『J'sてんてんてまり』“時空の音?”~にトラックバック。とてもいい記事で、またまたコメントにもインスパイアされました♪
そのコメントは
>CDは、人の耳には聞こえないといわれる高音域と低音域を、カットしてあります
というものです。多くのオーディオマニアの方々が「CDよりレコードのほうが音がいい」とのたまう理由はここが一番大きいですよね。
同じ演奏をレコードとCDで聴き比べると、まず最初に感じるのはスピード感の違いです。レコードではドラムやパーカッション、ベースといった低音のリズム系楽器が迫ってくるように聴こえます。これはゆったりしたテンポの曲でも同じで、マニアは「音の立ち上がりが速い」という表現をします。
これはどういうことなのか。
楽器から音が発生する瞬間というのはとても面白くて、例えば弦を指で弾くときなどは、正確に言えば指を当てた瞬間からもう微細な音が鳴っているわけです。それから弾く。鳴る。余韻が響く。消える(止める)。となります。この出だしの微細な音というのは音楽家であってもよっぽど神経を集中しないと聴こえないはずですし、曲の中ではもちろん聴くことなど出来ません。音楽はこういう“耳には聴こえない”音の集まりです。
演奏する人間や指揮者からすると、楽器に息を吹き込む刹那、弦をつま弾く刹那、そこまで含めて一つの音符という認識をします。そして実際の演奏は(ジャンルを問わず)単音が純粋に鳴るということはありません。押さえている隣の弦が振動して出る音とか、わざと掠れさせた管楽器の音とか、全体的にみれば他の楽器の振動によって共鳴が起こって、音符以外の音まで大量に発生させています。後ろでトロンボーンが本気でフォルテを出すと、手に持っている楽器や身体までびりびりと震えるくらいです。さらにはホールに反響する音もあります。それらの不純な音まで全て含めて“音楽”です。音の成分が多いほど生演奏に近いわけですから、我々はより感動したり興奮したりすることが出来ます。
そして、そういう音ならぬ音の成分は、高い周波数と低い周波数にたくさん含まれています。そこをカットされるとやっぱり聴いていて違和感があるんですね。特にピアノなどはいろんな音の成分のかたまりみたいな楽器ですから、レコードで聴くとCDでは絶対に聴けない音が出てきます。
そういえば高級なCDプレーヤーには“失われた”上下の周波数帯域を演算処理によって還元(補充)して再生するものがあります。すごいですねえ。仕組みは分からないけど、やっぱりレコードに近い音が出るらしいですよ。