神社のある風景

山里の神社を中心に、歴史や建築等からの観点ではなく、風景という視点で巡ります。

荒木神社

2009年05月29日 | 京都府

京都府福知山市堀


まだ夜明けまで間がある時間帯に福知山に入る。
山間部を走っていると、暗闇を裂くヘッドライトの光に、突如、数十人の自衛隊員の姿が浮かび上がり肝を冷やした。
小雨の降る中、夜を徹して行軍しているのだろうか。
狭い横道に入ると、濡れた路面に蛙が跳ねている。避けるべく努力をするが、結果は定かでない。
直ぐに神社前に到着。空が白み始めるのを待つ。
雨は殆ど上がっているものの、雲とも霧ともつかぬものが、空よりも暗い山肌を、ぼんやりと白く覆っている。
左手には池があって、ウシガエルが賑やかだ。右手の林からはフクロウの声。
フクロウが鳴いているのだから、まだ朝とは言い難いけれど、朧に浮かぶ参道を歩き出すことにした。
参道途中では鹿が駆けて行き、林の奥で甲高い声を響かせる。
木々の葉からこぼれ落ちた雫も、あちこちでぽとぽとと音を立てる。
賑やかな静けさ。
この荒木神社には、そんな印象を持った。



参道入り口に鳥居は無く、石段を上って落葉樹の中を進むと、カーブの先に鳥居が見えてくる。
鳥居より先は針葉樹林になる。



鳥居を振り返る。



参道途中の杉林。



風があったので、どうしてもモミジの葉が写し止められない・・・。



やがて石灯籠が現れる。左奥には境内社も見えてくる。



掲載している写真は殆ど明るくなった帰り道に撮ったもので、往きはこの写真よりまだ暗いほどだった。



この石灯籠の横は空き地になっており、過去に何やら建物でもあった気配。
とても神聖な場所に感じられたが・・・。



蕨の群生する空き地に、朝の淡い光。



そこから直ぐで石段が現れ、高みには拝殿が見える。



石段の上から振り返る。



拝殿。



拝殿と本殿。


2万5千分1地形図 福知山西部
撮影日時 090508 4時50分~6時10分

駐車場 参道入り口付近が、やや広くなっている。
地図

 


丹生神社

2009年05月26日 | 奈良県

奈良県奈良市丹生町


奈良市街からは、東へ6キロほど離れた山間部にある。
辺りは茶畑が点在する穏やかな地形で、山間部と言っても明るい風景が広がる。
神社は集落の西外れの細い尾根上にあって、私がよく行く鬱蒼としたイメージの神社とは違うだろうと思ったが、とりあえず何となく、それでいて、何だか「行こう」という強い意志があったりもした。
時々、そんな風にして訪れる場所というのがあり、そういうのも何かの縁かな、と少し思ったり・・・。

丹生というからには水銀が思い浮かぶが、それとの関連については現地の案内板を見ても触れられていなかった。
興味深かったのは、この地区が明治に村を挙げて神道に改宗し、一切の仏事を廃した、ということで、事実、集落にお寺は無い。
境内には祖霊社があって、氏子はそこに祭られるようだが、お寺も無いわけだし、お墓も無いということだろうか?
特に仏教に関わっているつもりはなくとも、一切の仏事が無いとなると、何だかとても不思議な感じがする。



新緑に朱の鳥居が映える。
入り口は、意外と緑が深いな、という印象。



ところが参道は、きれいに塗り固められたコンクリート、手摺は金属製、しかも結構な登りで、潤い少なくちょっと味気ない。
見上げて撮るとコンクリートの階段が壁みたいになって無味乾燥気味な写真になりそうだったので、振り返って緑を多めに入れる。



