超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

Anne of Green Gables

2012-09-17 05:49:56 | 書籍
すごい本だなー、と思った。私のバイブルにもなれるんじゃないか?正直な感想だ。なるほど、世界中のたくさんの人に愛されているのがよくわかった。。。「赤毛のアン」である。タイトルをそのまま書くとたくさんの「変なもの」に引っ掛かってしまうから、あえて原版名にした。世の女子は大抵読んだことがあるんじゃないか?!恥ずかしながら「世界名作劇場」(カルピスこども劇場だっけ?)でアニメになっていたのは知っていたが、小夏師匠にリコメンドされるまで、実際どんな話なのかこの年齢になるまで読んだことがなかった。(師匠、感謝です!)
「フランダースの犬」「あらいぐまラスカル」「母をたずねて三千里」など「最終回ぐらいは知ってるけどねー」ゾーン、「小公女」「家なき子」「あしながおじさん」など、「子供の時に名著として薦められたけど読んだことがない」ゾーン、「キャンディ・キャンディ」「花の子ルンルン」など「時々見たけど、とどのつまりは知らない『堀江美都子』ゾーン」(でも主題歌は歌える)・・・「赤毛のアン」はそもそもあまり触れることがなかった少女向け物語に位置づけられていて、たまたま一度も見る(読む)機会がなかったのである。

   

図書館で検索すると「赤毛のアン」シリーズというのは山ほど出てきた。どうやら続きモノになっているらしい・・・通常のコーナーにもYA(ヤングアダルト)コーナーにも、児童向け図書にも幅広く登場していた。また「赤毛のアン」そのものを色々と評論する「とりまき図書」も結構たくさんあることがわかった。いくつかあった本の中で最も格調高そうなハードカバー本を選んで読み出した。
たぶん、今人生初めて読んだからだとも思うが、「アン・シャーリー」が登場して30秒後、私は彼女が大好きになってしまった。理系的に言うと彼女の「第17族ハロゲン元素」のような「どんなものにも反応する」活性に魅せられてしまったのである。特にアンの「逆ギレする誇り高さ」が素晴らしいと感じた。

あんまり一緒くたにしては失礼だが、私の分類では名作劇場に登場する「少女」は大抵、「あまり幸福でない生い立ち」だが「明るく活発」で「思いやり」があり、たまに「お転婆」もするが基本的に「けな気ないい子」である。引き取られ先でいじめられれば「しくしく」泣き、それをうまい具合に支える「友」がいる。人間味には溢れ「笑ったり」「怒ったり」感情豊かだが、人を「憎悪」したり「怨んだり」ましてや暴力を振るったりは決してしない。お転婆の代表「キャンディス・ホワイト」だって「あんな人とは一生口をきかない」なんてことは言わない。ところが「アン・シャーリー」は将来結婚する相手(だとは夢にも思わなかった)との初対面で「にんじん」と言われただけで激怒し、石盤を頭に打ち付けて叩き割るのである。ホントに何年も口をきかないという徹底ぶりだ。初めて会った街の識者(とはあんまり思えぬが)レイチェル夫人に切って見せた「あんたは無礼だ!」という啖呵も実に素晴らしい。とにかくキレぶりがあまりにも見事なのである。

通勤途上に少しずつ読み始めたのだが、2回目からはポストイットカードを持ち、あっと言う間に読み終えた時、ハードカバー本は付箋紙で埋まり尽くしていた。何と名言の多いことか!
感想文などと言うよりも、それら「ちょっと書き留めておこう」と思ったフレーズをあげるだけで、原稿用紙何枚分にもなってしまうだろう。アン自身も言っているが、言動にオーバーな表現が多い。「英語」で書かれたモノを「翻訳」された著書は大抵「あー、これ原版は英語だな」と一発で分かってしまうちょっとした「不自然感」を持ってしまうのだが、元々どんな表現をしてるんだろか?と興味が沸いてきた。小夏師匠が「原版で読んでは?」とおっしゃった理由がすごくよくわかった。

