福井県越前市中平吹町
ちょっと前に掲載した、越前市荒谷町にある日野神社から南西に1キロほどのところにある。
日野山の西麓にあたり、日野山信仰の中心となる神社であろう。奥宮のある山頂への登拝路も、ここからのものがメインルートとなっているようで、神社の少し手前、集落の入り口付近に登山者用の駐車場があったりする。
式内社の論社の一つでもあり、それなりに規模もあって間口も広く、格式も感じられるが、どちらかというと奥行きよりも横の広がりがあって、やや明るい印象である。
日野山登山者用駐車場に車を停めさせてもらい、集落内の上り坂を進んでいくと、正面に日野神社が現れる。
一の鳥居付近から二の鳥居。
二の鳥居。
境内右手は広く、児童公園のような遊具もある。
大木もあるので、子供の遊び場としては素敵な環境だ。
拝殿。
横幅がある建物もそうだが、石段や横に広がる空間、適度な木々のせいか、堂々とした雰囲気がある。
狛犬と拝殿。
狛犬は正面からの写真を撮り忘れたけれど、ちょっと愛嬌ある体躯だ。
拝殿と本殿。
本殿は瑞垣の中だが、この辺りは品のある落ち着いた佇まい。
本殿。
2万5千分1地形図 武生
撮影日時 090618 10時~10時半
駐車場 麓に登山者用の駐車場があって、参拝目的なら利用しても構わないかと・・・
地図
今回で、この赤目四十八滝も最後。
と言っても、今回掲載する分は最後の滝より上流部分なので、カメラを持って下流から歩いてきた人の中には、一枚も写真を撮らずに通り過ぎてしまう人もいるのではないかと思う。
滝は無く、岩壁も無く、植林地帯も入り混じるようになり、標高が高くなったぶん周りの山も低くなって、平凡で穏やかな流れと言えるのだが、いざこんな流れを探してみると、実はそうそう見つからない。
何となく見過ごしてしまいそうで、それでいて、はっとさせられる素朴な美しさを湛えているように思うし、滝の連続する場所よりも寧ろ魅力的に思えた。
目立つものやアクセントになるものは何も無いけれど、逆に、目障りなものも何も無い。木々の間を清冽な水が流れているだけで心惹かれる風景になると思う。
ここはとても心安らぐ場所だ。
流れの上に張り出した一本の木が、日の光で刻々と表情を変え、それに合わせて穏やかな水面も柔らかく移ろいを描く。
笹と流れの平凡な取り合わせで、つい見落としてしまいそうになるが、水がとても水らしい表情をしているというか・・・。
雨上がりの遊歩道には大きな水溜り。
靴が泥に塗れたり、いちいち迂回せねばならないけれど、辟易せずに立ち止まって見つめてみれば、雨上がりならではの情景があって楽しい。
静かな杉林の中に、ひっそりとお地蔵さん。
枚数が多いけれど、ほぼ同じ場所の風景。
神社の場合、杉林であることが、より美しさを感じさせることも多いけれど、山や渓谷では落葉樹が望ましい。けれど、ここは杉林であることに美しさを感じた。
最後の写真はISO-800で30秒露光した黎明の風景で、季節や時間を変えて、もっと様々な表情を撮ってみたいと思わせてくれる場所だ。
ここはもう車道に出るまであと僅かな場所。
ここも、ほぼ同じ位置から夜明け前の表情を。
以上、4回に亘って赤目四十八滝を掲載しましたが、既知の場所でありながら、その多彩な表情に驚き、魅せられ、もっともっと撮影したいと思わされました。
それなりに自分の視点で捉えられたかな、と思いつつ、季節や天気、時間の違いで、まさに千変万化する筈で、紹介出来たのは、ほんの一部分であろうと思います。
またいつか、違った表情を撮りに行きたいものです。
