和歌山県新宮市熊野川町嶋津
今回の南紀行きの計画を立てるまで、全く知らなかった場所だ。
ここのすぐ近くに木津呂という集落があって、湾曲して流れる北山川に挟まれ、まるで島か半島のように見える風景が有名になっている。
その木津呂に行こうかと色々検索していて、この嶋津の森を見つけた。
嶋津は奈良県の十津川村と、三重県の熊野市に囲まれた、新宮市の飛び地でもあり、地図的にも面白い場所だ。
ただ、嶋津の森は、北山川の中州に形成されたという珍しさはあるものの、さして珍しい植物があるようでもないし、巨木があるというわけでもない。
目的は、この森の中を通っている筏師の道である。
国道311号線から逸れて、嶋津集落への狭い道に入る。
車道の終点に集落があって、ここに日本一小さいと言われる観光協会がある。
人口12人。
観光協会のホームページには、「人が気軽に来て、遊べる場所。ただそれだけでいい。人の記憶に残していけば、この地域は残っていく。そういう思いで活動しています」と書かれていて、来訪者に地域のガイドなどをされているようだ。
集落には駐車出来そうになかったので、行き止まりであろう車道の奥に進むと、北山川の広い河原に出た。
ゴールデンウィークということもあって、他にも何台もの車が止まっている。
一台、スタックしている車があったから、起伏の大きいところは注意した方がいい。
嶋津の森は中州にあると言っても、普段は集落側の方は水が流れておらず、だだっ広い河原が広がっている状態だ。
筏師の道の入り口がどこにあるか判らないので、森に沿って歩くが見つからない。
見つからないまま、北山川の流れが見えるところまで来た。
それにしても、対岸の、針葉樹がほぼ見当たらない緑の豊かさ。
さて、今度はもう少し林縁に入って歩くことにする。
そもそも河原は石だらけでひどく歩きにくい。
すると、森の中に入っていく小道が見つかった。
これは森の外からでは見つからないだろう。
他にも何ヶ所か入り口があるようだが、私が見た範囲では案内板のようなものは無かった。
森の外縁は豊かな常緑広葉樹で覆われているように見えたが、中に入ってみると単純な杉林で少しつまらない。
ただ、この苔生した筏師の道は魅力的である。
筏師の道とは、かつて流域で伐採された木材を筏で新宮まで運んだ際、筏を操る筏師が上流の自宅へと歩いて戻るために作られた道である。
だから嶋津にだけあるわけではなく、どちらかと言えばメインは北山村であり、北山村観光サイトを見ると、「筏師の道ウォーキングマップ」なども載っている。
通して歩けば面白そうだが、もちろんそんな気力も体力も無いので、この苔生した道に惹かれ、嶋津を選んだ。
写真を撮っていると、3、4人の方と擦れ違った。
挨拶を交わすと、先述の嶋津観光協会の方々であった。
と言っても、人口12人だから、住民全員が協会員の可能性はあるが。
「苔とか採らないでくださいね」と言われたのは心外であったが、悪さをする人が多いのだろうか。
ここは早朝や雨の日などに撮影すれば、面白い写真が撮れそうだ。
光線状態は悪く、撮影は厳しかった。
似たような写真ばかりになってしまったし、ここだけを目的に行くようなところでも無いだろうが、ちょっと立ち寄るにはいいところだ。
撮影日時 190502 16時~16時20分
地図
三重県熊野市五郷町桃崎
記事のタイトルからすると、どこかの渓谷歩きでもしたのかと思われそうだがそうではなく、高尾谷にある三か所の場所を纏めて掲載するのでこのタイトルとした。
ことのきっかけは、グーグルマップで熊野市五郷町辺りを見ていたときのことである。
地図上に、「水神」と書かれた場所があって、クリックすると、道路脇の小さな池のようなところに、綺麗な水が湛えられた写真が表示された。
