神社のある風景

山里の神社を中心に、歴史や建築等からの観点ではなく、風景という視点で巡ります。

佐波加刀神社

2009年10月28日 | 滋賀県

滋賀県伊香郡木之本町川合


事前にネットで調べると、「駐車場あり」となっていたので、集落内の狭い道に入り、神社前まで行く。
鳥居の横に軽自動車が停められていたが、駐車場と言えるものではなく、しかもその一台で精一杯だ。
どこか他の場所にあるのだろうが、探すのも大変そうなので、集落の南の外れの広いところに停めておく。
距離にして800mほど、10分弱の道のりだが、適当な駐車場所が1キロ以内に無い場合は、私は大抵参拝を諦めるという根性なしです。
鳥居から先は、けっこう長い参道であるが、これも事前に調べたときの印象とは違い、案外と深さを感じない。参道途中からも民家などが見え、緑に奥行きが無いからのようだ。
左手に社務所らしき建物があり、そこに駐車出来そうなスペースがあったが、どの道を通ってくるのか判らないし、段差や勾配がきつく、大き目の車だと駐車時に底を擦りそうな場所でもある。
更に、境内は思っていたよりも狭く、彫刻が美しいであろうと思っていた本殿は、新しく出来た覆屋の中に納められてしまい全く見ることが出来ず・・・。
とまあ、不平のようなことばかり書いてしまったけれど、初めて行く場所、特に集落の奥に神社があるような場合、何かと苦労したり、思っていたのと違う状況に出会うのはよくあることで、それでも尚、あ、いいな、と思えるような風景や雰囲気に出会えるから楽しい。



これは二の鳥居。
ここからは緑も深くなって雰囲気も良い。



拝殿よりも、その左奥にある巨木に目が行く。
なかなかの存在感。



拝殿。
参道はともかく、境内は奥行きよりも横の広がりがある。



瑞垣は修繕され、覆屋は新築されたようだ。
本殿を見ることが出来ず残念。







本殿から目を左へ転じると、権現の杉と呼ばれる巨木が聳えている。
その右に八幡宮、左に薬師堂があって、何とも言えない味わい深い雰囲気がある。
薬師堂の更に左奥には、子安地蔵が見えている。



薬師堂の左手から本殿方向。



子安地蔵の前から振り返る。


2万5千分1地形図 木之本
撮影日時 090828 8時10分~8時40分

駐車場 社務所(?)前(軽自動車など、オーバーハングの短い車か車高の高い車以外は厳しいかも)。
地図

 


琉璃渓

2009年10月24日 | 滝・渓谷

京都府南丹市園部町大河内


ここに琉璃渓を掲載するのは三度目だ。
本来なら「その3」とすべきなのだが、たぶん今後も何度か取り上げるだろうし、べつに続き物というわけでもなく、撮り直しというつもりでもないので、ただ単に琉璃渓としておく。撮影日時もバラバラなので割愛。同じ場所の写真も多いので、各写真のコメントも一部を除き省略。
過去に「水が汚い」と文句を書いておきながら、こうして何度も取り上げるのは、ここが行き易い場所にあるからで、遠出をする気力や時間が無い時、何となく撮りたいものや場所が見つからない時、ふらりとここに立ち寄ったりする。
もちろん行き易いだけなら他にもあるわけで、ここが色んな表情を持っており、自分の目を養う上でも役立つように思うし、何より撮っていて楽しさが感じられる場所でもあるからだ。
ただ、条件が悪いときに出遭うと、水の汚れが目立ったり、山が浅いので陽射しの影響を強く受けて写真にならなかったりするのだけど・・・。
何度も書くけれど、水の汚れだけは改善してほしいと願ってやまない。



まだ太陽が顔を出したばかりで、柔らかな光が流れに散りばめられる。









下の写真もそうだが、水面に映った光跡が、まるで殴り書きしたようで楽しい。右には早春の木立が映っている。






苔だけをじっくり撮って歩くのも面白そうだ。いつか挑戦してみたい。






雨上がりの朝の散策路。





















夏の小雨降る早朝。お気に入り。












雨後でかなり増水している。
水の汚れが目立たなくなるので、琉璃渓の撮影は雨後が良い。






夏の渓谷らしい緑いっぱいの谷間。






支流の小さな流れ。
流れに沿ったところにだけ羊歯が生え、緑の縁取りが面白い。


2万5千分1地形図 埴生

駐車場 あり
地図

 


戸神社

2009年10月20日 | 兵庫県

兵庫県豊岡市日高町十戸


ここに兵庫県の神社を掲載するのは、実に8ヶ月ぶりのことだ。
地元でもあるのに何でこんなに期間が開いたのか自分でも判らないが、とにかく最近は兵庫県の神社に行くことが殆ど無かった。
戸神社を訪れるきっかけは、こことリンクして下さっている方のブログに掲載されていたからで、とにかく一目見て、そこに湛えられていた雰囲気に惹かれてしまったのである。
神社そのものは、式内社であるものの小さい。
ただ、長い歳月の積み重ねによるものか、あるいは守られてきた場所という信仰心の賜物か、規模に関係なく、そこに漂う空気には深みがある。
深夜に出発して2時間半の距離。事情があって、この1社しか参拝できなかったが、それでも行く価値は充分にあった。



