超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

怪獣のユートピア

2015-01-21 09:21:39 | ホビー
ウルトラな話題が続くが、私にとっては「待ちに待った日」というところだった。昨年3月にこれまで極秘営業(設定上ね)していたところを公に開店、1年間限定で営業するとバルタン店長が宣言した「怪獣酒場」である。初代ウルトラマンに「怪獣墓場」という話があった。これまでウルトラマンと戦って倒されてしまった怪獣・宇宙人が眠るゾーンがあり、ここに眠るシーボーズという亡霊怪獣(というと世にも恐ろしいタイトルだが実際はかなり癒し系である)が地上に落ちてきてしまう話だ。店名はこれに因んでいると思われ、表向きは「ヒーローたちに時に健闘し、時にこてんぱんにされるウルトラ怪獣たちが、夜な夜な憂さを晴らし、気力を養って、明日への新たな悪巧みをするところ」ということになっている。予想はしていたが開店から数か月、ものすごい人気でウルトラファンが押し掛け、何度か息子甘辛と偵察に行ったが、数十名が入店待ちで行列を作っていた。前職場にも大ファンが多く、「いつか行こう」と言っていながら転勤してしまった。。。

  

5名以上集めないと席の予約ができなかったが、年の瀬も迫った11月特別メニュー付が2名限定でネット予約できるようになり、好評で3月まで延長されたようだったので最初は学校帰りの甘辛と合流するつもりだったが、部活や塾が忙しく中々予約の空いている時と合わないので、まずは妻に付き合ってもらうことにした。何せ2015年3月までの期間限定店舗だから、甘辛には悪いがまずは一度行っておかないと気になってしょうがない・・・おっさんばかりかと思えば実は「可愛い怪獣が多い」と女性ファンも多いのである。ただし妻は私と甘辛の会話に一部はついて来れるほどだから、単なる「可愛い」と喜ぶよりはコアなファンに近い。職場の近くで外来の診察を受けるため、早退する時に合わせて川崎駅に向かった。

  

店舗の外壁はいきなりウルトラ怪獣が彫り込んである。入口には等身大(ただし人間サイズ)の宇宙恐竜ゼットンがお待ちかねだ。予約を告げるといきなり店員の女性が「当店は地球防衛隊員の方とヒーローに変身できる能力のある方の入店を固くお断りしています。一般人に化けた隊員やヒーローを見分けるため、そちらの口へ手を入れていただけますか?」振り向くとローマにある「真実の口」みたいなモニュメントがあるが、顔は「ジャミラ」である。伝説通りだとバレた時には抜けなくなるようだが、私と妻が順番に手を入れるとそれぞれ異なる怪獣の鳴き声がした。「オレはゴモラ、彼女はジャミラ本人だけどOK?」(このネクタイが目に入らんのかね)的な目線でここ一番、勝負どころで使うダダネクタイをヒラヒラさせた。(この人達、タダ者ではない)的な顔しつつ店員は奥の席に案内してくれた。

  

「わー、すげー」など店内で騒いではハシタナイので、キョロキョロせずにすらーり歩いていたが、実は心臓が爆発しそうに興奮していた。店内は怪獣フィギュアを眺めながら杯を傾ける「怪獣エリア」、これまで登場した宇宙人や円盤がモチーフになっていてシートなどにこ憎らしく演出されている「宇宙人エリア」、怪獣の屏風にウルトラシリーズのVTR画面、「宇宙征服」の掛け軸のかかった小上がり座敷の「怪獣無法地帯」、我々が案内されたのは宇宙人たちが過去に失敗した侵略作戦を振り返り、リベンジを企てている2人がけの個室「作戦計画室」である。他に怪獣たちがウルトラ戦士の技や能力、地球防衛軍の超兵器などを研究している「光の国/地球戦力研究室」があるようだが、残念ながら足は運ばなかった。(防衛軍のメカニックが多数あり、ホントはここをじっくり見たかった・・・)
我々の個室には「密談中」という暖簾がかかっており、個室ごとに歴代の(どちらかというとマイナーな)宇宙人の胸像とこれまで失敗した侵略作戦の戦略分析などが記事にされている。さすがの妻も「カナン星人」までは知らなかったらしく、私は父が息子を見るような目で妻に「北へ還れ」のあらましを語った。

      

しばらくすると上半身宇宙人模様の(そんなの着なくてもよいくらい)個性的な顔をした店員が「密談中失礼します。本日はようこそ怪獣酒場にいらっしゃいました。お通しとして箸置きは記念にお持ち帰りください。またご注文の品をお持ちするごとに特製コースターを差し上げます。お飲物は何になさいますか?」まずは生ビールを注文するとすぐにまた「密談中失礼します」と運んできた。予想通りの怪獣ジョッキだ。(このシリーズとさらに新しいシリーズは全種我が家に揃っている。ウルフェスで「大人買い」したものである。
「このシャツは販売してないんですか?」妻が店員の着るシャツを指差した。「いやー、ごめんなさい。これは地球人には販売していないんです」私はにっこり笑って自分の胸を指差した。「うおぉーっ、ダダじゃないですか!素晴らしいです」
「あのーぅ、店内で写真撮ってもいいですか?」「どうぞ、どうぞ!お好きなだけお撮りください。向こうに限定商品もありますからぜひご覧になってください」

           