湧水池のように見えるし、ちょっと興味をそそられたが、「クチコミ」は無かった。
最近のグーグルマップはこんな風に、相当辺鄙な場所にある名所とも言えないところにも、誰かのクチコミや写真が投稿されていて、情報収集には大いに役立つし、びっくりするくらい小さな神社にも書き込みがあったりする。
ただ、もう少しちゃんとした記事や写真が見てみたいと思ったので検索をしてみると、出てきたのはその水神ではなく、少し離れたところにある別の水神であった。
それがこの高尾谷にあるものだったのだが、これに紐付いて他に二ヶ所の場所の記事を目にすることになり、これは行ってみたいとなったのである。
いつものようにT君の車で出掛ける。
三回連続の南紀行きであるが、彼は行き先の希望を口にすることはあっても、不平や不満を言うことはない。
どこへ行っても、それはそれで楽しいと思っているようであるし、そもそも、私と出掛けるような場所は、他の友人と出掛ける場合には、まず行かないようなところらしいので(まあ当然そうだろうと思う)、私に任せるといった感じになる。
七色ダム湖に沿った国道から外れ、高尾谷の林道に入る。
しばらくで道路の右側が広場になっているところがあるので、そこに駐車。
道路の左側は何となく荒れた雰囲気があって、何やら門柱のようなものが立っている。
そこには「高尾遊園地」と書かれており、ここがかつてレジャー施設であったことを教えてくれる。
三か所のうちの一つが、この「高尾遊園地」跡で、廃墟マニアの間では知っている人も多いようだ。
それはともかく、ここは一般的な遊園地の概念からは程遠いし、そもそもこんな山奥の谷間に作ること自体、理解しがたいのであるが、マス釣り場や天然プールといったものがあったらしい。
林道から谷川へと降りていく小道を辿り、橋を渡るとこんな場所に出る。
いったいどれほど賑わったのかは判らないが、山中には意外なほどの施設が、どこか虚ろな空気を湛えていた。
いつ閉園になったかなどの情報は見つからなかった。
放置された車の屋根は、錆びて完全に抜け落ちており、鉄がここまで朽ちるのかと驚く。
春の終わりの、やや強い日差しのせいか、不気味さはあまり感じなかったが、侘しさみたいなものは感じる。
現役だった頃の写真はネットでは見つからないが、熊野市周辺に住む人の中には、当時の写真を持っている人がいるかも知れないと思うと、見てみたい気がした。
実は水神はこの園内にあって、先ほどまでの写真のすぐ近くにあるのだが、まずは上流に進む。
天然プールというのはこの辺りにあったのだろうか。
新緑が眩しく、夏ならば気持ち良さそうだ。
ここより上流には、一、二軒の民家があるようだが、水は清く、新緑を映して輝く。
下流へと戻って、水神の鳥居へ。
流れの向こうに祠がある。
やどかし水神と呼ばれているらしく、最初は「やどかし」とは何のことだろうと思った。
祠のそば、岩の上には大木があって、かつては熊野市の天然記念物であったらしい。
岩の上には二十種類ほどの植物が生育しているらしく、なるほど、それで「宿貸し」か、と合点がいった。
ただ、なぜ天然記念物の指定が取り消されたのかは判らない。
判らないけれど、私はこの木と岩が気に入ってしまった。
命の宿る場所。
そんな風に思えたのだ。
高尾遊園地を後にして、林道の終点まで進む。
終点は広場になっており、そこから先に続く小道の奥には鳥居が見える。
五郷町桃崎集落にある桃源寺の奥の宮、太郎坊権現である。
鳥居の先には驚くほど深い参道が続いている。
日差しのせいでコントラストが強く、その深さを写真で撮ることは出来ないが、早朝や曇りの日であれば、幽玄とも思える気配が感じられる場所であろうことは判る。
藤であろうか?
