中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

休息義務を初導入

2016年12月22日 | 情報

勤務間インターバル制度は、行政の行動を待つまでもない、早急に具体化すべき制度でしょう。
大手マスコミの報道が皆無でしたので、ネット情報で紹介します。

エステTBC 休息義務を初導入
12/8(木) BuzzFeed Japan

電通事件で注目される「長時間労働」対策 エステ大手TBCが投じた一石
大手エステサロン「エステティックTBC」と労働組合エステ・ユニオンは12月8日、
勤務と勤務の間に9時間の休息時間(インターバル)を設ける労働協約を結んだ。
厚生労働省で記者会見し、発表した。休息時間の確保で長時間労働を抑制し、ワークライフバランスを実現するねらい。
対象は全国200店舗と本社の社員、合わせて約2000人。エステ業界としては初の取り組みだという。
最大手の広告代理店、電通で新入社員が過労死した事件などを受け、過労問題への意識が高まっている。
そんな中、長時間労働対策の決め手と言われるインターバル規制を、エステ大手が導入することになった。

労働協約のポイントは次の4点だ。
(1)業務終了から、次の業務開始の間に9時間の休息時間を約束する。
   勤務と勤務の間に、強制的に「9時間」以上、休ませる。
(2)健康配慮措置。もし、11時間未満の休息時間が、1カ月で11日以上になった場合、
   ヒアリングや人員増など、さまざまな健康配慮措置をとる。
(3)9時間の休息時間が、雇用契約の始業時間に及ぶ場合、勤務時間とみなす。
  例えば、前日夜に遅くなって、9時間の休息時間が「始業時間」に食い込んだら、休んでいてOK。
  働いていなくてもお金が支払われる。
(4)遵守できなければ、組合と協議の上、改善する。 最終的にはEUの規制である11時間の休息時間の確保を目指す。

3月に労働基準監督署から是正勧告
TBCは今年3月、違法な長時間労働や残業代の未払いがあったとして、労働基準監督署から是正勧告を受けた。
同社によると昨年以来、環境改善に力を入れており、現在は残業時間の自己申告制をやめ、
ICカードで残業時間を管理するシステムを導入中だという。
同社の標準的な勤務スタイルは現在、午前10時45分~午後8時15分。休憩は90分。
実働8時間で、月平均の残業時間は20時間強となっている。

「エステ業界は長時間労働を招きやすい構造がある」
エステ・ユニオン執行委員の佐藤学さんは会見で、次のように話した。
「エステ業界では、人出不足が深刻化している。客の都合に合わせなければならないこともあり、
長時間労働を招きやすい構造がある。これは、業界全体の課題となっている」
「単なる約束と違って、労働協約は違反すると労組法違反になる。協約を結ぶ意義は大きい」。
2014年には同じくエステ大手の「たかの友梨」もマタハラや長時間労働問題が発覚し問題視された。
同社は翌年、産休を取得しやすい労働協約を結んでいる。
エステ・ユニオンは現在、業界およそ50社に組合員がいるといい、
このような取り組みを他社にも広げていきたいと話していた。

「大手としての務め」
エステティックTBCを運営するTBCグループ執行役員の長南進亮さんは、次のように話していた。
「9時間のインターバル確保は、そんなに大変なことではない。
長時間労働の心配なく働ける業界にすることが、大手としての務めだと考えている」
「時間管理をあまり意識していない若いスタッフが多い業界で、これまで労務管理が現場任せになっていたところがあった」
「労務管理の意識・知識を、会社全体としてアップしていきたい」

(関連報道)勤務間の休息規制 導入企業に助成金 厚労省・来年度から
2016.11.27 安全スタッフ誌、労働新聞社

 厚生労働省は来年度、勤務間インターバル制度を導入する中小企業を対象にした助成金制度をスタートさせる。
併せて、先進企業の事例などの情報を周知する導入促進に向けた広報事業も展開する予定だ。
中小企業事業主が支給対象である職場意識改善助成金に、新たに「勤務間インターバル導入コース」(仮称)を追加するもの。
助成対象は、同制度導入に当たっての就業規則などの作成・変更費用、労務管理用機器などの導入・更新費用などで、
50万円を上限にその費用の4分の3を助成するとしている。

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