鳥取県八頭郡若桜町若桜
この一年、仕事やコロナのこともあって、全く出掛けませんでした。
一年以上どこにも出掛けなかったのは、人生初だと思います。
現在も仕事の忙しさは続いており、休日出勤は常態化、コロナの終息も見通しが立ちません。
いつになったら出掛けられるのか判りませんし、ブログに関わっていられる時間も無いのですが、さすがに年内に一回は更新しないと、ということで、昨年に撮った写真を掲載します。
写真ごとの文章は省略しますが、紅葉の盛りは過ぎているとはいえ、とてもいい神社でした。
更新停止中も見にきてくださった方々に感謝します。
撮影日時 191127 11時40分~12時40分
地図
鳥取県鳥取市国府町菅野
鳥取市周辺の地図を見ていて、最初に気になった神社だ。
車道からやや離れており、参道が長そうだ。
神社の向かいは湿地帯で、植物好きの人間としての興味も湧く。
更に湿地帯から流れ出した川を辿っていくと滝記号がある。
この滝について調べてみると、なかなか立派で美しい滝のようで、神社よりも滝に関心が傾いてきた。
神社付近にはこれといった集落も無く、半ば放置されかけた小さな祠のようなものである可能性も考えられたから、尚のことである。
神社も滝も名称が判らず、この滝が記載されているホームページには、地名を取って「菅野の滝」として紹介されていた。
出発間際になって、それぞれ「酒賀神社」「酒賀の滝」という名称を地図で見つけたものの、改めて調べずに現地へ行った。
まずは滝へ向かい、滝音が聞こえるところまで行ってはみたが、草ぼうぼうの状況にウンザリして断念。
滝への期待が大きかったぶん落胆は大きく、半ばどうでもいいような気分で神社へ向かった。
道路がカーブするところに大きな木が繁っていて、「酒賀神社」という看板が出ていた。
思いの外ちゃんとした神社のようで、車を止め、木々に覆われた空間に足を踏み入れると鳥居が現れる。
寂れた小さな祠のような、とさえ予想していたから、この風景にはびっくりする。
鳥居横の案内板を見れば、「旧大茅十二ヶ村の郷中一の宮と呼ばれ」とあり、周辺に点在する山間集落の中心的な神社であったようだ。
参道右手は杉、左手はモミジを主体としているが、とにかくモミジの緑が鮮やかで、とても気持ちの良い空間になっている。
鳥居から神社入り口を振り返る。
右にある大木は御神木となっている。
苔も生えて素敵な参道なのだが、距離は短く、正面に見えている杉のところから直角に左に折れ、階段になってしまう。
参道を振り返る。
直角に折れた参道の先には拝殿が見えている。
階段を上りきると拝殿。
社殿周りは切り開かれて明る過ぎるのが少し残念。
しかし、本殿も思いがけず立派なもので、暫し見入ってしまう。
彫刻もなかなか凝っている。
とてもこんな辺鄙な山中にあるとは思えない神社で、不思議に思えるくらいであった。
2万5千分1地形図 稲葉山
撮影日時 100630 15時25分~16時20分
駐車場 入り口付近で道路が広くなっている。
地図
前回掲載の甘露神社から4キロほど南西にある。岩美町の中心に近く、付近には宅地が多い。
普段の私からすると、こういう場所に立地する神社は素通りする傾向にあるが、甘露神社が最も行きたかった神社だとすれば、この熊野神社は最も気になる神社であった。
というのも、甘露神社はネットからある程度の情報が得られたが、ここは情報が僅かしか無かった上に、地図を見れば充分に惹かれる要素があったからだ。
地形図では、神社記号を中心にして結構な広さの空白地帯がある。
これは社域が広いと想像できるし、道路からの距離もあるので参道が長いと考えられる。
更にネットの詳細な地図を見てみると、やはり相当な長さの参道があり、途中に神門らしきものも描かれているし、あまり鮮明な画像は得られないがGoogleの航空写真を見ても、かなり広い範囲に亘って木々に覆われたスペースがある。
