神社のある風景

山里の神社を中心に、歴史や建築等からの観点ではなく、風景という視点で巡ります。

碇高原・屏風岩・立岩

2019年08月17日 | 

京都府京丹後市


久し振りにT君と出掛けることにするが、生憎と台風が近付いている。
南紀の海を撮りに行こうと考えていたけれど、雨の可能性が高い。
日本海側なら雨の確率は低いものの、曇り空の海はあまり撮る気になれない。
室生近辺の神社巡り、というのも候補にあって、こちらも雨の可能性は高いが、神社ならそれでも写真にしたくなる。
T君と待ち合わせ場所で会ってからも悩み続け、結局、僅かな可能性に賭け、日本海に向かうことにした。

道中、ずっと曇り空で、時には小雨がぱらつく。
伊根町辺りまで来ても曇ったままで、今日はやっぱり無理かと諦めかける。
勿論、曇り空の海でも、写真の撮りようはあるだろうけれど、最近、気が滅入ることが多かったので、スカッと晴れた海に会いたかった。
経ヶ岬を過ぎた辺りから青空が見え始めるが、海の色はまだ冴えないので、まずは碇高原に向かってみる。
ここも、青空でないと映えない場所ではあるが。



狭い上り坂の車道を進んでいくと、やがて周囲が開け、同時に青空も広がっていく。
牧場やステーキハウスなどがあったりするが、そこから少し外れた場所が、最も風景が良かったので車を止めて撮影する。



空はどんどん晴れてゆき、台風でチリも飛ばされたのか、青空は澄み渡っている。
まさに高原といった風景に、気分も軽くなる。



向こうに日本海も見える。



撮影場所は限られるが、気持ちの良いところだった。

海岸方面へ戻り、今度は海の撮影をする。
撮りたいところは色々あったのだが、海水浴シーズンでもあるので、人の少ないところとなると限られてくる。
結局、以前も掲載したことのある屏風岩へ。



前回訪問時と同じような写真ばかりになるが、胸のすくような海の風景が広がる。



駐車場所近くの、農道のような道を進む。



前回と同じようではあっても、空も海も前回より澄んでいる。



丹後というより、どこか南国のような海の色だ。



気持ちの良い風景で、風も強いのだが、とにかく暑い。
むわっとするような風で、写真のような爽やかさは無い。



こういう、空に向かって伸びるような坂道が好きだ。
歩くのはしんどいけれど。



少し移動して、田圃と海の風景を。



ここも本当に気持ちの良い風景だ。
この先から海辺へ降りることが出来る。



海辺で遊んでいる家族連れがいたが、ちょうど帰るところだった。
車の乗り入れ禁止の看板があったのに乗り入れているし、いかにもといった感じだったので、去ってくれて幸いである。



海水浴をするような遠浅の砂浜ではないが、綺麗な砂で、思わず砂遊びをしたくなる。



前回はベタ凪状態だったが、今回はやや波が高い。
時々、波飛沫がかかりそうになる。



前回より潮位も高いようで、潮溜まりだった場所が波に洗われている。



またこんな感じの道を。

一旦、内陸の方へ進み、昼食を摂る。
蕎麦を食べるつもりだったが、相当待たされそうだったので寿司屋に行った。
グーグルレビューを見ると評判は良かったのだが、シャリはベチョベチョだし、値段も安くはなかった。
女性店員の愛想も悪く、やや混んでいたとはいえ暫くほったらかし状態。
都会にある値段が高めの回転寿司の方が美味しいくらいで、やはり競争の激しい地域の方が、味も接客も良くなるのだろうと思わされた。



海辺へと戻り、道の駅に立ち寄る。
やはり天気は変わりやすく、雨が降り出してきた。
雨が止むのを待って立岩へ。



さっきまでの青空が嘘のようだ。



ただ、晴れた空では見られない表情も顔を出す。



夕暮れ時だったら、いい写真になりそうな。
とはいえ、今日は空は焼けそうにない。



立岩は少し物足りなかったが、スカッと晴れた青空が撮れたので、日本海を選んで良かった。


撮影日 190814
地図 碇高原 屏風岩 立岩


七里御浜

2018年06月21日 | 

三重県熊野市


飛鳥神社からは熊野市街方面に向かう。
天気は曇りのままで海の色は冴えないけれど、ついでだから鬼ヶ城に寄ることにする。
鬼ヶ城は海岸の景勝地で、浸食された岩が、独特の奇妙な景観を作り上げている。
まずは遅くなってしまった昼食を摂る。
観光客の多いところだから味は期待していなかったが、鯛と鮪の海鮮丼は悪くなかった。



