中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

20.21日は休載します

2017年02月17日 | 情報

20.21日は、出張のため休載します。再開は、22日(水)です。
よろしくお願いします。

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「発病後の悪化」の取り扱い(続編)

2017年02月17日 | 情報

専門分野に踏み込み過ぎたきらいはありますが、勉強のために敢えて掲載します。
小生の個人的意見としては、認定基準の見直しは必要と考えます。

12月16日の当ブログで紹介した、名古屋高裁の控訴審判決は、原告勝訴でした。
なお、当判決を報道した新聞記事を、下段に参考として再掲しています。
さて、名古屋高裁の控訴審判決は、一審・名古屋地裁判決を支持していますので、
労働判例誌('16.6.15号)に掲載された、一審・名古屋地裁判決を見てみましょう。

「国・岐阜労基署長(アビコ関連会社)事件」(平27.11.18 名古屋地裁判決)
(1)事案の概要
原告の亡夫は、平成11年4月にスーパーマーケット等の清掃業務を行う㈱Aに入社、清掃業務に従事後、
平成21年4月に同社の関連会社である㈱Bに転籍し、清掃関連資材の販売の営業に従事(会社の期待、本人の意向)していたところ、
平成22年3月、自家用車内で豆炭を燃焼させ、一酸化炭素中毒により死亡しているのを発見された。

(2)精神障害の発病後悪化に対する裁判所の判断
認定基準の発病後の悪化の認定要件については、精神科医等の専門家の間で広く受け入れられている医学的知見であるとは認められず
既に精神障害を発病している者に、健常者でさえ精神障害を発症するような心理的負荷の強度が「強」と
認められる出来事があった場合であっても、「特別な出来事」がなければ一律に業務起因性を否定するということには合理性がない

(3)精神障害の発病及び悪化の時期
ア 発病
平成21年8月頃に「うつ病」を発病した。
イ 発病後の悪化
同年12月及び平成22年1月に自動車事故を短期間に連続して2回発生させた上、
身なりにも気を使わない状態になっていたことに照らすと、食欲不振や仕事への自信の喪失等の症状のほかに、
「思考力や集中力の低下」という新たな症状が発現しており、本件疾病は悪化していた。

(4)発病についての業務起因性
はじめての業務
 営業、顧客のいない地区での新規顧客開拓→業務内容変化大
 新たに営業活動を行うための指導、支援あり、ノルマなし 心理的負荷総合評価「中」、
 業績不振の会社立て直し状況下で、心理負荷総合評価 「中」のやや強
 社長らの叱責(大声だが注意・指導の範囲内) 心理負荷総合評価「中」のやや強、
 全体評価「強」該当せず
 発病について、業務起因性なし。

(5)発病後悪化についての業務起因性
8月以降、東京への出張(営業活動)の増加(平成22年2月には、平日のほとんど) 心理負荷総合評価「中」
売上が上がらず営業から外される(清掃業務戻り)こと 心理負荷総合評価「中」のやや強、
仕事上のミス(「弱」)及び社長からの叱責(詰問(厳しい))、日頃から注意していたこと  心理負荷総合評価「中」、
残業増加、時間外労働時間数(死亡直前1か月では100時間超え)、
発症時、全体評価としては「強」に該当しなかったが、業務と関連あり(「中」のやや強有り)悪化時評価で考慮すべき
(6)業務以外の心理負荷及び個体側要因
業務以外の要因による心理的負荷認めず、業務以外の些細な出来事に過剰に反応した事実を認めず。

(参考)うつ病悪化で自殺、二審も労災認定 名古屋高裁
2016年12月2日 朝日

夫がうつ病を悪化させて自殺したのは、発症後の過労が原因だとして、東海地方に住む30代の妻が国を相手取り、
労災保険の不支給処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が1日、名古屋高裁であった。
揖斐潔裁判長は、国の処分を取り消した一審・名古屋地裁判決を支持し、国側の控訴を棄却した。
判決などによると、自殺したのは東海地方の清掃会社に勤務していた当時30代の男性。
2009年4月に清掃用品を販売する関連会社に移り、8月にうつ病を発症した。
その後、10月の東京事務所の開設で東京出張の機会が増え、売り上げ目標達成に責任を持つようになり、
うつ病が悪化。男性は10年3月に自殺した。
厚生労働省の労災認定基準では、うつ病発症後の悪化については
生死に関わる業務上のけがなど極度のストレスがかかる「特別な出来事」が必要と定めている。
高裁判決は「強い心理的負荷で悪化した場合、業務での心理的負荷の程度などを総合的に検討して、
判断するのが相当だ」と指摘。
出張の増加や営業成績の低迷、上司の叱責(しっせき)、
死亡3カ月前の時間外労働(月約68~約108時間)などがあったことを踏まえ、
「業務による心理的負荷と、うつ病の悪化による自殺には因果関係がある」と認めた。
遺族の代理人弁護士は「労災の認定基準によらず、総合的に判断した画期的な判決だ」と話している。