捩じれた幹には注連縄が掛かっており、どういうわけか、鈴が幾つもぶら下がっている。
参道の脇の地面には沢山の長い楊枝が突き刺されており、白い紙に「18歳男」などと書かれている。
千本幟と言われているらしく、まだ新しいものも多くあって、信仰の篤さが窺える。
長い石段の先には小さな広場があって、新緑が空を覆っていた。
ここが太郎坊権現で、瑞垣の内側は女人禁制となっている。
緑深く、木漏れ日が戯れるようなところで、またしても熊野の信仰の奥深さを感じる場所であった。
撮影日時 190502 10時20分~11時45分
地図 やどかし水神 太郎坊権現
一枚岩の後も何ヶ所か立ち寄ったが、どれも一つの記事にするには弱い気がするので纏めて掲載。
まずは神水瀑。
以前から見たかった滝だが、もっと緑濃い時期に来るべきだった。
滝自体は大きくないが、ひっそりと神秘的な雰囲気はある。
水は古座川流域らしい、微かに青みを帯びた色。
苔やシダが水際まで賑やかなのも南紀らしい。
神水瀑 和歌山県東牟婁郡古座川町一雨
撮影日時 190329 15時~15時10分
地図
古座川流域から外れ、太田川流域に入る。
実はこの日、一番の目的地は太田川に架かる吊り橋で、過去に2回撮影しているのだが、どちらも微妙に桜の満開を外していた。
そこは吊り橋の対岸に桜があって、夕方前くらいに西日が当たって輝く位置にある。
時間的にはちょうど良かったが、桜は3分咲きにもなっておらず、吊り橋は修繕されて少し味気ないものになっていた。
撮影は諦め、少し上流にある廃校に行った。
木造校舎の廃校も、緑いっぱいの時期に撮りたかったし、欲を言えば青空をバックにしたかった。
この時間帯だと、ノスタルジーとか木の温もりよりも、どこかうら寂しい感じになってしまう。
こういった廃校について調べていると、皆さん内部の写真を掲載されていることが多い。
私も撮りたいと思うが、なかなか判断の難しいところではある。
基本的に、施錠されていたり立ち入り禁止などの注意書きがあれば、中に入ることは不法侵入に当たる。
施錠されていなくても、軽犯罪法違反になる可能性がある。
だが、全く管理されておらず、立ち入りを拒むような措置が何ら取られていないケースなどは判断が難しい。
実際、そういった廃校は見てきたし、私も撮影したことはあるが、相当以前に撮ったものでないと掲載は躊躇われる(時効は3年らしい)。
軽犯罪法第一条には、「人が住んでおらず、且つ、看守していない邸宅、建物又は船舶の内に正当な理由なくひそんでいた者」と書かれている。
「ひそんでいた者」の解釈に困るところだが、「人目につかないように身を隠す」と考えていいらしく、であれば、公然と立ち入れば問題ないのか、という話になる。
要は、ホームレスが住み着くことや、犯罪にかかわる者の隠れ家的な用途、不良などが屯することを防ぐ狙いがある条文のように思えるがどうなのだろう。
ここは施錠されていたが、ガラスや壁が破れているところがあって、入ろうと思えば入れるが、明らかにアウトである。
とはいえ、細かいことを言い出せば、校庭に入ることもアウトの可能性がある。
門扉は閉まっていない、ロープも張られておらず、立ち入り禁止の看板等も無いことを判断基準にしているが……。
地形的には広い谷間にあって、あまり安全な場所とは言い難い。
平坦地の無い山間部では仕方ないのであろうが、大雨のときなどは不安である。
実際、右側に見える校舎の背後は、押し流されてきた土砂で埋まっていた。
校庭から見える風景は穏やかで、子供達の歓声が響いていた時代があったことなど嘘みたいに静かであった。
那智勝浦町立出合小学校 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町小匠
