神社のある風景

山里の神社を中心に、歴史や建築等からの観点ではなく、風景という視点で巡ります。

八王子恵美須神社

2016年06月11日 | 京都府

京都府木津川市鹿背山


木津川市鹿背山の民家から離れた山中に、どうしてこんなところに? といった感じで神社記号がある。
山中といっても標高100メートルほどではあるけれど、浅い山だけに、民家から離れているのが興味を引く。
三十八神社から見れば、山を越えた反対側にあって、山を迂回すれば結構な遠回りになる。
山越えすれば距離を短縮できそうだが、地形図には観音寺峠という地名が記載されているものの、峠越えの道は記されていない。
ところがyahooやgoogleの地図を見てみると、峠を越える狭い車道のようなものが記されている。
ネットで調べてみると、車はともかく、人が歩くぶんには問題無さそうな道があるようだ。

三十八神社から少し北に移動して、民家の間の狭い道を西に進む。
民家が尽きるところから山道のようになり、暗い樹林の中を進むと小さな池が現れる。
どうもおかしいと思い、スマホで現在地を確認すると、明らかにコースから外れている。
一旦、民家のあるところまで戻る。
民家の裏手の塀に沿うように道があって、こちらが峠への道らしいが、入り口付近は下草が生えていて、あまり歩く人はいないようだ。



暫く進むと下草は消えて、こんな感じの道になる。
とても車が通れる道ではないし、かといって地形図に記載されないのも困る、といった程度の道だ。



途中、前日の雨のせいか、ぬかるんでいるところもあるが、道ははっきりしている。
ただ、山歩きに慣れている人なら何でもない道だけれど、神社めぐりだけをする人なら、ちょっと不安を覚えるかも知れない。



峠付近は軽トラなら通れそうな道になる。



峠の先も同じような感じで、緩い坂道を下っていけば農道のような雰囲気になり、すぐに鹿背山の集落に入る。
集落内は特に見るべきものは無いけれど、のんびりと歩いていける。



集落内を600メートルほど歩いたところから、右手の山へと入っていく狭い車道を進む。
途中、道が大岩を避けるようにカーブするところがあって、曲がりきって岩の反対側を見ると、磨崖仏が彫られていた。
回復地蔵磨崖仏と呼ばれているものらしい。



道端に咲くノアザミにバッタが乗っかっていた。



何してはるん? という感じで覗き込むと、少し警戒するように身じろぎするが、居心地がいいのか花の上に留まったままだ。
顔の正面に花粉を付けているから、受粉の役割も担っているのかも知れない。



低い峠を越えて、浅い谷間に下りたところに神社がある。
思いのほか立派な鳥居が立っているし、神社前は駐車場として小さな広場になっていて、山中の神社のイメージは無い。
この日、訪ねた神社は4社で、ここが4社めになるわけだが、奥深さという点においては最もそれを感じさせない。



よく手入れされている、と言うよりは、よく整備されているといった感がある。






境内は小石が敷き詰められ、拝殿も小綺麗なものだ。



本殿も立派なもので、今回の神社巡りでは、唯一、奈良を感じさせないものだった。



何となく物足りないような気もするが、やはり民家から遠く離れた場所にあるので、一人の空間は満喫できる。
それに、周囲の地形はなかなかに興味深く、近くに住んでいたなら探検気分で歩き回ってみたくなるところだ。

ここからは、加茂駅よりも木津駅の方が近いので、そちらに向かって歩く。
やや退屈な道のりではあるが、時折お邸と呼べるような古い大きな民家があったりして、やはり歴史ある地域なのだなぁ、と見入ったりした。


撮影日時 160517 14時40分~15時(神社のみ)
地図


三十八神社

2016年06月03日 | 京都府

京都府木津川市加茂町観音寺


白鬚神社からは集落に戻り、北西へ向かう道を進む。
偶然にも、これから向かう神社への道のりは、途中まで大仏鉄道遺構めぐりコースと重なっているようだ。



集落を抜けるとすぐに長閑な風景が広がる。
山城は竹林の多いところで、道路横に竹林があったりするが、薄暗いイメージのある竹林とは違って、ここは随分と明るい竹林だ。






ひっそりとした竹林が好きだけれど、これはこれで面白い。



やがて三叉路があって、右への道を見ると大仏鉄道の遺構があった。
観音寺橋台と呼ばれるもので、奥に見えているのは現役の関西本線の橋台である。
大仏鉄道は1907年廃止ということらしいから、今から100年以上前の遺構ということになるが、まだまだ使えそうな堅牢な造りだ。



橋台の向こうの風景に少し惹かれたので進んでみる。






平凡だけど、いいなぁと思える風景。



三叉路のところに戻る。



線路に沿う道の方も、いいなぁと思える風景が広がる。



左に道が分かれて竹藪の中に入っていく。
大仏鉄道の跡を辿るならこちらに進むらしく、私自身、進みたい衝動に駆られる。



衝動を断ち切って右の道を進む。



JRの踏切を渡って、観音寺の集落が近づいてきた。
というか、ここに至るまで神社と関係ない写真ばかりなのはどうなのか、と思いつつ、楽しい道中だったので。



集落から山の手へ入っていく狭い車道を進むと、突然といった感じで石段が現れる。
ずっと伸びやかで長閑な風景の中を歩いてきたから、大袈裟に言えば、いきなり深山に入り込んだような気分になる。



実際、天気や時間帯によっては、深山の気配を漂わせそうな気がする。



地形図にも記載されている、それなりに長い石段を上っていく。
地図に直線の長い石段記号のある場所は、大抵コンクリートの階段で、周囲が開けて味気ないところが多いものだが、ここは味わい深い。



石段を上りきればすぐに社殿という形態じゃないのもいい。



平坦な道が続いて奥深い。
鳥居が見えてきた。



電柱が邪魔だが、鳥居もいい雰囲気の中に立っている。
もっといい光線状態のときに訪れたかった。






鳥居の先にも、もう少し参道が続く。



二手に分かれるが、上の本殿前の広場で繋がっている。



左の参道から広場に出たところ。



こちらは右から。
本殿方向以外の三方に、似たような形状の建物が建っていて広場を囲んでいる。






本殿はやはり朱塗りで、所々色褪せてはいても綺麗に保たれている。



本殿右の境内社。



更にその奥に朱の鳥居が立っている。
この先には何も無いようだし、鳥居の下に台のようなものもあるから、遥拝所か何かだろうか。
ここも照葉樹林が豊かだ。

掲載した写真の半分ほどが神社以外のものになった。
道中の寛げるような風景が気に入ったためでもあるが、撮影条件さえ良ければ、この神社だけでこのくらいの枚数は掲載したと思う。
奥深い参道と鳥居の佇まいは、もっともっといい風景になる筈で、心奪われるような瞬間が想像出来るだけに、自分の力量不足を痛感。


撮影日時 160517 13時~13時45分(神社のみ)
地図