神社のある風景

山里の神社を中心に、歴史や建築等からの観点ではなく、風景という視点で巡ります。

琉璃渓

2018年01月31日 | 滝・渓谷

京都府南丹市園部町大河内


寒い日が続いた。
家の近所では水溜りが凍っていたし、時おり雪が降ったりもした。
ただ、大寒波というわりに、気象庁のホームページで日々アメダスの気温を確認していると、山間部の気温は例年とさして変わらないように思えた。
寒いのは嫌なのだが、厳冬の風景、となると、何となく物足りないのではないかという気もする。
果たして実際の山間部はどんなものなのか、T君と休日が一緒になった日、久しぶりの琉璃渓で確かめることにした。

川西市の北部辺りから、日陰に少し雪が見え始め、能勢に入ると田畑は白く染まっていた。
二人とも雪道に慣れていないので、やや不安ではあるが、凍結防止剤のお陰で路面に雪は無く、凍結している様子も無い。
それでも怖々、といった体で琉璃渓の入り口駐車場に到着してホッとする。

積雪は5cm~10cmといったところで、下り坂の遊歩道はなかなかに滑る。
ただ、車での雪道はともかく、歩きに関してはそれほど苦手意識は無い。
よく滑る谷歩きをしてきたからだろうか、多少は滑っても直ぐに体勢を立て直せる。
が、T君は度々滑って悲鳴を上げる。
「ズルイっすよねぇ、滑り止めのついた靴を履いてきて」
なんて冗談を言うが、勿論、ただのカジュアルシューズである。 



白を基調とした風景の中、流れが黒い帯を描いている。
冬の琉璃渓には何度も来ているが、今までで一番積雪量は多い。



冬らしい風景ではあるけれど、流れは凍結しておらず、過去と比べても物足りない。
でも、風景としては物足りなくても、雪道はただ歩いているだけで楽しく、童心に返る。






水面は雪や氷で覆われていないけれど、冬の景色を映している。



流れ自体は凍っていないが、水飛沫がかかるような場所や、水が滴るようなところは、ほぼ例年通りに凍っている。



岩に溜まった水も、素敵な模様を描いて凍る。



ファインダーを覗けば、氷と水だけの世界になる。



雪道を歩くのも楽しかったが、やはりファインダーの中の世界にのめり込んでいく感覚は、他に代え難い楽しさがある。



暫しT君をほったらかしにして、夢中になってシャッターを切る。



滝の手前の白い部分は、雪ではなく泡である。
これが琉璃渓の残念なところで、いつまで経っても水質は改善されそうにない。



氷はとても綺麗に見えるけれど、これも川の水飛沫がだんだんと凍って氷柱になったものだから、たぶん、汚れているんだろうなぁ…。



それでもやはり、氷の美しさには魅せられる。






ここの氷柱は壮観だったが、遊歩道から少し離れていて、見逃してしまいそうなところだ。
T君が、10mほど高い場所にある遊歩道からこちらを見下ろしている。
何をチンタラやってるんだ、と思っていそう。









今日いちばん印象的だったのはこの辺りで、冬の厳しさや幻想的な感じが出ていると思う。
と言っても、それは写真的にはという意味で、肉眼ではもっとあっさりしてるというか、そんなに特別な感じではない。
だからT君に撮ったばかりの写真を見せると、「ええっ! そんな幻想的になるんですか!?」と驚く。
なんか「騙し」ではないかと言いたげだ。
光の見え方、色の見え方、時間を写し止めるということ、そういった要素が絡み合って、肉眼とは違った表情が捉えられるのであって───なんてことを説明しようかとも思ったが、メンドクサイのでやめる。



ここまで軽く滑る程度だったのに、ここで盛大に転んだ。
その衝撃で三脚が壊れてしまい、ちょっとへこむ。
ああ、と空を見上げると、ずっと曇天だったのにいつの間にか冬らしい青空が広がっていたので、手持ちでパチリと写真を撮った。


撮影日時 180129 8時30分~10時30分 
地図