超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

免許がない?!

2012-06-08 10:27:46 | 出来事
昔そういうタイトルの映画があった。スター俳優(舘ひろし)が運転免許がないのにコンプレックスを持ち、女優に馬鹿にされたきっかけで、身分を隠して教習所に通うようになるストーリーである。「はんこくれよ~!」というなさけない顔をした舘ひろしさんのCMが印象的だった。
これまでうすうす暴露していたのだが、私の場合「足元に気をつけなかった」結果として、思わぬ時に「免許がない!」状態に陥ってしまったのである。(ストーリー展開に無理があるなー)
私の他にも多いとは思うが、普段は財布を二つ持ち歩いている。大きなヤツと中くらいのヤツである。大きな方は昨年、ソウルプチ旅行した時に成田で衝動購入したもので保険証やお札などが入っており、小さい方には種々の会員証や診察券、懇親会1回分くらいの現金などを入れてある。クレジットカードや銀行カードなどは偏ると全滅した時に立ち直れないので相互にバックアップとして分散配置している。
免許証は更にずーっと前に妻にプレゼントされたパスケースに何となく入っていた。

これらは普段別の入れモノに分散しているが、収納するバッグは常に一つのリュックサックである。入れるポケットはそれぞれ異なるが、リュックごと失くすと私はほとんど機能不全に陥ることになる。そして私は仕事はもちろん、釣りに行こうが水族館に行こうがどこに行くにも常にこのリュックを持ち歩くのである。社員証や印鑑の入ったクリアケースと同じところに投げ釣りのアオイソメが入っていたときもあるし、超兵器の周辺パーツも同じところに入れて歩く。何かと地べたに放っぽり置くこともあり、底の方はだいぶ薄汚れており、気をつけてみると妙に魚臭いところもある。
息子の体育祭でグランドに置きっぱなしにし、埃で真っ白になったリュックを見かねた妻が「丸洗いする」と宣言した。私もさすがに「やばい」と思っていたので、素直に従った。

リュックの底には様々なものが沈殿しており、ドブさらいに苦労をかけたようだ。釣りに使うヨリモドシやかみつぶしオモリ、裁縫セットの残骸に壊れた扇子、外袋がボロボロの箸、缶バッヂなどである。
知らないうちに全部ひっくり返されていて、貴重品は銭湯で使うような箱に集められていた。
出かける用途などによって収容するバッグを換え、中身を移し替えていると必ず漏れや間違いが生じ、うんと痛い目に合うからすべてのモノを同じリュックに入れて持ち歩いているのだが、何か足りないような気がした。スタンプカードのようなしょうもないモノまで全部揃っているが・・・
「あれれっ、免許の入ったパスケースがねえぞ?!外から2番目のチャックに入ってるんだけど。。。」当のリュックは洗濯機の中で洗剤とともにもまれていて、慌てて取り出して中身を裏返してみたがどこにもない。洗濯槽に出てしまっているわけでもない。

免許なんて普段出し入れすることなんかないので、いつ失くしてしまったのか全然気が付かなかった。その割には入れてあったチャックは別のものを取り出すために頻繁に開け閉めするので何かの拍子に落ちてしまったに違いない。。。
「こりゃー、困ったな。再交付にいかないと運転できねーぞ。」無免許というわけではないから、これまでだったら手続きが終わるまでこっそり運転していただろうが、コンプラのうるさい昨今、たとえ私用でも何かあったときに色々とやばそうだ・・・
調べてみると免許紛失による再交付は運転免許試験場でなければやってもらえないようだ。しかも平日のみ。。。なかなか機会を作るのが難しいなー。北関東で単身勤務している私は休暇をとったとしても平日に往復するのはいかにも効率が悪い。月曜日の朝一にそれこそトップバッターで手続きし、そのまま新幹線で向かうしかない。。。

ルート鎌倉のCOSTCO行きも箱根へのゲリラ旅行もそういう混みいった事情で(どこが?)助手席に座らせてもらって超兵器を構えた。ちなみに妻は甘辛が小学生の時からサッカーの試合などで県内の至る所まで車を走らせている(かれこれ8万キロも乗っている?!)から道路には私よりも詳しいが、いつまでも助手席に甘んじるわけにもいかぬので、とある月曜日に窓口の開く1時間前に到着するように家を出た。
試験場は県内中から人が各種手続きで集まるので、いつもものすごく混んでいて免許更新なんて半日コースだった記憶がある。再発行窓口にはそれほど人が並んでいなかったが、それでも1番ではなかった。。。
再発行申請書に必要事項を記入して持ってきた写真を貼り付け並んでいると、開始時間の15分くらい前に太古の昔から変わらぬ紺色をした役所制服(腕貫はしていなかったが)の女性が必要なものを持っているか尋ねて廻ってきた。「2番窓口で先に収入証書3600円を購入してください」げげぇーっ!そういうのは紙に書いて張っておいてくれよなー。

