神社のある風景

山里の神社を中心に、歴史や建築等からの観点ではなく、風景という視点で巡ります。

三周年 1

2011年02月23日 | その他


相変わらず何処にも出掛けていないのだけど、あまり更新が空くのも嫌なので、何かネタは無いかと考えていたら、このブログを開設してから三年が経過していることに気付いた。
当初は三年続けば上出来と思っていたし、続いたとしても三年くらいでやめるだろうとも思っていた。
飽き性であること、邪魔くさがりであることは以前にも書いたし、実際問題、日々の生活にあまりゆとりは無く、遠出を繰り返すのは金銭的にも厳しい。
それでも続けていられるのは、やはり見に来てくださる方がいるからで、その喜びは、開設当初から変わることなく、今も大きな励みになっている。
最近は一日に100人くらいの方が訪問してくださることも珍しくなく、喜びとプレッシャーとやりがいを感じ、そして、感謝の気持ちでいっぱいでもある。
三周年を迎えられたことを、心からお礼申し上げたいと思います。
いつもありがとうございます。

で、三周年ということで、過去の画像からお気に入りのものを大きなサイズでアップすることにした。
といっても、既に「画像置き場」に掲載しているものや、これから掲載するであろうものばかりであるし、サイズが大きいだけで、その画像自体はここに掲載済みなのだから何の目新しさも無いのだけれど、この三年を振り返る意味でも、ああ、こんな写真があったな、とか、やっぱり神社や滝っていいな、なんて思ってもらえれば。
ただ、お気に入りとは言ってもかなり流動的で、多分、一ヵ月後に選べば、何枚かは違った写真に入れ替わると思うほどあやふやなもので、つまりはまあ、私の感性そのものがあやふやなのかも知れない。
尚、タイトルに「1」と番号を付したのは、「神社」「滝・渓谷」「その他」で、それぞれお気に入りをアップするつもりだからで、つまり三回に亘って「三周年」の記事を引っ張ろうという魂胆だったりする。



内尾神社
デジタル一眼レフを使い出して、初めてちゃんとした「写真」が撮れたと思えた一枚なので、自分の中では捨て難い愛着がある。



若宮神社
神寂びた、といえば、陰翳の深い、もっと薄暗い状況で感じることが多いけれど、これは比較的明るい写真で少しはそういった雰囲気を写せたのではないかと思う。



戸神社
空間というものは、決して広さによって認識されるものではない、と改めて感じ入った場所。
それが写真で表現出来たかどうか・・・。



勝手神社
私の中では色褪せることのない一枚。
花盛りのミツバツツジと参道を埋める桜の花びら。
最高のタイミングで写真が撮れたと思う。



三輪神社
秋に撮った写真とどちらを載せようか迷った。
風景としては秋に軍配を上げたかったのだが、写真の出来としては不満が残ったので新緑の方を選んだ。
緑の輝きと地面に描かれる木漏れ日、もっといろんな表現が出来そうで、これからも訪れる場所であろうと思う。



松尾神社
雨に煙る雰囲気が気に入っている。
鬱蒼とした場所は雨だと暗くなりすぎるけれど、ここは伐採されて雨の似合う場所になった。
濡れた地面と緑の匂い、雨音が、画面から伝わるような写真が撮ってみたいけれど・・・。



御出石神社
実際には木々の密度がやや低く、少し間延びした空間ではあるのだが、立ち位置を何度も変えて、最も深く奥行きあるように見える位置を探して撮った。
ただ単純に撮っているようでも、一歩の違いで印象が変わることもあり、撮影ではとにかく動き回る。



六所神社
朝の淡い光に浮かび上がる緑と、朱塗りの瑞垣に茅葺の社殿。
撮った瞬間の満足度がとても高かった一枚。



瀧原宮
写真としては面白味に欠けるような気もするが、この奥深く清澄な参道は魅力的で、それが早朝の空気によく似合っていた。
ISO400で4.5秒のシャッターだから実際にはもっと暗く、参道の砂利だけが浮かび上がって見えた。



丹生神社
夏の日差しが、撮りたいところだけを照らしてくれた。
あとは、画面の中心の明るさ、逆に言えば周囲の暗さをどの程度に合わせるかに迷う。
私は緑を白トビさせたくないので露出は緑を基準にすることが多い。



