中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

コミュニケーションの希薄化

2023年10月10日 | 情報
〇小職の持論です。メンタルヘルスの課題は、「コミュニケーション」と「睡眠」にあると。

〇東京都立大 高尾先生「ジョブクラフティング」の講演(23.10.4)より、
小職が理解したポイントのひとつ;
意味のある雑談が、し難くなった。大手メーカー人事関係管理職談」

〇(参考)雑談は「中身がないこと」に意味がある
齋藤 孝:明治大学文学部教授 2017.3.1

人間関係において日々の会話が大事なことは理解している。
けれど、仕事や業務連絡以外でいったい何を話せばいいのだろう?
悩む人も多いでしょう。
また、雑談に何の意味があるのか、時間のムダじゃないかと疑念を抱く人も。
改めて、雑談の意味と意義についてお伝えしたいと思います。
本当の意味を知っているだけで、もっと気軽に雑談ができるようになり、
相手との距離もグッと縮めることができるでしょう。

会話の9割は「意味のない会話」
 実は雑談には3つのルールがあります。
 ルール1 中身がないことに意味がある
 ルール2 結論はいらない
 ルール3 サクッと切り上げる

〇一方で、「心理的安全性」(小職ブログ 23.9.27アップより)

◎心理的安全性(psychological safety)とは、
チームの他のメンバーが自分の発言を拒絶したり、罰したりしないと確信できる状態」をいう。
メンバー同士の関係性として「このチーム内では、
『メンバーの発言や指摘によってチーム内の人間関係の悪化を招くことはない』という安心感が
チームメンバー間で共有されていること」が重要なポイント。
心理的安全性の高い状況のチームでは、メンバーはどんな疑問・質問やアイデアを提案しても
チーム内で受け止めてもらえると信じているので、思いついたアイデアや考えを率直に発言することができる安心感がある。
社内の現行業務やシステムなどに対して、斬新な提言やアイデアを自由に話し合える雰囲気がある組織を
「心理的安全性」の高い組織と言える。

◎提唱者は、ハーバード大のエイミー・エドモンドソン教授、1999年。
◎具体化したのは、2015年にグーグル社の人事データ分析チーム。
「成功するチームは心理的安全性が高い」と発表したことによる。(註)

◎実証研究の結果、生産性アップの成功ポイントとして以下の5つが関係していること、
そのためには、チームとしての生産性が向上する環境づくりが明らかにされた。

心理的安全性
チーム内では、マイナスのイメージにつながる発言や行動をとっても、
嫌われたり、馬鹿にされたりしないとの安心感が持てるので、
素の自分や自分の弱み等をさらけ出すことができる状態。

信頼性
お互いを信頼しているチームでは仕事の質やスピードが上がるが、
チーム内の信頼性が下がると仕事を押し付け合い、放棄する状態になる。

構造と明瞭さ
生産性を上げるためには仕事の明瞭さが大切であり、メンバーがチームの構造を理解していることが重要である。
そのため、リーダーは具体的で達成可能な業務設定をすることが重要である。

仕事の意味
メンバーが仕事の意味や目的意識を共有することがチームの生産性アップにつながる。

インパクト
メンバーが仕事に意義を認めるためには、仕事のインパクトが必要である。
自分たちが良い結果を出せば、会社や社会に対してよい変化を起こせるという
心理状況を作ることがリーダーには求められる。

◎この結果からさらに、生産性の高いチームには
均等な発言機会」と「社会的感受性の高さ」という2つの要素があることがわかった。
なお、社会的感受性とは、自分の発言が相手に与える影響を理解し、
相手の言動から相手が伝えたいことを読み取る能力のことをいう。

(註)「How Google Works:私たちの働き方とマネジメント」日経BP,2014

◎このような職場であれば、メンタルヘルス問題は遠い世界の話でしょうね。
なお、当記事は、森崎美奈子(一般社団法人産業心理職協会)の論文を中心に作成しています。


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