中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

法改正に伴う個人情報の取扱い

2017年02月08日 | 情報

当職は、職場復帰支援制度において、当事者の職場復帰を円滑に進め、当事者の職場復帰を成功させるための対策の一つとして、
企業・事業場が、主治医と情報交換を密にすることが重要であると強調してきました。
なぜか?主治医は、受診者が、会社でどのような仕事をしているのか、どのような職位なのか、
会社はどのような企業活動をしているのか、会社はどのような職場復帰を望んでいるのか、
等々全くの情報がないまま、あるいは、受診者の主張のみを信じて、医療行為をすることになります。
これでは、当事者の職場復帰が円滑に進むとは思えません。
この情報ギャップを補うのが、主治医に対する企業・事業場からの働きかけです。
企業・事業場が、主治医と信頼関係を確立できれば、当事者の職場復帰の成功率は格段に高まるものと考えています。

具体的な手法ですが、主治医より当事者の個人情報を取得することになりますので、まず、
当該従業員(当事者)に、会社は、主治医と情報交換する旨の了解を取得しなければなりません。
そして、会社は、どのような情報を取得したいのか、当該従業員(当事者)の了承が必要になります。
その承諾書をもって、会社は、主治医に接触することになります。
できれば、最初は、会社側の担当者と当該従業員(当事者)が同行受診すれば、情報交換が円滑に進むことになります。

今回、「雇用管理に関する個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項」(H27.11.30付け基発1130第2号)が
発布されましたが、その中で、「医療機関から健康情報(労働者提出の診断書の内容以外)を収集する場合、
・医療機関が、労働者から同意を得る必要がある。
・事業者はあらかじめ目的を労働者に明らかにして承諾を得て、
必要に応じて労働者本人から情報の提出を受けることが望ましい」とされました。
職場復帰支援制度を規定されている企業・事業場の皆さんには、主治医との信頼関係を確立し、
緊密な情報交換が大切であることをご理解いただいたうえで、
具体的には、上記の厚労省通達を、社内規程に反映いただくようご配慮ください。
念のために申し上げますが、このようなこと一つとっても、職場復帰支援制度を規定し、
その運用を進めるには、細心の配慮が必要であることも理解してください。

参考情報
改正個人情報保護法が、本年の5月30日に施行されます。
http://www.ppc.go.jp/files/pdf/290530_personal_law.pdf

主な改正点は、
・個人情報の定義の明確化
・匿名加工情報に関する規程の新設
・各主務大臣の権限を個人情報保護委員会に集約
・外国の第三者への提供を明確化 等です。

健康情報の定義
雇用管理に関する個人情報のうち、健康診断の結果、病歴、その他の健康に関するもの

個人情報の定義
(定義)
第2条 この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
一 当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの
(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)
改正点)二 個人識別符号が含まれるもの
2 この法律において「個人識別符号」とは、次の各号のいずれかに該当する文字、番号、記号その他の符号のうち、
政令で定めるものをいう。
特定の個人の身体の一部の特徴を電子計算機の用に供するために変換した文字、番号、記号その他の符号であって、
当該特定の個人を識別することができるもの
二 個人に提供される役務の利用若しくは個人に販売される商品の購入に関し割り当てられ、
又は個人に発行されるカードその他の書類に記載され、若しくは電磁的方式により記録された文字、番号、記号その他の符号であって、
その利用者若しくは購入者又は発行を受ける者ごとに異なるものとなるように割り当てられ、
又は記載され、若しくは記録されることにより、特定の利用者若しくは購入者又は発行を受ける者を識別することができるもの

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