撮影日時 190329 16時5分~16時55分
地図
時間は17時になったが、辛うじてもう1ヶ所くらいは撮影できそうだ。
ということで、観光客がほぼ帰ったであろう大門坂に向かう。
駐車場から大門坂に向かう。
南紀らしい石垣と、小さなレンゲ畑と名も知らぬ鳥。
道路脇の何気ない風景に惹かれる。
もう相当暗くなっていたので殆ど撮影はせず。
いちばん有名なこの風景を撮って引き返した。
大門坂 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山
撮影日時 190329 17時35分~18時10分
地図
和歌山県東牟婁郡古座川町相瀬
古座川町で最も知られた場所と言えば、やはり一枚岩であろう。
私は過去に何度か訪れたことがあるから、是非とも今回も、というわけではないが、次に向かう場所への通り道でもあるし、それにT君もいるので見てもらいたい気持ちが強い。
もっともこれは、親切心と言うよりは、「凄いだろ」と自慢するような感覚に近い。
川岸神社からは来た道を七川ダムまで戻り、そのまま古座川に沿って下る。
一枚岩を見るとき、ほとんどの人は国道沿いの「道の駅」辺りからであると思うが、私はいつも、少し上流の洞尾橋から左岸についている道に入ることにしている。
車が通れる道だが、ここは敢えて橋の手前に駐車して、そこから歩くことにする。
この辺りの桜は満開に近く、所々で目を楽しませてくれる。
一枚岩が見えてくるまで700メートルほどの距離で、対岸に岩壁が見えたりするものの、穏やかな雰囲気である。
一枚岩は緩いカーブを曲がりきったところで目に入るのだが、最初は何となく行き止まりのような場所に見える。
視線を普通の高さにしていたら、前方にある岩を道路脇の擁壁のように認識するからだ。
が、「ほら、一枚岩」と言って、私が上方を指さすと、まだその存在に気付いていなかったT君が、「おお! すげー!」と期待通りの反応をしてくれる。
わざわざこの道を歩くことにしたのは、この演出効果を狙ったからで、すぐそばに辿り着くまで、一枚岩の姿が全く見えないというのがいい。
突如として、まさに壁と言うべき圧倒的な存在感に出くわす、といった感じだ。
ただ、この位置からだと一枚岩が近すぎて、まともに写真が撮れない。
撮影は後で道の駅付近でするとして、まずはこの道の行き止まりにある公園に立ち寄る。
この公園、一枚岩のすぐそばにありながら、一枚岩が全く見えないという残念なところなのだが、そのお蔭か、あまり人が来ない。
目の前の川も、雨後のみ水が流れる川のようで、それも残念。
それでも、桜のシーズンだからちょくちょく人はやってくるし、誰かバーベキューでもしたのか、河原に丸ごとのキャベツとフランクが一本転がっている。
水があれば、もっと桜が映えるのになぁ。
さて、対岸に移り、一枚岩を撮る。
しかし対岸からでも、もっと広角のレンズでないと納まりきらない。
それに、青空でないと引き立たない。
でもまあ、見ているだけで楽しくはある。
河原で遊ぶ親子。
さきほど、道路脇の擁壁に見えて何となく行き止まりに感じると書いたが、この写真の岩の感じを見ると、それが理解してもらえるだろうか。
普通の人は、「岩」を思い浮かべるとき、きっと漠然と大きな石の塊くらいを頭に描くと思うけど、この辺で育った人は、「岩」と聞けば、まずはこの一枚岩の姿が思い浮かぶんだろうなぁ、なんてことを考えたりした。
それくらいの存在感だし、子供の頃にこんな場所で遊べたら、楽しくて仕方ないような風景だ。
撮影日時 190329 14時~14時50分
地図
兵庫県三田市福島
大龍神社の記事から間が開いてしまったけれど、その帰りに立ち寄った場所がある。
