神社のある風景

山里の神社を中心に、歴史や建築等からの観点ではなく、風景という視点で巡ります。

舟城神社

2018年11月29日 | 兵庫県

兵庫県丹波市春日町長王


船城神社を後にして、国道を渡り、田園地帯の道を行く。
先程までの国道歩きと違って車はほぼ走っておらず快適だが、平凡な風景で、やや退屈な道のりでもある。
空も曇っており、俄雨でも来そうな天気だ。

これから訪ねる舟城神社を初めて知ったのは、もう随分と前のことになる。
普段からよく見ている国土地理院の地形図に名称が記載されているし、車で近くも何度か通った。
それでも今まで訪れなかったのは、グーグルマップの航空写真で見た境内の様子が、かなり明るく開けていたからだ。
鬱蒼とした緑に覆われた、小さな社に惹かれる私としては、あまり立ち寄る気になれなかったのである。
今回、今更ながら訪ねてみようと思ったのは、これくらいの規模の神社の方が、モミジなど、紅葉する木が植えられている可能性が高いと考えたからで、例によってネットで下調べもせず、予備知識は地図情報だけだったりする。



神社前に到着。
よく整備された参道で、右手からは車道も社殿のある方へと通じている。



参道途中は緑に覆われているが、あまり惹かれない。



その左手に境内社。
ここは、ホッと落ち着けるところだ。



やがて石垣の間から社殿が見えてくる。



前回の船城神社もそうだったが、ここの石垣も立派である。
が、何より社殿の大きさに少し驚く。



全容を見れば、息をのむ。



豪壮、とでも言うべきか、ちょっと予想外の立派さである。
最初は拝殿かと思ったが、これが本殿であるようだ。



狛犬さんと狛牛さん。
菅原道真が祀られているのかと思ってしまうが、祭神は素佐之男命(この漢字表記は珍しいが、神社HPによる)であり、牛頭天王と習合して牛馬の守り神として信仰が広まったらしい。
今は静かな境内だが、農耕に牛馬が必要だった時代の例祭日などは相当に賑わったようで、その威容からも当時の信仰の篤さが窺える。
静かな境内、と書いたけれど、実は犬がやたらと吠え立てる。恐らく神社で飼われている犬で、宮司さんが出てこられるかと思ったが、誰も出てこない。



犬が気になりつつも、本殿をじっくり撮ろうと思う。



すごいなぁ、と単純に圧倒される。



同時に美しいなぁ、とも思う。
圧倒されると、語彙は貧困になってしまう。



言葉など要らないかも知れない。
かと言って私の写真が伝えてくれるかは心許ない。









この本殿が見られただけで、来て良かったと思えた。



本殿越しに社務所。



と、見慣れない構造物が目に入る。



社務所と本殿を繋ぐ渡り廊下のようなもので面白い。



ここからは紅葉と本殿をセットで、本気モードで撮ろうと思う。
いや、常に本気で撮ろうとは思っているのだが、なかなかそうはいかなくて、ついつい手を抜くことも多い。
最初の鳥居の写真などは手抜きモードで、Mサイズ手持ち撮影。
三脚を使ってMサイズが通常モードで、本気モードはさらにレリーズを使い、Lサイズ撮影である。