その味気ない参道の先に見える二の鳥居。
高みに朱と緑が輝いて、ちょっと「ハッ」とさせる美しさだ。



赤、紅、朱・・・どの表現を使えばいいのか迷うけれど、晴れて明るい時に見れば単純に派手なだけに思える色が、陰を纏うと空恐ろしいような深みを帯びる。
古色蒼然とした色合いもいいが、こういう艶めいた色が持つ奥行きの、誘い込むような鼓動を、先人達はもっと鋭敏に感じ取っていたのではないか、なんてことを思ったりした。



右端にある黒い社殿が祖霊社。
曇天から薄日が射し、鳥居を浮かび上がらせる。



境内は狭く、左右の建物も現代的であるから、目は必然的に前にばかり向く。
いや、そうでなくても、朱と緑と石垣の色合いには目を奪われたかも知れない。



本殿には近付けなかったが、国指定の重文で、檜皮葺の春日造は気品がある。


2万5千分1地形図 柳生
撮影日時 090522 8時20分~8時50分

駐車場 なし。近くに僅かに道路が広くなっている場所もあるが、普通車なら車道にはみ出ると思われ・・・。
地図

 


熊野神社

2009年05月22日 | 京都府

京都府船井郡京丹波町上乙見


全国で最も多い神社は八幡神社だそうで、熊野神社は5番目になるらしい。
信仰別に形作られる景観、雰囲気の違いはあるかも知れないが、べつに意識はしていないし、神社名で行き先を決めることは殆ど無い。
だからただの偶然なのだが、このブログで掲載した神社を見てみると熊野神社が一番多く、今回でたぶん八社めとなる。

京都の丹波山地は同じような高さの山が連綿と続き、山容も概して平凡である。
そんな山並みの中で、丹波の盟主といわれるのが長老ヶ岳で、その山懐に抱かれるように、上乙見の集落がある。
長老ヶ岳へと突き上げる谷間の奥に位置するが、集落までは道が拡幅されたせいか、それほど山深いイメージは無い。
ただ、集落の公民館前には「熊に注意」の看板があった。
どういうわけか、地形図に神社記号が無いけれど、その上乙見の集落にあるのが熊野神社で、本来の山深い雰囲気を残していた。



小雨の降るなか参拝。そのせいか、すぐ背後は民家なのに、凄い山の気が立ち込めて深山の趣。



自然石を積み上げた石垣は、雨に濡れて何とも言えぬ艶を帯びる。



拝殿は比較的新しいようだ。



その左手には見事な杉の大木があり、更に左には清冽な谷川が流れている。



狛犬は、丹波周辺ではよく見かけるタイプのもの。



拝殿から本殿。



本殿前から振り返る。雨天ならではの陰翳が描かれる。



覆屋内の本殿。



境内右側の境内社。



境内の左を流れる谷川の奥に鳥居が見える。



写真ではちょっと判りにくいが、鳥居の背後は岩が聳えている。



右手には「不動の滝」が懸かっている。
滝としては特に美しいものではないが、左に岩、右に滝と、いかにも信仰の場らしい雰囲気がある。



何より、こういう清冽な流れがあるだけで嬉しい。





谷間の木々。



参拝を終えた帰り道、上和知川を渡る橋の上から。
驚くほど深い新緑に覆われていた。


2万5千分1地形図 和知
撮影日時 090508  9時50分~10時50分

駐車場 なし。公民館横に停められそうだが、私は道路の広くなっている場所に停めて5分ほど歩いた。
地図

 


青海神社

2009年05月19日 | 福井県

福井県大飯郡高浜町青


地形図を見ている段階では、この神社に対して何の関心も持たなかった。
この辺りなら、もう少し山際、あるいは海辺の方に目が行ってしまうから、特徴の無い平地の、しかも民家と思しき記号が点在する地域は、つい見過ごしてしまう。
ところが、付近の航空写真を見ているとき、意外なほど大きな緑の塊が目に付いた。
地形図では川の合流点辺りに小さな社域があるだけだろうと思えたのだが、国道27号線から川縁に至る広い範囲が社域であるらしく、思いのほか立派な神社であるようだった。
名前を調べてみると「青海神社」とある。いい名前だ。
この辺りは青の付く地名が多く、北西には秀麗な「青葉山」があるし、神社がある場所の地名はズバリ「青」である。最寄り駅は「青郷」で、これもいい駅名だ。
青海首と呼ばれる一族が、この地域の人々の祖先であることによるものだろうが、活動拠点としては新潟の方が有名らしく、そちらにも同名の青海神社があって祭神も同じである。