「お目にかかれて本当にうれしいです」マシュー・カスバートと出会った直後、その後何篇も続くことになるシリーズの主人公「アン・シャーリー」についていきなりネタバレさせてしまうところがすごい。「見る目のある人が見たら、優れた魂の持ち主だ」
アンとマリラの他には正直、大した人物の登場しないこの物語で、私は見た目もハンサムでなく、内気で口下手、そして女性が大の苦手であるマシューが最も親しみを感じる。あんまり登場シーンがないし、セリフも少ないが、要所要所の肝心なところには必ず現れ、最初と終わりにこの物語をずーっと貫く忘れられないことを口にするのである。(あんまり明言集みたいなのには載ってないようだが)

11歳くらいの男の子を兄マシューの手伝いに引き取ろうとしていたマリラのところに、迎えに行ったマシューが連れてきたのは赤毛の女の子だった。「女の子など畑仕事に何の役に立つのか?」と孤児院に返そうとするマリラに普段物事をあまり主張しないマシューは「自分たちがあの子の役に立つかもしれない」と切りかえすのだ。学校を優秀な成績で卒業し奨学金も受けとることになったアンが帰宅し具合が悪くて疲れた様子のマシューに「自分が男の子だったらもっと役にたって楽をさせてあげられたのに」と悲しむと、彼女の手をぽんぽんとたたいて「自分は1ダースの男の子よりもアンがいい」と語った翌日この世を去る。名言の宝庫であるアンの物語で何故か私はこの冴えない男マシューの言葉を忘れられない。。。

この物語に何度か登場する素晴らしく好きなシーンが3つある。その一つが「朝を迎えた時のアン」である。極め付けシーンがいきなりあるが、せっかく来たのに女の子だから引き取ってもらえない悲しみに泣き明かした夜が明けた翌朝「今朝の私は絶望のどん底ではない。朝はそんな気分にならない。・・・」(この言葉の使い方はすごい)「世界中を愛している気分になる」というから見事なものだ。ここまでキレのよいスイッチを持っている人を見たことがない。朝から溌剌としているアンとは似ても似つかないが私も朝起きるのが早いからか、冬の晴れた朝が大好きだ。たぶん「アン・シャーリー」なら「朝もいいけど、夜も好き」といいそうな気がするが。。。

次にお気に入りのシーンは「立ち直る時のアン」である。友達を酔っぱらわせたり、ケーキの味付けに痛み止薬を入れてしまったり、彼女は様々なことをやらかす。その時の立ち直りの見事さは「前向き」などというのは生ぬるいとも思える「ウルトラマンがライブステージで会場の子供達から『がんばれー』の声援を受けてエネルギー満タンになる」みたいな恐るべき復活劇である。何がすごいと言って、「自分にもいいところが一つあって、二度と同じ過ちはしない」という恐るべき自信を宣言するのである。そして「一人の人間がする過ちには限りがあるはず。最後までやってしまえば、それで自分の失敗も終わりである。そう思うと、気が楽になる」これほどの合理的かつ楽天的な「自分への励まし」を聞いたことがない。最初に紹介されたようにどう考えてもただ者ではない。 何か大きな失敗をしてしまった時にこう考えればあっという間に立ち直れる気がする。

そして一番好きなのが、「家へ帰る時のアン」である。お友達とピクニックに行ったり、音楽会に行ったり、街にいるお友達の親戚にお泊りに行ったり・・・その都度いつもの大げさな表現で「人生最良の日」みたいなことを言うのだが、最後に必ず決めるのが「一番よかったことは家へ帰ってくること」、彼女が孤児院育ちだから帰る家があるのはうれしい、と言えばそれまでだが、普通に帰る家のある私にとってすら「ほっこり暖まる」シーンである。この物語には結構「家に帰る」シーンがあり、スペシャルな付箋紙が貼ってあるのである。
今、「赤毛のアン」の原版を読んでいる。モンゴメリの原版は「Anne of Green Gables」となっている。どうして邦題が「赤毛のアン」となったのかしらないが、悪いけど「そのままのタイトル」の方がよかったのに、と思う。なぜならこの物語の中にアン自身が「私はグリーン・ゲーブルスのアンであって空想の中の素敵な自分よりもずっと好きだ」という素晴らしいシーンがあるのである。奨学金を断って目の悪くなった一人ぼっちのマリラと一緒に住む決断をする時も「グリーン・ゲーブルス」というキーワードが登場する。そして一度シリーズ第2作目「アンの青春」を読みだしたのだが、どうにも違和感がぬぐえずにちょっとストップしてしまった。その前にアニメやドラマを見て4方向から立体化して、この面白さを堪能しようと思う。何か読書感想文になってなくて、小夏師匠ごめんなさい。

