駄楽器駄日記(ドラム、パーカッション)

ロッキンローラーの打楽器日記

ザ・ビートルズのレコードからドラムの進歩とリンゴさんの変化を考える(その5)

2019年07月02日 | ビートルズネタ
66年は、ザ・ビートルズの変革の年だった。
初の日本公演があり、その直後のフィリピン公演で大混乱に陥り、ライブ活動をやめてしまうことになる。
またジョンの「キリスト発言」により大バッシングなどもあり、ザ・ビートルズは世界の人気者でもあり、お堅い宗教の憎っくき敵ともなるのだった。
しかし、音楽的にはますます変貌をし続け、実験作でもあるアルバム『Revolver』を発表する。



ちょうど53年前の今日(7月2日)は、来日公演の最終日でした。6月30日、1日、2日の3日間で計5回の公演を行った。
実際に映像が残っているのは最初と2日目の昼の部のステージだけのようです。最初のステージはポールのマイクが動く例の切ない映像で、演奏自体もいい出来ではなかったと本人たちも言っています。
できる事なら3日目のこなれたステージを聴いてみたいものですが、スマホも携帯もカセットテレコすらない時代でしたから、音源はないのでしょうけれど。



日本公演に続いてフィリピンへ向かったビートルズ。公演は2回行いました。しかしその前に大統領のパーティに呼ばれていたのを欠席したことで反感を買い、帰りの空港では暴動が起きて飛行機が飛べず、ギャラも没収され、命にかかわる事態に陥ったという。
これを機にライブ活動をやめて、創作活動に集中することになったといいます。

来日前に録音作業を終えて8月に発表されたアルバム『Revolver』は、「サイケデリック・ミュージック」と称されています。
確かに、アルバムジャケットのデザインからもそんな雰囲気が漂っているし、楽曲自体が新しい手法を模索する中でのサイケな作品が目立ちます。
楽曲としては、ポールの名曲「Eleanor Rigby」や「Here,There And Everywhere」などの秀逸なバラードのほかに、「I'm Only Sleeping」、「Tomorrow Never Knows」など、既成概念を壊したロック作品でテープの逆回し始めいろいろな実験をし、成功させています。
またジョージが3曲提供しており、「Taxman」で税制を攻撃的に風刺したり、「Love You To」ではインド音楽にどっぷり浸かり、「I Want To Tell You」も実験的な作風の佳作です。

いずれの作品においても、我らがリンゴさんのドラムミングは、必要とされる場所で必要とされるプレイを的確にしています。
もっとも我々一ファンは、完成された曲を聴いてものを言っているので、現場でのリンゴさんの苦悩は見えません。ですが、ジョンやポールの天才が生み出す全く新しい音楽に、リズムの土台を据え付ける作業は並みの凡人では務まらないはず。やはり、天才リンゴが苦しみぬいて叩いたリズムが永遠に記録されていったんだと思うわけです。
のちのアルバム『アンソロジー2』でその制作過程の曲が聞けますが、それだけでも苦悩がわかる気がします。
それにしてもリンゴさん、このアルバムではロックしています。ドラムセットは変わっていないはずですが、録音と叩き方で、いかにも重厚な図太い音になっています。
ものすごい変化ではないでしょうか。

続く。かな?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする