超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

道了尊

2011-10-09 13:20:18 | 旅行お出かけ
大雄山最乗寺=道了尊・・・足柄山をほぼ全山敷地とする雄大な名所である。しかし超が付くほどマイナーなところで、同じ県民でも知っている人は少ないと思う。ましてや学生時代など含めて「知っている、訪れたことがある」と聞いたことが一度もない。。。
何せそのアクセスの仕方自体、小田原から「大雄山線」という聞いたこともない謎の単線列車を使うのである。
小田原から「箱根登山鉄道」を知っている人はいても、「大雄山線」を知っている人はかなりすごいと思う。

ところがどういう訳か我が家は両親がこの地方とはあまり所縁のない富山の生まれにも関わらず、この「道了尊」に昔から馴染み深いのだ。
幼いときに富山の祖母が訪れると大抵、道了尊に足を運んだ。特別何かを食べに行くわけでもなく、宗派も異なるし何故必ず参拝に行くのか未だに私にとって謎であるとともに、恐怖の的だった。。。
「天狗様の御寺」としておどかされたのである。(私は今でもそうだが、とにかくこの手のモノに弱かった・・・)

親の兄弟が多かったため、従兄弟連中が多くそれも優等生ばかりに囲まれていた中で、ひと際「悪行の限り」を尽くしていた私を何に付けて祖母は道了尊に連れて行こうとした。
「悪いことすると『天狗様』が夜、来るんだからね。。。」
幼年期の私は大雄山に行くとしばらくは、無邪気に大人しくしていたのだった。。。覚えているのは恐怖に凍りついた「天狗の像」とバカでかい下駄・・・
今回訪れたのは何十年ぶりだろうか、実は両親は私が家を出てもコンスタントに訪れていたらしい・・・

秋晴れの連休、私は「御札をもらいに行きたい」という実家茅ヶ崎の母を乗せて超久し振りに道了尊に向かったのであった。
西湘バイパスを西に向かい、小田原で降りて少し戻って足柄を目指す。大雄山線とほぼ並行に進む道路で終点の「大雄山」で左折すると後は山の一本道を上るだけである。
「南足柄市」なんて同じ県内なのに生まれてから何度も来たことが無い。。。どんなド田舎かと思っていたら、意外にも道路や駅周辺は開発が進んで、総合商業施設やカラオケ、レストランなどが立ち並ぶ賑わいであった。

   

観光地箱根山でもなければハイキングの大山でも丹沢山でもない。ほぼ全山が道了尊という南足柄山しかないのにこの栄え方は不思議だ。
ちなみに海が見えるわけでもない。
実家からは約1時間余り、かなり早く到着したつもりだったが、駐車場にはもうかなりな乗用車が置かれていた。祈祷受付のある境内に入っていくと、正面(写真右端)に大きな時計がある。ふーむ。何となく思いだしてきた。
ふと、横の部屋を見ると「仏像を彫る教室」・・・こっ、これは渋い。朝からトンカン音がしている。あまりに高尚過ぎて入っていけない。。。もう少し歳を経てからだな。

      

祈祷と言っても神社のように神様の前で神主さんがお祓いをしてくれるわけでもなく、一定期間毎朝願い事を読経時に読み上げてくれる、というものらしい。
母親が「家内安全」「心願成就」と書き出した祈祷受付書を見ていると、御札の名前は私になっている。「自分の名じゃなくていいの?」と聞くと、これまでずーっとそうしてきた、と言う。そういうものか・・・確かに私が家族と来たら息子の名前を書くだろう。

御札収め所は本堂を右手に奥の院のほうに進んだところにある。母は慣れたものでまっすぐにそこへ向かった。本堂ではお参りしないらしい。。。
少し歩いて行くと小さな太鼓橋があり、「結界門」という世にも怖ろしい名の門が現れた。
その両脇に立つ像はこれまた恐ろしい「小天狗(左)」と「大天狗(右)」で、私は幼い時にここを通るときだけは怖くて泣き叫んだという。トドメの一撃は「あまり悪い子だとこの中に置いて行く。。。。」

      

子供ながらに感じていたような気がするが、結界門の向こう側は何か不思議な空気を肌に感じる異世界のようなところだ。今だから思うがかなりの「パワースポット」なのではあるまいか。私はパワーを受け取るためにソウルで購入したパワーストーンを左手首に着けた。
御札収め所から御真殿に向かうと、「世界最大の鉄下駄」とその周りにたくさんの下駄が置かれている。天狗の下駄の歯は一本のはずだが、ここに奉納されている下駄の歯はすべて2本。「夫婦和合のシンボル」とされているらしい。。。
御真殿に入って行くと正面に「天狗の団扇」型の蝋燭立があり、自分で火を点けてお参りする。天狗のお守りを買って帰ることにする。

      

本堂と反対側の門を降りていくと、「初代高下駄」というのがある。さっきの巨大高下駄よりも二周りくらい小さいもので、その昔はこれが最大だったという。
道了尊を出て山を降りる途中に左折して行くと「まるちさん」お勧めの「おんりーゆー」という施設があった。
森林浴と温泉浴を同時に楽しめ、ヨガなどの無料アクティビティもあり、健康料理も充実して実に魅力的なところだったが、残念ながら今回は時間の関係で偵察のみとなった。

   

帰路の途中に「五百羅漢」という大雄山線の駅があり、近くに御寺があると聞いたので寄って見た。玉宝寺というところである。
五百羅漢というのはあちらこちらにあるような気がする。どちらかというと、山の中腹に石に彫られた仏像が列をなしているような光景を思い浮かべていたが、ここの五百羅漢は全て木彫りの仏像で、建物の中にずらりと鎮座していた。中々見事なものだ。
(先客の一人以外はお寺の人が誰もいないので勝手に入ってしまったが、良かったのだろうか?案内には「拝観無料」とは書いてあったが・・・)

    

やがて住居側から一人の女性が小走りで出てきて、我々に軽く会釈をし、釣鐘に向かった。
街中に流れる11時を示すメロディーとともに、鐘を「ゴーン」・・・なんか家事をするような手軽さで(もしかしてサンダル姿?)時を告げていた。
我々はそのまま西湘バイパスを家に向かい、途中平塚の「陣屋」という古くからの蕎麦屋で昼食をとることにしたのである。
次に道了尊を訪れる予定は3ヶ月後の1月・・・(毎日祈祷が3ヶ月らしい)、その時は「おんりーゆー」にも立ち寄ってみよう。