超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

もしものウルトラ番組

2012-06-21 07:47:54 | ヒーロー
小夏師匠がなんと、先に紹介した「山川日本史」をお持ちになっていて大仰天だった。せっかく途中まで読み進めた社会人版日本史・・・楽しく勉強して(おーっ、ここは習った覚えがあるぞ!とか)、いずれ後半はレポートしよう。今度は教科書片手に鎌倉の街を歩き回ることにする。
今回は「本業」=ウルトラヒーローの話である。ちなみにむろん歴史上にも様々なヒーローがいる。この名称はどうも「我が国の場合は「判官贔屓」という言葉があるように、「最後に笑った者」ではなく「途中で滅んだ者」に与えられる称号というイメージが強いような気がする。源義経、楠正成、真田幸村、土方歳三あたりかなー。。。。

そうそう、小夏師匠ゆかりの温泉への道すがらにとんでもない看板があるという「鳥居強右衛門」・・・私が読み漁った信長、家康、勝頼、勘助など登場する様々な人物の視点で書かれた物語の中の「長篠の合戦」に現れる(マイナーだが)ヒーローだ。徳川方奥平信昌の家臣だった強右衛門は守備する長篠城を武田軍に何十にも包囲され、城は兵糧もままならない窮地に陥ってしまう。彼は家康の岡崎城に対し、不可能と反対する周囲を押し切って武田包囲軍の隙を抜けて援軍を要請しに行く。織田・徳川連合軍が長篠に向かうことを知った彼は、今度はその場に留まるように薦める味方に反して、その吉報を城内の同士に伝えようと長篠城に戻ろうとするのだが、途中で武田方に捕まってしまう。強右衛門は城内から見える所に連行され、「援軍は来ないから降伏しろ」と城内を説得すれば命を救うと誘われて一旦は約束するが(実はウソで)逆に「援軍はごまんと来るぞ」と城内を鼓舞させてしまったため、磔にされて殺されてしまう。

さて話がそれてしまったが、本家?のウルトラヒーローについて昨年11月からローカル局で「ウルトラゾーン」という超マイナーだがマニアには垂涎もののレア番組があった。我が家ではテレビ神奈川の番組として視聴していたが、時間は何と日曜日の23時・・・・1週間を通じて番組構成上最も「どうでもよい」時間帯である。しかしその内容はウルトラ史上稀有と言ってもよい高レベルな番組で、私も息子甘辛も必ず録画して次週末、夢中になってまさしくマニアの目で見ていた。我が家から半径1キロ以内にその番組の内容が全て理解できる人が私と息子の他に何人もいないような話だ。
コンセプトは恐らく「日常の生活で、もしもこんなところに怪獣が現れたら・・・」だと思う。その他にウルトラ怪獣が漫才をしたり、英語のレッスンになったり、かるたになったり・・・CMに入る時のイラストだけでも死ぬほど面白い。

ウルトラ怪獣を知らない人でも面白く見ることができ、また楽しみながら「覚える」ことができる。(その必要があるかどうか分からないけれど)歴史の話にあてはめれば「長篠の合戦」を知っている人であれば十分楽しめるが、「鳥居強右衛門」を知っているマニアは超ウルトラ楽しい!っていうところだ。
「もしも・・・シリーズ」と言えば最初に浮かぶのは「ドリフの大爆笑」だが、ウルトラゾーンの中心にあるこのコンセプトを少しだけ紹介しよう。
「もしこんなところに怪獣が現れたら・・・」怪獣特捜隊の「タカダ・リホ」隊員がいつも怪獣警報とともに「都内に●●が現れました!」と読み上げるのがオープニングだ。そしてタイトルの後に「●●は・・・・・・に現れた模様です!」と続く。

★赤いランプの点滅とブーッブーッという警告音・・・「都内に『サドラー』が現れました!」
じゃーん!【怪獣転校生】(岩石怪獣サドラーのプロフィール登場)
「サドラーは『有名中学に毎年合格者を出す、親の年収もそこそこ高めの私立中学校』に現れた模様です!」
---今日はみんなに先生、新しいお友達を紹介しようと思うんだが、その前に一つみんなに知っておいてほしいことがある。それは彼の手は「ハサミ」になっている、ということだ。でも例えそうであっても、みんなは彼と仲良しになれると先生は確信している---
その後、先生は「サドラー君」はサドラ脳により敵を倒すことばかり考えていて勉強についていけない時には助けるように、またハサミは鋼鉄でも切り裂き、首に8万度の溶岩を蓄えているので遊ぶ時は十分注意するように諭す。

