中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

短期間で達成するのは非現実的だ

2018年10月26日 | 情報

本来であれば、24日にアップするブログ記事でした。

報道によれば、「政府は関係府省連絡会議で、2019年中に障害者を4000人採用し、
法定雇用率の達成を目指す基本方針を確認した。」とありますが、「目指す」ですから、努力目標にすぎません。
達成できない場合は、どうなるのでしょうか。
一方、読売10/23朝刊の3面に、雇用目標について「各省庁からは『短期間で達成するのは非現実的だ』との声が漏れる。」とありました。
もし民間企業が障碍者雇用率を達成できない場合には、障害者雇用納付金を強制的に徴収されます。 
日頃より、当ブログを通じて法令順守を訴えている小職としては、「法は法、悪法も法」と云われても納得出ません。

障害者雇用促進法の概要
file:///C:/Users/shas/AppData/Local/Microsoft/Windows/INetCache/IE/6774NHCM/000363388.pdf

①雇用義務制度
事業主に対し、障害者雇用率に相当する人数の障害者の雇用を義務づける
民間企業 …………………2.2%(~平成30年3月2.0%)(平成33年4月より前に、2.3%)
国、地方公共団体、特殊法人等 ……2.5%( 〃 2.3%) (平成33年4月より前に、2.6%)
都道府県等の教育委員会 ……………2.4%( 〃 2.2%) (平成33年4月より前に、2.5%)
※大企業等において、障害者を多数雇用する等一定の要件を満たす会社(特例子会社)を設立した場合等、
雇用率算定の特例も認めている。

②納付金・調整金
障害者の雇用に伴う事業主の経済的負担の調整を図る
○ 障害者雇用納付金(雇用率未達成事業主)不足1人 月額5万円徴収 (適用対象:常用労働者100人超)
※ 常用労働者100人超200人以下の事業主は、不足1人 月額4万円
○ 障害者雇用調整金(雇用率達成事業主) 超過1人 月額2万7千円支給(適用対象:常用労働者100人超)
※ この他、100人以下の事業主については報奨金制度あり。(障害者を4%又は6人のいずれか多い人数を超えて雇用する場合、
超過1人月額2万1千円支給)
・ 上記のほか、在宅就業障害者に仕事を発注する事業主に対する特例調整金・特例報奨金の制度がある。(在宅就業障害者支援制度)

③障害者を雇い入れるための施設の設置、介助者の配置等に助成金を支給
・障害者作業施設設置等助成金
・障害者介助等助成金 等

うつ申告→身体障害… 雇用水増し「恣意的」 第三者委
朝日新聞 10/22

障害者雇用数の水増し問題で、第三者委員会の報告書では、健常者の職員を恣意(しい)的な解釈で「障害者」と見なす
悪質な手口が複数の中央省庁で長年横行していた実態が明らかになった。
厚生労働省によると、各省庁は第三者委の調査に対して、不正な算入は「意図的ではない」と説明したというが、
報告書は「恣意的な当てはめ、在職の確認という基本の確認不足、法令の勝手な解釈。
長年引き継がれてきたとのいいわけは許されず、誠にずさんな事務処理だ」と指摘。
「法定雇用率を満たすため、既存の職員から新たに選んだ人を障害者として計上してきたことがうかがえる」と認定した。
昨年6月1日時点で、不適切に障害者雇用率に算入されていた職員の実数は、国の33機関のうち28機関で計3700人だった。
このうち約2600人が障害者手帳を持たず、病気や障害もなかった。
最多の1103人を不正に算入していた国税庁は、「うつ状態」「不安障害」と自己申告するなどした人を、
精神障害者保健福祉手帳を持っていないと知りながら、臓器など内部機能に障害がある「身体障害者」と認定し、雇用率に算入していた。
昨年度に内部機能障害として不正算入した187人のうち約4割の80人が、こうした「精神疾患」の職員だった。
メガネなどをかけた状態の「矯正視力」が「0・1以下」であれば算入できるが、
「裸眼で0・1以下」と解釈して健常者を不正に算入したケースもある。
水増し計75人中74人が「視覚障害」だった総務省や、環境省や特許庁、農林水産省などでこうした手口が使われていた。
国土交通省は、すでに退職している74人を障害者として算入していた。中には約10年前に退職していた人も含まれていた。
長年引き継がれた障害者職員の名簿の人について、在職しているか確認していなかった。
根本匠厚生労働相は22日の関係府省連絡会議で「政府として真摯(しんし)に受け止め、
今回の事態について深く反省したい」と陳謝した。
その上で、今後、各省庁が法定雇用率の達成に向けて積極的な障害者の採用に動くことを踏まえ、
「障害のある方が意欲と能力を発揮し、活躍できる場の拡大に取り組んでいくことが重要だ」と語った。