実のところ、大龍神社の雪景色に満足してしまい、そのまま帰ろうかと思ってしまったのだが、重い腰を上げて新三田駅で下車する。
2015年の6月にも訪れたことのある、八幡宮と、福島大池へと続く小道の雪景色が見てみたいからで、前回は緑濃いその小道を歩くのが、とても心地よかった。
駅からは、つまらない平地の道をてくてく歩く。
途中、ビニールハウス内でイチゴ狩が出来るところがあって、駐車場は満車、なかなかの盛況っぷりであるのを横目で見て通り過ぎる。
日曜日ではあるが、こんな雪景色の日に、ハウス内でイチゴを摘んで何が楽しいのかと思ってしまう。
もちろん、私の行動の方が、何が楽しいのかと思われる可能性は大いにある。
平地が尽きて、小川に沿った農道のような道を進むと、暫くで八幡宮の鳥居が見えてくる。
やっぱり、もう少し雪がほしいなと思う。
既に溶け出しており、頭上からポタポタと水滴が落ちてくる。
ここの参道の雪景色は期待していたのだが、雪が少ないせいか、色がゴチャゴチャしているように感じられていまひとつ。
参拝者、というよりハイキングのグループがやってきたので早々に退散。
今までは、ずっと平日が休みだったのだが、やっぱり日曜だと勝手が違う。
福島大池までの道はハイキングコースのようだから、冬のこんな日でもそれなりに人が訪れるのだろう。
神社からも暫く農道のような道を進む。
やがて木々に覆われた、森の中の小道に変わる。
横を流れる小川は福島大池から流れ出すもので、残念ながら水は汚れている。
この小道の雪景色も期待していたが、緑いっぱいの時期の方が美しく感じた。
何より、思っていた以上にハイキング客が多く、あまり落ち着けない。
あまり撮るべきところも見当たらず、福島大池に出る。
水が綺麗なわけでもなく、護岸されている場所も多く、風景としてはつまらない。
前方にある民家と有馬富士と呼ばれる山が、絵になるといえばなるけれど。
他に人も多いので、すぐに引き返すことにした。
まあ、この冬、最初で最後の雪になるだろうから、わざわざ雪の多い所を選んで歩いたりする。
何だかんだで、童心には帰ってしまうのであった。
撮影日時 190127 10時~11時
地図
この二月で、ブログを開設して11年が経ちました。
11周年というのもキリが悪いので、「この一年」と題して、この一年間でそれなりに気に入った写真を、例によって大きめサイズで載せようと思います。
とは言え、撮影に出掛けた回数はたったの7回でして、自分としても、もっといい写真が撮りたい、という物足りなさのようなものを感じています。
直近に掲載したものもあって、新鮮味にも欠けるかも知れませんが、大きい画像で見ていただいて、またちょっと違った印象を持ってもらえれば。
一年を通して反省点は多々あるのですが、なんといっても更新頻度の少なさは致命的で、アクセス数もそれに比例しています(笑
写真は別にして、日常の、身の回りのことも書いてみようかなぁ、などと思ったり、実は書きたいこともそれなりにあったりするのですが、果たして需要があるのかという思いもあり、自重しています。
ご意見があれば、お聞かせください。
少ないながらも、このブログを支持してくださる方々には、感謝の念に堪えません。
末永く、お付き合いいただければ幸いです。
物足りないとは書きましたが、それぞれの場所に、それぞれ思い入れがありますし、春夏秋冬、花、滝、海、紅葉、雪、そして神社と、わりと多彩に写真が撮れたな、という気もしています。
みなさんのお気に入りになるような写真があればいいのですが、あれの方が良かった、とか、あの記事のあの写真がいい、とかいう意見もあってほしいなぁ、と思います。
