超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

南斗の星たちのライブステージ

2013-09-23 23:01:32 | 出来事
我々が中学生くらいの時にデビューして30年、無期限活動停止からさらに5年、「国民歌謡」と言えるバンドの公演が最終日を迎えた。オープニングで巨大スクリーンに映し出されたオープニングは「ついにこの日がやってまいりました。この5年間、私たちにとってひとつだけ足りないものあがりました。そうです、このバンドなくしては日本という国がおっ勃ちません! 人生のバイアグラ‼ 歌うマムシドリンク! いよいよ私たちの前にこのバンドが登場します!」周囲の人の多くはTシャツ、法被を見に着けネーム入りタオルを首に巻いていた。私はそういうのを持っていないから、バンド名にちなんで「南斗水鳥拳」シャツで気分を出そうとしていた。

      

我が故郷はこの人達によって有名にしてもらったと言ってもよい。これまで歌詞に地名が出てきた名曲は古くは「知床」「銀座」「有楽町」「長崎」・・・、「津軽海峡」「襟裳岬」「大阪」「神戸」・・・そしてついに「茅ヶ崎」が登場するのである。初めて「ザ・ベストテン」でこのバンドのデビュー曲を聴いた時、茅ヶ崎、江ノ島などが次々と歌われた感激は「仮面ライダーX」で烏帽子岩が登場した時以来だが、同時に短パン、ランニングで歌うヴォーカルの姿に「一体何なんだ、この歌は?!」というのも正直あった。我々少年たちはどちらかと言えば「世良公則&ツイスト」の方に目を向けていたものだ。

聞けばヴォーカルの妙な顔して歌う男は市内お隣の「一中」(野球部)出身だそうである。確か彼を教えたことがあるらしい名物教師が私のクラス担任だったのだ。進学した鎌倉の私立高校は私が通った学校と併願するところだったから少しは縁があるのか?!その後青山学院大学の音楽サークルで後の奥さんと知り合ったのは有名な話だそうだ。このバンドの歌には我々の生まれ育った街の地名がふんだんに登場するし、映画にもなった。烏帽子岩までは知っていても「ラチエン通り」まで知っている人は地元以外にそうはいまい。もっとも「湘南」というイメージは強いが歌詞の中で登場するのは私の知る限りデビュー曲だけだ。

デビューして35年だから数々の名曲を出してきたが、正直ずーっとファンであったわけではなく、彼らがビッグになり、彼らの歌がトリガーとなて「お洒落な街」として発展してきた茅ヶ崎とともに同年代のファンが爆発的に増えてきたように思う。デビュー曲から5つくらいは知っているのだが、その後よくわからなくなり途中ポツポツはカラオケで歌われるのがあって、「稲村ジェーン」の歌以降またまた「名曲」と言われる作品が登場する、というのが私の「南斗の星たち」歴である。10年ちょっと前にこれまで地元では行わなかったコンサートを茅ヶ崎球場で行って、大いに盛り上がった。最初どう見ても「コミックバンド」にしか見えなかったグループが日本を代表する「国民歌謡」として音楽史に名を残すほどになったのだ。

デビュー30年で無期限に活動停止を制限し、その5年後の今年再び日産スタジアムや茅ヶ崎球場で公演が行われるという。これまで熱烈なファンだったというわけではないが、年代的にも地域的にも我々のシンボルのような存在になっていたから、今回は普通ではまず「取れない」というチケットを妻が「俄かファンクラブ」に加入して応募したのである。しかし抽選の結果、当たったのは「神戸公演」と「仙台公演」という「ちょっと待ってくれよぉ」というものだった。さて、どうしたものかなー、横浜なら行き慣れたスタジアムだし、茅ヶ崎球場に至ってはチャリでも行けるのに・・・

    

神戸はさすがに遠すぎて無理だが、仙台なら行けないこともない。日時は3連休の中日、たまたま出張にかまけるのも難しそうだ。宮城スタジアムというのは仙台駅からバスでも数十分かかる僻地にあるという。何万人も集まった場合にその移動はどのようになってしまうのか、全く要領が分からなかった。新幹線とホテル宿泊のツアーを調べるとその日だけは見事なくらいに満室である。朝から行って昼間観光し、夕方コンサートでスパークして日帰りというのがよいプランなのだが、どうも新幹線の最終に間に合わない危険が高い。妻と作戦を練った結果採用したのは、東京駅から高速バスで行き、帰りは同じ夜行バスで帰るという、強行軍だった。バスの長時間移動は嫌いなのだが、最近のバスは3列シートでビジネスクラス並みに豪華なリクライニングができるらしい。