障害者雇用、不正3700人=中央省庁28機関、水増しは「恣意的」―第三者委報告
10/22(月) 時事

中央省庁の障害者雇用水増し問題を調査した第三者検証委員会(松井巖委員長)は22日、2017年6月1日時点で、
不正に3700人を障害者として計上していたとする報告書を発表した。
「法定雇用率(当時2.3%)を充足するため、恣意(しい)的で不適切な基準を用いた」と認定。
障害者雇用に対する意識が低く、ルールを無視したずさんな運用を少なくとも20年以上続けていた実態が明らかになった。
問題があったのは、省庁に会計検査院などを加えた国の33行政機関のうち28機関。
当初はほとんどで法定雇用率を超えたとしたが、実際にクリアしていたのは6機関にすぎず、
省庁全体の障害者雇用率は1.18%にとどまった。
政府は雇用率(現行2.5%)を達成するため、0.5人と数える短時間勤務者も含め、19年末までに障害者4072.5人を採用する計画だ。
不正の開始時期は確認できなかったが、遅くとも1997年ごろから4機関で現行の手続きが始まっており、
報告書は「大規模な不適切計上が長年にわたって継続するに至った」と結論付けた。
省庁別では国税庁が1103人で最多。制度を所管する厚生労働省でも不正は行われていた。
障害の種別では身体障害者が3390人と全体の9割以上を占め、総務省では裸眼視力が0.1以下の人を障害者と認定していた。
また、91人は退職者などすでに在籍していない人で、中には死亡していた人もいた。
財務省と観光庁は職員となっていない人を計上していた。

何とずぼらで、ずさんな意識」障害者水増し、検証委員長が批判
2018.10.22  産経

中央の行政機関が雇用する障害者数を水増ししていた問題で、弁護士らによる国の第三者検証委員会の委員長、
松井巌(がん)・元福岡高検検事長が22日、厚生労働省内で記者会見し、
不適切に計上した各省庁に対し「何とずぼらで、ずさんな意識を抱えていたのか」と批判した。
松井氏は9月から、26の行政機関を自ら聴取。不適切計上の原因について
「まさに前例踏襲。前任者がやってきたものをそのまま考えないで計上が行われた。
新たに障害者を雇うという努力をしていなかった」と強調した上で、
「漫然と行われており、一体なんだとあぜんとする思い」と述べた。

以下の文書を探すのは、至難の業でした。
(参照1)国の行政機関における障害者雇用に係る事案に関する検証委員会 報告書(平成30年10月22日) 概要

file:///C:/Users/s-has/OneDrive/

(参照2)国の行政機関における障害者雇用 に係る事案に関する検証委員会

file:///C:/Users/s-has/OneDrive/

 

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有休取得率、17年は51.1%

2018年10月26日 | 情報

有休取得率、17年は51.1%=20年ぶり水準も、目標遠く
18.10.23 時事

厚生労働省が23日発表した就労条件総合調査によると、民間で働く人の2017年の年次有給休暇取得率(1人当たり平均)は、
前年比1.7ポイント上昇の51.1%と3年連続で増加した。
1998年(51.8%)以来、20年ぶりの高水準だが、日本の取得率は諸外国に比べてなお低く、
政府が2020年の目標とする70%にはほど遠い状況だ。
取得率は、労働者が与えられた有休日数に対する実際の取得割合。17年の平均取得日数は0.3日増の9.3日だった。
業種別の取得率を見ると、最低は宿泊・飲食サービス業の32.5%。
卸売・小売業、生活関連サービス・娯楽業、建設業も30%台半ばから後半と低く、
いずれも最も高かった電気・ガス・熱供給・水道業(72.9%)の約半分にとどまった。 

本当に堂々と休める? 有休取得が義務化、「言い逃れ」できなくなる企業
18.9.10 日経

休暇中も賃金が支払われる年次有給休暇(有休)の制度が変わる。
従業員が有休を取ることを企業に義務付けるが、これで本当に休めるようになるのか。
有休取得の義務化や今後の課題などについて、石塚由紀夫編集委員に聞いた。

