神社のある風景

山里の神社を中心に、歴史や建築等からの観点ではなく、風景という視点で巡ります。

雑多な写真

2018年05月12日 | その他

以前にも、「雑多な写真」というタイトルで、何度か記事を書いた。
訪れてはみたものの、掲載できそうな写真の枚数が少なすぎる場所を寄せ集めて一つの記事にしたもので、基本的には数日分、複数の地域の写真を纏めて掲載していた。
今回は、此度の但馬行きで立ち寄った場所からのみで、 その点は過去とは少し違うが、主旨は同じである。

先日からの記事で、空気が濁っているということを書いていたが、実際のところはこんな感じ。



村岡地区の棚田に残っていた桜を撮ったもの。
これでもコントラストの設定は少し強めで撮っているので、実際は更にぼやーっとした風景だ。



その桜の根元、近景を撮るぶんには、空気の濁りはあまり問題にならないようだ。
オオイヌノフグリとハコベも少し見られるが、ほぼ、スギナ、ヒメオドリコソウ、フキの三つ巴状態になっている。
私のイメージでは、スギナが最も生命力が強いという印象だが、帰化植物であるヒメオドリコソウは脅威でもある。
フキはどこの山里でも見られるものだから、それなりに強靭なのだろうが、この二種に負けていないのは意外という気もする。
共存共栄を願うべきか、食材として好きなフキに頑張ってもらうべきか迷ったりするけれど、そんなことをT君に言っても怪訝な顔をされるだけだろうから黙っておく。 



瀞川稲荷に寄った後、猿尾滝を訪ねる。
空気のせいか、やはりいい色が出てくれない。
まだ淡い新緑が美しくもあったのだが。



落差のある二段の滝で、下段はナメ状になっている。



上段は複雑な形状の岩で、地質の違いが面白い滝でもあるが、写真として面白いのは上段の滝だ。
前回訪れたときは、その表情を楽しんだのだが、今回、上段の滝への道は通行止めになっていた。



やや物足りない再訪ではあったけれど、谷間の新緑には惹かれるものがあった。

この時点で時刻は16時で、あと一箇所くらいしか撮影できないだろう。
猿尾の滝が中途半端な撮影で終わったので、どこかもう一箇所、滝を撮りたい。
再び地図と睨めっこをして、神鍋にある一ツ滝に向かうことにした。

長い蘇武トンネルを抜け、稲葉の集落から川沿いの道を遡ると、滝の案内板と駐車場がある。
駐車場からは遊歩道を辿ると、すぐに滝が見えてくる。



猿尾滝は南向きの谷間だったが、こちらは東向きの谷間に懸かる滝だ。
だから新緑は期待できないだろうと思っていたし、実際に緑は寂しい状態だった。
滝自体も、遠目で見たときは意外と大きく見えて、「おお!」と思ったものの、写真にしてみると、随分小さく見えてしまう。
しかも滝の上部にはコンクリートの堰堤が見えていて、がっかりする。



ただ、この黒く光る岩肌は、艶かしくもある。









時刻は17時前で、辺りはやや薄暗くなり始めているから、概ねスローシャッターで撮る。
岩の表情が複雑なので、もう少し多彩な姿が撮れそうにも思うのだがままならない。



前のカメラでは、まず使うことの無かったISO1600の高感度で撮ってみる。
水滴を写し止めるほどのシャッタースピードは無理だが、以前のカメラに比べて明らかにノイズは減っているし、これは今後も活用することになりそうだ。



駐車場所から見上げた、淡い新緑。
谷間には桂の大木もあって、日本海側の山らしい風情。



滝を後にして、稲葉の集落を少し過ぎた辺りで、薄暗い中でも明るさを纏うような新緑が目に飛び込んできた。
地図で調べると、水口八坂神社とある。
奥行きは無く、ここからでも本殿は見えているし、鎮守の杜と呼べるほどの規模も無いけれど、これぞ山里の神社と思える風景で、この日、一番惹かれる風景でもあった。