よく整備された遊歩道を進めば、こんな風に頭上を覆う奇岩が次々に現れる。
面白いところだが、観光客が多くて人が写らないタイミングに苦労するし、何よりここは青空と青い海でないと映えない。


岩壁に見える手摺を目で追えば、なかなかスリリングなところで楽しそうだが、こんな天気だし、この後に寄りたいところもあるので先に進むのはやめておく。



天気や時間によっては、異世界風の写真が撮れそうなところではある。

国道42号線を南下。
左手には防風林がずっと続く。
暖地らしい濃密な緑の防風林で、海辺に多い松林ではなく、楠などの常緑広葉樹を主体とした森だ。
明るく開けた国道から見ると、鬱蒼とした密林に見える。
一時期、南紀に足繁く通ったことがあって、この道は50回以上は走っている。
その度、ちょっと車を止めてこの防風林の中を散策してみたいなぁ、と思ったのに一度も実行せず、七里御浜についても同じで一度も浜辺に立ったことがない。
というわけで、この機会にちょっと立ち寄ることにする。



防風林を抜け、まずは浜辺へ。
遠目から見ると砂浜に見えるけれど、近付いてみれば、砂礫、というか殆ど小石ばかりの浜だ。
泳いでいる人を見かけたことが無かったので、恐らく波が高く水深も深いのだろうと思っていたが案の定で、遊泳禁止と書かれているし、風もあまり吹いてないのに波は豪快に打ち寄せる。
波打ち際は急傾斜で、その右側は、やや平坦になっているが、時々来る大きな波が、その平坦なところまで舌を伸ばしてくる。
飛沫が霧状になって浜を白く霞ませている。



どんよりとした曇り空で海は鉛色だが、うねる波に、時おりドキッとするような青さが現れる。
そう言えば、ここからそう遠くない楯ヶ崎に行ったときも、同じように、波の中の青さにドキッとした記憶がある。



急傾斜の手前のところに座り、ずっと波を見続ける。
波が打ち寄せる時には豪快な水音だが、返す時には玉砂利がシャラシャラと独特の音を立てる。
何故かそれが心地よく聞こえる。
「なんぼでも見てられるな」
T君にそう言うと、彼は黙って頷く。
焚火の炎を見ているときと、どこか似ている感覚だ。
ひと時として同じ形を保たず動き続ける、というところが、共通しているのかも知れない。



空がやや明るくなって、雲に表情が出てきた。






いつしか青空も顔を出して、清々しい空気になる。
私としては珍しく爽やかな写真になったので、お気に入りの一枚。
右側の雲の表情は、不穏なものにも見えるけど…。



防風林が目当てだったのに海がメインになってしまったが、少しだけ林内も歩く。
外から見れば暗い密林のようであったのに、中を歩けばそうでもない。
ちょっと物足りない気もする。
ただ、この森は海沿いに何キロも続いているし、場所によってはもっと深い木々のところもあるだろう。
霧が出たりすれば別世界になりそうだし、朝の表情も見てみたい。
何より、家々のすぐ近くにあって、こんなところを毎日散歩出来たらいいなぁと思う。
南紀は海も山も豊かだが、平地や家並みのそばにも、心惹かれる豊かさがある。


先日、PCが壊れたことを書いたが、その日の昼前にネットで新たなPCを注文すると、翌日の昼過ぎには届いた。
別にお急ぎ便や日付指定などはしてないが、今回に限らずネットで買い物をすれば、大抵は翌日に届く。
便利で有難いとは思うものの、この便利さは、どこかに皺寄せというか、無理を強いている部分があるようで、ちょっと行き過ぎの感がある。
急ぎの場合は割高な配送料、そうでない場合は三四日後の配達くらいでいいのではなかろうか。


撮影日時 180529 15時30分~16時15分


屏風岩 暮色

2011年07月26日 | 

京都府京丹後市丹後町筆石


立岩を後にして、昼過ぎに訪れた屏風岩の駐車場に向かう。
直線距離にして1キロも離れていないのですぐである。
駐車場に着くと、夕焼けを狙うカメラマンが一人。
更に駐車場から下を見ると、昼に撮影した畑のそばに5、6人のカメラマンがいる。
どうも思っていたより夕陽の撮影場所として有名なところのようだ。
皆さん非常に高価そうな機材でシャッターチャンスを待ってらっしゃるので、壊れかけの三脚と安い一眼の私はちょっと気後れしそうになるが、コンデジの時から「何くそ」と思って撮ってきたから、今回もまあ気合いを入れてみたりする。
ただ、人と同じような写真を撮るのは面白くないので、後で昼に訪れた海辺へ降りてみようとも思う。