一つ気になっている点として、過去記事などの画像で、明らかに掲載時より画質が劣化しているものがあります。
また、最近のものでも、アップ時に画質が劣化するケースが多々あります。
粒子が粗くなっていたり、潰れたようになっている画像があって見苦しいのですが、原因が判りません。
似たような別画像をアップし直すと問題なかったりもするのですが…。ご容赦ください。
随分と間が開いてしまったけれど、前回の久木神社の続きを。
何ヶ所か立ち寄ったので、それぞれ一つの記事にしたいところだが、あまりいい写真が撮れなかったので、まとめて雑多な写真として掲載することにする。
飛鳥神社
三重県尾鷲市曽根町
ここは以前にも掲載したことがある。
巨木が見事な神社で、尾鷲方面に行くことがあれば、ぜひとも立ち寄りたい場所だ。
丸石を使った見慣れないタイプの石垣。
左から伸びている楠は、ここからでは判らないが個性的な樹形で、この神社を印象深いものにしてくれる。
ここもすぐ隣が漁港で、手水鉢の周りに蟹がたくさんいたので、暫し戯れた。
室古神社
三重県熊野市二木島町
二木島湾を挟んで対岸に阿古師神社があって、以前そちらに参拝したときから気になっていた神社。
阿古師神社は徒歩でないと辿り着けないところで、海辺とはいえ木々も豊かであったが、こちらは車道が通じており、周囲の雰囲気も開放的。
ただし、車道は極めて狭く、軽自動車でないと厳しい。
途中の漁港にいたおじさんに、神社前に車が止められるか尋ねると、物凄く不愛想というか、素っ気ない態度で「止められへん」と答えが返ってきた。
南紀は親切で人懐っこい人が多いというようなことを何度か書いてきたが、こんなことは初めてで面食らう。
右手の林の奥に沼のようなものがあって、そこに十数頭の鹿が戯れていた。
地形図を見ると水田記号になっているが、放置されて沼地化したのだろう。
ここもすぐ目の前が海。
社殿はクリーム色で、阿古師神社と似た感じだった。
橋杭岩
和歌山県東牟婁郡串本町鬮野川
尾鷲から熊野にかけて、もう少しウロチョロするつもりだったが、同行者のT君と、紀伊半島の西側に回って夕日を見ようということになる。
ここは言わずと知れた橋杭岩。
今まで何度も車でそばを走っているが、撮影するのは初めてだ。
所在地の地名、鬮野川の字は目を引く。
くじのかわと読むが、こんな字はとても書けない。
那智勝浦町には同じ読みで狗子ノ川という地名がある。
鬮は籤のことで、狗子は犬のことだろうから、関係は無いと思うけれど面白い。
方向的にあまり焼けないとは思っていたので、江須崎海岸へ向かう。
と言っても、時間的にかなり厳しい。
江須崎海岸
和歌山県西牟婁郡すさみ町江住
辛うじて空に赤みが残っている時間に到着。
だが、雲が広がり、夕焼けと言うには寂しい状態。
漁火が輝き出した。
夕焼けを目当てに、随分と遠回りしてここまで来たので満足とは言い難いが、やっぱり南紀の海はいいなと思えた。
撮影日 180809
三重県熊野市紀和町丸山
七里御浜では青空も顔を出したが、これから向かう方向は、どんよりと曇っている。
海辺にずっといたい気もしたけれど、しっかりとした予定の無い行程とは言え、丸山千枚田は最後に絶対寄る、と決めていたので山に向かって車を走らせる。
幸い、山間部に入っても雨は降っておらず、空は意外と明るいままだ。
国道311号線から外れて狭い道を進むと丸山千枚田を見下ろす場所に出るが、まずはもっと近くからと思い、道を下っていく。
途中、棚田の中ほどにある駐車場は先客があったので素通りし、最も低い場所にある駐車場に車を入れる。
どの駐車場所も数台分しかスペースが無くて、ここも既に2台の車があったが、この先に駐車場は無さそうだし棚田からも離れていくようなので仕方がない。