国道沿いに鳥居が立つ。
参道奥に見える門のような建物と、その背後に聳える木を見ると、深い空間が思われて気が逸る。



参道は短いものだが、程よく手入れされていて気持ちよい。
門のような社務所らしき建物の向こう側が見えて、ドキッとするところでもある。



一の鳥居、そしてこの建物、その先には二の鳥居、更に奥には門のように聳える大きな二本のケヤキと、もう何重にも張られた結界で守られているかのような、そんな空間だ。



背後の国道にはそれなりに車も通るが、もはや気にならない。



鳥居の遥か頭上で、木々達は語らっているかのようだ。



二の鳥居から拝殿。



この二本のケヤキの存在感は見事。それでいて、あくまで静謐な佇まい。



右手には境内社。その向かい、左手にも参道が伸びていて境内社がある。



拝殿の奥には本殿覆屋が見えるが、白いコンクリート造りで、これだけはちょっと違和感があった。



拝殿と狛犬。



参道や拝殿脇にはシュウカイドウの花がたくさん咲いていた。
マクロレンズは持っていないし、そもそもこういった野生種でないものは好きではないので撮るつもりもなかったのだが、花を撮るのに理想的な光線状態で、「撮って」と言われてるような気がしてきたので・・・。



外はもう完全に朝の気配だ。
目の前の国道を、慌しく車が行き交う。


2万5千分1地形図 栃本
撮影日時 090925 5時40分~6時50分

駐車場 鳥居右手にスペースあり。
地図

 


大正稲荷社

2009年10月16日 | 京都府
京都府船井郡京丹波町長瀬


ネットでこの神社の写真を見たときに、落葉樹の鮮やかな緑が印象に残った。
新緑の頃に立ち寄ってみて、実際にその緑の鮮やかさに接した。
参道は、杉や桧と落葉樹が混生しているのだが、ちょうど落葉樹のある辺りで杉や桧が疎らになっており、うまい具合に光を浴びて緑が輝くようだ。
参拝は小雨の降る中でのことだったが、それでも落葉樹の緑は鮮やかに浮かび上がっていた。
神社自体はとても小さく、写真も少ししか撮らなかったので、ここも「雑多な写真」に掲載するつもりだったが、こういう小さな神社の、ちょっと惹かれる風景というものこそ、私が神社好きになる原点みたいなものなので、やっぱりきちんと載せておこうと思う。
写真枚数が少なく、どれも似たような写真なので、ちょっと手抜きに見えるかも知れませんが・・・。



車道から、山の斜面に登っていく簡素な階段がある。
鳥居も無く、あまり参道らしく見えないので、事前に地図で神社の位置を知っていないと、この奥に神社があるとは思わないだろう。
階段を登りきると道は平坦になり、その奥に鳥居が見えてくる。
距離的にも地形的にも、地形図上の神社の位置はちょっと標高が高すぎると思う。



小雨降る生憎の空模様であっても、光というのは満ちているのだな、と落葉樹の葉は教えてくれる。



右手にある石碑は溜池竣工を記念したものらしく、神社とは直接の関係は無いと思われるが、やはり地域の振興は神社と共にある、ということだろうか。



覆屋の中には簡素な本殿、左右には末社もある。


2万5千分1地形図 和知
撮影日時 090508 9時~9時半

駐車場 神社入り口から、府道を少し西に進んだ辺りで道が広くなっている。
地図

 

飛鳥神社

2009年10月13日 | 三重県
三重県尾鷲市曽根町


海辺の神社へは、あまり行くことがない。
海に近い神社なら過去にも取り上げたことがあるが、ここはまさに海縁である。
杜には巨木が多く、港へと張り出した枝の葉が、時には海水に浸かっていたりするくらいで、海と木の両方を堪能できる場所だ。
これだけ海に近くて、よくぞここまで杜が豊かになったものだと思わせられるし、木々の根が海水の影響を受けないのかと心配になってくる。

ここは数年前に、歳の離れた当時高校生の従兄弟と訪れたことがある。
大人と対等に会話の出来る子ではあったが、神社に興味を持っているわけではないし、ただ神社に連れて行っただけでは退屈するだろうと思い、巨木のある神社を選んでいくつか周った。
そのうちの一つがここで、その時は木々を中心に見て周ったのだが、長らく海の写真を撮っていないので、今回は海を目的に訪ねてみた。
そのため、ちょっと神社の扱いが小さいです。


