超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

なりたきもの

2014-04-16 22:13:10 | ヒーロー
仲良しのKちゃんの進学も決まり(極秘の勧誘は功を奏さなかったが)学校の新学期も始まって、息子甘辛は2年生に進級した。彼の通う高校のシステムで、2年生からはいくつかあるサイエンス分野を選択し、ある程度専門的なことも学ぶのだそうだ。高校課程で習得する教科項目とそうは変わらぬらしいが、早いところはもう「大学受験勉強向けて」などというベタな普通高校に比べると単科大学のようなところもあり、卒業にあたっては卒業研究のような課題もある。5つあるサイエンス分野で甘辛は「エレクトロニクス・エネルギー・通信」(電気電子)という分野に進むのだそうだ。私の事業分野に比較的近いがもちろん、それを意識して高い志を持って選んだわけではない。何となく決まってしまっていたのである。でも新学期早々、保護者会があり進学や進路について色々説明されるという。(まあ、大体受験に関する話題なのは普通校と変わらないらしい)

S(Super)S(Science)H(High School)だから文学部へ進学することはないだろうが(本人は「オレは文系」と叫んでいる)、分野は何でもよいから大学で学問を修めてほしいと思う。昔のように学歴や就職の準備という意味合いとはだいぶ異なる。明治時代の書生のように寝食を忘れ頭が破裂するほど「激しく」勉強して欲しいのである。それが将来の就業に向けた糧になるかどうかはあまり関係ない。いつかルーキーズにも訓話したことがあるが、一般的な会社員になって「仕事」を始めるとこれまで学んできた学問など正直ほとんど役に立つことはない。「更地になった方がいいよ」と申し上げてきた。会社に入って一度も使うことのなかった「エントロピー増大法則」をなぜシャカリキになって学ぶのか。「知性を花開かせる」ためだと思うことにしている。

以前流行った「地頭力」という本には知性(という表現でいいのかな)には3つの平面があると書かれていた。一つは「試験勉強面」で、これは一般的な知識・教養にあたり名称がよいかどうかは分からないが、高等教育を修了するまではこの分野ばかり励んでいると言ってよい。2つ目が「人間関係面」、昔も今も日本の会社員が重視する人付き合いなどコミュニケーションの分野である。3つ目の「地頭面」とは論理的な思考力、推理力などと言われ「フェルミ推定」などがよく登場する。金田一少年や将棋の羽生さんのような人々である。(あんまり例になってないか?!)大抵の本は「・・・だからこれからのビジネスマンは地頭力が大事」と結んでいる。知識や教養をただ持っているだけでなく、これらを応用・駆使して自ら問題を見つけ出し解決せよ、と言うのだろう。これに異存はないが、たぶん3つの分野は独立している面ではなく、密接に関係していると思われるのだ。3つ目の地頭力の背景には多分に本や勉強で習う知識・教養を死ぬほど頭に詰め込んだ結果、花開いた知識水準がベースになっているはずだし、「空気読むのが異常に巧みなヤツ」というのも地頭がよい部類に入ると思う。

さて息子はサッカー選手になる又はサッカーやスポーツに関わる職業につくことも考えているようだが、とにかく人間の一生で他の事を気にせずにこれほど「激しく」勉強できるのは20歳前後の5,6年だから(知性が花開きやすいのもそのあたりだと思う)、なんでもよいから打ち込んでほしいものだ。STAP細胞なんかいいんじゃないか・・・
ちなみに脳はアウトプットにより活性化し、知識を引出しに固定するものだそうだ。理系ならばバンバン論文を書いて発表すればよい(捏造はいかんがね)。日本の大学だと入るばかりが大変で入学後遊ぶヤツが多いから、海外の荒波で修業することもお薦めだ。昔のように官費留学なんかしてくれたらありがたいんだがなー。