丸山千枚田は実際に千枚以上の棚田があるらしいが、低いこの位置からではそれほどの規模は窺えない。
ただ、大石と呼ばれるおむすび型の巨岩が魅力的で、昔ながらの田園風景の眺めを、更に遥か遠い太古への夢想へと駆り立てさせる。
その大石のそばに行ってみる。
雨除けの農機具置き場になっているのが何とも素朴で、いいなぁ、と思う。
観光客は各駐車場に5、6人程度で、本格的なカメラマンは見当たらない。
平日だし、天気も悪いからで、普段はもう少し多いのかも知れない。
棚田の間を縫って下る小道を進む。
水鏡という言葉があるが、水の張られた棚田は光が水面に反射しないと映えない。
大石の辺りからは順光で棚田が周囲の色に溶け入ってしまったけれど、この辺りからなら、それなりに浮かび上がってくれそうだ。
自然の恵みと厳しさ、逞しい人の営み、そういったものを感じさせてくれる風景だ。
人の足跡の残る田圃。
自動化は出来ないし、維持管理は困難な環境。
ただ、多くの地域から協賛する人々がいて、この風景が保たれている。
青空と白い雲が映ればいいなぁ、とは思うけれど、贅沢は言えない。
特筆すべきは、棚田を構築しているのが自然石を積み上げた石垣であることで、最近では随分と減ってしまった風景だ。
そしてそれを、サツキの花が彩る。
ここで撮影していると、斜面の上から「反射してますかぁ?」という声が聞こえた。
一瞬、何のことかと思ったが、すぐに水面のことだと理解して、「はいー!」と答える。
すると、一眼レフを抱えた初老の男性が現れて、私の後ろで撮影を始められた。
確か、駐車場で隣に駐車していた車に乗っていた方で、熊谷ナンバーだったはず。
埼玉県から来られているのは凄いなぁ、と思う。
ここで見かけた方は、皆さん光の向きなど気にせずにスマホでパシャパシャ撮られていたが、この方はいい光が来るのを待っていたようだ。
と、それに呼応するように、雲が切れて日が差し込んできた。
手前の棚田ではなく、向こうにある杉の木をスポットライトのように照らしてくれたら、と思わないでも無かったが、それでも辺りが華やいで、心が昂るのを感じる。
似たような構図ばかりで恐縮だけれど…。
それでも、思うような写真は撮れなかったけれど、美しいと思う光景に出逢えた。
こういう小道が好きなのに、その情緒というか、いいなぁと思わせる何かを写し撮れない。
日が傾いてきた。
ここは夕暮れ時の、朱に染まった棚田の風景が有名なのだが、今日の天気では見られそうにない。
丸山千枚田の文字、観光客が記念に撮るにはいいのかも知れないが、純粋に風景を撮りたい者としてはちょっと邪魔かなぁ…。
ササユリ? 私が知るササユリはもっと白に近い淡いピンクなので確信が持てない。
そういえば名張に住んでいた頃、近所の田圃の畔に、当たり前のようにリンドウが咲いていた。
こういった植物が、当たり前のように水田を彩るのは嬉しい光景だ。
先程のおじさんが再び話しかけてこられた。
気儘な年金暮らしで、埼玉から車中泊をしながらあちこち立ち寄ってここまで来た、とのこと。
車中泊は決して楽ではないし、お歳の割に凄い情熱だと思ったが、羨ましくもある。
駐車場の近くに休憩所とトイレがある。
休憩所には記帳ノートがあったのでパラパラと捲ってみると、あらゆる地域から人々が訪ねて来ていることが判る。
外国の方の書き込みも幾つか。
何語か判らないものもあったが、この風景が良い思い出になってくれたなら嬉しいと思う。
雲は多く、夕焼けは望めないけれど、綺麗な空だと思って写真を撮った。
撮影日時 180529 16時50分~18時30分
地図
落下物でパソコンが壊れてしまいました…。
スマホから投稿しています。
皆さん御無事でしょうか?