夜明け前に神社前に到着。ちょっと早すぎたので、朝焼けの海を見渡せそうな場所を探すことにした。



神社から、国道を進んでトンネルを二つ抜けた辺りで撮影。
正直、朝焼けや夕焼けの写真は好きではない。
例えば、参道で写真を撮る場合、入り口方向の鳥居を撮る人もいれば、奥の拝殿を撮る人、横に聳える木を撮る人、足許の草花を撮る人と、それぞれの人が、それぞれの好みや感性で写真を撮ると思うが、朝焼けや夕焼けとなると、ほぼ全ての人が同じ方向を向き、似たような構図で写真を撮るので、面白味が無いと感じる。
ただ、実際に綺麗な空を見ていると、やっぱり心奪われて、夢中になって撮ってしまうのだけど・・・。
本当は日の出までいたかったのだが、太陽が出てしまうと神社の写真が撮りにくいので戻ることにする。





神社横の漁港。
一枚目は、私の写真には珍しく人物が写っている。



背後は民家、鳥居奥には巨木、右手には輝く海が見える。



参道と社殿は、社域の海側に偏っている。この神社最大の木は、海とは反対側にあるので、木々をもっと見たい人は、社域をぐるりと一周した方が良い。
私は今回は割愛。



鳥居の右手の空間には、ベンチなどがあって憩える場所。
陽射しの強い日中など、大木の陰から海を眺めるのは気持ち良さそうではあるが、けっこう蚊が多い。



右はスギ、左はクスノキの巨木。



参道の左手に石垣が現れ、門をくぐる。



この門をくぐったところで、異様な姿のクスノキが出迎えてくれる。
何となく動物を思わせ、人が見ていなければ動き出しそうな印象。







何となく、語りかければ返事をしてくれそうな気もする。



拝殿は簡素だ。



本殿。


さて、あとは朝の港の風景を撮ることにする。


左手が社叢で、社務所の裏側が見えている。





船のエンジン音があちこちで響き、朝の活気が伝わってくる。



やっと右手から太陽が顔を出した。
深い湾内にあるので、波は無く海面は穏やか。
海中を覗き込むと、ウニやらコバルトブルーの魚やらがいて、それだけで楽しい。



朝陽を浴びる漁港の家々。


2万5千分1地形図 賀田
撮影日時 090910 5時~6時20分

駐車場 神社前の駐車場は契約駐車場のようだ。神社の少し南側で道が広くなっているのでそこに駐車。
地図

 

白髭神社

2009年10月06日 | 福井県

福井県南条郡南越前町今庄


白髭神社といえば、近江の湖西にある湖上の鳥居を思い出すが、ここ、越前南部の日野川上流域にも白髭神社が幾つかある。
ここはそのうちの一つで、すぐ近くには新羅神社という神社もあるから、この辺りの地域は朝鮮半島からの渡来人の影響を強く受けたのだろう。
地元では、新羅神社を上宮、この白髭神社を下宮としているようであるが、そういった繋がりに無頓着で、しかも訪れた時はそんなことを知らなかった私は、こちらのみの参拝。

少し前に「雑多な写真」の記事で、写真枚数が少ないものも一つの神社の記事として掲載しようか、みたいなことを書いたけれど、ここは当初、「雑多な写真」で載せる予定だった。
というわけで、最近にしては少ない画像だが、今後、もっと少ない画像でも、このような形で載せるかもしれない。



今庄は北国街道の宿場町で、いかにもといった風情が漂う。
適当に目星を付け、狭い路地を神社に向かって歩くが、右に折れ、左に折れる道で、果たして神社に辿り着けるのか、と思い始めた頃、鳥居が見えてきた。
鳥居奥に見える参道は、一直線の石段でちょっと味気ない。



と思いきや、落葉樹の多い空間で、とても爽やかな印象。



つくづく、空間というのは木々が創り上げ、風景というものは木々が描くものだと思う。



石段を上りきると、陽射しの強い明るい空間に出る。



やや大きめの杉が数本、根元が癒着しており、御神木となっているが、大きな木はこれのみで、ちょっと乾燥気味の境内だ。



拝殿と本殿は少し離れており、二つの社殿を結ぶ廊下の中がちょっと気になる。
本殿も覆屋の中で、近づき難い状態でもあるのでわからないまま・・・。
境内右手には小さな池があって、ふと池面が揺らいでいるように見えたので覘いてみると、大袈裟でなく、その狭い池面に数千匹のオタマジャクシが蠢いていた。
これだけの数の卵が孵るということは恐らくヒキガエルなのだろうけど、十匹以上いたイモリも、さすがに食傷気味なのか、見向きもしていなかった。


2万5千分1地形図 今庄
撮影日時 090618 12時50分~13時20分

駐車場 路地が多く狭いので、かなり離れたところから歩いた。行き止まりの場所なので、軽なら鳥居前に停められるかも。
地図