奈良県吉野郡十津川村内原
前回、屏風岩に一緒に行ったT君が、十津川村に行きたいと言う。
べつに彼は、山や滝が特に好きなわけでもなければ、神社が好きというわけでもないので、なぜ十津川村に行きたいのか訊ねてみても、「何となく…」という漠然とした答しか返ってこない。
ただまあ、田舎の風景自体は好きなようだし、今まで神社や滝にも同行してもらっているから、今回も私の好みで適当に十津川村を周ってみることにした。
木造校舎の廃校に立ち寄ったり、廃集落を訪ねたりしつつ、「日本の滝百選」の一つである、笹の滝への道に入る。
笹の滝は、以前このブログでも紹介したことがあって、その時、途中にある矢高神社も併せて紹介した。
今回も併せて掲載しようと思うが、前回とは逆に、神社の方をタイトルにした。
公衆トイレのある広い場所に駐車。
その横から川の方へ向かう道を進めば、すぐに神社前。
前回の日付を確認してみると、2008年の9月だった。
9年近い歳月を経ているとは思えないほど、印象は変わらない。
鳥居の向こうでT君が寛いでいる。
光が柔らかく、緑が優しい。
前回と似た天気のせいもあるが、やはりここは寛げる空間だ。
社殿の印象も前回と変わらず。
簡素で、この空間に似つかわしい。
見ての通り、境内は狭いので、撮る場所も限られてはいるが───
こんな風に、少し角度を変えたり、光の加減が変わった瞬間を撮ってみたくなる場所は、私にとって素敵な場所であると言える。
公衆トイレのところから、笹の滝方面に僅かに進むと吊橋がある。
奥里という集落へと続く道で、現在は更に上流側から車道が通じているが、昔はこの吊橋を渡って山道を辿ったようだ。
何となく集落まで歩いてみた。
特に面白いわけでは無かったが、今も使われているのか荒れておらず、所々、石を積んで補強されていたりして、いかにも昔の生活道路といった感じがした。
T君は高いところが苦手なので、往きも帰りも吊橋の上から下を流れる滝川に目を向けないし、大人二人が渡るとかなり揺れて、私などはそれも楽しいと思ったりするけれど、目障りな両脇のネットが無ければ、私も足が竦んだかも知れない。
吊橋の手前から、滝川へと下っていく道があるので辿ってみる。
実は、吊橋もこの川辺へも神社より先に来ていて、ここから強引に斜面を登って神社を訪ねた。
その際、木々を掻き分けたりしたので嫌な予感がしていたのたが、神社の境内で手首がこそばくて見てみると、やはりダニが着いていた。
境内は寛げる空間と書いたけれど、実際のところ、他にもダニが着いていないか気になって落ち着けなかった。
家に帰ってから、足首に喰らいついているヤツも見つけてゲンナリしたが、念のために言っておくと、私のように草叢に足を踏み入れたりせず、ただ参拝するだけなら、ダニの被害に遭うことはまず無いと思います。
参拝後は笹の滝へ。
前回も書いたが、「日本の滝百選」とはいえ、あまり好きな滝ではない。
立派な滝壺があって、色んな角度、色んな表情が撮れる滝が理想だから、ほぼ向かって右側からしか撮れないこの滝は、ちょっと退屈である。
光量、水量のせいもあって、シャッタースピードも中途半端なものになる。
ただ、T君の方は、何やら浸っている様子で、その涼しさ、雰囲気を満喫しているなら、来て良かったと思う。
笹の滝を後にして、果無集落に立ち寄る。
「天空の郷」などと呼ばれているのは大袈裟に思うが、尾根上にある集落は見晴らしが良く、青空の下、或いは、雨上がりの靄の立ち込める風景であったなら、それも納得したかも知れない。
撮影日時 170620 12時45分~12時55分(矢高神社のみ)
地図