ちよだニャンとなる会代表理事 香取章子さんの記事から
『開会式まてあと3日! 会場となる日本武道館とその周辺エリアの猫たちの保護が完了しました。来週から譲渡に向けての面会対応が始まります。
今から20年前、武道館と北の丸公園には60頭から80頭の猫がいて、苦情やトラブルも少なくありませんでした。管理事務所から保健所への相談で、病気や怪我、アレルギー、カラスに襲われた猫をニャンとなる会が引き取り譲渡してきました。
行政とボランティアが協働して去勢・不妊手術と保護・譲渡を行い、近年では、片手で数えられるまで頭数を減らしてきて、このたび東京都の事業に基づき、ついに猫ゼロになりました!! 今後も遺棄や移動もあるでしょうから、ゼロは瞬間のことかもしれません。ともあれ、オリパラでロックダウンになる前にすべて保護できました!!』
オリンピック開会式前に素晴らしいことです。
「猫の殺処分ゼロ」を実現している千代田区を数年前に視察させて頂き、佐藤地域保健課長、
ちよだニャンとなる会の現在の代表理事
香取章子さんのお話を伺いました。
行政とボランティアが協働で「飼い主のいないネコ」の問題に取り組み10年目に猫の殺処分ゼロを達成した後、
現在まで、猫の殺処分ゼロを継続している取り組みは、「殺処分になる動物をなんとか助けたい」という、
行政の現場の職員の方々の思いから始まり、行政が、協力してくれるボランティアを募集したことがきっかけだったそうです。
千代田区でも、初期のころに、ボランティアが主導で去勢・不妊手術を行い、
トイレを設置・管理し、食べ物を与えたら片づけるという活動を実行した人たちもいたそうですが、
公園でのエサやりへの苦情、ふん尿をボランティアが片づけていると、ボランティアが
飼い主のいない猫への責任が発生してくるのでは・・などなど
問題が起きたそうです。
千代田区が飼い主のいないネコに対する先進自治体となった理由は、
まず区長と議会が旗を振り、行政が具体的な取り組みを考えてボランティアを集め、
獣医師と協力し、地域住民の協力を得て、一丸となって保護猫活動にあたったのが一番の成功要因です。
飼い主のいないネコの問題を解決する上でのポイントは、中立的な立場の存在であると千代田区の佐藤課長がおしゃっていました。
飼い主のいないネコについて様々なご相談を頂く私も同感です。
飼い主のいないネコの問題は行政だけで解決が出来ない問題であり、ボランティアだけでも解決できない問題です。
不妊・去勢の助成は行政予算ですが、
1匹の猫を保護して動物病院に運び、ノミや体内の寄生虫を駆虫して、
猫エイズなどのウイルスチェック、マイクロチップを装着し、譲渡するのはボランティアさん。
その費用をねん出するためのねこ祭りは観光資源であり、命の教育になっています。
自治体へ寄せられる飼い主のいないネコについての苦情は、
ふんや尿をされて臭い、鳴き声がうるさい、生ごみが荒らされる、車に傷をつけられる、
アレルギーを持っていて困っている、野良猫に餌を上げたら近所から苦情が来た、餌をあげるのをやめさせたい。
住民同士の対立に発展するケースも発生しています。
猫は多くて一度に6匹ぐらい子猫を産みます。年に2回産みますと、単純計算すると1年で
72匹になってしまいます。
日本動物愛護協会の広告に
「その一目惚れ 迷惑です」と掲載されています。
命の衝動買いで猫ちゃんワンちゃんが遺棄され
殺処分されている中、平成23年から千代田区の
殺処分ゼロを継続している取り組みは地道な活
動の積み重ねです。
飼い主のいない猫を一時保護して、去勢・不妊手術を行い、元の場所に戻す「TNR」
(Trap / Neuter / Return = 一時保護/去勢・不妊手術/元の場所に戻す)活動をし
地域ぐるみで一代限りの命との共生をめざす ちよだニャンとなる会代表理事 香取章子さんの
パワーは、周囲を温める力になっていると感じました。
お世話になりました。