色はやや濃いめの設定で、しかもアンダーで撮っているからこの色。
肉眼では、まだ西日に近いような色だ。
他のカメラマンの方々を見ても、時々、試し撮りをされている程度で待機状態。



太陽を入れて更にアンダーで濃い色に。
というか、雲が邪魔で綺麗な夕陽は見られそうにない。



待機されている人たちを尻目に、私は何枚も写真を撮る。
そのうちに、水平線が輝いていることに気付く。
雲の向こう側、水平線の辺りでは直射光が降り注いでいるのだろう。






シャッターを押しているのは私だけのようで、他の人は気付いていないのか、それとも求めるものが違うのか。



やがて手前の雲も切れて、海面に橙色の帯を描く。






本格的な夕焼けはこれからなのだけど、海辺に向かうことにする。
ここで落日を待つべきでは、と少し悩みはしたが、やはり自分だけの夕暮れが見たい。



海辺までは徒歩10分ほど。
その10分の間に、海の色も空の色も大きく変わっていた。



少し離れたところに水遊びをする若い男性が二人いるのみで、カメラマンも見当たらない。



夕焼けというほどの派手さは無いけれど、これはこれでいい。



と思ったら、最後に少し、太陽が顔を出してくれた。









太陽の色よりも、水面に映る、空や雲の色に惹かれる。



空の青い部分は深みを増していく。
もうすぐ宇宙を描き出すんだな、なんてことを思う。



昼は、空と海が青さを競って対抗してるみたいだったけれど、今は空を海に優しく溶かし込んだみたいだ。



雲のせいで水平線に沈む瞬間は見られなかったが、空と海の色の変化を見ていられるだけで満足。



太陽は沈んで、橙色が薄れて青みが増していく。
夕焼けではなく、夕暮れの気配になる。



ずっと海は凪いでいたけれど、それでもやはり夕凪というべき優しい雰囲気に満ちてくる。












夕陽や夕焼けよりも、私はこの時間帯の空の方が好きだ。



反対の東側を見れば、夜の気配も迫っている。






淡くなった空の光を映し出す海面は、まるで水底から光を放っているように見える。






やがて、向こうに見える岬に光が灯り始めた。






沖合いには漁火が輝き出す。

写真を撮るにはほぼ限界なので、駐車場所に戻ることにする。
暗くなった道を、やや急ぎ足で歩いていくと、道路脇の叢から夏の虫が賑やかに歌い出す。
田圃を見渡す場所に出れば、涼しくなってきた風に乗って蛙の合唱が流れていく。
それらに耳を傾けながら、海と漁火を見る。
歩調を少し緩めて、僕は僕の好きな時間に浸ることにした。


撮影日時 110714 18時45分~19時45分 


屏風岩・立岩

2011年07月19日 | 

京都府京丹後市丹後町筆石・竹野


丹後半島の神社には行ったことが無い。
久しぶりに海の写真も撮ってみたいし、朝に家を出て丹後へと向かうことにした。
途中、瑞穂の道の駅でトイレ休憩。
トイレの中にツバメの巣があって、賑やかで和やか。
ふと思い立ってタイヤのチェックをすると(家を出るときにすべきだが)、前輪の内側がツルツル状態。
というか、ゴムの下地まで露出していた。
今日一日くらいは大丈夫だろうけれど、テンションが大いに下がる。

宮津市に入って二つの神社に立ち寄る。
そのうち一社はシイの大木などがあって雰囲気が良かったが、日差しが強くまともな写真が撮れない。
夏の日中はずっとこんな調子だろうし、神社の撮影は諦めた方がいいかも知れないと思うと、かなりモチベーションが下がる。
ただ、私の住む阪神間とは違い、嫌悪するような暑さではなく、木陰は過ごしやすかった。

と、思いきや、車のエアコンがおかしくなり、温度設定をどれだけ下げても温風が吹き出してくる。
車載の温度計では外気温は34度だが、外の空気が涼しく感じられるくらいだから車内は蒸し風呂状態で、僅かに残っていた気力が萎える。
もう神社へは寄らず、一路、海へ向かうことにした。

