「野山で見かけた花達1」を載せてから二ヶ月以上、経ってしまった。
今回は、その「2」であるけれど、紹介するのは1種のみにしようと思う。
この時期、目線はどうしても桜を追ってしまうが、ふと足元に目を向ければ、ちょうどショウジョウバカマの花が盛りである。
もちろん、タチツボスミレやミヤマカタバミ、タンポポにオオイヌノフグリなど、花自体が賑やかな季節でもあるけれど、私が行くような、木々に囲まれた山里の神社で、必ずと言ってよいほど見かけるのが、このショウジョウバカマだ。
ありふれているので、つい見落としがちでも、よく見れば、微妙な花色の変化があって楽しめる。
木陰にひっそりと咲く姿は捨て難く、今週の撮影行で、レンズを通して見て改めて魅力を感じた次第。
日本全国の山野に自生するユリ科の多年草。
地域によって花期や自生量に差があるかも知れないが、神社巡りの折にでも探してみては如何だろう。
以前に紹介した大歳神社のすぐ近く、国道176号線沿いにあって、大歳神社からは1kmも離れていない。
国道沿いということもあって、あまり興味が湧かずにいたのだが、寄ってみると社号標に「式内」の文字。苅野神社の名前も、そのとき初めて知った。
かように下調べも碌にせず神社を巡っているわけて゜、それがまた楽しくもあるのだけど、帰ってからネットで検索して得た情報などから、「もっと注意して見ておけば良かった」と思うこともしばしばである。
地形図には階段の記号があるし、等高線の具合から判断しても参道はほぼ階段ばかり、小さな谷間に社殿を表す家屋記号があるから湿度はやや高め、向きは地形を考えれば南向きであろうから、順光状態では面白くないので撮影するなら曇りの日、もしくは早朝。
とまあ、こんな情報を基本として神社を巡っているわけです。
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国道の交通量は多く、神社前は騒々しい。鳥居の奥の暗がりを見ると、ホッとして早く逃げ込みたくなる。
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理想的な薄曇りだったので、モミジの葉を淡い光が透かし、緑が滴るように映えてくれた。
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参道脇には杉の大木もある。
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境内は、やはり苔生していた。
拝殿に火災報知器が見えるが、確か監視カメラもあったと思う。ダミーの可能性もあるし、設置している神社は他でも見かけるが、神社で悪さをする人がそうそう居るとは思えないのだが。床下あたりからはモーターのような音も聞こえてきたので、湿気を防ぐために床下換気扇もあるのかも知れない。色んなところで維持管理は大変だなぁと思ってしまう。
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拝殿と本殿。
本殿前には波板が斜めに設置されているが、屋根から落ちてくる雨滴の泥撥ねを防ぐためだろうか。美観を損なうけれど、これも仕方ないのか・・・。
2万5千分1地形図 柏原
撮影日時 070718 14時過ぎ
地図
京都府船井郡京丹波町質美
京都府の公式ホームページに、「京都の自然200選」というのが載っていて、その中の植物部門に、「質美八幡宮のスギ・ヒノキ並木」が登録されている。
さっそく地形図で場所を確認してみると、「八幡宮」と記載があり、参道と思しき破線が、400メートルはあろうかという長さで記されている。
山頂にあるような神社の参道は、長さは長くなる傾向にあるが風景的に見れば山道と変わらないことが多い。だがここは「スギ・ヒノキ並木」とあるし、地形図を見ても概ね平坦な地形で道も直線に近い。こういうタイプの参道で、これだけの長さのものは、山里では極めて珍しい。
車道から短い石段を上ると鳥居前。
連なる木々と、暗がりの奥へと続く参道を見て期待が高まるところだが、実は駐車場所からの道が、本殿の少し手前に繋がっていたので、参道を逆戻りしてきて撮影。
杉の大木の前に鳥居に似たものがあるが??
