いま、知らないと絶対損する年金50問50答 (文春新書) | |
太田 啓之 | |
文藝春秋 |
2冊目の機内持ち込み本がこちらの 太田啓之さんの作品です。
日本の年金制度は大丈夫なんだろうか?しっかりと年金を受け取ることができるんだろうか?
漠然とした不安を持っていた自分自身。
疑問の霧もやもやが晴れました。何故マスコミは、この内容をしっかりと国民に伝えないのかという疑問と怒りが湧いてきます。
中学校か高等学校の、年金口座の教科書にしてもいいのではないかとも思った。
国民一人一人が年金の仕組みをよく使いこなして、得をしていただくために書いたと筆者は言います。
「年金は破綻してしまう。」「年金制度の抜本改革が必要だ。」という幻想を打ち砕き、年金の本当の姿を知ってもらうために書いたとイントロで書いています。
少なからぬ人々が、「根拠の無い破綻論に同調して未払いを続けている。」のが、残念無念だと。
年金は弱い者の見方なのに!!!!収入の少ない人ほど割り増しの年金が受け取れるのに!!!!!
未払いを続けて、年金無し、無収入になって「生活保護」に頼れるほど甘くない。未払いを続けた人は、決して助けない仕組みなのに!!!!
国民年金の納付率が6割しかないから、いずれ破綻してしまうという幻想。
2年さかのぼって徴収しているので、実際は69%、7割が納められているいます。しかし、これは支払う年金も減るので172兆円ある年金財政への影響は、ほとんど無い。
2004年元官僚で有名大学教授が、2009年年金積立金は底をつく、改革しても数百兆円の赤字が残るという本を書きました。
彼は、5年に1度、厚生労働省が出す年金報告書に1回も目を通し読んでいない。
2009年、文庫にもなったが、2009年現在172兆円残高があって、破綻とはほど遠い状態。
何故、何の目的で「不安をあおりつづけるのか????」
たしかに25年間保険料を支払わなくては年金受給の資格を得ることはできません。
なんらかの理由で支払うことが出来なくても、申請書を提出すれば年数にカウントされる制度があること、国民年金が有利なのは年金の支払いの二分の一を国の税金で賄っていることを教えてくれます。
手続きさえすれば 免除期間が認められる。
また、その上、障害基礎年金制度のあることも知らされます。
年金は、定職に就けなかった弱い者の味方であり、社会全体でお年寄りの生活を支えていく社会的優れたインフラであることもわかります。
厚生年金に加入していて、専業主婦だった家族。
1950年生まれだったら1200万円納めて、年金で帰ってくるのが4700万円。1970年生まれの方は、2400万円納めて5900万円になることも数字で示されます。
国民年金でも、
1950年生まれの方で、500万円支払って、受け取るのが1300万円。1970年生まれで1000万円納めて1500万円支払いを受けることができます。1990年生まれで1400万円支払いで2200万円受け取るとも明示されています。
厚生年金は支払うべき保険料の半分は会社が負担してくれていますから、より有利ですね。
かって積立金の一部をリゾート施設やグリーンピアなど天下り施設にして破綻して叩き売りしたことは決して許されることではないですが、その保険財政への影響度の軽微さも言っています。ここだけは、同意できないところであります。私にとっては!!!
消えた5100万件の年金記録。
このことも詳しく言及されています。いまは消滅した、社会保険庁。そのずさんな仕事。「仕事がきつくなることをことごとく反対」「45分ごと15分の休憩」「保険料徴収の督促状は送らない」
社保庁の職員は、国家公務員でありながら、「地方事務官」でもあったという二層構造の変則構造組織を50年以上温存。
予算と人事権だけ国が持った。
「いかに楽して やりたいほうだいのことをするか」が、社保庁の目的になってしまった。
組合運動が強い地域社保庁ほど、年金記録がデタラメ。
かって「公務員と会社員の年金一本化、パート労働者の厚生年金加入を拡大」する法案は、民主党の反対で挫折してしまった。
しかし、いま政権をとった民主党は、手のひらを返したように、これが必要だと言い始めている現実。
なんと、新しい事実に気がつく、すばらしい本でしょうか!!!!
「破綻論も抜本改革論も幻想であった。」と、思い知らされます。
きちんと保険料を支払って来た人たちは守られているし、また、有利であることも明確になる。
魯迅の「絶望の虚妄なること 希望の虚妄となるに同じ」を引いて、
過去の経験をふまえて いまを大切にしながら地道に改善の努力をしよう!!年金が少なくならないようにみんなで精一杯がんばりましょう!
生活保護へのモラルハザードを防止しよう!!!! と、呼びかけます。
地道に丁寧に考える能力の無い人たちが「抜本的」と、いいはじめる。
老後が心配でないビジネスパーソンなど、いないでしょうが、読んで安心がふくらんでくるという素敵な本です。
今年の3、11をふまえて、はびこっていた市場経済論理を看破します。
自助努力だけで、社会からの助けなんて期待すべきでない。から、人はお互い助け合っていかなければならない。社会全体のことも考えて行動しなくてはならないのではないか、、、、、、、、、と、提言して擱筆しています。