超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

ソフトファンボード新着、甘辛サーフデビューす。

2015-09-22 20:49:02 | スポーツ・健康
自分の倍くらいあるロングボードをチャリに装着して我が家の入口を通過しようとしたご近所の奥さんを見た時は衝撃的だった。「私はまだインサイド(波打ち際)でねー。『えのすい』の前でやってるんですが・・・楽しいですよ」ご主人は屋外に専用ラックを設け、長短何枚ものボードを並べるかなりのベテランで、「湘南でサーフィンするために引っ越しきた」というのは聞いたが、まさか奥さんまで染まるとは・・・?!「(この人にできてオレにできないはずがない!)」と妻にスクールだけ付き合ってくれるよう拝み倒し「MABO ROYAL」の門を叩いたのが10年前だった。波の状態がいつも似たりよったりなのと、そこそこ出来るとそこで進歩が止まってしいまう私の性質からか、波乗り10年目を迎えても我ながらそんなに上達したとは思えない。

奇しくも生シラス禁漁区間とほぼ同じ厳冬期を除くと週末天気が良ければ割と頻繁に海岸に出動する。レジェンドとは知らなかったマーボさんに無断でサインされた赤いボードを担いでスケパー前がいつものポイントである。波はいつもヒザ~モモくらいしかないが、たまに台風が接近したりすると素晴らしく綺麗で大きなウェーブがやってくる時がある。かなり沖に出なければならないし、人も多くてスピードが出ると危険だから乗れたことは少ないが、颯爽とテイクオフできた時は「これだよ、これ!この雄姿、誰か撮ってよ~!」と言いたくなる。多少の偏見もあるが一部の「世にサーファーと言われる人」の容貌や言動がどうも苦手で、仲間内で浮かぶ人々の中に入って行く気がせず、顔見知りと挨拶して言葉を交わすくらいで、波乗りするときはほとんど一人きりである。

妻は海辺を散歩したり、弁当を持って来たり、夏場は日焼けしにきたりもするが、本人がサーフィンすることは一番最初のスクールに付き合った以外ほとんどない。9フィートのボードを取りまわすのは女性ではちょっとしんどいし、多くの人が浮かぶ中で怪我やアクシデントが怖いらしい。「共通の趣味にできたらカッコいい」と今まで幾度となく誘ってみたが、ノッてきたことはほとんどない。基本は一人でするものだが、誰かとつるむとまた別の楽しみがある(別の煩わしさもあるが)かと思うが、私は常に一人で海に行き、長くて3時間もいると「今日はこれくらいにしておいてやろう」とさっさと帰り支度を初めてしまう。遠方からグループで来ている人はそれこそ1日中入っているようだ。

そして先日、息子甘辛が部活を引退して受験生モードに入った。と言っても、休みの日もだらだらゴロゴロしているだけで、全然緊張感がないし勉強のスイッチが入った様子も見られない。友達は真面目に受験勉強しているのか、一緒に遊びに出掛けることもない息子を見て「そうだ。コイツを引き込もう!」と思い付いた。むろん場所柄、子供さんがサーフィンする同年代などたくさんいるのだが、我が家は真逆なのである。そしてついでにもう一つ思い立ったのが10年ぶりに「サーフボード」を新調することである。実は今のロングボードを多少なりとも使いこなせるようになってから、もう少し短いファンボードというたぐいに興味を持っていた。ただ家族で私しかやらないのに2枚もボードを持っていては何となくもったいなく感じ、この機会に甘辛をダシにしてしまおうと考えたのである。(我ながらアザトい)