杉の大木の右奥にある末社。
背後の杉林に朝陽が射し込む。
参道の檜は全て皮が剥かれている。ここの社殿は桧皮葺ではないので、どこかの神社のために使われるのであろうが、赤い樹皮が痛々しいような艶めかしいような。
並木というものの、枝打ちはされていないので、写真にするとゴチャゴチャした感じになって絵にしにくい。何枚撮ってもダメで、雰囲気が伝えられず。
振り返ると鳥居がチラリと見える。右端にベンチがある以外は、目障りな人工物は一切無い。撮影をしていると、大抵の神社では電柱と電線、不必要な看板などがあって困るのだが、その点、ここの参道は気にしなくていい。でもいい写真にならないのは何故だろう・・・。
二の鳥居。
右側は広場のような場所へ続いており、社務所らしき建物などがある。
二の鳥居を振り返る。
この辺りは並木ではなく、常緑広葉樹が多い。
木々の雰囲気が変わると同時に、平坦な参道が一変して石段になる。
二の鳥居からは違う神社であるかのような変わり様だ。
石段を上ると拝殿。だが、まだ石段は続く。
拝殿越しの風景は、なかなか豊かな森である。
更に続く石段の上に本殿。
本殿右横の境内社。
ずっと紹介したかった神社の一つ。
撮影には4回訪れた。というのも、毎回「こんな筈じゃなかった・・・」的な出来上がりだったからで、ここの神様は写真が嫌いなのではないかと勘繰ってしまうくらいだ。
そんなわけで、相当数の写真から、どうにか見られるものを選んでみたけれど・・・。
2万5千分1地形図 胡麻
撮影日時 080327 6時半~9時半
4、9枚目は080409 14時頃
地図
今は高島市になってしまったが、カタカナの町名で有名だったマキノは、とても思い出深い地である。
小学生の時の林間学校やスキー研修はマキノであったし、高校時代には福井県境にある乗鞍岳にも登っている。
以後、国道で町域を素通りしたことはあるが、ちゃんと町内に入ることは無かったから、随分と久しぶりのことで、しかも神社巡りで訪れることになるとは不思議なものである。
記憶は定かとは言い難くて、もはやイメージに近いのだけど、イメージ通りの伸びやかな風景が広がる場所で、この山神社も、明るく素朴で伸びやかな印象を与えてくれた。
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神社前には水田が広がっているが、神社とその奥は豊かな林が続いている。
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拝殿越しに本殿。
明るく、けれど、ひっそりと。とても居心地のいい境内だ。
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境内には大木があり、その奥は、木々は細いものの延々と雑木林が続いている。
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地形は穏やかで、起伏は殆ど無い。普通なら田畑になっているような場所であり、広大な平坦地を木々が覆っているという風景は、近畿では珍しい。
2万5千分1地形図 海津
撮影日時 071107 13時半頃
地図
恐竜の化石が見つかって話題になった場所から程近い。
化石や鉱物などを探し出すのも楽しそうだなぁ、と思いつつ、やはり私は神社に向かう。
鳥居のそばに「千年杉」の立て札があったので、周りを見渡してみるが、それらしき大木は無い。
長い参道を上りって境内に辿り着くと、なるほど、と思える大きな杉が聳えていた。が、すぐ横にある建屋は無粋なものだ。
無粋と言えば、すぐ下にある工場らしき建物から常に騒音が聞こえてくるが、境内の雰囲気の良さに、いつしか気にならなくなった。
境内には土俵もあって、落ち着いた空間の中にも、動きというか、賑わいのようなものが感じられる。
先日の加茂神社の頁でも書いたが、丹波市山南町の神社は桧皮葺が多く、ここもそうであり、小さいながらも意匠を凝らした本殿は、大杉、土俵などと一体となって、清清しい空間を創り上げている。
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神社入り口は集落の外れにあって、民家からは離れているものの、背後は工場らしき建物があり騒々しい。
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鳥居からすぐ右に曲がった参道は、この先で左に折れる。割と長い上りで、運動不足の身にはこたえる。
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二の鳥居からは本殿が見えてくる。
やや荒くなった息が、ホッと静まるところ。
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拝殿は無く、すっきりと本殿を見通せる。
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やはり桧皮葺は、緑や木々とよく調和する。
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写真では判らないが、かなり細かいところまで装飾が施されている。
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土俵と本殿。
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とても神聖に感じられる空間。
奥にある大木が「千年杉」。
2万5千分1地形図 柏原
撮影日時 070718 12時半~13時半
地図
京都府南丹市園部町竹井
初めて訪れたのが6年ほど前。
当時は今のように神社巡りはしておらず、ドライブや旅行先で目に付いたら立ち寄る、といった程度だった。
地図でその存在を知っていた摩気神社も、いつも近くの道路を通っておりながら寄らずにいたので、ちょっと覗いてみるか、といった軽い気持ちで立ち寄った。
立派な神門、北向きで茅葺の社殿は当時の私にとっては珍しいもので、強く心惹かれた。
今でこそ色んな神社を見て、もっと鬱蒼とした神社が好みになってはいるけれど、私の中で、神社巡りをするきっかけの一つとして存在している。
延喜式内の名神大社であるが、参拝者に逢うことも稀で、静かで素朴な佇まいである。
民家が途切れるところに鳥居。この扁額の青色を、何故かよく見入ってしまう。
立派な神門の向こうに、茅葺の拝殿が見える。
気持ちが引き締まりつつも、胸が高鳴るところだ。
拝殿の奥にも茅葺の社殿。
右側の摂社の屋根は、去年、葺き替えられたばかりである。
拝殿越しに本殿。
この角度から見ると、本殿の左右に摂社があって、それを茅葺の覆屋が覆っているのが判る。
本殿部分の覆屋の屋根は、ちょうど初めて訪れた時に葺き替え作業中だった。図らずも二度も葺き替え作業に出逢ったわけだ。
本殿背後は茅場になっている。
ここの茅が、覆屋の屋根に使われるのだろうか?