しばらくして最初に運ばれたメニューが「禁じられた言葉サラダ」である。昆布の塩分と白菜の甘みがからまり、ヨーグルトの入った特製ドレッシングに妻が感心していた。この皿には仕掛けがあり、全部食べ終わるとメフィラス星人からの質問が現れる。これが地球人が口にしてはいけない=「禁じられた言葉」なのである。次に登場するのが「ウルトラセブンを解析せよ!」本編では松坂慶子さんの体内で暴れ回った宇宙細菌だリーになってセブンを調べ尽くそうというものだ。セブンの頭をカパっと開けると中身は特製スパイスが効いたモツ煮込みで温泉玉子が味をまろやかにしている。カレー風味のところを妻が褒めていたが、「頭の中」がモツ煮込みというのはちょっとグロいかも・・・室内を見渡すと何やら侵略失敗の分析記事などが掲示されているぞ。

    

一杯飲んでワインカラフェを空け人心地すると妻はIXYを持って店内を偵察に出かけて行った。これだけでも結構すごいが店内各エリアの様子や販売店の限定グッズなどたくさん撮ってきたようだ。特に店員の身に着けているTシャツが気に入ったらしく、しきりに「売ってないのか?」聞いていた。店内に格子が入った小部屋があり、中にはどういう取り合わせかノーバとケムール人が見える。中に入ろうとドアノブに手をかけると「エースよ、お前には関係ないことだ。帰れ!」とどやされてしまう。私は妻が店内偵察をしている間(まさか二人で席を空にするわけにもいかぬので)壁の向こう側にある「怪獣無法地帯」に流れているVTRを音だけで識別しようとしていた。ざわついていてセリフまでは聞こえないが、怪獣の鳴き声とBGMを注意深く聞いていると・・・なーんだ「怪獣無法地帯」そのものじゃないか。。。レッドキングの鳴き声ですぐに分かった。「向こうの店員用のスペースにチブル星人がいた」とIXY片手に妻が戻ってきた時には店内は満席になっていた。

      

ハサミに盛られた「バルタン星人のおもてなし」は中にも同じハサミを持つカニのピラフだ。カニの身やカニみそなども入ってスパイシーで濃厚な味付けになっている。店員曰く「おそらくこれはバルタンの右手だと思います」
そして最後に登場するのが夢にまで見た「グドンのおススメ!ツインテールフライ」である。帰マンの「二大怪獣東京を襲撃」に登場した古代怪獣で怖い顔をして手が鞭になっているのがグドン、逆立ちして愛嬌ある顔をしているのがツインテールだ。普通は女子の髪型を指すようだが、私にとってはこのおとぼけ怪獣しか浮かばない。実はグドンの大好物でその肉は海老の味に似ているというのが、ウルトラファンなら誰でも(妻でも)知っている定説だ。大きなエビが2尾ならんでベーコン巻フライになっており、力強い歯ごたえがあり素晴らしく香ばしいが、さらに盛られた姿が何となく愛らしく、背中にナイフを入れるのがどうも忍びない・・・

    

「向かいの『ナックル星人』の個室に男が一人で入ってるぞ。何やってるのかな」考えてみるとおかしな話ではない。彼は個室に備え付けられた「ウルトラマン画報」に目を通し、店員とレアっぽい(常連なのかな)トークを楽しんだ後、30分くらいで個室を出て行った。さっきから「ノンマルトに似ていると言われたことありませんか?」と聞きたくてうずうずしている例の個性的な店員が皿を下げにやってきて「うぉーっ、『地球をあなたにあげる?』と問われて『YES』ですと!我々は今、地球人にアンケートをとっているところなんですが・・・」「この店のファンなら当然ですよ」あっという間に2時間の制限が終わってしまい、名残惜しく帰り支度をして個室を後にした。ちなみに店員待機用スペースにいたのはチブル星人ではなく「姿なき挑戦者」のクール星人だったが、「チブル」という名前が出てきただけでも妻が相当レベルまで達していることがわかり、感慨深いものがあった。

  

売店で見る限定グッズのオンパレードを目の当りにし手当り次第にカゴに入れたい衝動にかられたが選り分けて、一応塾で勉強するためにここに来られなかった息子甘辛のために妻は「ペスターのえんがわ揚げ」(揚げ塩&いかフライ)、ゴモラの皮(おしゃぶりいか)、グビラのひれ(焼えいひれ)に加え、ツインテールの切身煎餅(えびせん)を4種類購入(全部酒のつまみじゃん!)、怪獣酒場の手ぬぐい、そしてこれだけは外せない「メトロン星人の赤い結晶体」である。帰宅してから再び怪獣酒場のホームページを見ていた妻が「店の中に『人間標本』があったの気が付いた?あと、店員の着てたTシャツ翌日から売りに出てるじゃんよ。残念・・・」間違いなく3月に閉店してしまう(期間延長があるような気がするが)前にもう何度かは足を運ぶことになろう。

       

実は興奮の上撮った写真を某SNSサイトに投稿したところ、同級生の女子が初詣の帰りに寄ったらしいのである。それが同サイトに掲載されたのでコメントを見ていると意外にも行きたがる女子ファンが多くてびっくり!世代的には同じだから小さい時にウルトラマンや仮面ライダーで遊んだ女子はたくさんいるようなのだ。悲劇のジャミラや癒しのシーボーズ、守銭奴が多いのかカネゴン人気も根強いようだ。何か行きたがっている人もいるようだから、今度ファン仲間男女で一斉に繰り出すか?!店内くまなく解レクチャーしてまわるには翌朝までかかるだろうが。。。そしてその中に誕生月の人がぜひいてほしい。妻が撮ってきたのだが店内には「野望の部屋」という「『メトロン星人』のとある有名なシーンを彷彿させるような隠し部屋」(HPより)があるそうで、誕生月の人は中に入って記念撮影することができるようなのだ。そのシーンとは・・・?!大体、想像はつくのだが、同行した者として頼み込んで自分も撮ってもらいたいものだ。「怪獣酒場」での話題には限りがない・・・

  


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