    


最新の画像もっと見る

10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (小夏)
2012-09-17 12:25:56
わ~~パチパチパチ~
一言多いのが悪い癖なのですが、これは数少ないの言ってみて良かったの部・首席になりそうです!

その後私も気にしていて気付いたのですが、いまや訳者が世代交代なのですね―!お写真見て、やっぱりニュースステーション初代お天気お姉さん
私は村岡花子さんのもの(訳されたのは私が生まれる前?)でしたので、硬くて読みづらく感じたところがあったのを思い出します。それで出来る方には英語版の方がフレーズなど美しいのではと思ったのです。わ~いそこのところも伺えてよかった~

男性からみた赤毛のアンの感想だけでも興味深いのに、さすが、磯辺師匠ー!この感想文にもひれ伏し参ってしまいました。私もこれに付箋紙貼りつけ決定です
特に三っつ上げられた点、これには大きく頷きましたし、あやふやだったところスパッと理解に至りました。キレのよいスイッチ、、最高です。私どうしてもそこがわかりきれませんでしたもの^^ウルトラマン~ただものではないのところには声出し笑ってしまいました。
「どんなものにも反応する」「逆ギレする誇り高さ」と言うところにもスッキリさせていただきました。師匠の感想文もキレて素敵過ぎます。解説とか本の帯に使えそうですよぉ~

映画もお薦めです~。
孤児院の様子とかは宗教も文化、時代も違うので想像しようにも限度があるのですが、目で見るとまた深く味わえるかも^^

そうそう、本の内容とは離れますが、この時代のご近所とのかかわり、目上の人に対する礼儀や家庭での教育、、そういう点もとても印象的でした。

只今、元三河のアンは、遠い先に磯ジイタンと可愛いお孫嬢タンがAnne of Green Gablesを広げて語らっているところが浮かんでいます
ちょっと夢見方がパンチ入りすぎですね(爆)

返信する
Unknown (磯辺太郎)
2012-09-18 05:05:16
小夏様

師匠~、素晴らしい著書のご紹介ありがとうございます。
へーえ、松本さんというのは「初代お天気お姉さん」なんですか。あとがきにはその後の続編について結構辛辣なことが書いてありましたが、今読んでいるのは村岡花子さん訳です。
英語版読むのなんて得意ではないけれど、ストーリーを知っているからすぱーっと読み飛ばせますねー。

本は付箋紙だらけ・・・「赤毛のアン」の感想文に第17族ハロゲン元素と書いた者はいないでしょう?!
むろんアニメも映画も見るつもりです。宗教、文化その他習慣や言葉の言い回しなどの違いも印象的ですね。

これからは「想像力」(妄想力とも言う?!)を大事にしたいと思います。
返信する
Unknown (KICKPOP)
2012-09-20 23:47:29
カルピス劇場(フランダースの犬、赤毛のアン、母をたずねて三千里・・・etc)ですねーーー!キャンディ・キャンディも花の子ルンルンも、毎週それはそれは楽しみに見ていました(当時はビデオもなかったので、楽しみにしている番組はオンタイムで見るしかなかったんですよね・懐)!

赤毛のアンは母から読みなさいと強要されて読んだ本の1冊です(他に強要された本はアンネ・フランク、窓際のトットちゃん、など)。当時はテレビほどの感動はなかったので、両師匠のレポートを読ませていただき、もう一度読んでみなきゃ、と好奇心が湧いてきましたあ!