男性の過労自殺認定 補償不支給取り消す 
2016年12月02日 読売

東海地方の清掃会社に勤務していた30歳代の男性がうつ病を悪化させて自殺したのは、
過重な労働が原因だとして、男性の妻が国に対し、
労働基準監督署が遺族補償給付を不支給とした処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が1日、名古屋高裁であった。
揖斐潔裁判長は、処分の取り消しを命じた1審・名古屋地裁判決を支持し、国側の控訴を棄却した。
判決によると、男性は2009年8月頃にうつ病を発症し、10年3月に自殺した。
自殺の直前1か月間の時間外労働は108時間を超えており、平日の大半で関東方面への出張を強いられていたという。

 

 

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「発病後の悪化」の取り扱い

2017年02月16日 | 情報

資料の確認等に手間取り、アップが遅れました。

朝日新聞しか取り上げていない裁判報道で、それもほんのベタ記事での扱いにすぎませんが、
原告代理人の川人博弁護士(二つの電通事件や、過労死問題で著名)が控訴する意向を示しているように、
もし控訴審で逆転判決がでるようになると、行政に重要な影響を与えることになります。
即ち、同様な趣旨で争われ、12月16日の当ブログでも紹介した、
名古屋高裁の控訴審判決【一審は、「国・岐阜労基署長(アビコ関連会社)事件」(平27.11.18 名古屋地裁判決)として、
公開済み】は、原告勝訴でした。
遺族の代理人弁護士も「労災の認定基準によらず、総合的に判断した画期的な判決だ」と話しているように、
厚労省溌出の精神障害の労災認定基準を否定した、判決なのです。
小生は、法学部の出身ではありません、法律を「かじる」だけの社労士ですが、
専門家は「今後、このような原告勝訴が続くと、今後の労働行政への影響は必至」と、語っています。

ソニー社員自殺、労災認めず 東京地裁判決
2016年12月22日 朝日

ソニー(本社・東京)のエンジニアだった男性(当時33)がうつ病を発症して自殺したのは
上司のパワハラなどが原因だとして、両親が労災認定を求めた訴訟の判決が21日、東京地裁であった。
佐々木宗啓裁判長は「業務が原因で精神障害になったとは認められない」として、両親の請求を棄却した。
判決によると、男性は2010年に自殺。
判決は、男性が同年7月ごろから退職を強要され、強い心理的負荷を受けたと認めた。
だが男性はそれ以前に適応障害を発症していたと指摘。
労災の認定基準に照らし、業務が原因によるうつ病の発症や自殺とは認めなかった。
原告代理人の川人博弁護士は控訴する意向を示した。

参考までに、なにが、問題か?繰り返します。
それは、企業の今後の労務管理政策に多大な影響を与えかねないからです。
以下、時間があればお読みください。
まず、精神障害の労災認定基準(厚労省 平成23年12月)における、「発病後の悪化」の取り扱いについて(P11)を
以下に確認しましょう。

「業務以外の心理的負荷により発病して治療が必要な状態にある精神障害が悪化した場合は、
悪化する前に業務による心理的負荷があっても、直ちにそれが悪化の原因であるとは判断できません。
ただし、別表1の「特別な出来事」に該当する出来事があり、
その後おおむね6か月以内に精神障害が自然経過を超えて著しく悪化したと医学的に認められる場合に限り、
その「特別な出来事」による心理的負荷が悪化の原因と推認し、
原則として、悪化した部分については労災補償の対象となります。」
とあります。

即ち、東京地裁は、この認定基準に従った判断により、原告敗訴としました。
一方で、名古屋高裁は、地裁判決を支持して、労災認定基準によらず、
総合的に(弁護士談)判断した結果、原告勝訴になりました。
精神障害の発病後の悪化について、判断が分かれることになりました。
なぜ、判決が分かれたのかは、判決内容が公開されていませんから論評はできませんが、
原告双方の、病名、病状、悪化の過程に原因があるように推測できます。

