中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

パイロット、「勤務間インターバル」

2019年04月02日 | 情報

小職が導入を推奨している、「勤務間インターバル」制度です。

パイロット、最低10時間の休憩が義務に 国が疲労対策
3/30(土)  朝日

国土交通省は29日、パイロットの新たな疲労管理基準を公表した。
勤務終了から次の勤務までに最低10時間の休憩を義務づける「勤務間インターバル」を導入する。
航空需要の増加でパイロット不足が進む中、疲労による事故やインシデントを防ぐ狙いがあり、
今後、通達を改正して航空各社に適用を求めていく。
日本の基準ではこれまで、おもに24時間ごとの乗務時間の上限と、
7日間ごとに休日を1日とるといった定めしかなかったが、これを改める。
深夜早朝に勤務する場合は休憩時間をさらに追加し、時差運航を考慮した休みも求める。
国内便は8時間、国際便は12時間だったパイロット2人の場合の上限乗務時間も原則10時間に統一。
3回以上の飛行や深夜早朝勤務のある場合は、さらに上限時間を厳しくする。
制限のなかった3人や4人態勢での上限時間は、それぞれ15時間と17時間にする。
パイロットの疲労に関しては、2009年に米ニューヨーク州でコルガン・エア機が
墜落し乗客乗員ら50人が死亡した事故では、睡眠不足の影響が指摘された。
その後も、台湾やカナダの航空会社でも疲労の影響による事故が発生。
米国ではコルガン機の事故後、離着陸回数や勤務時間帯を考慮し、乗務時間の上限を厳しくした。

4月から始まる「勤務間インターバル制度」をご存知?でも“努力義務”だと…厚労省に聞いた
3/20(水) FNN

4月から「有給休暇」が義務化されることは、以前編集部でも取り上げたが、
同じく施行される「勤務間インターバル制度」についてご存じだろうか?
「勤務間インターバル制度」は4月1日に施行される働き方改革関連法に基づき、
労働時間等設定改善法が改正されて定められた制度。
仕事を終えたあとに一定の「休息時間」を設定するもので、例えば残業で遅くなった場合、
翌日の始業時間を遅らせるというような制度のことだ。
19日、携帯電話大手のソフトバンク株式会社は会社を挙げた健康増進を目的に、
この「勤務間インターバル制度」をはじめとする施策の導入を発表した。
ソフトバンクでは全社員を対象に、終業から次の始業までに
10時間以上の連続した休息時間を取ることを義務付けるという。
ただし、緊急の業務や時差がある海外との連絡など、やむを得ないケースは例外としている。
4月から施行されるということは、自分の会社でもいつか導入されるのか…と思うかもしれないが、
実はこの「勤務間インターバル制度」によって、労働者が休息を確保するのは事業主の努力義務とされている。
つまり、守らないと事業主が罰せられる「有給義務化」とは違ってペナルティなどはなにもないのだ。
これで仕事環境は変わるのか?厚生労働省の担当者に聞いてみた。

あえてインターバルの時間は決めていません

――「勤務間インターバル制度」とはどんな経緯で成立したの?
「勤務間インターバル制度」はヨーロッパ等では古くから導入されていて、
終業から始業まで11時間を開けるというのがEUの決まりになっています。
日本では、以前から問題になっている長時間労働の是正や各労働者の健康確保などの観点から、
労働時間等設定改善法という法律の中に「始業から就業までの間に一定の間隔を置く」という
努力義務規定の法律が制定されました。いきなり義務化するのではなく、努力義務規定となりました。
 (※ドイツでは1938年に連続11時間の休息時間を取る規定が制定している)

――努力義務とはどういうこと?
「企業はこういう制度を極力導入してください」というような形です。
これは労働基準法のような強行法規ではありません。導入しないからと言って罰せられるとか、
そういうことはないですね。

――「有給義務化」のように義務化される予定はある?
まったくないです。

――影響があるのは「勤務間インターバル制度」を導入した会社の労働者だけ?
そうです。

――企業にはどんなメリットがある?
今は人手不足と言われていますが、仕事の環境が良くなれば働きたい人たちが
集まってくる可能性が非常に高くなります。
それと、睡眠時間や生活時間の確保がしっかりできることによって、労働者の健康が守れます。
12月22日発表したプレスにある極端な例ですが、ある研究では、
朝8時からずっと起きて夜中3時になったとき、
認知・精神運動作業能力は、血中のアルコール濃度0.05%と同程度に低下したそうです。
(日本では 0.03%以上で酒気帯び運転)
また病気にかかるリスクも増えます。
それらを踏まえれば、一定のインターバルを確保することで、
様々なロスを減らして生産性が向上する可能性が高くなるというメリットが
あると言えるのではないでしょうか。

――この制度ではインターバルの時間は決まっているの?
あえて時間は定めていません。何故かというと、我が国におけるインターバル制度の普及率はまだ非常に低く、
またインターバル制度を導入した企業も時間は様々です。
ここで一律何時間と定めるのはまだ時期尚早というわけです。
まずは、勤務間インターバル制度を広く普及して、認識を持っていただいて、
労働者の健康確保や長時間労働の削減につながります、ということをご理解いただきたい。
そのため、より多くの事業者に導入してもらいたいという狙いもあって数値は出していないのです。

導入企業は1.8%…来年目標10%はムリ?

実は、「平成30年就労条件総合調査」によると、勤務間インターバル制度を導入している企業は全体の1.8%。
逆に、制度導入の予定も検討もしていない企業は 89.1%で、
そのうち制度自体を知らなかった企業は 29.9%もいる。
しかし政府は、来年2020年までに、導入企業10%以上にすることを目標として挙げている。
これはかなり難しいのではないだろうか?

――目標は達成できる?
例えば厚労省では、サッカー解説者の松木安太郎さんを起用した広告を作りYouTubeにアップしたり
政府広報でも地方紙に公告を掲載したり、様々な広報活動をしています。

――松木さんが「勤務間インターバル制度」をお知らせしている?
いいえ、勤務間インターバル制度そのものを紹介しているのではなく、働き方改革全体の紹介ですが…
ただこれらで興味を持った方々が、厚労省のホームページ等を見たり、
あるいは最寄りの労働局、労働基準監督署、
昨年4月から設置した「働き方改革推進支援センター」などに足を運ぶか電話していただくことで、
少しでも認識を高めていきたいと思っています。
是非「働き方改革」「厚労省」などで検索してください。
「有給休暇義務化」など様々な働き方改革が進められているが、
「勤務間インターバル制度」も残業で遅くなった次の日にいつもの始業時間に出社するのがつらかった経験は
誰しもあると思うので、いい制度のようには思えるが、
事業主の努力義務というしばりでどこまで普及するのだろうか。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 勤務間インターバル制度普及促進 | トップ | 是正勧告+行政指導 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

情報」カテゴリの最新記事