撮影日時 090703 4時半~9時20分
4、11、12、17、25、27枚目は 090731 10時~10時50分
さて、滝もいよいよ残り僅か。観光客も減って、静かな渓谷歩きが楽しめるようになる。
赤目の個性となると、やはり下流部で、上流部はさほど個性的な風景があるわけではないが、それでもやはり、赤目ならではの良さがあるように思う。
特に、赤目五瀑の最後を飾る琵琶滝は、さして特徴的ではないものの、私の最も好きな滝で、撮影にもつい力が入った。
夫婦滝。
荷担滝のすぐ上流で、山椒谷という大きな支流が流れ込んでくる。その山椒谷を少し入ったところにある滝だ。
この谷は過去二回遡ったことがある。道らしい道も無く、観光地のすぐそばに眠る渓谷といった趣で、是非とも撮影したかったのだが、今回二度の撮影では、一度目は増水で遡れず、二度目は靴擦れで断念。
大した滝があるわけではないが、人擦れしていない、静かな渓谷なので、いずれ再訪しようと思う。
夫婦滝の前から、本流との合流点方向を見る。
増水しているものの、水の清らかさは変わらない。
雛段滝。
本流に戻ると、山椒谷との合流点のすぐ上に雛段滝がある。
小さな滝とはいえ形状が面白く、独特の風情がある。
雛段滝の、すぐ上流の流れ。
かつて火山地帯であったことを思わせる特徴的な岩は下流部に多いが、それでも所々で、こういった岩に出逢える。
琴滝。
普段は通り過ぎてしまいそうな滝だが、増水で滝の幅は倍以上になっていた。
琵琶滝。
この滝は、滝の形状にはあまり特徴は無いが、岩盤を抉ったような滝壺と、帯を描くような滝前の流れが印象的。
ほぼ同じ構図を、偏光フィルターを利かして撮ったもの。
緑が鮮やかになるぶん、水面の反射光がカットされるので、好みが分かれるところ。
滝前の流れ。
同じく、偏光フィルターを利かして。
ここは滝というより、空間として居心地がいい。
正面から。
落差は15mほどあるが、これも増水のため幅が広がり、もっと低く見える。
水に勢いがあり過ぎて、滝壺の中で水が暴れているようだ。
こちらは二度目の撮影のもの。
程よい水量になって、曇天から谷間に淡く降り注ぐ光もちょうど良かった。
特に最後の写真はお気に入り。
琵琶滝の少し上流の流れ。
まだ薄暗い時間帯なので超スローシャッター。
長い露出時間で積み重なる光は、緑を印象深いものにする。
岩窟滝の少し下流。
やや険しくなっているので、遊歩道は高巻き、流れを見下ろす。
日が当たらず、流れの白さが際立つ。
岩窟滝下流。
アセビの木の間から見た流れ。
岩窟滝。
赤目四十八滝の最後を飾る滝。
本来ならここで紹介を終わるところだが、ここから先、裏口でもある車道に出るまでの間も、滝は無いものの、捨て難い趣を湛えた清流なので、次の「その4」で載せようと思う。
撮影日時 090703 5時~7時半
3、5、16~18、24枚目は、090731 9時20分~10時
前回に赤目四十八滝の前半部分を載せた。一般的には前半部分の方が見所が多いとされ、後半は、渓相も穏やかな部分が多く、変化に乏しいとされる。
が、私が撮った写真の枚数は、後半部分が圧倒的に多いので、「その2」では終わらず、「その3」、あるいは「その4」まで続きそうである。
過去に訪れた時の私も、後半はやや退屈に感じたものだが、今回は逆の感想を抱いた。
滝そのものや淵などは、明らかに前半部が面白いけれど、流れの表情や、渓谷全体の風景といったものを丁寧に見ていけば、実に豊かで趣のある景色で迎えてくれる。
