年内にもう一度更新するつもりでしたが、時間が取れなかったので一言だけ。
このブログに来ていただいた皆様、今年は本当にありがとうございました。
来年もよろしくお願いします。
(画像に特に意味はないです・・・)
京都府船井郡京丹波町質美
再掲載である。
「いい神社だなぁ」と思った場所で、掲載した写真が納得いかなかったり、全く違う季節や時間帯で別の表情が写せたりしたら、こんな風に再掲載しようと思っているのだけれど、実際のところ、前回より良い写真なのかというと、自分でもよく判らなかったりする。
それに、納得いかない写真は山ほどあるし、それらの場所をいちいち再掲載していくわけにもいかないから、その基準は気が向いたらといった感じで適当なものだ。
ただ、今回は季節が違うので、前回とは違う雰囲気であるとは思う。
訪れた回数も、これで5回目。勿論ここだけを目的に、それだけの回数を訪れたわけではなく、若狭や丹後方面の行き帰りに、ついでに寄れる場所にあるという理由が大きいが、私としては、それだけの回数を立ち寄ってみる価値のある場所、ということで、少しでもいい表情を紹介出来たら、と思う。
前回は春だったが、今回は秋の装いが始まる頃。
鳥居より奥は深い参道であるが、どちらかというと山の気より里の気配が強く、それでいて深く静かな空間になっている。
何となく清々しい印象の鳥居だ。
参道から振り返る。
鳥居の向こうは長閑な山里の風景である。
たぶん、この神社で最大の杉。
足許がややぬかるんだりしているところもあるが、とても気持ちのいい参道。
歩いているうちに、身体に溜まった汚れが落ちていくような気がする。
参道横の風景。
正面の緑に輝く低木はコシアブラだろうか。やがて白に近い黄色に色付くはずだ。
二の鳥居の前から振り返る。
色付くのが早い桜の木は、決して鮮やかに紅葉はしないが、ちょうどいい具合に光が射し込み、美しく輝いてくれた。
二の鳥居は正面からの光線状態が悪かったので、くぐってから振り返った風景を。
高みに拝殿が見えてくる。
拝殿の先、更に高みに本殿。
本殿彫刻。
淡い西日が、精緻な陰翳を描いてくれた。
本殿右手の境内社。
さして大きくはないヒノキの、その根の逞しい存在感。
社務所(?)前のモミジ。
次は、真っ赤に染まった姿を見てみたい。
2万5千分1地形図 胡麻
撮影日時 081106 14時半~15時40分
駐車場 神社西側の狭い道を進むとスペースがある。
地図
和歌山県新宮市熊野川町瀧本
新宮といえば海沿いの町であるが、この旧熊野川町にある瀧本集落は、京阪神から訪ねるには、近畿で最も山深く遠い場所のような気さえする。
十津川沿いに紀伊半島を南下していく道中は、山また山の深い谷間の道。その道を本宮辺りまで走ると、川幅は広くなり、漸く明るい快走路となるのだが、暫くで支流の赤木川沿いの道に入る。
やがて道は、車が擦れ違える場所も殆ど無い狭いものとなり、ひたすらカーブを繰り返しながら山奥へと分け入ってゆく。落石も多く、路面には落ちてきた石が散らばっており、うっかりするとタイヤを傷付けたり、車体の底を擦ったりする。
十津川沿いの道を走ってきて少々疲れた状態で、この狭路はかなり堪える。地図で見る以上に、ひたすら長く感じられる道だ。
辿り着いた瀧本集落は、僅かばかりの平地があるだけの小さな集落だが、それでも道中の圧迫感を開放してくれる空の広がりがあって、ほっ、とする場所だ。
標高は200メートルほど。地図上の感覚からすれば、海から比較的近いのだから「そんなものだろう」という気もするけれど、ひたすら山道を走ってきた感覚からすると、「たったの200メートル!?」と驚いてしまう低さだ。500メートルほどの高地にいるような気がするし、周りの風景も山深いものである。