さて好きなことを見つけ好きなだけ勉強して学問を修めた後、社会人としてどんな職業に就くか・・・我が家系なのか血筋なのか、周囲の身近な人にも哀れなほど計画性が見られない。父は会社員だったが「家と会社を往復するだけでよし」とする人だったし、私が修学を終えるまでは何やら企てはあったようだが、その後の進路に興味は示さなかった。私自身に関して全てに一貫して共通しているのは「何となく」である。高校は自分の成績と周囲の雰囲気で「何となく」行けそうなところに進学を決めた。そこは進学校だったから、しっかりしたクラスメイトにはさらに進学すべき大学、学部を早々と決め、その受験科目の勉強だけをひたすら積み上げているヤツもいたし、進学後に留学するためにTOEFLに精を出している者もいた。どんな場面でも早く目標を立てて邁進する者に事は有利に運ぶものだ。

私は「オレは理系かなー」くらいしか考えておらず、具体的行先も3年まで考えたこともなかったが、教科項目についてはどういうわけか「これは受験に不要だから赤点でなければ捨ててよし」ということができず、推薦を意図していたわけでもないのに文系科目も一通り真面目に勉強していた(えらい!)。9月末に名物の体育祭が終わった後は確かに「死ぬほど」受験勉強したが、当時は浪人して志望校を狙う者が半数以上もおりあまり危機感はなかったものだ現役生の時は。「1年がかりでどこか入れればいいか」と何となく知っているいくつかの大学を受験し、運よく入れたところがあったのでそのまま進学した。ただ、短期間であまりに頭に詰め込み過ぎたために受験終了後「燃え尽き症候群」のようになってしまい、加えて教養課程とは「さすがにここまでの教養はいらんだろ」と言えるものばかりだったので急速に学修意欲が低下してしまい、前半の3年くらいはそれまでの半分も学問に勤しむことがなかった。今、思い返すとこれがこれまで最大の痛恨事である。先に書いた「人生やり直しの旅」があるなら、唯一この時代に戻りたい。

卒業年次になって研究室に所属し、割烹着ではないが白衣(というよりツナギが多かった)に身を包んで実験、考察、発表など繰り返しているうちに面白くなり、周囲の進学率も異常に高かったこともあってこれまた「何となく」もう2年、学校に居座ることにしてしまった。後半3年間は「既往研究を調査し」「実験計画を練り」「データに埋もれ」「論文を執筆し」「種々のセミナー、学会で発表」している中でもたくさんの本を読み、外国を旅行し、(バブル期だから)あらゆるレジャー・スポーツに手を出し・・・文字通り「知性の開花した」期間だったと思う。やがて就労すべき時期が近づくと「学校に残る」という選択肢も打診されたが、これまた「何となく」今の会社の一員になることを選んでしまったのである。大きなグループ企業なので就業後も色々な分野で仕事はできるとは思ったのだが、学生時代に勤しんだ研究開発とはおよそ無縁なのも「何となく」分かっていた。

生まれてここまでが約四半世紀、この後同じくらい会社員の身分にあったが、大きなプロジェクトにも、社を挙げての新組織立ち上げにも、海外での専門教育みたいなプログラムも「ぜひぜひ拙者を・・・」と推挙することもなく、言われてやってきたことばかりである。このように正直「ぼーっと」してるうちに気が付いたら「何となく」今に至ってしまったから、若い頃から具体的目標や自分の将来ビジョンを持ち、途中紆余曲折があっても走り続けている人、またその境地に立ってしまっている人を見るとすごく憧れる。テレビや各界の有名人などはいざ知らず、今まで出会った人にこのような人は数えるくらしかいない。別に「挫折」しているわけではないのだが、自分の将来の姿は口にした通りにはならぬものである。中高の時に将来なりたいものとして「教壇に立つ」と言った人、法科を卒業して大手商事に就職したがさらに専門の教育を受け弁護士になった人、「弁理士を目指す」と言った学友は残念ながら大学院に進学できず、一旦大手企業に就職したが、特許事務所で一から修業し直し何度も国家試験に挑戦して先日自分の事務所を開所した。あと数人いるが、これら「言ったことを実現してみせる人」の生き様は実に素晴らしいと尊敬する。