  

3連休の中日、東北自動車道はさすがに関東圏からして渋滞していたが、予定より1時間ほど遅れて到着、余裕を見ていたので駅から会場へのシャトルバスに乗り込むことができた。開園は夕方5時、宮城スタジアムまではバスで30分弱だが、周囲は全くのド田舎、というより「熊出没注意」の看板の出る未開の地である。5万人のファンが1席も空けることもなく集結し、誰が言い出したわけでもないのにいきなり大ウェーブが始まった。いよいよ「南斗の星たち」が登場するといきなり観客総立ち、立て続けにヒット曲を連打し3番目はデビュー曲でいきなりハイテンションまで上り詰めた。仙台まで来て、江ノ島や烏帽子岩、昨日入った湘南海岸の映像を見るのも不思議な気分だった。

「会場のみなさん、まあまあ座ってくださいよ。今回はこの後ちょっとまったりしちゃいますからねー。それから後半一気に盛り上がって、その後またたらたら~っとね。後半の目玉は『R18指定』コーナー!未成年は退場いただくかもしれませんよ」桑田佳祐さんは病気休暇明けで紅白に出場した時からあのキャラは健在だったが、最初から変わらず暴走していた。5台並んだ中央を除く巨大スクリーンには曲のタイトルと歌詞がテロップで流れた。「このバンドの曲ってさー、メロディーはよく知っていてもちゃんと歌詞つけて歌えるヤツが少ないんだよなー」「日本語と英語の区別つかないからねえ」
10歳未満がちょろちょろ(親子連れ)、10代がパラパラ、20代はじぇじぇー、30代がうぉーっ、40代はどわわーっ、50代はごぉぉおおっ・・・ヴォーカルが「●代の人はいらっしゃいますかぁ?」という問いかけに対する拍手である。60代でポツポツ、70代で声を上げたスタンドに向けて大拍手が贈られた。

ステージは花火ありスモーク、ガスバーナーに放水ポンプ、会場は仕掛け花火に大量の風船、そして煌めくレーザービームと観客の腕にまいたLEDブレスレットが曲に合わせて色変化するという凝りようだ。チケット代が高かったが、その分えらい金かけてるなー。メンバーも50歳を過ぎているというのに、ドリフのコントそのまんまの演出、R18指定そのまんまの出し物なぞ、「このバンド、昔から変わらねえんだろなー」という場面満載だ。WOWWOWで放送すると言っていたが、コードに引っ掛らないんだろか・・・?!会場は同年代の者が多かったから何となく親近感がありいい歳にもなっているから「ルールを守り譲り合う」ところが結構あった。

  

あっという間に3時間半という時間が過ぎた。考えてみたらちゃんとしたコンサートなんて、震災後の「湘南からエール」を除けば約20年前のハウンドドッグ以来だ。見事だったのは公演終了後の移動のための交通誘導だ。広大な駐車場にバスを何十台(100台を超える?)ずらりと並べ、誘導員が的確に誘導して効率よく列を乗車させ次々と発車させている。道路の規制やコース設定もきっちりしているから、すれ違えなくて渋滞、ということもない。思ったよりスムーズに仙台駅に到着し、牛タンを堪能する時間を得たが、その後夜行バスの発車する0時15分まで、居酒屋などで時間を潰そうにも「南斗のコンサート帰りのお客様で一杯・・・」という店ばかりでどこにも入れない・・・もしかして地元の人よりも我々のように東京方面から来た客ばかりなんじゃないか?!強行軍だったが中々快適な夜行バスで朝の5時過ぎには東京駅到着。私は帰宅してからジムへ行って、母を竜泉寺へ連れて行き、台風接近のためよいうねりが入っている海へ行くつもりでいた。コンサート中、江ノ島をバックに波が打ち寄せる大スクリーンの映像を見て、うずうずしていたのだ。
妻とも話していたのだが、来年こそは地元茅ヶ崎で「南斗の星たち」ライブをレポートしたいものだ。


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