超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

高濃度という名の魔力

2016-11-17 21:40:35 | スポーツ・健康
世の中には色々な「身体によい」とされるサプリメントが出回っており、ものすごい市場規模になっていると思う。少年期の甘辛も飲んだが筋繊維を太くしたければホエイプロテイン、頭の働きを良くしたければDHA(ドコサヘキサエン酸)、脂肪を燃焼させたければ一昔はl-カルニチン、αリポ酸、カプサイシン、疲労回復のためならオルニチン、コエンザイムQ10など、さらに何に良いのかイマイチだが良さそうな気のする「ポリフェノール」「ラクトフェリン」・・・数えきれないほどの「それらしい横文字」の成分が並び、どれを取っても何となく「効きそうな気」がする。私も同類で「プロボクサーが減量に使用」とか、有名人が「集中力を高めるために毎日摂取」などと見るとふらふらと近寄ってしまい、数えきれないほど「やられて」きた。古来から身体によいと言われる和名のもの「朝鮮人参」とか「薬用養命酒」などというお馴染みのものよりも耳慣れない横文字の方が効きそうな気がするものだ。むろん私もその一人だ。

面白いことにお気に入りの「脳科学」の著書にこの現象のことが載っていた。年バレしてしまうが、CMを覚えている人も多いだろう「ジンクピリチオン」である。シャンプーのベストセラー商品だが、CMの「ジンクピリチオン配合」という言葉に消費者が飛付いた現象だというのだ。「ジンク」というのはZnつまり亜鉛のことだと思うが、その先の物質は何のことなのかさっぱり知らない。恐らく一体何なのか知っている消費者はまずいないのではなかろうか?にもかかわらず「おぉ!これはよさそうだ!」と思い込ませてしまうのが「ジンクピリチオン効果」だそうなのである。某大学の教授が命名しちゃんと言うと「言葉は、その意味するところとは別に、その音感と新規性に由来する『衝撃力』を持つ場合があり、そのような「爆発性言語」の精神活動への影響力を「ジンクピリチオン効果」とされたのである。オリジナルの論文には他にセラチオペプチターゼ配合、デュラムセモリナ100%、あらびきネルドリップ方式などが挙げられているらしい。「三段逆スライド方式」などもこれに入るのではなかろうか?

「ジンクピリチオン効果」に加え自身の経験からさらに私風に論理展開しようと思う。言葉の響きと共に私のように「その気になりやすい?」人間が魔法のように「やられてしまう」要素として、「高濃度」という頭言葉があると思うのだ。前述の「名前だけすごそうで、実際何なのか誰もしらない」成分を含む製品はほぼ全てが「高濃度」で配合されていることに気付いた。ホエイプロテインはズバリ100%配合、DHAなら1粒●●mg含有、カカオ含有72%、タウリン1000mg配合、「●ントリー史上最高濃度の魚油」などよく見ると実際どれくらい「濃い」のか全然分からぬものも多いが、いかにも「たくさん配合されている」ように聞こえるのである。そこで昔からある栄養素をたくさん含む実際の食品に換算して実感を沸かせる商品があった。典型例は●Cレモンにある「レモン50個分のビタミンC」、50億個のビフィズス菌、しじみ300個分のオルチニン、3粒で納豆2パック分のナットウキナーゼ・・・恥ずかしながらどれも漏らさず「やられて」きた。(ホントはちゃんと効果が出ているのかもしれないが)

そもそもよく考えるとビタミンCの塊ではないと思うが、レモン50個、しじみ300個も一辺に食べたらどう考えてもお腹を壊すに決まっている。50億というとすごい数に思えるが、悪玉菌に対して「焼石に水」なのか「夏の陣で大阪城を取り巻く」状態なのか、細菌の数などどのように効いてくるのか見当もつかない。逆に納豆2パック分というのが微妙で毎日は無理でも1日おきならばできないことはない、1ヶ月のサプリメントが約4000円だったから普通に食べるのとそれほど大きな差分がない。医療関係の知人によると、「身体に必要な栄養素は自然の食物から摂らなければならない。サプリメントなどで簡易に摂取すると身体が食物から『取り入れる』吸収力が減退してしまう」という。私は彼の主張に同意しなおかつこれを発展させ「たまには毒素を身体に取り入れることも必要だ。ヌルい安全な食物だけでは元々備わっている解毒・分解力が衰える」とも考えている。

さて「身体によい」という概念の解釈は年齢とともに変遷してくる。若い頃は(あんまり若くなくても完全体であれば)筋肉・持久力増進、ちょっとカロリーオーバーと不摂生が祟りメタボ気味になると決まってダイエット、そして中年に差し掛かり疲れが取れにくくなってくると滋養強壮・疲労回復、そして私の場合は高血圧対症である。ひと時流行った「●る●る大辞典」でも色々な食物(納豆が有名だが)が紹介されていたが、とどのつまりは「自然界の食物全てこれ何らかの効能あり」ということだったろう。そしてそれらの食物に多く含まれる「変な響きの横文字」成分を「高濃度」で含有するサプリに「やられ」続けているわけである。高濃度という言葉の罪悪が大きいのは何とそれが食物に限らないところである。母親を連れだってほぼ毎週末早朝に通っている日帰り天然温泉「竜泉寺の湯」の一番の目玉は「高濃度炭酸泉」、ちょっと温めの湯に浸かると身体の表面に「ショワショワ」と気泡が付着するのでいかにも「高濃度の炭酸」が効くような気がする。