ちなみに私が幼稚園の時に発表した夢は「サラリーマンになって大船駅のホームで立ち食いソバを食う」というものだった。むろん高校時代にあっけなく実現した。中学生になっても将来の道はただのサラリーマン(何をする職業かよくわかっていなかった)、高校生の時は漠然と科学者だった。修学期間を終える時(極めて広く定義すれば)たぶんなろうと思えばそれっぽいモノにはなれたがその道を選ばなかった。息子甘辛には「子供の頃なりたいと言っていたモノにホントになって見せる人が一番カッコいい。そうなるには早めに決めるほど有利だ。それとはあまり関係なくてもいいから、二十歳くらいまでは『激しく』学問を学べ」と常々言ってきた。だがなー、どうも「ぼーっと」していて、私に似て「何となく」ということが多い。高校進学からしてその片鱗を表してきた。私がかつて憧れた「生き様」にはほど遠く、何となく「結果オーライね」という進路になるような気がするのである。

おまけ
今週末あたりが最高らしい。仙台榴ヶ岡公園のしだれ桜である。さすが牛タンの露天が立ち並んでいるぞ。「サクラサク」

      


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4 コメント

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Unknown (小夏)
2014-04-17 10:13:22
なんてスバラシイ桜なんでしょう見たこともないです!すているのもまたいいですね^^

師匠、昨日同じようなこと考えていたのでビックリ!
まずは甘辛君の進級おめでとうございます!そうですね~、彼は親も驚く「結果オーライね」なのかもしれませんね~^^
そうそう、考えていたっていうのは、いとこが師匠世代で金八影響で教師になったのですが、次の世代である子が合格し、この春その道に進み始めました。なんかこれ、以前金八先生のこと書かれていた師匠にお伝えしたくってね~^^
それともう一つ、甘辛君そろそろアメリカの大学見に行ってもいい頃かもね~、K師匠のところご訪問したりして~~なんて妄想しちゃったの。木の芽時の悪い妄想癖でした~エヘヘ

そうそう、師匠の歴史の中に、新入社員代表というのも入っていると思いま~~~す

追伸)
大学に残る選択もお有りだったのですね!知らなかった~!!
私は女子大でしたので、NHKの朝ドラ見て、大学に残ったお笑いの子がやっている上級生さん、まさにあんな方がいたので笑えます~~^^
Unknown (小夏)
2014-04-17 10:15:13
あ、抜けていました。
子が合格したのは、教育大でした^^
Unknown (磯辺太郎)
2014-04-18 16:32:50
小夏さま

東京では桜は散ってしまいましたが、仙台は今がまさに最盛期のようですね。それもこの公園はしだれ桜で有名なようで、たくさんのグループがブルーシートで陣取っていました。

師匠、息子の進級にお祝いの言葉ありがとうございます。彼も最近何かと「結果オーライ」臭がしています。テレビの影響で教師などを目指す人結構いるようですねえ。親子で教師の道というのもいいですね。

K師匠にぜひ弟子入りしてほしいところですが、今のところ渡米の予定はないようです。お薦めはデンバーですかねえ。
ははは。私の歴史にあるのは「次年度新入社員入社式」の総合司会であります。

修士論文を片付けたあと、指導教官(小保方さんにもいましたね)からさらに進まないか、打診されたことはあったんです。ただその頃にはいかにも「狭い世界」に見えて、回遊魚系の私はずーっと研究に捧げる気にならなかったのです。もし残ったら相当な「ヘタレ学者」になっていたことでしょう。(遠い目)
そう言えば朝ドラ、師匠の好きな「アン」の話のようですねー。
Unknown (磯辺太郎)
2014-04-18 16:56:17
小夏さま

教育大というからには「教師」を目指す人が入るんでしょうねえ。しかし不思議なことに私の知っている「教師」の中にはいわゆる「教育大」出身の人っていないんですよ。
大変な職業なので今やなろうとする人が減っているのかな。

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