話をさかのぼれば、精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会(報告書は、平成23 年11 月8日)においても
このことが議論され、行政側と専門委員で間でも見解の相違が現れていました。
報告書では、精神障害の労災認定基準(厚労省 平成23年12月)に至る結論が示されていますが、
検討会(例えば、第5回、第10回検討会議事録)では、議論が闘わされています。

〇専門検討会報告書(抜粋):
ア 業務起因性の基本
精神障害に関する労災請求事案については、発病の原因が業務にあることが主張されるが、
業務による出来事の心理的負荷が一般には強いと推定される事案であっても、
同時期に業務以外の強い心理的負荷が生じている場合や、個体側要因が顕著に現れている場合があり得る。

このため、精神障害の業務起因性を判断するに当たっては、業務による心理的負荷の有無、程度を判断し、
業務以外の心理的負荷や個体側要因についても確認した上で、
業務による強い心理的負荷が認められ業務以外の強い心理的負荷や個体側要因が認められない場合には業務起因性を肯定し、
業務による強い心理的負荷が認められない場合や、
明らかに業務以外の心理的負荷や個体側要因によって発病したと認められる場合には、
業務起因性を否定するという従来からの考え方を維持することが適当である。

また、出来事によって受ける心理的負荷の強さの程度は、個人ごとに差があるが、
労災保険制度が補償の対象とする業務上疾病が、
業務に内在し、又は通常随伴する危険の現実化と評価される疾病であることから、
「業務による強い心理的負荷」が客観的に認められることが必要であり、
それは、一般の労働者にとっても強い心理的負荷を与えると評価される出来事(その前後の状況を含む)に
遭遇したという事実によって判断される。

ただし、労働者の職種や経験等は様々であることから、
労働者に与える心理的負荷の程度を一律に定めることは適当ではないため、
労働者の属性に基づく修正をすることによって公平性を保つ必要がある。
したがって、精神障害を発病した労働者と職種、職責、年齢、経験等が類似する者を想定し、
そのような者にとってどの程度の心理的負荷であるかを判断する方法が合理的であり、
結局、「同種の労働者」が一般的にどう受け止めるかにより判断するこれまでの考え方を維持することが適当である。

ウ 既に発病している疾病の悪化の業務起因性
既に軽度の精神障害を発病している者が、新たな心理的負荷を要因として精神障害を重症化させることは、
臨床において経験することがある。
このため、既に業務外の精神障害を発病している労働者が、発病後に生じた業務による心理的負荷が要因となって、
精神障害を悪化させることはあり得ると考える。

しかしながら、一般に、既に精神障害を発病して治療が必要な状態にある者
(したがって、過去に精神障害を発病したが既に治ゆしている者とは異なる)は、
病的状態に起因した思考から自責的・自罰的になり、ささいな心理的負荷に過大に反応するのであり、
悪化の原因は必ずしも大きな心理的負荷によるものとは限らない。
また、自然経過によって悪化する過程においてたまたま業務による心理的負荷が重なっていたにすぎない場合もある。
このような精神障害の特性を考慮すると、悪化の前に強い心理的負荷となる業務による出来事が認められたことをもって、
直ちにそれが精神障害の悪化の原因であるとまで判断することは現時点では医学上困難であり、
したがって、業務起因性を認めることも困難といわざるを得ない。

本検討会では、これらの事情も勘案し、
既に精神障害を発病している労働者本人の要因が業務起因性の判断に影響することが
非常に少ない極めて強い心理的負荷があるケース、具体的には「特別な出来事」に該当する出来事があり、
その後おおむね6か月以内に精神障害が自然経過を超えて著しく悪化したと医学的に認められる場合については、
その心理的負荷が悪化の原因であると推認して、業務起因性を認めるのが適当との結論に至った。

また、精神障害で長期間にわたり通院を継続しているものの、症状がなく(寛解状態にあり)、または安定していた状態で、
通常の勤務を行っていた者の事案については、ここでいう「発病後の悪化」の問題としてではなく、
治ゆ(症状固定)後の新たな発病として判断すべきものが少なくないこと(6参照)や、
発病時期の特定が難しい事案について、ささいな言動の変化をとらえて発病していたと判断し、
それを理由にその後の出来事を発病後のものととらえることは適当でない場合があること(5参照)に留意する必要がある。

