兵庫県丹波市春日町長王
船城神社を後にして、国道を渡り、田園地帯の道を行く。
先程までの国道歩きと違って車はほぼ走っておらず快適だが、平凡な風景で、やや退屈な道のりでもある。
空も曇っており、俄雨でも来そうな天気だ。
これから訪ねる舟城神社を初めて知ったのは、もう随分と前のことになる。
普段からよく見ている国土地理院の地形図に名称が記載されているし、車で近くも何度か通った。
それでも今まで訪れなかったのは、グーグルマップの航空写真で見た境内の様子が、かなり明るく開けていたからだ。
鬱蒼とした緑に覆われた、小さな社に惹かれる私としては、あまり立ち寄る気になれなかったのである。
今回、今更ながら訪ねてみようと思ったのは、これくらいの規模の神社の方が、モミジなど、紅葉する木が植えられている可能性が高いと考えたからで、例によってネットで下調べもせず、予備知識は地図情報だけだったりする。
神社前に到着。
よく整備された参道で、右手からは車道も社殿のある方へと通じている。
参道途中は緑に覆われているが、あまり惹かれない。
その左手に境内社。
ここは、ホッと落ち着けるところだ。
やがて石垣の間から社殿が見えてくる。
前回の船城神社もそうだったが、ここの石垣も立派である。
が、何より社殿の大きさに少し驚く。
全容を見れば、息をのむ。
豪壮、とでも言うべきか、ちょっと予想外の立派さである。
最初は拝殿かと思ったが、これが本殿であるようだ。
狛犬さんと狛牛さん。
菅原道真が祀られているのかと思ってしまうが、祭神は素佐之男命(この漢字表記は珍しいが、神社HPによる)であり、牛頭天王と習合して牛馬の守り神として信仰が広まったらしい。
今は静かな境内だが、農耕に牛馬が必要だった時代の例祭日などは相当に賑わったようで、その威容からも当時の信仰の篤さが窺える。
静かな境内、と書いたけれど、実は犬がやたらと吠え立てる。恐らく神社で飼われている犬で、宮司さんが出てこられるかと思ったが、誰も出てこない。
犬が気になりつつも、本殿をじっくり撮ろうと思う。
すごいなぁ、と単純に圧倒される。
同時に美しいなぁ、とも思う。
圧倒されると、語彙は貧困になってしまう。
言葉など要らないかも知れない。
かと言って私の写真が伝えてくれるかは心許ない。
この本殿が見られただけで、来て良かったと思えた。
本殿越しに社務所。
と、見慣れない構造物が目に入る。
社務所と本殿を繋ぐ渡り廊下のようなもので面白い。
ここからは紅葉と本殿をセットで、本気モードで撮ろうと思う。
いや、常に本気で撮ろうとは思っているのだが、なかなかそうはいかなくて、ついつい手を抜くことも多い。
最初の鳥居の写真などは手抜きモードで、Mサイズ手持ち撮影。
三脚を使ってMサイズが通常モードで、本気モードはさらにレリーズを使い、Lサイズ撮影である。
似たような構図ばかりで、これが本気かと言われたら困ってしまうのだが、ある程度の美しさは伝わるのでは…と思う。
本殿左側の境内社。
ここからは通常モードです…。
紅葉している木はたった数本でも、一気に魅力的な秋の表情を見せてくれる。
ワンちゃんの死角に入ると吠えなくなるので、静かな秋を満喫する。
本殿左後ろから続く道を進む。
ここは最も緑濃く、苔生している。
最奥にある境内社は落ち着いた佇まい。
常緑樹が多い中にある紅葉は、サツキかヤマツツジのようにも見える。
道は本殿右後ろに出てくる。
これは本殿背後にある牛頭天王社。
覗き込むと、一瞬、虫のように見えてギョッとしたが、よく見れば可愛らしい備前焼の牛さんだった。
撮影日時 181115 10時50分~12時10分
地図