中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

質問に回答します④

2017年06月26日 | 情報

Q:法律改正で、産業医の定期巡視が、1月に1回から、条件付きで2月に1回でよいことになりました。
ところが、一方で働く場所は多様化しています。例えば、在宅勤務(テレワーク)、客先常駐等であり、
営業や物流部門は、事務所に勤務するのは、稀な状況です。産業医の先生には、どのような依頼をしたらよいのでしょうか。

A:平成29年3月29日に公布され、改正省令は平成29年6月1日から、
改正告示は平成29年10月1日から、それぞれ施行又は適用されることになりました。

産業医の定期巡視及び権限の付与
安衛則第15条  産業医は、少なくとも毎月一回(産業医が、事業者から、毎月一回以上、
次に掲げる情報の提供を受けている場合であつて、事業者の同意を得ているときは、少なくとも二月に一回)
作業場等を巡視し、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、
直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
一 第十一条第一項の規定により衛生管理者が行う巡視の結果
二 前号に掲げるもののほか、労働者の健康障害を防止し、又は労働者の健康を保持するために必要な情報であつて、
衛生委員会又は安全衛生委員会における調査審議を経て事業者が産業医に提供することとしたもの
2  事業者は、産業医に対し、前条第一項に規定する事項をなし得る権限を与えなければならない。

一方で、安衛則第15条1項に規定されている「作業場」とは、「事業場内において密接な関連の下に作業が行われている
個々の現場をいい、主として建物別等によって判定すべきものである」とされています。(昭23・4・5基発第535号)
さらに、事業とは、「工場、鉱山、事務所、店舗等の如く一定の場所において相関連する組織のもとに
業として継続的に行われる作業の一体をいうものであって、必ずしもいわゆる経営上一体をなす支店、工場等を
総合した全事業を指称するものではないこと」とされています。(昭22・9・13基発第17号)

以上を素直に解釈すると、作業場は事業場内にあることになります。
もし、この解釈が正しいとなれば、上述した「在宅勤務(テレワーク)、客先常駐等」は、
産業医の定期巡視に該当しないことになります。
しかし、これでは法の精神からは、かけ離れてしまいます。

そこで、労基署長経験者の先生に確認しました。
「労基署としては、この質問に対する回答を、現在、用意していない。
将来的には、厚労省が対応するかもしれない。」ということでした。
そこで、当職としては、質問者に、安全配慮義務の遵守を意識して、委嘱している産業医と相談のうえ、
企業としてできる限りの対応をしてください、とアドバイスします。回答としては、十分でありませんが。


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