議論の経緯は、量が膨大になりますので、特に第10回精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会(2011年10月21日)の
議事録を中心に参照してください。

〇第10回精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会(2011年10月21日) 議事録抜粋

○阿部先生(山形大学人文学部法経政策学科准教授) 
「既に発病している疾病の悪化の業務起因性」の既往歴がある人の取扱いなのですが、
結論的にはちょっと文言が狭くなる誤解があるのではないかと思い確認です。
確かここでの議論では既往歴がある人についても、全く業務外とするのはよくない一方で、
業務上とするときにも、労災という性質上、特別に配慮することはできないので、
一般の労働者と同じような基準で判断しましょうということだったと思います。
強い心理的負荷だと、基本的には業務起因性が認められず、極めて強い心的負荷がある場合に認めるとすると、
一般的な労働者とは異なる判断基準になりずれてしまうのかなと思ったのですが、その点を確認していただければと思います。
事務局の説明だと、もともとの病気が悪化した場合と区別をするためにこのような表現にしたということだったでしょうか。
○渡辺職業病認定対策室長 この点については、何度かこの検討会でも議論がなされて、
最終的にこういう形でということで、まとまったということを文章化させていただいたつもりでございますけれども。
○良永先生 私のほうからも少しよろしいですか。いま、阿部先生のほうからご指摘ございましたけれども、
文章によって、論理的にちょっとわかりにくいなという感じもするのですね。
というのは、既に発病している疾病があって、それが業務上の要因とはいえ、些細な負荷がかかったら、
過大に反応するケース。また、たまたま業務による心理的負荷が重なっていたりする場合もある。
それはそうであると思いますけど、その次の件は、悪化の前に強い心理的負荷となる業務による出来事が認められたケースを、
主たる出来事とまでは言えないという件が、ちょっとわかりにくい。
強い負荷がかかった場合には、それは病気をしておろうがおるまいが、発病する、
いわゆるⅢランクで評価するということなので、病気をしていた人に強くかかった場合、
それは無視するというふうに読めるのです
よね。
○良永先生(熊本学園大学社会福祉学部特任教授) 特別な出来事がある場合、
例外をと続くので、ちょっとその辺落差があるなという気はするのです。
いま、阿部先生のご指摘を聞いてそう思いましたね。
○岡崎座長(東京都立松沢病院院長) 事務局は、そこのところの説明はどうでしょう。
○西川職業病認定業務第一係長 前半の説明で誤解があったかもしれませんが、
ここで書いておりますことは、誠にそういったことで、いわゆるIIIといいますか、
強い心理的負荷だけでは、それが悪化の主たる原因かどうかというのはわからないので、
そういった場合に業務起因性を認めるのは難しいのではないかというご議論があった

第6回のときにご議論いただいたときに、まず療養中の方は他の人よりも緩やかに認めるべきではないかというような
ご議論がまず出て、いやそうではないのだというようなお話があって、
全く同じでいいのかどうかというお話になったときに、いろいろありましたけれども、
最後のまとめとしては、いろいろ今後検討が必要なところもあるけれども、少なくとも心理的負荷が非常に強い、
まさに特別な出来事のような、極度の出来事があった場合には、少なくとも業務上があると認めるということについては、
先生方のご意見は一致したのではないかというようなおまとめをいただいておったと考えておりまして、
それを表現させていただいたのがここということです。
○阿部先生 そうすると、同じ業務の負荷がかかったとしても、ちょっと厳しく判断するという方向ですね。
一般的な人と同じように、特段の配慮はしないが、同じようにと私の中で理解していたつもりでおりましたので、
ちょっと厳しいのかなと思った
次第です。
○岡崎座長 こういう表現を入れると、いまの悪化の前に、ウのパラグラフで言うと3つ目の、
「悪化の前に強い心理的負荷となる業務による出来事が認められることをもって、
ただちにそれが精神障害の悪化の主たる原因であるとまで判断することは、現時点では医学上困難であり」という表現、
「ただちに」と入れても、ニュアンス、先生がおっしゃったこととは異なりますかね。
このパラグラフの最初にありますように、既に精神障害を発病している者は、
病的状態に起因した云々からなり、些細な心理的負荷に過大に反応する。
これが全てかどうかと言われるとわからない。
「するのであり」というのは、全てというふうに読み取れますが、「するのであり、悪化の原因、要因は、
必ずしも大きな心理的負荷によるものとは限らない」というのが前提としてありますよね。
ここを変えないといけないということになりますね