★★赤いランプの点滅とブーッブーッという警告音・・・「都内に『ベムスター』が現れました!」
じゃーん!【怪しいものじゃないです】(宇宙大怪獣ベムスターのプロフィール登場)
ベムスターは『都心から電車で約30分、閑静な住宅街に建つ瀟洒なマンション』に現れた模様です!」
---ですからね、不要になったエネルギーを頂こうと伺ったんですよ。この腹でね、スペシウム光線も吸収できるんですよ。MATステーションだって飲み込んじゃったんだから---
マンション一人暮らしの若いツンデレ系女性にドアの外からしつこく食い下がり、しまいには騒ぎ出すベムスターに、ツンデレ女性は「あんまり騒ぐとウルトラセブン呼びますよ!いいんですか?」「そ、それとこれとは話が別ですよ~(泣)」(ベムスターはセブンが帰マンにプレゼントしたウルトラブレスレットで倒されたのだ)

★★★赤いランプの点滅とブーッブーッという警告音・・・「都内に『ゼットン』が現れました!」
じゃーん!【不良怪獣ゼットン】(宇宙恐竜ゼットンのプロフィール登場)
「ゼットンは『実は子供嫌いと噂されるお婆ちゃんがやっている不良達のたまり場の駄菓子屋』に現れた模様です!」
---「ゼットンってさー、すんげえ無口だよな。お前ちょっとあの駄菓子屋でアイス買って来てくんねーかな」---
転校してきたゼットンはその学校の「中途半端な」不良達とつるみパシリにされるが、買い物している間に偶然その街で最も凶悪な学校の札付き不良達にその仲間達がボコられてしまう。駄菓子屋から出てきて倒れている仲間を見て仁王立ちするゼットンの姿に、敵の不良が突如恐怖に凍りつき「あ、あれ、ゼットンくんじゃないですか?!ウルトラマンを倒したって言う・・・超やべえよ!」(その後なんとゼットンに彼女ができる)

ざっとこんな感じだが数々の怪獣・宇宙人が実にリアルな表現で本当にあるとしか思えない店、建物に現れるのである。他には
「結構強めに揉んでくれるという溜池山王のマッサージ店」【怪獣マッサージ】
「読者モデルもたくさん来店する中目黒の目黒川沿いから一本入ったところにあるカリスマ美容室」」【ヘアサロン マグマ&ババルウ】
などが登場する。説明がうーんと長くなってしまうのでこの辺は割愛する。

「KAIJU ENGLISH」のLesson.1に登場するのはどくろ怪獣レッドキングだ。
My name is Red King.(私の名前はレッドキングです)
I came from Tatara Island.(多々良島から来ました)
I am not intelligent, but I have never seen such a violent monster than me.(私は賢くはありませんが、私ほど凶暴な怪獣を見たことがありません)
And I was told that I look like Hayato Ichihara.(そして私は市原隼人に似ていると言われたことがあります)
その他にダントツで印象深かったのは「にせウルトラマン」に変身した極悪宇宙人「ザラブ星人」の何と純愛ドラマ!そのタイトルは【The Love(ザ・ラブ)】でヒロインは丘みつ子さん・・・これはホントに泣ける。。。

怪獣たちの特徴やウルトラマン本編でのエピソードを散りばめ、気づいたらウルトラ怪獣に詳しくなっているというコーナーだが、後半のドラマ群は思わず「ほろっ」としてしまう切ないものが多い。甘辛とも「この意味分かるヒト、どれくらいいるかなー。」とか言いながらゲラゲラ笑いながら見ている。妻は台所で冷たく笑っているかと思ったら、意外に知っていることも多いのだ(そりゃー、これだけ我々が話題にすればねー)
ひとことで言ってしまえば「パロディ」ということになってしまうんだが、ウルトラストーリーをここまで洗練してパロッたスタッフには敬意を表したい。山川出版社もぜひ見習って「山川ウルトラ史」を作製してほしいものである。(センター試験科目になれば9割は得点する自信はある)