2009年10月14日(水)[2]、現地視察を終えて工房に戻り昼食をいただく。メニューは旬のマイタケなどのキノコとタケノコの煮物、ワラビの煮物、フキの甘露煮、山菜のごま味噌和えに天然わさびを加えたもの、特産品の赤カブ漬けなどにマイタケ御飯とナメコの味噌汁だ。時間をかけて料理されているのが解る山里の味である。デザートには「灰汁(あく)巻き」というチマキのようなものを初めて頂いた。ブナかミズナラの灰汁に3時間漬けておいた餅米を、また3時間かけて蒸してつくるのだという。まさに典型的なスローフードである。これだけで今日は来たかいがあったというものだ。
〈昼食は全て自然素材を時間をかけて煮込んだ逸品ばかりであった。〉
〈この周辺にしかない灰汁(あく)巻きと呼ばれるチマキのようなもの〉
〈中はやや褐色がかった餅米をつぶしたような感じのものが入っている。味は灰汁が出す甘味だけとのこと。〉
2009年10月14日(水)[1]、新潟県村上市(旧山北町)山熊田は山形県境に近い山の中の22戸の小さい集落である。この集落では古代織りとして文化庁にも認定されている手織りの「しな布」を生産している。しな布はシナノキやオオバボダイジュの樹皮を原料として、手間暇かけて繊維を抽出してその糸で編み上げる布である。昔は衣服や生活用品の多くに利用されていたが、現在は財布やバック、アクセサリーなどとして販売されている。今は主に自然のオオバボダイジュが利用されているが、将来的には「オオバボダイジュの森」をつくって、特徴ある地域づくりを行おうとしている。その森づくりに関する専門家派遣事業の支援として現地を訪れた。拠点となっている「さんぽく生業の里」の施設は、古民家を改築した建物で、中に入ると熊の皮が壁に貼り付けてあった。このあたりは地名でも解るように熊の多い地域で、今でもまたぎが多く熊狩りが行われている。
増築された作業所では手織りの機織機で集落のおかみさんたちが「しな布」を織っている。1,400年以上続いている伝統工芸である。
〈事務所兼体験工房の中は囲炉裏が切ってあって壁には熊が貼り付けられていた。〉
〈工房でしな布を織る地元集落のおかみさん〉