これだけの規模があって、ネットから画像情報が殆ど得られないとなると、そこにどんな風景が広がっているのか気になって仕方が無いのである。
付近は明るい宅地で、比較的新しい家も多い。
そんな大きい神社があるような雰囲気でもなく、神社入り口もあまり目立たない。
が、鳥居前に立って、いっぺんに惹かれてしまった。
木漏れ日の降り注ぐ、緑のトンネルのような参道。
想像以上の奥深さだ。
スダジイを中心とした、見事な常緑広葉樹の中を行く。
丘陵上にある参道だが、乾いた雰囲気はなく潤っている。
丘陵の周りは宅地なので、車の音や町の気配といったものも伝わってくるけれど、ここは別世界だ。
参道横は、苔が美しい。
見上げれば、照葉樹が躍動するかのように頭上を覆っている。
何やら建物が見えてきて、参道が右に大きくカーブすると
神門が現れる。
左手からも参道が上ってきており、鳥居とその先に住宅が見える。
神門の先には拝殿が見えてくる。
参道は緑深くても、社殿周りは明るい神社が多いが、ここは最後まで緑の濃い空間だ。
拝殿へと歩み寄る。
拝殿手前の階段と石垣。
拝殿前から振り返る。
拝殿横から。
木々と苔と木漏れ日の賑わい。
参道は想像以上だったが、本殿も予想以上に立派なものだった。
宅地の近くにこれだけの空間が維持されていることに驚きつつ、心ゆくまでその雰囲気に浸ることが出来た。
2万5千分1地形図 浦富
撮影日時 100630 8時~8時50分
駐車場 神社入り口より南へ200メートルほどのところで国道が広くなっている。
地図
鳥取に行くにあたって、最も訪ねてみたい神社だった。
理由を言葉で説明するのは難しいけれど、とにかく今回の鳥取行きでは最優先した。
深い木々に包まれた境内には潮騒が届く。
それが耳に心地よく、つい、木の間越しに海を探してしまう。
山陰本線を走る列車の音も、時おり響いてくる。
それもまた、郷愁や旅情に通じるもので耳障りになることはない。
参道は異空間の趣。
緑と岩に吸い込まれるような、或いは抱かれるような感覚になる。
小さな神社だけれど、その深さにただただ浸る。
人によっては、暗さや怖さを感じる雰囲気はあるかも知れないが、私にとっては心の高ぶりと安らぎが同時に訪れる場所だった。
ただ、それを上手く写真に捉えられなかったのが悔やまれる。
撮り直しに行きたい気持ちもあるが、何よりもまたこの雰囲気に浸りに行きたい。
道路脇に社号標が立っており、その向こうは線路だ。
踏切があるわけでもなく、レールを跨いで向かい側へ渡る。
左手には東浜駅が見える。
線路を渡ってすぐに笹薮の中の道に入る。
ちょっと荒れた雰囲気で、神社も雑然と荒れているのではと不安になる。
笹薮は僅かな距離で、右に直角に曲がると鳥居がある。
参道の奥には注連縄門が見え、その辺りだけ少し開けていて朝の淡い光が入り込んでいる。
参道を振り返る。
鳥居横の大木は公孫樹で、秋にはさぞかし美しいだろうと思う。
横を見れば、もはや原型を留めず何なのか判らない石像。
上の方には祠もあったが、藪に覆われ、かなり傷んでいる。
門の左手には岩が立ち、水が滴り落ちている。
深い参道は、ここから更に深みを増す。
門をくぐって息を飲んだ。
両側に岩が立ち、まるで岩の中へと誘い込まれるようだ。
自然の地形なのか、それとも岩を穿ったのだろうか。
振り返れば、緑の帯。
参道はZ字型に折れて岩の上へと出る。
緑が本当に深い。
石段の残りがあと数段、というところに手水鉢。
質素だが味わい深い。
手水鉢の横から拝殿。
社殿周りはさすがに少し明るいが、背後の杜は深い。
本殿は小振りながらも、それなりに凝った彫刻が施されている。
本殿背後の杜。
東側の杜。
本殿周りはドクダミが満開で足の踏み場も無い。
東の杜から直射光が入りだして、何となく賑やかな雰囲気になる。
西側の杜も日を浴びる。
朝らしい気配に満ちてきた参道を引き返す。
波音が聞こえてくるけれど、光の音や緑の音も聞こえてきそうな気さえする。
参道横の岩も、朝の光を浴びて表情豊かになった。
鳥居が見えてきた。
立ち去り難く、暫く参道をうろうろする。
この時期、太陽はどんどん高くなっていき、鳥居の向こうは光に満ちる。
このすぐ向こうに線路があるのが不思議に思えるくらいの光景だ。
そして更にその向こうには海が広がっている。
海は目と鼻の先にあるので、ついでに立ち寄って撮影する。
といっても、実際は前日の夕方の撮影である。
神社入り口から200メートルほど西の砂浜。
ベタ凪状態で、琵琶湖より波が低いくらいだった。
付近には海蝕洞穴などもあって、なかなか変化に富んだ海岸が見られる。
波に洗われる砂の底が所々で動くので、手で砂ごと掬ってみると小さな蟹が出てきた。
ちょっと童心に返って遊んでしまう。
小さな川が流れ込む場所もある。
更に200メートルほど西に進むと駐車スペースがあって、その近くにも海蝕洞穴がある。
少しだがユウスゲの花も咲いていた。
夕暮れの海を満喫して、すぐそばの駐車スペースに停めた車で眠る。
2万5千分1地形図 田後
撮影日時 100630 4時40分~6時40分 海岸は100629 18時20分~19時40分
駐車場 神社入り口向かい付近、または450メートルほど西の駐車スペース。
地図
鳥取県鳥取市香取
鳥取県の神社へ行くのは初めてだ。
鳥取県へは過去四度訪れていて、大山の山麓や鳥取砂丘といった有名どころを足早に巡ったに過ぎない。
その少ない経験からも、鳥取の風景や雰囲気には惹かれるものがあって、神社や渓谷に関しても、いずれは行ってみたいと思っていた。
朝に出発して昼過ぎに鳥取に入る。
まずはどこへ行こうかと考えて、昼間でもひと気の無さそうな意上奴神社を目指した。
カーナビが当たり前になっているので、この感覚は判ってもらえないかも知れないが、知らない市街地を走るのは嫌なものである。
鳥取市街を抜ける際には方向感覚が掴めず、何度か道を間違えたりするけれど、これはこれで楽しいのだと言い訳しながら進む。
市街地を抜けてからも地図と睨めっこしながら何とか交差点や分岐をクリアし、やっとのことで神社前に着く。
集落から離れた広く浅い谷間で、溜池からウシガエルの鳴き声が聞こえてくる。一定時間ごとにスズメ脅しの爆発音も鳴り響いて、ちょっとビックリさせられるけど長閑な場所だ。
鳥居は集落の外れにあったが撮影していない。
溜池の横が参道入り口で、鳥居は無いが案内板などが立っているのですぐにそれと判る。
溜池の堤を渡ると一気に山の中の気配になる。
参道というよりは山道の雰囲気だが、少し大きな木が目立ってきた。
写真では判り難いけれど、大きな二本の木の手前には注連縄が渡されており、ここからが本当の神域、といった、結界の空気のようなものが漂っている。
やがて参道横に流れが現れ、前方に苔生した石段が見えてくる。
光だとか緑だとか、何やら色んなものが降り注いできているように感じられるところだ。
石段横の流れ。
訪れる人は少ないのか、やや荒れた感はあるものの、自然に融け行くような趣がある。
参道を振り返る。
湿度の高さ故だろう、羊歯の種類が豊富で、その柔らかな緑は目に楽しい。
石段を上りきると拝殿。
狭い境内はドクダミが花盛りで、踏み締めた足元から特有の匂いが立ち上ってくる。
昔は顔を顰めたくなる悪臭に思えたが、最近は懐かしいような気もして嫌ではない。
まあ、それはいいとして、ちょっと草が茂り過ぎで、雑然としてしまっているのは否定できない。
覆屋の中の本殿。
2万5千分1地形図 鳥取南部
撮影日時 100629 14時~15時
駐車場 参道入り口付近に駐車可。
地図