撮影時には、朝ということもあって人には出会わなかったが、日中でも上流に行くに従い観光客は減っていくので、ゆっくりと渓谷を満喫したいところだ。
笄滝手前付近。
前半に比べて渓相が穏やかになる分、空間に広がりが出て、所々で森の雰囲気が高まる。
雨降滝。
遊歩道沿いの岩壁から水が滴るだけで、滝と呼ぶのもどうかと思うが、名前の通り、頭上から雨粒のような飛沫が降り注ぐ。
イワタバコの花は今が盛りだ。
斜滝手前付近。
水面の表情は、漠然と歩いていると何も見出せないまま通り過ぎてしまう。しかも、どこでも撮れそうでいて、なかなかいい表情には出逢えない。
流れが描く水面の起伏と陰翳、光の反射、それから、木々や空の映り込み具合を見ながら歩くと、見落としていたものが見えてくる。
斜滝。
木々が豊かで、緑のトンネルだ。
斜滝上流付近。
よく整備された遊歩道が続くが、概ね美観に配慮されているのが有難い。
斜滝と荷担滝の中間付近。
この辺りだけ、僅かに靄がかかっていた。
池のように穏やかな水面と、周りの木々の雰囲気に、まるで原生林の森を歩くような錯覚を起こさせる。
遊歩道の横からも、こんな風に清水か滴り落ちる場所がいくつかある。
木々と水は持ちつ持たれつで、豊かな環境を創り上げている。
静と動、両面を併せ持つ渓谷であると言えるが、下流部で「動」の方に魅了されると、この「静」の方を見逃してしまいやすい。
滝が連続する流れの激しい場所でも、水と木々が調和した渓谷だと思うが、この辺りは調和というよりは融和、あるいは融合といった印象。
荷担滝手前の廊下。
ここは特に名称は付けられていないようだが、廊下状に両岸が立ち、間に水を湛えた美しいところだ。
ここから上流は、この7月の間に二回訪れている。
これは一回目に訪れた時に撮ったもので、雨後で増水していた。
赤目で最も美しいと言われる荷担滝。
確かに美しい滝だとは思うものの、私自身はそんなに好きではない。
最後の写真は増水のため、滝が真っ白状態だったので、流れの反射の方を強調して、水の勢いみたいなものを捉えようと思ったのだが・・・。
ここより上流は、更に観光客が減り、渓谷もより穏やかになっていく。
撮影日時 090731 7時55分~9時20分
14枚目~17枚目と、20枚目のみ、090703 6時~6時20分
三重県名張市赤目町長坂
今までこのブログでは、いわゆる観光地と呼ばれるような場所は取り上げてこなかったと思う。
神社で言えば、瀧原宮や御上神社などが比較的よく知られた場所に当たり、滝や渓谷で言えば、琉璃渓や猿尾滝などが行楽客の多い部類に属するが、それとて観光地と呼ぶには程遠い場所だ。
私は観光地や人混みが好きではないし、天の邪鬼な性格もあって、人に知られていない場所を好む。観光地には、観光地になるだけの良さがあるのだろうとは思うが、手垢にまみれていると興味は半減する。
赤目四十八滝は観光地だ。行楽シーズンには多くの人で賑わうし、渓谷入り口には土産物店が立ち並ぶ。なのにここで取り上げるのは、ここが私にとって思い出深い地であることと、観光地であるマイナス要素を差し引いても、類い希なる美しさを持つ渓谷だと思うからだ。
初めて訪れたのは12歳の春。
小学校6年生で滝に興味を持った私は、有名な赤目四十八滝とはいかなるところだろうと思い、伯父に連れていってもらった。
滝の数は思っていたよりも少なかったし、滝とは言えないような小さな落差のものまで名前が付けられていて、子供心に「大したことはない」なんて感想を抱いた。そのくせ、うろ覚えだが、中学時代にも高校時代にも友達と訪れた記憶がある。
滝は高さではないと気付いたのはいつ頃だったろう?