聞くと息子はこれだけ海辺に住んでいながら、パーフェクトなまでに「サッカー一筋」でここ数年、海岸にすら行ったことがないという。確かに土休日ほとんどオフのない部活生活では海に行く機会がなかったかもしれない。
「オレ、今度短めのファンボードを買うつもりなんだが、休みの日受験勉強の合間に海に行ってやらねえか?」(やってもいない「受験勉強」の合間と言ったのがミソ)
「海辺に住んでるし、部活引退した後の半年でサーフィンできるようにしておくと、あとあといいと思うんだが」(「あとあと」というのは暗に女子にモテそう、という意味を含ませている)
妻は「休みの日に父子でボードを担いで海に向かう姿そのものがカッコよくてよい」と思ったらしい。(でも購入費用は出してくれなかった)

ファンボードとはロングとショートの間くらいで7フィートくらいまでのボードを言うようだ。私自身が乗ったことがないのと、息子や妻が使用しても危なくないように「初心者」用のソフトボードを購入することにした。本格的なボードに比べると値段も安く、材質はボディボードのように柔らかく本格ボードに比べると「おもちゃ」みたいなものだが、その分軽くて持ち運びしやすいし、エントリーにはぴったりのようだった。私は今まで何度かサーフボードで怪我をしているが、大抵は波に揉まれた際に板の縁が激突するものだった。特に初心者の頃は「危ない!」と思った時にアクションを途中で止められないことが多く、よく打ち身を作ったものだ。ソフトボードは「キッズ用」もあるくらい、ぶつかっても怪我しないし最も危険なフィンもビニール製で安全そうだ。

以前、目をつけていたソフトボードのあった店で話を聞いたが、「大きなアクションやドルフィンスルー(波の下をくぐって沖合に出る動作)は難しいが浮力があるので、初心者には向いています。よくサーフィンスクールなどでも用意してるんですよ」「どんな種類があるんですか?」「大体6フィートから7フィートまで、9フィートというロング並みのものもありますが、取り回しが難しくてあまりお勧めできません。あまり短いと浮力が足りなくて乗れません。キッズ用だと体重制限みたいなのもあります」色々話を聞くことはできたが残念ながらその店で扱っていたソフトボードは売り切れてしまい、次に入荷するのは来年の夏らしい。(それじゃー意味がない)今回はお手軽系で行くつもりだったから、MABOのような本格ショップではなく、スポーツ用品店や「HARDOFF」のような中古品扱い店(さすが地元)を物色して回った。

大型連休には間に合わせたかったので、店頭品や入荷時期などを色々聞いて回ったあげく、結局は通販で購入することとした。これだけ色々と手に取って触ったから、現物を見なくてもイケるだろう。PCを前に「甘辛よ、お前のボード、これから買うが何色がいい?」「いきなり、オレのになってんのかよ?色なら青!」苦笑いしながらも満更でもなさそうだった。さすがAMAZON、注文してわずか3日で我が家に10年ぶりのニューボードが届いたのだった。会社から帰ると大きな長細い段ボールが玄関に所せましと立てかけてあった。私は早速中身を取り出してフィンを取り付け、腹這いになってテイクオフ時のボード幅や位置などを確認していたら、居てもたってもいられなくなり、翌朝早く起きて出社前に繰り出すことにした。

        

翌朝、苦も無く5時に起床しテレビをつけたら愕然とした。まさかの「津波注意報」発令だったのである。前日にチリで大地震が発生し、その津波が約1日かけて太平洋岸にやってくる可能性があると聞いていたので念のためニュースをつけたら、気象庁が午前3時頃に津波注意報を発令していて、耳をすますと防災放送がスピーカーから流れていたのだ。「浜辺や港湾エリアに様子を見に行かないでください。」まるで私の行動を見透かされているかのような報道だ。さすがにこれでは海に近寄るわけにはいかない・・・その日、用事があって早く帰宅したので夕方、新サーフボードを持って恐る恐る海岸に向かうと驚いたことに洋上にはサーファー一人おらず、たぶん初めて見る無人の海岸だった。。。サーフビレッジには中型の消防車が赤いサイレンだけ回してこちらに向かって移動中だった。実は注意報が解除されて撤収するところだったので、そのまま入っても咎められることはなかったのだが、どうにも薄気味悪く、その日の試運転は断念した。

