和歌山県西牟婁郡すさみ町大谷
最近はロクに下調べもせずに、行きたい場所を二、三か所決めてあとは適当に、ということが多かったが、今回はかなり綿密に計画を立てた。
行き当たりばったりだと、結局効率が悪くて数か所しか周れないことが多いし、後になってここも行けば良かった、と後悔することが度々あるからだ。
結果、十数か所の目的地と、それぞれの到着時間、出発時間まで決め、グーグルマップの航空写真やストリートビューで駐車可能な場所も確認し、道順もほぼ頭に叩き込むという、普段からは考えられない緻密な予定が出来上がった。
もっとも、計画とは予定通りにならないのが常で、数か所は見逃すことになるだろうとは思っているが、下調べをしっかりしておけば、時間が足りないときの取捨選択が容易で、後で悔やむことも減るだろう。
今回もT君と車で南紀に向かう。
前回降りた日置川インターを過ぎ、その次のすさみインターで高速を出る。
一つめの目的地は期待外れだったので掲載はせず、まずは二つめの目的地である雫の滝から。
といっても、ここもオマケ扱いで掲載しているわけだが。
雫の滝は名前とは裏腹に、けっこう豪快な滝である。
道路のすぐそばにあるとは思えないスケールで、T君も「おお」と声を上げる。
ただ、ここ暫くまとまった雨が降っていないので、水量は少なめだ。
スマホで他の方々が撮った雫の滝を見たT君が、「最初はスゲーって思ったのに、画像と比べたら水が少なくてガッカリっすわ」などと言う。
知らんがな。
滝の左手前には石が積まれ、その上に祠がある。
滝壺は広く深く、寛げる空間もあるし、夏ならば水遊びするのにいい環境だ。
水は上流に集落もあるので、やや濁りが感じられる。
それが理由というわけではないが、この滝の存在はずっと前から知っていたものの、私はあまり惹かれなかった。
実際に見てもそれは同じで、撮影もそんなに楽しくない。
出来れば一つの記事にしたかったが、最初から「ついで」のつもりで訪れたので仕方ない。
二か所ほどの目的地を実際に見てからスルーし、大谷稲荷神社に向かう。
集落内の、やや狭い道に入り、大谷会館と書かれた公民館らしき建物の向かいに駐車。
鳥居は見当たらないが、参道はその建物の横から伸びている。
素朴な石段が続いており、鳥居は無くとも参道であることはすぐ判る。
神社は小山の上にあるので、結構な長さの参道である。
急な登り一辺倒ではなく、こういうなだらかな部分もあるのがいい。
ただ、ちょっと雑然としているというか、尾根上の道で潤いに欠けるというか…。
光線の向きの影響も大きいようで、振り返って撮れば印象は変わる。
鳥居が見えてきた。
かなり傷んだ鳥居だが、所々で石畳になっており、熊野古道を思わせる。
今は人も少なくなって修繕もままならないのだろうが、大事にされていた神社なのだろうな、と思う。
登りきると小さな広場で、正面に割拝殿のような建物がある。
雨による土砂の流出があるのか、山頂部の木々の多くは、こんなふうに根を露出させていた。
拝殿から本殿を見る。
拝殿と本殿の間の狭い場所に木々があって、何か「空間」を感じさせる佇まいに惹かれる。
狛犬さん。
ゆるキャラが巷に溢れているが、昔から日本人はそういう遊び心があったのだな、と思う。
狛犬とゆるキャラを一緒にするなとお叱りを受けるかも知れないが、可愛くしたり、ユーモラスにしたりする余裕がある社会はいいものだ。
本殿覆屋。
境内社は一つのみだった。
車に戻ると地元のおばさんが話しかけてこられた。
人懐っこい方で、南紀の人らしいなと思う。
次に向かう神社のことや、七川ダムの桜の状況などを教えてもらう。
予定時間が、などと思ったりもするが、こういう会話ができるのが一番楽しいことである。
撮影日時 190329 雫の滝 9時30分~9時40分 大谷稲荷神社 10時10分~10時40分
地図 雫の滝 大谷稲荷神社