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産業医に報告

2017年02月15日 | 情報

法改正を前に、実施態勢をおつくりになることをお勧めします。

100時間超の残業 産業医に報告 罰則なし 実効性の確保課題 
2017/2/5付日本経済新聞 朝刊

厚生労働省は6月から、企業に対して月100時間を超えて残業をしている従業員の情報などを産業医に報告することを義務付ける方針だ。
新入社員が過労自殺した電通問題などを受け、長時間労働の是正は喫緊の課題。
同省は産業医がこうした情報をもとに企業上層部に改善を呼び掛けるとともに、企業が過重労働をさせないよう律する効果を見込む。

50人以上が働く事業所は産業医を選任する義務があり、50人未満は努力義務になっている。
厚労省によると、日本医師会の研修を受けるなどして労働安全衛生法に基づく産業医の要件を満たした医師は全国で約9万人。
健康診断の実施やその後の指導、メンタルヘルスの相談などが役割だ。
厚労省は今年度中に省令を改正し、月100時間超の残業がある従業員を産業医に伝えることを企業に義務付ける。
運用開始は6月からの予定だ。厚労省幹部は「産業医から企業の上層部に残業削減を働きかけてもらうのが狙いだ」と話す。

労働安全衛生法は、月100時間を超えて働く社員が申し出た場合、医師による面接をしなければならないと定めている。
厚労省によると、自主的に長時間労働の従業員を産業医に伝えて面接するよう促し、
その結果を踏まえて産業医が残業削減などを事業所に提案しているケースもある。

ただ専属の産業医を置く必要がある1000人以上の事業所と違い、それ未満の事業所はこうした取り組みが遅れている。
このため情報提供の義務化を通じ、意識変革が必要と判断した。

健康診断で異常が見つかった社員についても、産業医の求めに応じて残業時間や夜勤の回数などを提供させることを決めた。
定期健康診断で何らかの異常があった人の割合は2015年が53.6%で年々増えている。
「血圧や血糖値などが高く、そこに過重労働が重なると過労死のリスクが高まる」(厚労省幹部)

ただ同省はこうした報告義務について、守らなくても労働安全衛生法の罰則規定を適用しない方向で検討している。
実効性をどう確保するかが課題となりそうだ。

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ストレスチェックの結果報告

2017年02月14日 | 情報

みなさんの企業・事業場では、実施したストレスチェックの結果をまとめていることと推察します。
そして、その結果ですが、「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書(様式第6号の2)」により、
所轄の労働基準監督署長に提出しなければなりませんが、既にお済でしょうか?
誤解のないようにしたいのですが、ストレスチェックを実施していなくても、
実施していない旨、報告しなければならないことはご存知でしょうか?
当局の情報によると、未報告事業場は、ワンクリックで、リストアップされるそうです。
そして、本年は、その未報告事業場に監督官が訪問することも検討しているそうです。

(参照)厚労省ストレスチェック制度関係 Q&A
(Q19-6)ストレスチェックを実施しなかった場合も、労働基準監督署に報告を行う必要はあるのでしょうか。
報告しなかった場合は、罰則の対象となるのでしょうか。
ストレスチェックを実施しなかった場合も、労働安全衛生法第100条及び労働安全衛生規則第52条の21の規定に基づき、
「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書(様式第6号の2)」を所轄の労働基準監督署長に提出する義務があります。
また、提出しなかった場合は、労働安全衛生法第120条第5項の規定に基づき、罰則の対象となります。

なお、報告書の提出は、「一年以内ごとに一回、定期に、」報告することになっています。
因みに、定期健康診断の結果報告は、「遅滞なく、」となっていますので、違いに留意してください。
(検査及び面接指導結果の報告)
法第52条の21 常時五十人以上の労働者を使用する事業者は、一年以内ごとに一回、定期に、
心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書(様式第六号の二)を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

 (健康診断結果報告)
法第52条  常時五十人以上の労働者を使用する事業者は、第四十四条、第四十五条又は第四十八条の健康診断(定期のものに限る。)を
行なつたときは、遅滞なく、定期健康診断結果報告書(様式第六号)を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

 

 

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