『No Blog,No Life!』“「ヴァイオリンづくり」のことを、突然、思い出してしまいました。(^^)”~にトラックバック。
僕はsoroさんの記述と写真をみて、福島の叔父さんのことを、突然、想い出しました。それも僕が幼い頃の叔父さんの家です。
そこは未舗装の道の脇にある一軒の借家です。赤いトタン屋根にモルタルの白い壁。玄関の格子戸脇にはほおずきが実っています。
部屋は6畳二間続きだったと思います。襖を取っ払って絨毯を敷き、真ん中にグラウンドピアノ。フタの上はクラリネット、フルート、総譜、指揮棒などでそれはみごとにとっ散らかってます。棚にはぎっしりとレコードや本、その上にも楽器。多分ヴァイオリンです。
その頃の叔父はまだ駆け出しの作曲家でした。そこでピアノを教えて生活費を捻出していたようです。僕と妹は叔父とこの部屋が大好きで、休みのたびに連れて行ってくれと親に頼んだのでした。楽器がたくさんあるのがとてもわくわくし、「もし大勢の人がここにやってきたら、フレーメンの音楽隊みたいになるぞ」と想像するだけで楽しかった。
そして匂い。その部屋はいつも独特の匂いがしていました。少しだけかび臭いような、暖かく柔らかい匂いです。妹はその匂いの中で、お気に入りのロッキング・チェアで揺られるのを好みました。当時はそんなハイカラなものも子供には楽しかったのですね。
やがて妹も僕も大きくなって、部活動には迷わず吹奏楽を選びました。そこであの叔父の部屋の匂いを再発見したのです。そう、あれは楽器の持つ匂いだった。ケースの内張のフェルトとか、木管楽器本体とか、キーに付いているタンポンとか。それらが混ざり合ったときは本当に独特の匂いとなります。
三つ子の魂百まで。今でもあの匂いを嗅ぐととてもココロが休まります。少し落ち込んだときに楽器屋に出掛けて暫くブラブラしていると、「まだまだ俺も捨てたもんじゃない」と思えてくるから不思議です。