幼い頃は、高さのある滝に憧れたが、いつしか滝の造型や、それを取り巻く木々と岩、滝壺と水の表情に惹かれるようになった。それに呼応して、赤目四十八滝を「美しい」と思うようになった。
名張に住んでいる時にも何度か訪れた。地元ということで、誰もいない早朝の渓谷を見、寒い冬には氷瀑も見ることが出来た。
その赤目四十八滝に、十年以上、行っていない。12歳の時に訪れてから、これほど間が空くのは初めてのことだ。
あるいは記憶は美化されているのかも、なんて思ったりもしたが、今回、改めて訪れてみて、以前よりも、その美しさは胸に迫った。
私は、滝や渓谷が好きだとは何度か述べたが、それ故に、脳内で理想の渓谷の風景というものを描いていた。そしてそれに出逢うために、ネットで滝の情報を集めたり、あちこちに足を運んだりした。
灯台下暗しとは、このことだと思った。
何度も訪れて見慣れている筈の渓谷に、理想に近い風景があった。
いったい、何を見ていたのだろう。
そんな悔恨を抱きつつも、昔とは違う視点で、赤目四十八滝との再会を楽しむことが出来たのだった。
赤目四十八滝は4km以上に亘る渓谷である。従って、とても一度で掲載できないので、数回に分けて紹介しようと思う。
また、名称のついた滝や淵、岩などが20箇所以上あるが、それらを一つ一つ載せるつもりはなく、自分の気に入ったところを中心に取り上げるつもりだ。
名前がついていても中途半端な滝が多く、観光地であることからも軽視されがちだが、苔生した渓谷と周囲の森の表情は、もっと評価されて良いと思う。
渓谷入り口には駐車場があるものの、すべて有料。それはいいのだけど、早朝に撮影しようと思うと駐車場を所有する土産物店はどこも閉まっている。後で料金を払えばいいとはいえ、土産物店の所有地に勝手に駐車するのも気が引けるので、上流側から下ることにした。
上流側には3~4台の駐車スペースしかないが、たぶん無料。ただ、夜明けの頃に渓谷入り口付近に着こうと思うと、当然、暗いうちに出発しなければならない。
懐中電灯を持って、真っ暗な山道を下ることにする。
やや足許が悪いところもあるが、よく整備された道で、迷うことなく下っていける。
道の真ん中には、度々、大きなヒキガエルが「でん」と居座っていて、近寄っても逃げる様子が無く、こちらが避けて進むことになる。時おり、鹿や狐の鳴き声も聞こえてくるし、日中は行楽客で賑わう場所も、今は彼等の時間帯であり、人間である私は遠慮しながら歩く。ただ、基本的には谷のせせらぎ以外は聞こえず静かだ。
予定より出発が遅れたせいで、だいぶ明るくなって霊蛇滝に到着。
ここが最初の滝ではないが、渓谷らしさが出るのは霊蛇滝からなので、ここで折り返すことにする。
赤目の特徴は、滝の大きさに比して滝壺が大きく深いこと。ここも滝の高さは無いが、滝壺は深い。
霊蛇滝のすぐ上にあるのが、この不動滝で、赤目五瀑の一つに数えられている。
霊蛇滝の上に写っている橋から見る形になるので、撮影場所はかなり制約され、面白いアングルで撮るのは困難。
というか、ここに来るまでに靴擦れが出来て、足の指の皮がぺろんとめくれてしまった。とにかく痛くて、気力が著しく減退。言い訳だが、あちこち移動して撮影する気になれない。
不動滝上流の流れ。
夜が明けたとはいえ、谷底に届く光はまだ少なく、所々でスポットライトを浴びるかのように流れが淡く浮かび上がる。
乙女滝と千手滝の間付近。
伐られた幹から新たな芽吹き。手前の苔生した岩からも、何やら木の芽が伸びている。
遊歩道のすぐ横でも、こういった森の営みが見られる。
赤目五瀑の一つ、千手滝。
続いて、すぐ上に布曳滝。これも赤目五瀑。
この辺りが渓谷の核心部で、岩壁も立ち、滝も変化に富んでいると言えるし、昔はこの辺りにいちばん関心を持ったのだが・・・。
布曳滝のすぐ上流に竜ヶ壷。落差は無いが、赤目渓谷中、最深の滝壺であるという。
どの滝も滝壺は深く、底が見えないから、ここが最深といわれても、いったいどれほどの深さがあるのか見当もつかない。
そういえば昔、ここに外人の女性が飛び込んで、観光客から拍手を浴びているのを見た。龍が棲むと言われる場所なのだけど・・・。
斧ヶ淵付近。
木々の緑が深く、また、早朝で誰一人いないので、観光地であることを忘れてしまいそうだ。
陰陽滝上流付近。
赤目は滝も美しいが、こういう穏やかな流れと、苔生した岩、深い緑が大きな魅力だと思う。
姉妹滝。
滝とは言えないような小さな落差だが、その上流に続く流れは、深山の源流を見るようだ。
柿窪滝手前。
ここも穏やかな水の表情が美しい。
柿窪滝の上から滝壺を見る。
今回はここまで。
せっかく早朝に訪れたのに、どんよりとした空で、光線状態が悪く、水の透明感は出てないし、木々の緑もくすんだ色合いになってしまった。
ここから上流に行くに従い、光線状態もよくなっていき、足の痛みもマシになっていくので、写真もマシになっていくと思います。たぶん・・・。
2万5千分1地形図 大和大野
撮影日時 090731 5時20分~7時50分
駐車場 あり
地図