白山神社
神社の風景が好きなものにとっては、陶然とせずにはいられない空間だった。
3時間半以上も滞在して撮影に没頭した、とても思い出深い神社。
何度も足を運べば、もっといい写真が撮れる場所のはず、とは思うものの、かなり遠く、気合と時間とお金が要るので再訪はいつになることやら。



日野神社
複数の知人に見せても、この写真を良いと言ってくれる人はいなかった。
いい景色かというと、ちょっと違う気もするし、目を見張るような部分も無いけれど、私自身はかなり好きな一枚。
雰囲気とか、色合いやトーンが、なんとも言えない空気感を漂わせていると思ったりするのだが・・・。


以上、12枚を選んでみました。
本当は10枚にするつもりが、どうしても絞り切れずに12枚になり、以後、掲載予定の「滝・渓谷」「その他」でも12枚で統一しました。
冒頭にも書いたように流動的で、これがベストというわけでもなく、ちょっと適当だったりもしますが、少しでも神社の魅力を伝える一枚になれば・・・。


琉璃渓 その2

2011年02月09日 | 滝・渓谷


さて、前回の続き、というか、今までとはちょっと違った氷の表情を集めてみた。
滝こそ凍らなかったものの、今冬の厳しさは今までの冬には見られなかった氷を作ってくれた。
特に、流れのある水面の上に形作られた氷は、水の動き、水面を走る風、微細な水飛沫などの影響からか、驚くほど複雑で繊細な形状を描いていた。
複雑な形は複雑に光を反射させて、美しくも不思議な氷の世界を見せてくれる。



今までと違うな、という氷を最初に見つけたのは左岸から支流が流れ込む辺りで、水面の上に咲いた花のように見えた。



そこからは、どんどん水面の氷が見られるようになる。









そこに虹色の光を見つけると、ファインダーの中の世界に夢中になり、寒さも音も消えた。









水面の氷とひとことで言っても、流れの強さや日当たりによって形状は様々だ。






ハップル宇宙望遠鏡が捉えた宇宙の姿に驚嘆することがあるけれど、地球もその宇宙の一部で、実は身近なところにも、そんな宇宙の片鱗を窺わせる姿が隠されているのだな、なんて大袈裟なことを思ったりもする。









やや流れの強いところでは、枝葉のように氷が伸びている。



融かさずに持って帰れたら、なんてことも考える。






流れの弱い、氷結と溶解を繰り返すような場所にも、持ち帰りたくなるような色が散りばめられていて、持ち帰れないその口惜しさを写真に捉えることで慰めてるような・・・。



日当たりの良いところでは幻想的な色は影を潜めたが、ぱっと辺りが明るくなったかのようで、やはり花が咲いたみたいに見える。












日陰では、メタリックな昆虫の重なりのようにも見えてきた。









ああ、でもやっぱり宇宙かも・・・。

ちょっと中途半端な季節になって、暫く撮影に行く予定が無いので、また更新まで間が空きそうです。すみません。
もしかしたら、ふらっとどこかへ出かけるかも知れませんが・・・。


琉璃渓 その1

2011年02月04日 | 滝・渓谷
京都府南丹市園部町大河内


今年最初の撮影は、琉璃渓に氷の写真を撮りに行こうと決めていた。
もはや1月の恒例行事のようなものだ。
年明け早々、琉璃渓に近い園部町の気象庁観測地点では、なんと氷点下10.8度を記録した。
すぐにでも出かけたくなったが、それなりに雪も降ったようだし、一日や二日、冷え込んだところで大して凍りはしないだろう。
毎日のように気象状況をチェックしつつ、1月半ばに道路の様子を見に行ったところ、琉璃渓への途中にある峠はまだ路面に雪が残っており、凍結しているようだったので引き返した。
行きたいけど行けそうにない、といった状態が続いて悶々としていたが、ご存知の通り、この1月は寒い日が続き、日を追うごとに凍結が進んでいっているのではないかと期待も膨らんだ。
そうこうしているうちに1月も終わった。
月末にも氷点下9.2度を記録。しかも、1月中、全ての日の最低気温が氷点下だった。
過去の記録を調べてみると、一ヶ月間、最低気温が全て氷点下というのは1981年以来のことだった。
こうなると、今度こそ氷瀑が見られるのではないかと期待せずにはいられない。