その瀧本集落は、滝が多いことで知られていて、瀧本四十七滝とも呼ばれている。山を越えれば那智の滝にも近く、地質的に似通った、硬い岩盤質の山なのだろうが、周辺の地形の険しさは、那智を遥かに凌ぐ。中でも宝竜滝は裏那智とも呼ばれる瀧本の代表格だ。
この滝を訪れるのは二度目。前回は水量が少なかったこと、すぐ近くにある野の滝を見ていないということ、それから、ブログにぜひ載せたいということで再訪である。
今年最後の紅葉を見るつもりで来たが、南紀とはいえ山間部で気温は低く、葉の散ってしまった木が多い。大阪の気温は7度くらいだったが、こちらは0度に近い。
林道終点近くから、対岸の紅葉。
宝竜滝。
残念ながら今回も水量は少ない。ネット上で見かける画像では、凄まじい勢いで水を落としているものが多いのだが・・・。
運の悪さもあるが、実は上流では発電用に取水されている、という理由もある。
落差は50mほど。ここからは見えないが、更に上段があって、全体で100mほどの滝である。
左手の黄葉した木の裏手から、次々と水蒸気が立ち上っていくのが、なんだかとても不思議な気がした。
この深く抉られた岩盤から、本来の水勢の凄まじさが想像出来るのではないだろうか。
宝竜滝はちょっと拍子抜けだったので、早めに切り上げて野の滝へ向かうことにする。
宝竜滝の近く、左岸に山に入っていく小道があったので奥へ進む。
林内は、まだ鮮やかに色付いていた。
すぐに苔生した小さな谷川に出る。
ここから少し右に目を転じると───
木々の向こうに野の滝が望まれる。
紅葉している木々があるのに、苔などの深い緑があって、北近畿などとは趣の異なる秋の風景だ。
それにしても、林道から僅かな距離を歩いただけなのに、凄まじい山奥の秘瀑でも見ているような雰囲気だった。
上部には霧がかかり、天から落ちてくるかのよう。
落差は60mほど。
滝壺まで行くには、やや危険が伴うようなので遠望にとどめておく。
それにしても気になるのが、
この、滝の上部に生えている木。どうもヒノキのようで、よくこんな岩壁の不安定なところで、これだけの大木に育ったものだと感心する。
渓谷を出て瀧本集落へ。
谷間よりもずっと深い霧に包まれていたが、山の端から、霧を透かして太陽が顔を出してきた。
南紀の集落には石垣が多い。
民家にある柿の木が、霧越しの淡い朝陽に照らされて、枝先の水滴が輝いていた。
神社を撮るよりずっと前は、こういう風景を好んで撮っていた。
2万5千分1地形図 紀伊大野
撮影日時 081204 6時20分~8時20分
駐車場 林道終点、もしくは途中に僅かながらスペースあり
地図
京都府舞鶴市大川
舞鶴市街からは離れた由良川沿いにある。
由良川は京都府を代表する川で、丹波山地の奥深くからの水を集めて日本海へと注ぐ。全国的に見れば、流域面積や長さは大したことはないけれど、私はこの川が好きで、大河の風格があると思っている。
一般の大きな川のような広い河口平野を持っておらず、それがこの川の良さでもあって、海まで僅か数キロの大川神社辺りでも、山と水田を基調とした長閑な風景になっている。海抜は3メートルにも満たないので、流れの殆ど感じられない、ゆったりとした大らかさがある。
神社名や地名の大川は、ありがちで単純な字面だけれど、そばを流れる由良川の豊かさを表しているようで好ましい。神社そのものも、舞鶴を代表する素敵なものだ。
国道から外れ、すぐに駐車場。狭く小さな谷間にある神社だが、社頭の風景は風格がある。
二の鳥居。
右手は社務所で、左手は一般の民家だろうか、立派な茅葺屋根がある。
中門。拝殿や本殿と共に、市指定文化財。
中門を過ぎると、参道横に立派なケヤキが聳えている。以前に紹介した白杉神社では、舞鶴市がランク付けした横綱ケヤキについて触れたが、こちらは大関にランクされている。
紅葉の見頃には、まだちょっと早かったが、それでも色彩の変化は目を楽しませてくれる。
拝殿と本殿。
本殿よりも拝殿の方が大きいことが多いが、ここは本殿が格段に大きい。
拝殿越しに本殿。
舞鶴市最大の本殿というが、舞鶴市に限らず、これほど大きな本殿は珍しい。
とても重厚な、堂々たるものだ。
彫刻も美しく、暫し見入る。
彫刻もいいが、何とも言えぬ木の色合いと陰翳が味わい深い。
静寂と躍動を併せ持つ気配。
最近になって気付いたのだが、どうも私は龍の彫刻が好きなようである。
他の神社でも、龍の彫刻を見ると、とりあえず写真を撮っているような・・・。
駐車場から国道を渡れば末社らしきものがあって、その裏には由良川が流れている。写真を撮り忘れたのが残念。
2万5千分1地形図 西舞鶴
撮影日時 081106 12時半~13時半
駐車場 あり
地図
奈良県吉野郡川上村神之谷
地図を見て、神之谷川という名前に惹かれた。
上流部には、ぽつんと神社記号があって、近くに民家は無い。
谷間は植林されていて、舗装された林道も通っている。
林道に沿う流れは平凡で、神之谷川という名称に相応しいような風景も見つけられなかったけれど、この神社のある一画だけ、やはり神域と感じられる空間になっている。
集落から離れた神社は衰退していく傾向にあるだろうが、かつては山中に、こういった神社がもっとあったのでは、という気もする。簡素で、清浄な場所である。
植林地帯の単調な谷川沿いを進むと、前方に橋が見えてくる。
対岸には石段が見え、周囲に比して太い木が天を衝いている。どこからどこまでが社域なのかはっきりしないような場所だが、やはり厳然と特別な空間というものも形作られている。
どういうわけか、橋には扉があって、鍵まで備え付けられていた。
幸い、鍵はかかっていないので、対岸へ渡らせてもらう。
苔生した石段と、杉の大木。
石段上の建屋はともかく、なんというか、あまりに夾雑物の無い澄み切った雰囲気。
これだけ苔生すのは、湿度だけの問題ではなく、訪れる人が少ないからであろう。
けれど、苔の上に、杉の枝葉が落ちていないのは、その数少ない人達が手入れしている証拠である。
鳥居にも、苔やマメヅタがついて緑に化粧。
覆屋内の本殿は、かつては派手な彩色が施されていたであろう名残が窺えるもの。
2万5千分1地形図 大和柏木
撮影日時 081030 10時10分~10時40分
駐車場 橋のすぐ先で道が広くなっている
地図
兵庫県篠山市二之坪
熊野神社は各地にたくさんあるけれど、熊野三山を別にすれば、初めて訪れた熊野神社がここだったと思う。
単に熊野神社とせず、新宮の文字が付いているのは、本宮、那智、速玉、それぞれから勧請した三つの神社が近隣にあったからのようだ。
那智から勧請された神社は廃れてしまったらしく、本宮からの勧請と思しき神社は、ここより南に約1キロのところにあるが、こちらも一度、廃れた時代があったようだし、規模もかなり小さなものである。
この熊野新宮神社も、社域はさほど広くはないが、立派な石垣や、八朔祭と呼ばれる篠山市指定民俗文化財のお祭などがあって、三社の中では最も隆盛して現在に至っている。
私がいつもよく言う「奥行き」、「奥深さ」があるわけではないのだけれど、過去に二回訪れていて、今回が三度目。
どこか惹かれるものがあるのに、それが写真に写せない。この三度目の訪問では、紅葉に助けられた。
狭い道に面して、お城を思わせるような立派な石垣がある。
石垣に挟まれて視線は自ずと前を向く。迎えてくれる二本の杉の大木、そして拝殿の屋根と紅葉に、誘い込まれるように足が速まる。
社殿の背後で、社殿を飾り立てるように色付く木々。
振り返ると、田畑と里山の広がる長閑な風景。
拝殿。
先ほど奥行きは無いと書いたけれど、距離的な奥行きはともかく、手前に落葉樹、背後に常緑樹があることで、奥行きの感じられる空間となっていた。
よく見れば、拝殿にはネットが。動物の侵入を防ぐためだろうか?
拝殿の彫刻。
本殿。
写真では小さくて判りづらいが、木製の狛犬は凛々しい姿だ。
本殿瑞垣。
主のいない蜘蛛の巣も、枯葉も、右から射し込む淡い光も、秋というより初冬の気配。
本殿背後から境内社。
全体を見渡す。
大きな社務所の屋根と石垣が印象的。
最後に、最も紅葉が美しく見える角度から。
2万5千分1地形図 福住
撮影日時 081130 12時~12時40分
駐車場 なし 境内に乗り入れ可
地図
京都府綾部市於与岐町
綾部から舞鶴に向かって車を走らせていると、右手に特徴あるピラミッド型の山が見える。
弥仙山と呼ばれる山で、その山容から、信仰の対象となっていることは容易に想像出来るし、事実、修験道の山として開山され、女人禁制の時代もあったようだ。
山のガイドブックでこの山の存在を知ったのは高校生の頃で、登りたい山の一つであった。機会の無いまま歳月は経ってしまったし、興味の対象は変わってしまったけれど、当時から変わらずに地図を見るのは好きで、そして、この山の麓にある神社記号は気になる存在となっていた。
地形図を見れば、山頂、中腹、山麓にそれぞれ神社記号があり、頂上にあるものが金峯神社、中腹にあるものが於成神社(蔵王権現堂)、山麓にあるものが水分神社となっていて、出来ることなら山頂まで行ってみたいところだが、体力的に厳しいものがあるので、山麓の水分神社のみを訪ねることにした。
水分神社という名称は奈良近辺に多く、この辺りでは珍しいと思うけれど、水分の名に相応しく谷間に鎮座している。
本来は水を司る神であるが、地元では子授け、子育ての神さんとして親しまれている。ここに限らず水分は「みくまり」と読むので、それが訛って御子守、つまり子育ての意味合いを持つ神社が他にもあるようだ。
集落内の狭い道を抜け、谷間の奥に進んでいくと道が二手に分かれる。左の谷を少し遡れば神社前だ。
雨の中を出発したが、ここに着く頃には雨も上がり、ちょうど日が射してきた。
本来は薄暗い谷間なのであろう、鳥居にはノキシノブや苔が生えている。
石段を上れば正面に本殿。拝殿等は無い。
しかし、山中にある神社としては立派な本殿である。
虹梁が四本あるので、正面の木鼻も四つある。
本殿の向こうは神衣収納社。
子供の衣服を作って献納すると、その子の生長を守護してくださるとの伝説がある。
社務所はかなり傷んでおり、軒下にはコガネグモがたくさん巣を張っていた。
蜘蛛は大の苦手だが、このコガネグモは農薬に弱く、かつてより随分と減ったという。成体は冬を越せないので、秋も深まって、殆ど身動きもしない。
本殿右後ろにある弥仙山遥拝所。木々が茂って山頂は望めないが、奥に見えている道が、山頂へと通じている。
紅葉は、まだ微妙な色付き。
神社横の林道。
右はエノキ、左はカツラだろうか。雨上がりで枝先の水滴が輝いて、とても惹かれた風景。
葉は落ちても、繊細な枝の描く陰翳が美しい。
2万5千分1地形図 梅迫
撮影日時 081116 12時から12時半
駐車場 林道が二手に分かれる場所に広場あり。
地図