国道27号線に面して参道入り口がある。
交通量が多く、かなり騒がしいが、参道は大木が立ち並んでおり空気が一変する。



大木の根元ではシャガの花が盛り。



地図以外での下調べは殆どしないので、社号標を見て初めて式内社であることを知る。



拝殿は真新しい覆いで囲われていて、ちょっと風景に溶け込んでいないが、木々が豊かで気持ちの良い空間だ。



参道を振り返る。



平地の国道沿いなので、なにかと目障りなものも見えてしまうけれど、輝く緑を見ていると、ここが守られた空間であることを実感する。



夾雑物の見えない角度で。



本殿は完全に覆われており、中の様子は窺えない。



絵馬が丸い。
神社名は「あおうみ」であるが、絵馬には「せいかい」と書かれている。



本殿右手から奥へと続く道があって、鳥居の扁額は「八幡宮」となっている。



本殿のほぼ真後ろに境内社である八幡神社があるのだが、それより右手、社域の北東角近くに「仮本殿(遷座所)」と書かれた社殿がある。



更にその奥には簡素な鳥居が立っている。



社域の東を流れる川。
護岸されているものの、緑のトンネルで、水も綺麗だ。



こちらは鳥居を出て正面に見える川。
右から社域の東を流れる川が合流してきて、水質の違いが一目瞭然であるほど汚れているが、このままほぼ一直線に流れ、一キロ足らずで海へと注ぐ。
ハマダイコンの花が満開で、海が近いことを教えてくれる。


2万5千分1地形図 高浜
撮影日時 090424 12時~12時40分

駐車場 あり
地図
 


岩井稲荷神社

2009年05月15日 | 京都府

京都府福知山市長田


福知山の中心から南東に外れた場所にある。
市街地からは離れているとはいえ、辺りは集落というような環境ではなく住宅地の趣で、丘陵上には工業団地もある。
そういった環境であるから、目的の神社から神社へと移動する経路の途中にこの神社があるのは判っていたが、立ち寄るべきかどうか迷う。
何にせよ、通り道であるので、とりあえず神社の前を通って、どうすべきか決めることにした。

この日は平日で、しかも時刻は早朝の6時半。
平日の朝早くから住宅地をカメラを持って歩くのは気が引けるが、雨上がりのせいもあって、ちらっと見えた境内の雰囲気には惹かれるものがあった。
腰を落ち着けて撮影、という気分にはなれないので、手短に、かなり端折っての撮影で、ちょっと勿体なかった。



参道はもう少し手前から始まっており、写っている車道は参道を横切っているもの。
本来なら最初の鳥居から撮りたいところだが、車が停まっていて人の気配もするので遠慮しておく。



住宅地といっても開放的な場所ではなく、緑濃い空間だ。



もちろん、さして深い杜ではないけれど、雨上がりの朝の、淡い光が社殿を包み、密やかな空気を湛えていた。



社殿前のベンチは、いつもなら無粋に見えてしまいそうなのに、柔らかな光に浮かび上がっているせいか、何かが語らっているような、心地良い気配があるように思えた。



鳥居を振り返る。
さすがによく手入れされているようで、低い竹垣や植栽されたツツジなどの植木もあるが、違和感や硬さみたいなものはない。



拝殿前から振り返った様子。



横からも参道が伸びてきており、そこから拝殿と本殿覆屋を撮る。
このすぐ背後には民家が見えていて、写真で見るほど落ち着いた環境ではなく・・・。
でも、地元の人には落ち着ける素敵な環境であろう。


2万5千分1地形図 福知山東部
撮影日時 090508 6時半~6時50分

駐車場 参道横に広場がある。
地図

 