似たような構図ばかりで、これが本気かと言われたら困ってしまうのだが、ある程度の美しさは伝わるのでは…と思う。



本殿左側の境内社。
ここからは通常モードです…。



紅葉している木はたった数本でも、一気に魅力的な秋の表情を見せてくれる。



ワンちゃんの死角に入ると吠えなくなるので、静かな秋を満喫する。



本殿左後ろから続く道を進む。



ここは最も緑濃く、苔生している。



最奥にある境内社は落ち着いた佇まい。



常緑樹が多い中にある紅葉は、サツキかヤマツツジのようにも見える。



道は本殿右後ろに出てくる。
これは本殿背後にある牛頭天王社。



覗き込むと、一瞬、虫のように見えてギョッとしたが、よく見れば可愛らしい備前焼の牛さんだった。


撮影日時 181115 10時50分~12時10分
地図


船城神社

2018年11月25日 | 兵庫県

兵庫県丹波市春日町歌道谷


いそ部神社から国道に出て、北に向かって進む。
車はそれなりに通るし、歩道は狭いしで、あまり楽しくはない道のりだ。
歌道谷という集落に着く。「うとうだに」と読むらしく、いい地名だな、と思う。
船城神社は、この集落の奥、いちばん高いところにある。
因みに、この神社の北西1.5キロほどのところに同名の舟城神社があって、そちらの方が規模も大きく、大抵の地図に名称が記載されている。
字は「船」と「舟」の違いはあるが、何か繋がりがあるのだろうか、と気になっていた。
例えば、式内社とその論社のような関係かとも思ったが、祭神は違うし、直接的な関係は無いようだ。
もしかして、地図上の地名としては残っていないが、かつてのこの辺りの地名が船城なのでは、と思って調べてみると、その通りであった。
今は丹波市だが、以前は春日町で、さらにその昔を辿ると、この辺りは船城村であったらしい。


集落内で犬に吠え立てられ、逃げるように急ぎ足で神社前に辿り着く。



紅葉の色付きは微妙で、事前にグーグルマップの航空写真で見たほど緑濃くもないのは残念だが、なかなか雰囲気はいい。



境内は桜の木が多い。
桜は葉が散るのが早いので、晩秋の気配である。
神社の規模にしては立派な石段だ。



石垣も立派で、築地塀も綺麗だ。



何となく、お寺のような雰囲気でもある。



石段も、石垣も、ひとつひとつ積み上げられたのだろう。



拝殿と書かれた建物は、本殿覆屋でもある。



ここの建物も、風化の過程にある木の色合いが美しい。



掲載した写真では、あまり判らないと思うが、是非とも桜の咲く季節に再訪してみたいと思える場所であった。
次は、同名の舟城神社に向かうことにする。


撮影日時 181115 10時~10時30分  
地図


いそ部神社

2018年11月20日 | 兵庫県

兵庫県丹波市氷上町石生


久しぶりに電車に乗って出かけようと思う。
特に行きたい決まった場所が思い当たらないので、比較的ラッシュの混雑がマシな福知山線の電車に乗ることにする。
が、福知山行きの電車は四両編成で来た。大阪方面へのラッシュと逆方向とはいえ、さすがに四両では座れる筈もなく、篠山口まで立ちんぼだった。
石生駅で下車。この駅で降りるのは初めてだが、車では近くを何度も通っているので、知らない土地に降り立つ高揚感は無い。
まずは、いそ部神社に向かう。
いそ部の「いそ」は、山偏に石という漢字であり、パソコンでの表記は可能だが、スマホだと文字化けしたので平仮名にしておく。
水分れ公園への看板が出ているので、それに従って進む。
いそ部神社は、その公園の横にある。
水分れというのは、由良川水系と加古川水系との分水界があることに因む。
駅から15分ほどで神社前に到着。




もう少し緑豊かな公園に隣接していると思っていたのだが、意外と辺りは開けていて、民家もすぐ近くにある。
ウォーキングなどをされているお年寄りも何人か通り、朝の挨拶を交わす。



電車の窓からは冴えない紅葉が見えていたので、周辺の神社も似たようなものだろうと思えた。
駅前で水分れ公園の看板を見て、公園ならモミジも多そうだし少しは期待できるかもと、急遽、立ち寄ることにしたのだが、神社も公園も、特に目を引くような紅葉は見当たらずにがっかりする。



それでもまあ、秋らしい色を添えてくれる。
それにしても、御神木であっても檜の皮は剥かれるのだなぁと、ちょっと感心してしまった。
どこかで、檜皮葺として、美しい姿になっているのだろう。



わりと開放的な神社ではあるが、二の鳥居前から拝殿を見れば、やはり神域らしい空気。



歳月を経た木の色合いと陰翳に惹かれる。





本殿も美しい。



拝殿や本殿も良かったが、本殿右側の空間に一番惹かれた。
境内社と檜が、何とも言えない表情と空気感を醸し出している。
久しぶりの一人での神社巡り一社目は、なかなか気持ちの良いものだった。


撮影日時 181115 9時~9時半
地図 この規模の神社には珍しく、何故か地形図には神社名どころか神社記号すら記載が無い。