀半ばには、アメリカの4人に一人がヒスパニックになり、総体で白人人口を有色人が上回る予想も出ています。
映画の冒頭からクラッシュ(自動車事故)の場面、運転手がちが互いを罵倒しあってる場面です。黒人にカージャックされてしまうWASP検事夫妻。職務質問される黒人ディレクター夫妻は黒人であるが上に白人警官ライアンに屈辱的なボディーチェックを受けてしまいます。そのライアン「黒人のために、我々白人の雇用機会が失われているんだ!」と病院の受付で叫ぶような差別主義者なのに、クラッシュして燃え盛る車の中から黒人女性を命かけて救い出します。ライアンも家に帰れば父一人、子一人でデブで尿道炎で病んでいる父親を看病する身です。登場人物の生活背景、性格形成の要因がとても丁寧に深く描かれていて納得性を高めています。
イラン系の雑貨店主は、ペルシャ人なのにアラブと間違われ、差別を受けてノイローゼにかかっています。黒人の錠前屋が鍵を治さなかったと逆恨みして、拳銃を手に入れ、錠前屋へ復讐に向います。アメリカ人にはペルシャ系もアラブ系も区別がつかない現実が抉り出されます。
登場人物一人一人のエピソードが、誤解とか差別意識にあって、解決されていくように見えますが、根本的な問題は解決されず、個々のエピソードも、まだまだ変転があるんですよ!・という余韻にも満ちています。
9,11以来、アメリカを席巻する「キリスト教右翼」と「ネオコン」という不毛な二大潮流はアメリカを硬直させてしまっている感じがします。
ハギス監督は、そのアメリカ社会の危機と、それを改革して行く灯火を示してくれました。だから感動も深いんだと思います。