筱見四十八滝

2009年05月12日 | 滝・渓谷

兵庫県篠山市上筱見


篠山市の北東部、以前に紹介したことのある櫛石窓神社から比較的近い場所にある。
縮尺が小さい道路地図などにも名前が記載されていて、四十八滝という名前からもどんな場所かと期待させられるが、縮尺の大きい地形図を見れば、その規模のほどはすぐに察せられ、ガッカリとさせられるところだ。
勾配は急なので滝が連続しているであろうことは間違いなさそうだが、とにかく集水面積が狭く、水量の乏しさは容易に想像がつく。
また、水量が乏しくて急峻ということは、さほど侵食が進んでおらず、滝壺や淵が発達していないということでもあるので、実際の水質の良し悪しはともかく、水の美しさというものが、あまり味わえないのでは、という予想も立つ。
更に、距離が短く、とても48もの滝があるとは思えない。
もっとも、各地に四十八滝と呼ばれる場所はあっても、それは滝の実数を表しているわけではないけれど、ここの場合、まともに滝と呼べる規模のものは10前後、最大のもので落差は20~30メートル、といったところか。という情報が地形図から読み取れる。
調べてみると、滝の数は8。
始終(しじゅう)八つの滝が流れているので四十八滝と呼ばれていることが判り、なんだかちょっと小馬鹿にされたような気分になる。
で、そういったことを知った上で、何年か前に、ここを訪ねてみたことがある。
三つほどの滝を見ただけで引き返したのだが、そのときの感想は「つまらない」だった。
なのに今回、改めて訪れてみようと思ったのは、以前とは自分の視点が変わっているかも知れず、気付けなかったものが見えるのでは、と考えたからだ。
滝や渓谷としての美しさを期待すると肩透かしを食らう。けれど、これはこれで、なかなか面白い場所だ、というのが今回の感想である。


車道の終点付近がキャンプ場になっていて駐車スペースもある。
そこから流れに沿った山道を歩くと、まず最初に手洗い滝が現れるのだが、いい表情が見出せなかったので割愛。



手洗い滝を過ぎると、すぐに岩が目立つようになってくる。左右はそれほどでもないが、前方の岩壁は鋭く立ち、かつて修験道の修行場であったことも頷ける雰囲気になる。



前方に見えていた岸壁の下まで来ると、左手に滝が落ちているのが見える。
上段が「肩ヶ滝」で下段が「弁天滝」。これで二つの滝と数えるのは「ずるい・・・」と思ってしまう。
手前には弁天様が祀られている。



道は流れから離れて肩ヶ滝、弁天滝を高巻き、再び流れに近づいてきたところで「長滝」へと下りる道が分かれる。
長滝は筱見四十八滝で最も見映えがする滝で、雨後の増水時なら迫力がありそうだ。



長滝の手前が、ちょっと光線状態が良かったので撮ってみる。
何でもない場所だけれど、光の加減が良いと、それなりに雰囲気が出る(ような気がする)。



次のシャレ滝は溝状の滝だ。
荒々しい岩肌で、緑も少なく、美しいという評価は出来ないけれど───



近寄って見れば、岩の表情も悪くないかな、と思う。



岩と水。



水の表情も、少しは出ただろうか。



シャレ滝からはかなり高巻いて、途中に鎖場もあったりするが、無くても登れる程度の険しさ。しかし、勾配はかなり急で、体力の無い私は息が切れる。
やがて流れに降り立つと、正面に「大滝」が見えてくる。
この谷では珍しく、苔生していて優美な姿に見える。



が、ここで印象的なのは左岸の岩だろう。



何となく、大地の力を感じるような荒々しさというか、迫力を感じる。



この谷の魅力は、こういった岩の表情かも知れない。



大滝の横の急斜面を上りきると、ようやく最後の滝。
ここまでに名前を挙げた滝は六つなので、八つあるはずにのにこれが最後だとおかしいじゃないか、ということになるのだが、ここは上段が一の滝、下段が二の滝だそうで・・・。