撮影日 180417


瀞川稲荷神社

2018年05月01日 | 兵庫県

兵庫県美方郡香美町村岡区板仕野


石部神社を思い出して俄に活気付いたものの、やはりその後に続く場所が思い浮かばない。
取り敢えず国道9号線を更に進むが、天気が下り坂のせいもあって、周囲の風景はますます冴えなくなっていく。
運転はT君に任せて私は地形図と睨めっこが続く。
ちょっと寄りたいな、と思う場所があって、「あ、そこを右に」なんて言うこともあったが、「言うのが遅いっす」と却下される。
わざわざ引き返してまで寄りたいとも思わないので、まあ、いっか、で済ます。
現在地付近で行きたい場所を探すと間に合わないので、進行方向の先へと地図を移動させると、村岡地区の棚田に目が留まった。
まだ水は張られていないだろうなぁ、と思いつつ、棚田へと向かう。
国道から外れて、やや狭い道に入ると、標高が上がって棚田のある風景になるが、案の定、絵になるような風景は無く、ちょっと途方に暮れる。
悪あがきのようにスマホの地形図の表示を上下左右にスライドさせると、現在地からさほど遠くない場所にある、瀞川稲荷神社の文字が飛び込んできた。
ああ、ここがあったか、と思う。
何年か前に知って、いつか行こうと思っていた場所だ。 

村岡から峠を越え、棚田を縫うように進む道を下ると板仕野の集落。
そこから林道入って暫くで鳥居が見えてくる。
一目見て、ああ、もっと緑いっぱいの季節に来たかったなぁ、と、ちょっと残念に思う。



とは言え、初めて訪れる、それも奥深そうな神社だから、ワクワクする。



まずは急な石段で味気ない。



が、上りきれば、奥へといざなう気配を漂わせた参道に変わる。
杉の枯葉が参道を埋めているので掃除がしたくなるけれど、べつに信仰心とか綺麗好きというわけじゃなく、写真映えのためにだけど…。



やっぱりもっと緑があればなぁ。
いい参道だけに、不満が出てくる。



朽ちかけた鳥居をくぐると、やや広い場所に出る。



右から上ってきて、左の鳥居をくぐっていくわけだが、何やら参道らしき道が合流している。
「この先に何があるんやろ?」
「トイレでしょ?」
T君が即答する。
ふと見ると立て札があって、「トイレ→」と書かれている。
「いやいや、こんだけ立派な道でトイレしか無かったらビックリするわ!」



まあ、とにかく進んでみる。



すぐに鳥居が見えてきて、くぐってから振り返ると、ここも入り口の一つなのだと理解する。
車道がここまで来ていて駐車スペースもあるから、車で楽に参拝したい場合はこちらからがいいのだろう。



ショートカット的な参道であるが、雰囲気もあって悪くない。



先ほどの分岐点に戻る。



桜が残っていて、その向こうの谷底には雪が残っていた。
右上に見えている建物は休憩所のようなもので、中を覗いたT君が、「猪がいますよ!」と言う。
確かに猪の剥製らしきものがあるが、私は残雪の方に驚いたのでそれを無視し、「雪が残ってる」と言った。
「ちゃいますね」
「いや、雪やろ」
「ちゃいますね」
どうも猪をスルーされたことに対抗して雪を認めないつもりのようだ…。 



まあ、馬鹿なやり取りはともかく、やはり但馬は奥深く雪深い。



そして、参道も深い。



ここからは参道が狭くなるが、右上には本殿の屋根も見えている。



奥にベンチがあって、そこの屋根が見えてしまうのが残念。



ただ、岩も目立ちだして、神域の気配は濃くなる。



このような露岩があちこちにある。
さざれ石っぽくもあるが、土石流が堆積して出来たものらしい。






参道が右に折れた先に本殿がある。



人一人が通れるだけの幅しかない岩と岩の間を行く。



本殿は小さいが、独特の雰囲気に満ちた場所だ。



岩から顔を出すギボウシの若芽が瑞々しい。



参道を、本殿側の右に進まず真っ直ぐ行けば、数多くの境内社がある。









撮影していないものもあるが、たぶん、全部を見て回ったと思う。
「面白い」と言えば語弊があるかも知れないが、数多くの境内社や露岩、そしてその雰囲気は、巡っていて楽しいものだった。
ただやっぱり、緑豊かな季節なら、もっと美しい風景に出逢えただろうし、この先、谷川の上流にある滝にも行かなかったことが惜しまれる。 


撮影日時 
180417 14時15分~15時10分

地図