2月1日の朝に出発。
途中の天王付近ではかなりの雪が残っており、多いところでは20センチ近くもありそうだったが、幸い路面に雪は無い。
琉璃渓上流のダム湖付近にある駐車場に車を入れる。
湖面も大部分が凍っている。
慌しく遊歩道を駆け下り流れのそばへ。
が、今まで見たなかでは最も氷が多く見られるものの、水は普通に流れており、ちょっと拍子抜けする。
琉璃渓では下流に行くに従い凍結の度合いが高くなることは承知しているが、この時点で氷瀑の可能性は無いものと結論が出てしまった。









氷瀑の可能性が無いとはいえ、氷はいっぱいで楽しい。
遊歩道も雪が残っているところが多く、数年ぶりに雪の感触を楽しみながら歩く。






冬にしては水量も多く、勢いよく流れているが、流れ以外の水は全て凍りついて、まさに冬の渓谷といった風景が続く。
去年の冬と同じ場所や似たような写真が多いけれど、見比べるとやはり氷の量が違う。






やはり下流に進むにつれ氷は増える。
日照の関係なら部分的な違いになるだろうから、外気に触れることによって水温が下がるなどの理由で、下流の方が水が冷たいのかも知れない。






ただ、昨年に比べ凍結度が増して氷が大きくなったぶん、透明度や繊細な造形は少なくなった気がしないでもない。



やがて、流れがほぼ全面凍結している場所も見られるようになってきた。
流れの緩いところだけではあるけれど、岸から少しずつ少しずつ凍っていき、ゆっくりゆっくりと、その動きを止めていったのだから凄いことだと思う。



それにしても、滝が凍るにはどれほどの条件が必要なのだろうか。






ただ、滝が凍れば美しいだろうけれど、それはどちらかと言えば豪快な美しさだろうと思う。
この凍った水面の繊細な美しさを見られれば、それだけでも満足する。









更に凍った場所が増えてきて、川面が全面凍結しているのも珍しくなくなってきた。



淡い朝の光を浴びて、所々で虹色を帯びる。






肉眼では仄かな虹色なのだけど、PLフィルターで邪魔な反射光を除去してやると鮮やかな虹色が浮かび上がる。
普段、気づかないだけで、光はいつも美しい色を湛えているのだと思う。









白、青、黒だけで描かれる風景も、また別の美しさがある。



さて、ラストは昨冬来たときに最も美しいと思えた滝。
滝身と水の落下点以外は豪快に凍りつき、やはり繊細さが失われてしまった感はあるが、それでも冬だけが描く、凛として研ぎ澄まされたような、より冬らしい空間になっていた。



この滝はいい撮影ポジションが取りにくい。
で、足元を見れば滝壺は凍っているわけで・・・ちょっと片足を乗せてみる。
割れる気配もないので両足を。
平らで三脚も立てやすいし、滝も撮りやすい角度だし、これはいい、と楽しくなってきたところで、ミシミシと音がし出した。
氷の上げる悲鳴に慌てて岸へ向かおうとしたが、あっという間も無く足元の氷が丸く抜け落ちた。
岸から一歩踏み出しただけのところだったので、割れてもせいぜい足首くらいの深さだろうと思っていたのに、膝上まで水没してしまう。






膝上まで氷水に浸かれば、全身に寒さが広がるのではないかと不安になったが、どういうわけか、ちょっと足元が冷たいな、と思うくらいで平気である。
氷に魅せられたのか、ただ鈍感なだけなのか・・・。

今回は、ほぼ氷が主役ではあるけれど、ある程度は風景的要素がある写真を中心にして「その1」ということにした。
「その2」では、風景というよりは、氷そのもの、ということになるだろうか。
特に今回の琉璃渓で多く見られた、虹色の鮮やかで繊細な表情をたくさん撮ったので、似たり寄ったりではあるけれど、それらを集めて載せようと思う。


2万5千分1地形図 埴生
撮影日時 110201 8時20分~11時40分

地図
駐車場 あり