昨年の今頃、4年生のサッカーリーグ戦も始まり、近所の運動公園のゲートボール場で朝連をやっていた。
今は広い海浜公園で行うが、昨年はフットサルコートよりも狭いところでボールを蹴っていた。
二人で向き合ってパスの練習をしていた。
自転車を置いたときに、ちょうどコートを向いてベンチに座っているおじさんがいた。
私は背を向ける方向だったが、しばらくして息子甘辛が
「父ちゃん、あのおじさん地面に寝たまま起きねえぞ」
ん?振り返ると確かにおじさんが倒れている。。。
地面に耳をつけて何かを聞いているようにも見える。
すこしずつ近寄っていくと・・・こりゃやべえ。ホントに倒れてるようだ。
二人で駆け寄って声をかける。
「どうかしましたか?大丈夫ですか?」
口から泡を吹いているようだし、転倒したときに打ったのだろう、頭から血を出している。
目は開いてるし意識はあるらしいが、応答できないらしい。
救急車を呼んだほうがよい。
しかし、ホントに家からすぐの場所だったので、そのときは携帯も財布も持って行かなかった。。。
電話ボックスはたぶん近くにあるが、電話もかけられない。
(後から気付いたが、119番はタダでかけられるんだった。。。)
プールのある公園事務所に走ったが、朝が早くて開いていない。どんどん叩いてみたが、反応は無かった。
うーむ。どうする?ダッシュで家へ戻るか?それとも反対側にある消防署に飛び込むか?でも子供だけ残して大丈夫か?
そこへ通勤で駅へ歩く男性が通りかかった。携帯を借りられる。
「すみません。そこで人が倒れているんですが、119番したいので携帯を貸していただけませんか?」
その間、息子はずーっとおじさんに声をかけていた。
えらいなあ。この前救急救命講習で習ったことをもうできるんだ。
119番って初めてかけたけど、まず
「火事ですか救急ですか?」
と聞くんだね。
人が倒れている状況を簡単に話すと場所を説明し始めた。
すぐそこの川沿いの消防署にかかっていると勘違いしていた私は
「ほら、●●球場のある運動公園のプール側にある地面が緑のゲートボール場ですよ。そっちからだとすぐ裏じゃない。。。」
住所を言わないと分からないらしい。。。電柱の青い住所を探して伝えた。
しばらくするとやっぱりすぐそこの消防署からピーポーピーポーやってきた。
救急隊が駆けつけるまで5分とかからなかった。
通報したのは私だが、携帯の持ち主に色々聞いていた。
患者を担架にのせて救急車へ乗せたが、しばらく隊員は携帯で連絡をとっていた。
後から聞いたが収容先の病院が決まるまで、出発しないんだって。
様子を見ていた私はふと、いかにも邪まなことを考えだした。
患者を発見し声を掛け続けて元気づけ、救急車を呼んだのは私達だ。
でも、私達の存在はおじさんも救急隊も知らない。
もしあのおじさんが超一流企業の会長だったらどうする?
この辺にはそんな人も結構いると聞いている。ヤクルトのオーナーとか。。。
いよいよのときに
「最後に世話になったあの親子にぜひ遺産の一部を・・・」
ということにもしなったら、名乗っておかないと携帯の持ち主に遺産がいってしまう。。。
会長は目を開けてはいたが、我々の顔を覚えているだろうか?
顧問弁護士が「あの親子」を探すときの証拠も必要だ。
まだ病院と連絡を取り続ける救急隊員に
「あのう。。。何かのときに連絡先を置いていきましょうか?」
「いや結構です。ご協力ありがとうございました」
これで、毎朝同じ時間にこの場所でサッカーをやらない限り我々のことはご家族は知りようがない。。。
みすみす遺産をもらい損ねたか。
「会長元気になったかなあ」
あれから息子もすっかり会長と呼んでいる。。。
大丈夫さ。知らないおじさんでも君があれだけ元気づけたんだから。
今は広い海浜公園で行うが、昨年はフットサルコートよりも狭いところでボールを蹴っていた。
二人で向き合ってパスの練習をしていた。
自転車を置いたときに、ちょうどコートを向いてベンチに座っているおじさんがいた。
私は背を向ける方向だったが、しばらくして息子甘辛が
「父ちゃん、あのおじさん地面に寝たまま起きねえぞ」
ん?振り返ると確かにおじさんが倒れている。。。
地面に耳をつけて何かを聞いているようにも見える。
すこしずつ近寄っていくと・・・こりゃやべえ。ホントに倒れてるようだ。
二人で駆け寄って声をかける。
「どうかしましたか?大丈夫ですか?」
口から泡を吹いているようだし、転倒したときに打ったのだろう、頭から血を出している。
目は開いてるし意識はあるらしいが、応答できないらしい。
救急車を呼んだほうがよい。
しかし、ホントに家からすぐの場所だったので、そのときは携帯も財布も持って行かなかった。。。
電話ボックスはたぶん近くにあるが、電話もかけられない。
(後から気付いたが、119番はタダでかけられるんだった。。。)
プールのある公園事務所に走ったが、朝が早くて開いていない。どんどん叩いてみたが、反応は無かった。
うーむ。どうする?ダッシュで家へ戻るか?それとも反対側にある消防署に飛び込むか?でも子供だけ残して大丈夫か?
そこへ通勤で駅へ歩く男性が通りかかった。携帯を借りられる。
「すみません。そこで人が倒れているんですが、119番したいので携帯を貸していただけませんか?」
その間、息子はずーっとおじさんに声をかけていた。
えらいなあ。この前救急救命講習で習ったことをもうできるんだ。
119番って初めてかけたけど、まず
「火事ですか救急ですか?」
と聞くんだね。
人が倒れている状況を簡単に話すと場所を説明し始めた。
すぐそこの川沿いの消防署にかかっていると勘違いしていた私は
「ほら、●●球場のある運動公園のプール側にある地面が緑のゲートボール場ですよ。そっちからだとすぐ裏じゃない。。。」
住所を言わないと分からないらしい。。。電柱の青い住所を探して伝えた。
しばらくするとやっぱりすぐそこの消防署からピーポーピーポーやってきた。
救急隊が駆けつけるまで5分とかからなかった。
通報したのは私だが、携帯の持ち主に色々聞いていた。
患者を担架にのせて救急車へ乗せたが、しばらく隊員は携帯で連絡をとっていた。
後から聞いたが収容先の病院が決まるまで、出発しないんだって。
様子を見ていた私はふと、いかにも邪まなことを考えだした。
患者を発見し声を掛け続けて元気づけ、救急車を呼んだのは私達だ。
でも、私達の存在はおじさんも救急隊も知らない。
もしあのおじさんが超一流企業の会長だったらどうする?
この辺にはそんな人も結構いると聞いている。ヤクルトのオーナーとか。。。
いよいよのときに
「最後に世話になったあの親子にぜひ遺産の一部を・・・」
ということにもしなったら、名乗っておかないと携帯の持ち主に遺産がいってしまう。。。
会長は目を開けてはいたが、我々の顔を覚えているだろうか?
顧問弁護士が「あの親子」を探すときの証拠も必要だ。
まだ病院と連絡を取り続ける救急隊員に
「あのう。。。何かのときに連絡先を置いていきましょうか?」
「いや結構です。ご協力ありがとうございました」
これで、毎朝同じ時間にこの場所でサッカーをやらない限り我々のことはご家族は知りようがない。。。
みすみす遺産をもらい損ねたか。
「会長元気になったかなあ」
あれから息子もすっかり会長と呼んでいる。。。
大丈夫さ。知らないおじさんでも君があれだけ元気づけたんだから。