余談なんですが、赤毛=アイルランド系人種、ですよね(一般的に)。アイルランド系=瞬間湯沸かし器のような短気な気質、という感じでこちらでは言われています。アンの短気もそんなアイルランド気質なのかもしれませんね~・笑!
返信する
Unknown (小夏)
2012-09-21 00:15:32
ひやーーっ!
磯辺さんの登場前に勝手に覗いて書き込んでいますー!!
KICKPOPさんのスーパー解説で三段飛びしちゃった気分ですー☆
最近プリプリ怒っていた私もアイルランド系かもしれないなぁ~、、、髪の毛の芯はきっと赤い!(爆)

カルピス劇場、ハイジでさえもう夕方の再放送しなくなっちゃいましたねぇ・・。
一休さんもだ。
返信する
Unknown (KICKPOP)
2012-09-21 08:03:29
小夏さーん
アイルランド系でいらっしゃいますか・笑?

一休さんもカルピス劇場でしたよね!大好きでしたー。「♪母上様~・・・いっきゅう~・・・♪」ハイジは白パンが美味しそうでした。ヤギの名前が思い出せなくてググってしまいました(ユキちゃんでした・笑)。

磯辺師匠、勝手に盛り上がってしまってスミマセンでした、、、
返信する
Unknown (磯辺太郎)
2012-09-21 08:43:21
KICKPOP様

子供の頃は男の子らしく、カルピス劇場はちょーっと近くて遠い存在でした。宇宙人とかがでないとねー。。。悲劇の代表「フランダースの犬」にはうなされました。。。
キャンディやルンルンも断片的には見てたんですよ。キャンディって結構最後はすごぴ話じゃなかったかなー。

小さい頃、親から強要されて読んだ本、ボクもあります。「家なき子」「小公女」・・・「こんな悲しい話なぜ読まなくてはならないんだろう、ウルトラセブンの方が深いのに」と思ってました。
たぶん「赤毛のアン」も今になって初めて触れたから素晴らしく新鮮で感動したのだと思います。(小夏師匠に感謝です)
ぜひもう一度お読みになってアン友になりましょう。(笑)FBでは「どこか具合悪いのか?」と聞いてきた悪友がいました。。。

なーるへそ、これは目からウロコだ!赤毛=アイルランド系=短期、という傾向があるんですね。でも私はアンの「誇り高き逆切れ」が大好きです。
ちなみにシャーロック・ホームズシリーズに「赤毛連盟」という深い話がありました。やはりアイルランド系かな。。。
返信する
Unknown (磯辺太郎)
2012-09-21 08:44:14
小夏様

いやーホント、スーパー解説で新たな理解が深まりましたよ。色んな人の話って勉強になりますねえ。
ははは。最近ブログを拝見するとプリプリごとが多いようですね。アン風に言えば「人間のプリプリごとには限りがあるはずだ」

ハイジはオリジナルから離れてへんな顔の女の子が出てません?低燃費・・・なんとか
返信する
Unknown (磯辺太郎)
2012-09-21 08:45:06
KICKPOP様

赤毛のアンの舞台はカナダの「プリンスエドワード島」というところだそうですが、一度ぜひ訪れてみたいです。

じ、実はですね師匠、私も一休さんが大好きで・・・普段はキレのいいとんちで万事解決なんですが、一度正月にシャレコウベの杖を振り回した時は夢に出るほど恐かった。世の無情を感じました。
母上に会いに行ったりするところはすごく悲しいですね。
「♪母上さま・・・」に出てくる、「照る照る坊主」は雨や雪になると悲しい顔になったんです。それが妙に切なかったのを覚えています。

ハイジの乗ったブランコの長さとハイジの体重、空気抵抗などから考えて、一番下を通過する時に時速何キロ(たしかとんでもなく速い)になるか、計算した本がありました。
返信する
Unknown (小夏)
2012-09-22 17:43:03
師っ匠ーーーてーへんだっ
ぜぇぜぇっ いっぱい水を ごくっ

今晩こんな番組がー
魅惑のカナダ プリンスエドワード島&ノバスコシア絶景の旅
2012年9月22日(土) 21時00分~22時55分
BSジャパンです~

返信する
Unknown (磯辺太郎)
2012-09-22 20:25:02
小夏様

えーん~。ボクんちBS映らないんだよぉ。。。実家で眠っていたVTRと格闘の末・・・諦めました。
GOOGLEアースで我慢します。
返信する

コメントを投稿