翌日の早朝、いつものところで真新しいソフトボードを抱えて海に飛び込んだが、やはりどうも勝手が違う。。。ロングボードより約60cm短いから、パドリングするとノーズがすぐ目の前にきてしまい、安定してボードが滑り出さない。テイクオフのタイミングもだいぶ異なるようだ。「浮力があるので初心者にもすぐに乗れます」という売り込みだったが、2時間近く格闘してちゃんと乗れたのは台風接近中の強いスープにわずかに数回だった。その日はグンマの時のジローくんが久々に集めてくれた若者達とサーフビレッジでビーチバレーを行う予定になっていた。今回は我が家を打ち上げ会場に提供することはできなかったが、いつものようにサーフィン体験をさせてあげられるよう、ボードを持参してコートに行くことになっていた。今回は自分も練習したいことがあり新登場のソフトファンボードにしたかったが、1年に数回だけ若者相手にカッコつけられるこの集いでレクチャーする本人がまともに乗れないのでは具合が悪い・・・

  

迷った末に何とママチャリに装着するボードキャリーのバンドの長さを2倍に増して元々あったロングボードと2枚とも持参することにした。タイヤはぺしゃんこになり、ハンドルが動かなくなってしまい、実カーブが曲がれないので何度も転倒の危機に見舞われたが、ゆっくり歩くように進んでようやく会場までたどり着いた。しばらく皆とビーチバレーを楽しんだ後、サーフィン体験希望者を連れ2枚のボードを持って海岸へ歩いた。台風20号の影響でかなり強いうねるが入っており、朝方は比較的綺麗な波面だったのだが午後になるとかなりざわついてスープ(崩れて岸に向かう波)ばかりになっている。強い潮の流れと所々掘れてしまっている海底に苦戦しながらもスープに押されてきれいに長くライドできた人もいて喜んでくれた。

さて、いよいよ甘辛のデビュー戦である。PICでお土産に購入したお揃いのラッシュガードで、だいぶ波も落ち着いてきた湘南海岸に向かった。私自身もいまいちテイクオフのタイミングとパドルパワーの加減が分からないまま、二人で奮闘を繰り返したのだった。連休中、私と再び始めた数Ⅲの勉強に合間に合わせ、妻に弁当を作ってもらって再びホームショアへ出陣、波はさらにスモールコンディションとなっていたが、私のフォローがあればかなりの確率で甘辛はテイクオフできるようになってきた。タイミングの難しいのを痛感するソフトファンボードだが、さすが現役の運動部高校生である。ちょっと寒い空だったが、いつもの浜辺にシートを広げ濡れた服を乾かしながら妻の弁当を平らげた。。。。もう少しで彼も一人でテイクオフできるようになるだろう。そうすれば私もいつものロングボードを抱えて海に向かうことになろう。

進学先の決まるまでのいわゆる受験生期間の数か月、休みの日はこうして少しだけ息抜きに息子と海に繰り出すとしよう。ただ一つ心配なのは、あまりにものめり込み過ぎて肝心の本業を忘れ去ってしまうことだ。やってみれば分かるが、そこそこマスターすると傍から見ていてもかなりカッコよく、女子にモテるネタとしてはかなり上級をいく嗜みだからである。無謀とも思えるが、私は中学生の時のように受験勉強の一部を一緒にやることにした。海に行くのはあくまでそれが一段落した時である。今のうちは息子甘辛はそれこそ上達が早くそれこそ満更でないように見えるが、いずれそんな時間は一分たりともさけない時が来るかもしれない。うんと先は分からぬが、受験勉強もサーフィンも息子と一緒に行うのは今が最初で最後かもしれない。ウルトラ同様、親子三代で打ち込む日を夢見て、この数か月でマスターしてもらおうと思う。


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