まあ滝の数え方はともかく、まるで穿ったかのような岩が見事だ。



ここも、岩の形状が魅力の滝と言えるだろう。

さて、ここで引き返すことにするが、何となく岩の表情に惹かれるものがあったので、帰りは岩を中心に撮りながら下ることにした。



これは岩だけじゃなく、木の逞しさや生命力を感じる。



ここは光の加減のせいか、岩が呼吸しているかのような、ちょっと神聖なものを感じた。



雑然として剥き出し感のある岩が多い。



けれど、それが無機質な鈍い光を反射して、雑然としているのに精緻な気配を纏っているというか・・・。



木も、岩のようであり・・・。



羊歯は、岩の冷たさを強調する。



大滝からシャレ滝の間の高巻き道を使わずに、谷通しに下ってみると、4メートルほどの滝の上に出た。
道は無いが、どうせなら、これに名前を付けたほうが良いのでは、という気がする。
この滝は下りられなかったので、元の道に戻り、筱見四十八滝の探訪を終了する。

今回は、岩というのも被写体として面白いなぁ、と感じることが出来たのだが、雨後の増水時に来れば、また違った魅力に逢えるかも知れない。


2万5千分1地形図 村雲
撮影日時 090331 6時20分~9時20分

駐車場 あり
地図

 


雑多な写真9

2009年05月08日 | その他

なんだか書くことが思い浮かばないので・・・。
私はゴールデンウィークとは無関係なので、渋滞のニュースなんかを見て、溜飲が下が───いや、羨ましく思ったりしつつ、雑多な写真9です。



兵庫県姫路市山田町牧野 大歳神社
参道はアスファルト、杜も決して豊かではないけれど、木々に挟まれた道の先に社殿、という風景が好きなので・・・。







兵庫県神崎郡市川町上牛尾 岩戸神社
神社横を清流が流れ、社殿背後には岩壁が立ち、敷地内には山野草が植えられ、見所の多い場所である。
ただ、私は植栽された花には惹かれないので、手水鉢から花茎を伸ばすチャルメルソウや、参道に勝手に咲いているムラサキケマンなどの方が美しいと思った。







大阪府豊能郡能勢町宿野
神社ではないけれど、新緑が綺麗だったので・・・。





滋賀県甲賀市信楽町神山 神山神社
以前に紹介した鶏鳴ノ滝の近く。信楽らしい大きな陶製の狛犬がいる。





滋賀県甲賀市信楽町柞原 八阪神社
民家近くの明るい神社だが、参道はケヤキの大木などが立ち並び、緑が爽やかだ。





兵庫県篠山市今田町上立杭 住吉神社
付近は明るい山里であるが、思いがけず深い参道だった。社殿も特徴的。
 


宇気比神社

2009年05月05日 | 三重県

三重県松阪市嬉野上小川町


伊勢湾に注ぐ雲出川の、その大きな支流、中村川を源流近くまで遡ると上小川町の集落に着く。
中村川最奥の集落で、どんどん山奥に入っていく気配だが、集落に辿り着けば、意外と明るく開けた場所である。
標高は約350mで、川を遡って標高が高くなったぶん周りの山が低くなり、深山の雰囲気は無い。
宇気比神社は上小川町の集落にあって、式内社である小川神社の論社となっている小さな神社だ。
松阪市のオフィシャルサイトにも小さく紹介されており、「そこは神がすむ、深山幽谷の世界」などと記述されているが、ちょっと大袈裟な表現に思える。
地理的条件としても「こんなところに式内社?」と思わないでもないけれど、ここに古くからある神社なのは確かなようで、川のせせらぎが届く、落ち着いた場所である。



