兵庫県篠山市宇土
八柱神社の雪景色を堪能して、林道から出たところで雪が降り出してきた。
四日前に12キロほど歩いたばかりなので、今回は同じルートを辿らず、もう少し手短に済ますつもりだ。
倉庫のような建物の軒下で、暫く雨宿りならぬ雪宿りをする。
雪が降れば、昔だったらただはしゃいでいただけなのに、今は帰りの電車で濡れそぼっているのもなぁ、などと色々考えてしまうのが煩わしい。
雪はそれなりに強く降っているように見えて、それでも地面を更に白くさせるほどではない。
空の隅には青空も見えて、やがて小降りになってくる。
北に向かって歩き出す。
ここから歩いて行ける範囲で行ってみたい場所を考えたら、宇土にある熊野神社が頭に浮かんだからだ。
過去に二回、訪れている筈で、ここに記事を載せたこともある。
概ね民家の多いところを通るので、あまり楽しくはないが、途中に稲荷神社があったので立ち寄る。
連続する朱の鳥居から、雪や、溶け出した雫が落ちてくる。
一つの記事として掲載するほど写真は撮らなかったけれど、こういった寄り道は楽しい。
それなりに車の多い道を歩く。
溶け出した雪が水飛沫を上げるので、反対車線まで出て私を避ける車もあれば、割と直ぐ傍を横切っていく車もある。
自身が運転する立場であったとき、路面が濡れていれば前者のような対応をしたつもりだが、どこまで徹底できていただろう。
宇土集落に入ると道は狭くなり、やがて正面に宇土観音が見えてくる。
宇土観音はよく知られいるようで、駐車場にも沢山の車がある。
その左手に、隠れるようにあるこの神社に気付かぬ人も多いだろう。
懐かしいけれど、雪があるので新鮮な気分でもある。
参道の桧は皮が剥かれて赤い。
桧皮葺に用いるためで、神社では時々見かける光景だ。
痛々しく見えるが、これで枯れるわけでもないらしいし、ここの桧の樹皮が、どこかの神社やお寺に使われるのだと思うと、何やら想いは遠くへ馳せる。
知らずに、どこかで出逢うこともあるかも知れない。
鳥居前からは、宇土観音が見える。
参道は短いものの、奥行きを感じさせる。
少し進んでは撮り、で、似たような写真ばかりだが。
境内社の稲荷神社。
やはりここも紅白で鮮やか。
北北西に向いた谷間にあるので、今になって太陽の光が射してきた。
参道は桧であったが、社殿周りは杉の大木が聳える。
モノクロの世界に、木だけ着色したかのよう。
雪は八柱神社よりも少ないけれど、ここも来てよかったと思える風景。
もともと端正な姿の本殿であるが、背後の木々が白いと、より際立ってそれが感じられる。
美しい本殿だ。
やや離れた右手の林からも撮影してみる。
ちょっと雑然としているものの、雪の中にある佇まいには惹かれるものがある。
帰りは同じ道を通るのもつまらないので、宇土集落から変電所まで、山際を通る道を歩いてみた。
地図からは軽自動車が通れる程度の舗装された道を想像していたが、思いのほか雰囲気のいい道で、雪が無くても写真にしたい風景だった。
ちょっとブレてしまったけれど、左手の杉林。
変電所の手前で振り返って。
この道は多分、また通ることになると思う。
変電所からは、往きと同じ退屈な道を篠山口駅まで歩く。
たった二社を訪ねただけだが、楽しく充実した一日だった。
撮影日時 160301 10時半~12時
地図