どういうわけかカーエアコンが機嫌を直し、車内が冷えてきた頃、目的地の一つである屏風岩に着いてしまった。
次にエンジンをかけるときにはまた機嫌を損ねているかも知れない、と思いつつ、海辺なら暑さもそんなに苦になるまいとエンジンを切る。



国道横の駐車場所から屏風岩を望む。
というか、丹後の海がこんな綺麗だとは思わなかった。



思わず「うみーっ!」と叫びたくなるが、近くに民家もあるので自重。
事前にネットで写真を見たときに、屹立する岩と対照的な長閑な田畑がすぐそばにある、というのが魅力的に思えたのだが、実際に見ると予想以上に素敵だった。



当然、田圃のそばまで行く。
断崖の上にある、ささやかな田圃から大海原を望む。



畑からも海。
思いのほか遠浅の海は、驚くほど鮮やかな青で、どこか南国の海のようですらある。



とても爽やか、に見えるのだが、実は風はそよとも吹かない。
海辺とは思えない無風状態で、容赦の無い日差しに汗びっしょりになる。



夏の海辺は、コンクリートの白い道がよく似合う。
どこまで続いているのか辿ってみたくなるものの暑さに負けて諦める。






海と葱畑と木の電柱。



この道も、どこまで続いて・・・・・・まあ来た道を帰りに撮っただけなのだが、この程度の登りがツライ。

一旦、国道に戻り、少し西側へと進む。
駐車場所のある高台から、ちょっと気になる道が見えていたからだ。



予想通りの構図が目の前に現れる。
ビニールハウスが目障りなようなアクセントのような・・・。
海へと一直線に続く道、ではなくて、ここも断崖の上なので、すぐ先で道は途切れている。



ただ、左へと続く道がある。たぶん、海岸へと続いているはずだ。
景色を見ながら、「あー、いいなぁ」という感想と、「あっちぃ、やってらんねー」という感情が交錯するけど、半ば義務感のように先に進んでみる。



急な坂道を下ると、目の前に海が見えてきた。



海岸に降り立つ。



相変わらず風は吹かず、波も琵琶湖と変わらないくらい。
でも、水は綺麗なので一人でちょっとハイになる。



こういう場所に来ると、いつもは寝そべって暫くぼーっと空を眺めるのだが、焼けたコンクリートに寝そべる勇気が出ない。
ただ、海も空も綺麗で、やはりぼーっと眺めてしまう。
ぼーっとするのは暑さのせいかも知れないけれど。






名残惜しいが、クーラーの恋しさが勝ったので車へ向かう。
危惧した通り、再びカーエアコンは機嫌を損ねていたが・・・。


取りあえずは車を出して、峰山町にある神社に行き、そこから戻ってくるような感じで立岩に寄った。
国道沿いにある駐車場はどこも有料。
国道から外れて川沿いの狭い道に入り、立岩のすぐそばまで行ってみるが、そこも有料駐車場になっていた。
料金を見ると「一日千円」となっている。
こっちは数十分だけ駐車するつもりなので、それで一日分取られてはたまらない。
よし、値段交渉して300円くらいなら駐車しよう、と思ったが、誰もいない。
それどころか地元の人と思しき車が入ってきて、無造作に車を止め、そのまま釣り道具を持ってどこかへ行ってしまった。
私も撮影道具を持って立岩へ行くことにする。



狭い砂浜のすぐ先には立岩が見えている。



屏風岩では屹立する岩と田畑が対照的だったが、ここは屹立する岩と砂浜が対照的。
ただ、想像していたよりスケールは小さかった。



それでも見事な岩であるのは確かで、周りには誰もいないし、ちょっとはしゃぎたくなる。



陽は西に傾いたものの暑さは残っている。
でも立岩の上に広がる空は、何だか秋の空みたいだ。






最初はここで夕暮れを撮ろうと思っていたのだが、太陽の方角がイマイチなのと、海の表情が乏しいので、先程の屏風岩で夕暮れを迎えようと決めた。






岩の上では、ユウスゲの黄色い花が咲き出していた。
屏風岩へと向かうことにする。


撮影日時 110714  屏風岩1320~1420   立岩 1810~1840
2万5千分1地形図 網野(屏風岩 立岩
駐車場 あり
地図 (屏風岩 立岩