道路に面して鳥居、すぐ奥に中村川を渡る橋がかかっている。



橋の先には木製の二の鳥居。



参道は左に折れ、左手に杉の大木を見ながら緩やかに登っていく。
雰囲気の良いところなので、参道先に見える現代風の建物がちょっと残念。



川面はほとんど見えないけれど、その水音が聞こえるだけで緑も空気も潤うような気がする。



拝殿。右手にこの神社最大の杉が聳える。
時間は昼過ぎだったが、遠雷が響き、夕暮れ時のような雰囲気。



凛々しい狛犬が、空気を引き締める。



本殿は流れ造で、神明造の多いこの辺りでは珍しい。


2万5千分1地形図 伊勢奥津
撮影日時 080813 12時20分~12時40分

駐車場 神社前から少し進むと道路がかなり広くなっている。
地図 神社の表示位置がかなり上流側にずれている。川を挟んでお寺の向かい辺りが正しい位置。地図を拡大すると位置表示は正しくなる。

 


佐伎治神社

2009年05月01日 | 福井県

福井県大飯郡高浜町宮崎


JR小浜線若狭高浜駅から直線距離で300メートルほどのところにある。
高浜町の中心に近く、民家の途切れる山際にあるとはいえ町の気配が漂う場所だ。地形図にもその名は記載されており、式内社でもある。
高浜には馴染みがあって、何度もこの神社の近くを通っているのだが、山里の神社が好きな私は、いつも立ち寄らずにいた。
今回もそのつもりは無かったのに、何故か衝動的に車を駐車場に入れた。
砂利敷きの広い境内は陽射しに充ちていて、ちょっと身の置き場に困るような明るさであったが、周囲は思いのほか緑が豊かで、午後の長閑な雰囲気が漂っていた。
驚いたのは狛犬の多さで、社殿内に置かれているものと、境内社の稲荷神社にある狛狐も合わせると12対にもなる。新旧バラエティに富んでいて、それらの表情を窺うだけでも楽しい神社であった。
何より、傷みの激しいものも、廃棄されずにちゃんと現役でいることが嬉しい。



きっちりと整えられた空間は、いつも訪れている神社とは雰囲気も違い、ちょっと戸惑う。



照り返しが厳しいが、社殿の辺りには静けさのようなものも感じる。新緑も目に鮮やかだ。



拝殿が、アルミサッシのガラスで覆われているのが少し残念。
若狭地方では、何社かこういう神社を見かけた。





二の鳥居脇の狛犬。胸を反らした厳めしいタイプ。





階段を上りきった両脇には二対の狛犬。
手前のものは風化が激しく、その表情は窺えない。





本殿手前の狛犬は出雲タイプでダイナミックな造形。
この時点で、ここの狛犬の数は凄いのでは? と思えてきて、目は周囲の狛犬を追ってしまい、本殿を撮影し忘れました・・・。



本殿から左へ小道が社務所横まで続いている。途中、いくつか境内社があって、これは本殿の横にある日吉神社。この狛犬は実際の犬に近い体形をしている。
覆屋の中にも小さな狛犬がいるが、写真は割愛。





更にその手前にも、やや個性的な狛犬が一対。



その隣、御霊神社の狛犬は、現代風のものでちょっと味気ない。



のんびりと散策気分で小道を進む。
ツワブキの葉が多く、イカリソウやホウチャクソウなども咲いていた。



少し離れて廣峯神社。ここも覆屋のなかに小さな狛犬。





石灯籠のそばにも、あどけない表情の狛犬が一対。



反対側、本殿右手にある稲荷神社。



社殿背後の大木は、なかなか見事。



根元の方が細く、しかもこちらに傾いているので、迫ってくるような迫力がある。





狛狐の下に目を向けると、もはや原型を留めないほど風化した狛犬がいた。



本殿右手、稲荷神社より更に先には、妙見宮の鳥居がある。
かなり登らないといけないようなので参拝は断念し、鳥居をくぐったところから本殿方向を。



御神木。右奥に見えているのは妙見宮の鳥居。


2万5千分1地形図 高浜
撮影日時 090424 12時50分~13時半

駐車場 あり
地図