向いの窓口に並んで証書を購入し、再び受付に並び直した。ほとんどの人がそうだったからあんまり待たされずには済んだ。書類を出したら「顛末書」というのを渡され記入して暗証番号(昔はそんなの無かったよな)を登録し再び呼ばれるのを待つ。顛末書ではなりすましや偽造を防ぐために「古いのが見つかったら提出する」とサインして誓約するが、「いつ頃どのようにして失くしたか」だと・・・・?それが分かったらそもそも失くさねえよ!とつぶやきながら頭を抱えてしまった。
前回は「海外で置き引きにあってしまった」、前々回は「前かがみになったら大型シュレッダーに落ちてしまった」などといかにもワザとらしい言い訳を書いていたのだが・・・・「江ノ島の断崖絶壁から海へ落としてしまった」とでも書いておこうか。

ふと記入台を見ると「記入例」が載っているではないか。「カードケースに入れて持ち歩いていたが、いつの間にか無くなっていた」だからどうして失くしたか聞かれてるのに・・・こんなアバウトな記述でいいんだな?窓口に呼ばれ書類を提出すると、係員は中身も見ないでハンコを押し、写真室へ行くように言った。免許の写真っていつも変な顔で写るものだが、この時も普通にしていたのに妙に上から目線のようになってしまった。引き換え券を渡され、発行までの所用時間は約1時間だ。いつもながらこの時間はホントにやることがない・・・朝一なので検定試験もやってないし、テレビがあるわけでもない。建物外をうろうろ歩いていると待ってましたとばかりに呼び込みに捕まってしまった。いつ来ても必ず営業している「献血」である。

前週から懇親会続きで土日も何やら家族で飲んでしまい、メタボ改善も行き詰っていたところである。400mlも血液を抜く、ということは「どんな運動よりも確実に体重を減らすことができる」と考えた私は受付に向かったのだった。
「昨晩、バレーボール見ながら飲みすぎちゃって・・・血中に残ってるかもしれませんが、献血しても大丈夫ですか?」
係員はゲラゲラ笑いながら「全然OKです」と申込み用紙に記入し始めた。「発行されたらすぐに会社へ出勤したいんですけど、時間どれくらいかかります?」「全部で40分くらいですよ。急いで手続きしますからぜひお願いします」
レントゲン車みたいなのがいるのかと思ったら、専用の献血ルームができていた。(毎日、やってるのね)
受付を済ますと血圧を測定し担当医の問診があった。そしてその隣りで看護師により採血され、成分によってはお引取り願われてしまう・・・

「ちょーっと血圧高いですねえ」いつもなら「美人を前にして緊張してるんですよ」という、救いのない「じじいギャグ」を炸裂させるんだが、冗談が通じなさそうな人だったので「今、改善中なんです」と真顔で答えた。採血の時には必ず目をそむけるのだが、「んっ?痛くねえ。この注射は流行りの『痛くない針』を使ってるんですか?」「いいえ。普通の針ですよ」「じゃ、腕がいいのかな」笑いかけてみたが、淡々と血液の成分を調べているようだ。(やっぱり冗談が通じねえ・・・)

スポーツドリンクをもらって採血台へ行くと、別の保健師が待ち構えていて「どちらの腕から採るか見てみますね」「400採るのにどれくらい時間がかかるもんですか?」「15分くらいですかねえ」「両腕からいっぺんに抜いてしまえば半分の時間で済むんじゃ・・・」「ははは。それは無理ですよ。あ、でもかなり『出』がいいようだから早く終わるかも」
「あのーぅ、献血ってダイエットにはいいものでしょうかねー。余分な脂肪を取るのと同様に余分な血液を抜くとか・・・」「血液を作るためにちゃんと食べてくださいね。健康面から言えばあまりお勧めできません。献血でダイエットなんて聞いたことないですよ」「次に抜いていいのはいつ頃でしたっけ?」「3ヵ月後です。結構間を開けるでしょ?献血している間に貧血で倒れるひとも真面目にいるんですよ」

我ながら間抜けな会話をしているうちに、なんと8分足らずで400ml採血が終わってしまった。お茶と薬用ハンドソープ、絆創膏をもらって献血カードを登録してもらった。「くれくれも食事は摂ってくださいねー」「今晩、ちょっと飲む機会があるんですが、大丈夫ですか?」「酔いが廻るのが早いので気をつけてください」
駅から試験場までは歩いて15分くらいののぼり坂、また最寄り駅からオフィスまでも歩いて15分くらい、それだけで1時間歩いたことになる、それに加え本館との往復を2回、携帯についている万歩カウンターを見たら1万3000歩、献血に400グラム(水分)、メタボ改善には申し分ない消費量なのだが、むろんそれをはるかに上回るアルコールを摂取したので成果はゼロに違いない・・・