被害が拡大しませんよう祈ります。
余震等にお気をつけください。
阪神大震災のことを思い出しました。
胃がキューっとなって、胃酸が込み上げてきました。
被害は無くとも、トラウマのようになっている人は沢山いらっしゃると思います。
どうか警戒の上、ご自愛下さい。
以前にも、「雑多な写真」というタイトルで、何度か記事を書いた。
訪れてはみたものの、掲載できそうな写真の枚数が少なすぎる場所を寄せ集めて一つの記事にしたもので、基本的には数日分、複数の地域の写真を纏めて掲載していた。
今回は、此度の但馬行きで立ち寄った場所からのみで、 その点は過去とは少し違うが、主旨は同じである。
先日からの記事で、空気が濁っているということを書いていたが、実際のところはこんな感じ。
村岡地区の棚田に残っていた桜を撮ったもの。
これでもコントラストの設定は少し強めで撮っているので、実際は更にぼやーっとした風景だ。
その桜の根元、近景を撮るぶんには、空気の濁りはあまり問題にならないようだ。
オオイヌノフグリとハコベも少し見られるが、ほぼ、スギナ、ヒメオドリコソウ、フキの三つ巴状態になっている。
私のイメージでは、スギナが最も生命力が強いという印象だが、帰化植物であるヒメオドリコソウは脅威でもある。
フキはどこの山里でも見られるものだから、それなりに強靭なのだろうが、この二種に負けていないのは意外という気もする。
共存共栄を願うべきか、食材として好きなフキに頑張ってもらうべきか迷ったりするけれど、そんなことをT君に言っても怪訝な顔をされるだけだろうから黙っておく。
瀞川稲荷に寄った後、猿尾滝を訪ねる。
空気のせいか、やはりいい色が出てくれない。
まだ淡い新緑が美しくもあったのだが。
落差のある二段の滝で、下段はナメ状になっている。
上段は複雑な形状の岩で、地質の違いが面白い滝でもあるが、写真として面白いのは上段の滝だ。
前回訪れたときは、その表情を楽しんだのだが、今回、上段の滝への道は通行止めになっていた。
やや物足りない再訪ではあったけれど、谷間の新緑には惹かれるものがあった。
この時点で時刻は16時で、あと一箇所くらいしか撮影できないだろう。
猿尾の滝が中途半端な撮影で終わったので、どこかもう一箇所、滝を撮りたい。
再び地図と睨めっこをして、神鍋にある一ツ滝に向かうことにした。
長い蘇武トンネルを抜け、稲葉の集落から川沿いの道を遡ると、滝の案内板と駐車場がある。
駐車場からは遊歩道を辿ると、すぐに滝が見えてくる。
猿尾滝は南向きの谷間だったが、こちらは東向きの谷間に懸かる滝だ。
だから新緑は期待できないだろうと思っていたし、実際に緑は寂しい状態だった。
滝自体も、遠目で見たときは意外と大きく見えて、「おお!」と思ったものの、写真にしてみると、随分小さく見えてしまう。
しかも滝の上部にはコンクリートの堰堤が見えていて、がっかりする。
ただ、この黒く光る岩肌は、艶かしくもある。
時刻は17時前で、辺りはやや薄暗くなり始めているから、概ねスローシャッターで撮る。
岩の表情が複雑なので、もう少し多彩な姿が撮れそうにも思うのだがままならない。
前のカメラでは、まず使うことの無かったISO1600の高感度で撮ってみる。
水滴を写し止めるほどのシャッタースピードは無理だが、以前のカメラに比べて明らかにノイズは減っているし、これは今後も活用することになりそうだ。
駐車場所から見上げた、淡い新緑。
谷間には桂の大木もあって、日本海側の山らしい風情。
滝を後にして、稲葉の集落を少し過ぎた辺りで、薄暗い中でも明るさを纏うような新緑が目に飛び込んできた。
地図で調べると、水口八坂神社とある。
奥行きは無く、ここからでも本殿は見えているし、鎮守の杜と呼べるほどの規模も無いけれど、これぞ山里の神社と思える風景で、この日、一番惹かれる風景でもあった。
撮影日 180417