社殿が北向き、ということは、太陽を背にしているわけで、本殿背後のこの場所は、冬でも太陽が降り注いで気持ちの良いところだ。
2万5千分1地形図 園部
撮影日時 080312 9時~10時
3枚目のみ070625 5時過ぎ
地図
麻生田の集落の南、半阪集落の手前に神社記号がある。
地形図を見れば判るように、とても小さな谷間を遡ったところに神社がある。
そういう立地条件に惹かれる性質なので行ってみたのだが、ちょっと独特の雰囲気があって、興味深いところだ。
神社庁のホームページで検索したが載っていない。ネットでいろいろ検索して出てきた神社名がこれで、触れている記事も僅かである。
神社の形態から、三輪との関わりを感じさせるが、よくは判らない。
よくは判らないのだけど、何だか遥か昔に思いを馳せたくなるような、そんな神社である。
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狭い道路の横に、ちょっとしたスペースがあって、そこから小道が山の中へのびている。入り口に鳥居があるわけでも無いが、おそらくここだろうと思い、奥へと進むと、辺りがやや開けて鳥居が見えてきた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/fc/dbb78f6fce6136fa21e5fffe8654b814.jpg)
拝所があるのみで本殿は無い。拝所には、般若心経が書かれた紙が貼り付けられていた。
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拝所の奥には杉の古木が三本。
太さはさほどでは無いけれど、相当な歳月を経てきたであろう風格が感じられる。
こういう神社が、山蔭にそっと息づいているのを見つけると、とても嬉しくなってくる。
2万5千分1地形図 古市場
撮影日時 070823 17時過ぎ
地図
京都府亀岡市余部町
亀岡市街の西の外れ、周りを水田に囲まれた平坦地にある神社である。
山里の神社を主に訪ねている私としては、あまり関心を持たずにいたのだが、いざ訪れてみて、思いのほか奥行きのある神域に驚かされた。
木々は深く、周辺の雰囲気とは隔絶された別世界で、心ゆくまで神社の気配に浸れるのである。
ただ、やはり周りが水田のためか、夏の蚊の多さには閉口させられる。写真を撮ろうとカメラを構える腕に、二匹、三匹と集ってくる。
また、マムシの多いところでもある。一度など、樹上からマムシが落ちてきて肝を冷やした。
市街の南にある鍬山神社と共に、亀岡を代表する神社であろうが、鍬山神社には華やいだ印象があるのに対して、ここはあくまでしっとりと落ち着いている。
周りが水田地帯に思えないほど、鳥居の先は奥行きがある。
神社入り口の左には、茅葺の立派な社務所。
緩くカーブを描く参道。
石灯篭が無ければ、緑濃い公園の散策路のようだ。
参道を進むに従い、苔が見事になっていく。
時おり、椿がポトリと音を立てて落ちてくる。苔の緑との対比が綺麗だ。
石灯籠が連なる場所の右手に本殿がある。
柔らかな日差しが降り注ぐ。
鳥の囀りも賑やかだ。
本殿背後の木は、やや寂しい。
が、広い空間にあってなお、潤いある景観を作っている。
再び苔と椿。
背後は弁財天社。
どの季節に訪れても、苔の絨毯は色褪せずにある。
境内社の稲荷神社。
朱色のトンネルは、やはり独特の美しさがある。
撮影をしている時、神主さんと思しき方が、本殿の清掃に来られた。
そして不思議そうに私を見る。
「いったい何を撮ってはるんですか?」
「神社の風景です」
「?」
「神社が好きでして、あちこちの神社を巡って写真を撮ってるんですよ」
「はあ・・・そうですか」
・・・何だか最後まで不思議そうな顔をされていた。
それほど特殊なことをしているつもりは無いのだが。
2万5千分1地形図 亀岡
撮影日時 080328 7時半~10時半
地図