そして我が職場の大番頭「ドグ」の一言が発端でついに私は禁断?の魔物に手を出してしまった。。。「高濃度水素水」である。「水素水って今流行ってて、結構いいんですよ。ウチではカミさんがハマってしまい、サーバー買っちゃいました」「へーえ、ただの水素が入ってる水?そんなの何に効くんですか?」「酒をしたり激しい運動したりすると活性酸素が身体を傷めるというでしょ?水素がその酸素と反応して無害な水にしてくれるようなんです」「ぎゃーっはっはは!ドクさん、そんなのホントに信じてんの?カラダの中で水素と酸素が反応して水が生成?そんなの絶対『やられ』てますって。爆発するようなもんでしょ?」「でもねえ、結構調子いいんですよ。。。疲れも取れやすいし」これまで数多くの高密度な栄養サプリに「やられて」きた私は当初からハナで笑っていた。しかしこれまでの「ジンクピリチオン効果」を狙った健康成分とは全く逆の発想だ。水素なんて誰でも知っている自然界最小の物質でどう考えても、それ自体は何の効能ももたらしそうもないが、ネットで色々調べるとどうやら「活性酸素と結合して無害化する」というのはホントの現象らしい。

成分名の奇抜さに惹かれるのとは反対に誰でも知っている単純な元素なだけに効能が謳われるとやけに説得力があり、私はいつもの通りみるみるその気になってしまった。タイミングがいいのか悪いのか、通っているスポーツクラブでは「期間限定!水素水オプション会員」キャンペーン中だった。「業界第一位の高濃度水素水!10月中に登録すれば2ヶ月間使用料は無料」というポスターにふらふらと受付に行き「あのーぅ、、水素水オプションを登録してもサーバー使えるのは施設利用時間だけですか?」私は平日の夜だけ利用できる「安い」会員種別だから水素水を取得できる回数が限られるとあまりお得な気がしない。しかしいつもの受付のお姉さんは「大丈夫ですよ磯辺さん、水素水だけならいつでもご利用できますよ。会社前に容器に入れていく会員様も結構いらっしゃるんですよ」私は即決、手続きに踏み切った。買うと1600円もする専用の特殊容器をもらって早速使い方を教わったのである。水素は一番軽い分子であるだけに水に溶け込んでも空気中にどんどん逃げて行ってしまうので、飲むたびに口を開けても真空に近い状態を維持できる特殊な容器が必要というのである。

    

ドグによると活性酸素を中和する効果の出るのは1.0ppm以上の濃度が必要だが、この最新のサーバで得られる水素水の濃度は何と2倍以上の2.5ppm!業界最高と言われる所以である。ちなみに彼の家庭用サーバーは1.5ppm以上、市販のボトルの濃度は0.6~0.8ppm程度であまり果は期待できないそうだ。その気になると山本リンダさん風に「どうにも止まらない」私は、早速早朝から出勤前にスポーツクラブに立ち寄り、専用容器と金属ボトル2杯分の水素水を毎日マメに汲み取っていた。金属ボトルは通勤列車内で飲み、専用容器はデスクに置いてちびちびとやるのである。今は会議においてもペットボトル持参の出席者が多いので私は堂々と「H2Bag」と書かれた容器をテーブル上に置いている。(時々怪訝な顔をされることもある)

  

業界一番の「高濃度」と言えども所詮は分子量最小の水素である。珍しく納得して気長に効果を待つことにしていた。ネット上でも実は賛否所説あったが、あまり気にはならなかった。ジンクピリチオンとは逆に馴染みの深い元素だからだろう。ある日の昼休み、水素水についての効能についてサイトを眺めていると「活性酸素の中和効果」について記述があった。これによると「人間が1日に取り入れる酸素はおよそ500リットル以上、その2%が活性酸素として体内に生成される・・・」すなわち10リットルである。これを見た私は電撃的に机から紙と鉛筆と電卓を出して、「ガリレオ」の○山雅治のように数式を書きだし始めた。単なる掛け算割り算だけど・・・

物理化学を選択した者なら習ったが標準気体(25℃1気圧)1モルの体積はどれも24.8.L、つまり10リットルの活性酸素が気体と仮定すると10/24.8×6.02E-23(アボガドロ数)個の分子が細胞内にあるはずである。一方、水素水サーバのパンフレットには200mlの水素水には1.9兆の1000万倍の水素分子が含まれるとされている。平均濃度1.9ppmという数値から検算すると概ね正しいと思われる(当たり前か!)。酸素分子1個中和(水を生成する)のに水素分子2個必要だから、1リットルの水素水を飲んで中和できる活性酸素分子は概ね0.2%ということになる。活性酸素は過剰になるとよくないが、殺菌など身体に必要なものでもあるから、この数値というのはまあまあ「やられてはいない」と思われる。(どこかに落とし穴があるかもしれないけど)実は私がこの水素サプリに期待するのは活性酸素の中和そのものではなく、不足しがちになる水の補給を大事に考えるようになることである。

  

ついでに言うなら汗に含まれる塩分は汗のでる要因にもよるようだが、概ね0.7%程度、つまり1リットルの汗を流すと7gの塩分が排出されるので、これを水素水で補給すれば活性酸素中和に加え塩分排出といういかにも私好みの「一石二鳥」作戦が成立するわけだ。思い起せば活性酸素は激しい運動、痛飲、紫外線、食品添加物など毒素により多く発生すると言われており、こう聞くとまさしく私の体内は活性酸素生成工場のようなものである。ジムで運動中に水素水、波乗りの休憩で水素水、おやつや飲み会でもマメに水素水を補給・・・待てよ、飲む時にそもそも水素水で割ればいいじゃんか。。。とすると焼酎や日本酒では味気ないし炭酸は無理だから、やっぱりウィスキーがバーボンか。明らかに「違うだろ!」と裏拳で突っ込まれそうだが、一応念のために実証実験のみやってみるとするか。


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