――有休取得の制度が変わるそうですね。
年10日以上の有休が与えられている社員について、年5日は必ず取得させるように企業に義務付けます。
中小企業を含めすべての企業が2019年4月からその対象です。働き方改革の一環で労働基準法が改正されました。
過重労働を防止し、休むときはしっかり休んで仕事の生産性を高める狙いです。
有休は働く人の権利。いつ何日取得するかは「時季指定権」と呼ばれ、働く側が原則自由に決められます。
ただ、職場への気兼ねなどがあり、なかなか有休を取りません。そこで会社側に消化義務を負わせることにしました。
5日分については本人の希望を聞いた上で、取得させる日時を会社が指定し、休ませなければいけません。
これにより年5日は必ず有休を取ることになるので取得率は今より底上げされるでしょう。

――日本の有休取得状況は海外と比べてどうなの?
厚生労働省調べでは日本の有休取得率は01年以降、5割を下回っています。
国は20年までに取得率70%にすると目標を掲げていますが、実現は困難な状況です。
世界30カ国・地域を対象にした旅行予約サイトの米エクスペディア調査(17年)では、
ドイツやスペイン、フランスなど12カ国・地域が有休消化率100%に上るのに日本は50%で最下位でした。
第一生命保険が男女1400人を対象に実施した調査によると、
有休取得にためらいを「感じる」または「やや感じる」と答えた人は6割超でした。
「職場の人に迷惑がかかる」「後で忙しくなる」などがその理由。男性では「昇格・査定への影響が心配」を挙げる人も目立ちました。

――違反した企業に罰則はあるのですか。
有休消化が5日未満の働き手がいた場合、最高30万円の罰金を企業に科します。
罰金が違反1社当たりなのか、1件当たりなのかは明示されていません。
もし違反1件当たりで罰金を科す場合、例えば従業員500人の有休消化義務を怠った企業の罰金は30万円×500人分で
最高1億5千万円にも上ります。
日本の有休取得率はずっと50%前後で低迷しています。
これまで企業は働き手の時季指定権を逆手に取り「社員が取得しない」と言い逃れができました。でも今後は通用しません。
現在策定中のガイドラインでは企業に有休取得管理簿づくりを求める見通しです。
取得状況などの情報を本人とその上司で共有し、確実に取得させる狙いです。
各職場で社員が有休を消化できるように業務量を調整する必要もあるでしょう。
サービス業のように土日も仕事がある業態は勤務ローテーションの組み方に工夫が求められます。

――取得義務化で参考になる先進事例はあるの?
IT(情報技術)ベンチャーのロックオン(大阪市)は土日を含む9日間の連続休暇の取得を義務付けています。
翌年の予定を職場単位で調整して決めます。社員は思い思いに休暇を過ごし、リフレッシュしているそうです。
ユニークなのは休暇中の連絡を一切禁止していること。
そのため実際に山にこもるわけでないですが社内では「山ごもり休暇」と呼んでいます。
9日間も連絡を絶つには仕事を同僚に引き継がなくてはいけません。
担当業務がどんな状況にあるか、懸案は何かなど仕事の棚卸しを休暇前に全員がします。
このプロセスが無駄な業務に気付いたり、仕事の属人化を防いだりする効果も上げています。
有休が取りにくい職場風土は問題ですが、働く側も効率的に働く意識が必要です。
会社と働く側の双方が業務の中身や進め方を見直さないと有休の取得は進みません。

■ちょっとウンチク 海外は連続の休みが基本
有休取得率の向上のため、時間単位の有休取得制度を導入する企業が最近目立つ。
学校の行事や通院など1日休むほどでもない私用があるとき、有休を1~2時間に分割して取れる。
便利な仕組みだと思う半面、なぜ丸々1日休もうとしないかが不思議だ。
有休について国際労働機関(ILO)は第132号条約で、有休は連続して取得することと定めている。
日本は同条約を批准していないが、ドイツやイタリアなど37カ国は批准。
これらの国々ではバカンスが定着し、長期の休みを労働者は堪能している。勤勉が美徳とされる日本人は休み下手のようだ。

(参考)年次有給休暇とは 厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/sokushin/summary.html

(参考)平成29年就労条件総合調査 結果
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/17/index.html

 

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