「銭」の教訓。―世の中をしっかり見なあかん主婦と生活社このアイテムの詳細を見る |
無論、漫画家は漫画の方が数段面白いけれど、青木さんの漫画に対する取り組み姿勢が判ってきます。それと社会に対する見方も。
銭と金と、表現は異なりますが、「女にとっての(いい男)とは、(銭を持っとう男)ですわ!79ページ、の章を読みますと、似てるんです。ホリエモンさんに。
青木さんの言いたいことは、まえがきに凝縮されているような気がします。
「地球上のことを考えた場合、地球があって人類が生まれてきたわけで、土地いうもんは元来、ライオンもキリンも象も全部が共有していたもんなんや。それを人間が「わしのものや」と言い出してからおかしくなった。」と、冒頭にあって、根底に理想原始共産主義みたいな思いが流れている感じがします。そして3万人以上の自殺者を出す、今の資本主義を批判しています。「資本主義というんは、結局のところ金がすべて。金があればなんでもできるし、他人もコントロールできる。どんな人間でも銭の前には頭を下げよる。」悲しいはなしやがな!!と言っていて「だからこそ、勉強せなあかんいうことと違うか。(勉強は嫌や)言うとる場合やないって。自分のためにやらんとあかん。結局、無知な奴はいたぶられる。弱い者に容赦ないで、資本主義いうやつは。」と結んでいる。
あとは実用書も兼ねるみたい、キャッシングからサラ金、闇金に落ちていくアホさへの警告。出資法で29,2%の金利を取ったらあかん。と法律で定めてあっても、「低金利5%」と書いてあって、それが年利でなくて1日の金利で、10日で5割「トゴ」がまかり通るかが書いてあります。
パチンコで破綻した主婦が、家具を一旦買い上げられて、月々・家具リースで搾り取られる様も、細かく丁寧に書いてあります。
40歳過ぎて漫画家になった苦労と「わしほど世間を知っている漫画家はいない。」という自信もよく判ります。
下手そうに見えて手抜きしてない作画への姿勢は見事です。背景のお店の看板「吸血ファイナンス」「犬飼銀行」「キャバレー排卵」「拘束銀行」「ソープランドアソコ」「オメコクラブ」なんて細かく書いてあったのが思い出されます。
なんか「アイフル」のコマーシャルがおどろおどろしく見えてきてしまいます。