今年の6月に越前の神社を訪ねたが、その多くは既にネット上で紹介されている、規模や知名度のあるところだったし、私自身、ここでもそれらの神社を幾つか掲載した。
それでも地図だけを頼りに、情報の見つからない神社にも何社か立ち寄った。
だが、神社の風景の良さというものは、ある程度、歴史や由緒、信仰の篤さといったものに比例するようで、つまりは情報の有無ともそれなりに合致する傾向があるように思う。
もちろん観点や感性は人それぞれではあるので一概には言えないけれど、情報の無い場所では、残念ながら惹かれる風景に殆ど出逢えなかった。
この熊野神社も情報の無い場所の一つで、境内は明るく、集落とも接していて、普段、私が探し求めているような風景とは違う。
ただ、陰翳や奥行きといったものは無いけれど、何故か居心地が良かった。
単純な視覚情報とは別のところにある、理由の曖昧な居心地の良さというものを写真で表現することは、出来ない・・・だろうなぁ・・・。
集落の入り口に鳥居。それをくぐって集落内の道に入る。
神社前にも鳥居があると思ったが見当たらない。代わりに、門のような割拝殿のような建物がある。
境内は明るい。が、そのぶん背後の緑が瑞々しく思える。
それにしてもこの建物、かなり老朽化しているようで、心なしか右に傾いているような・・・。
でも、味わいのある建物だと思うので、何とか補修して残してもらいたいものだ。
この建物の代わりに鳥居だけがある風景を想像すると、何か大事なものが欠けてしまいそうな気がする。
理由の曖昧な居心地の良さ、と上に書いたけれど、子供が駆け回っているのが似合いそうな空間、と言い換えることが出来るかも知れない。
ここには、そういう明るさがある。
拝殿に向かって左側は、緑豊かで苔も生えている。
日差しで眩しい場所が多いからこそ、この木陰も居心地がいいのだと思える。
拝殿は真新しい。
が、軽い感じは無く、時が経てばしっくり溶け込みそうな建物だ。
本殿は古いままだが、拝殿とを結ぶ廊下が途切れていた。もしかしたら修繕されるのかも知れない。
2万5千分1地形図 武生
撮影日時 090618 12時~12時20分
駐車場 あり
地図