中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

精神疾患と労災に関する一考察(1)

2016年11月28日 | 情報

11月14日の当ブログ「退勤8分後に出勤も」において、
「当事案を含めて、まさに、地下に溜まったマグマが一気に噴き出した、という印象があります。
長時間労働、違法な残業等により精神疾患を発症した場合、労災の対象になることが、
多くの労働者の一般常識になってきたということでしょう。
ということは、従来よりの公表数字と、小生がこれまで接触してきた現象から導き出した、
小生の推論が正しいという印象を持ちました。
この推論は機会あるごとに、公表、説明してきましたが、
当ブログにおいても後日、詳しく発表することにします。」と記しました。
以下に、その内容を記します。

1.厚労省は、安衛法を改正し、昨年12月に「ストレスチェック」を義務化しました。
厚労省は、法改正の背景を以下のように説明しています。
・職業生活で強いストレスを感じている労働者の割合は高い状況で推移
・精神障害の労災認定件数が3年連続で過去最多を更新 等
法改正の背景は、詳細なデータの説明を省略しますが、厚労省発表のデータが証明しています。

2.厚労省は、一方で「患者調査」を実施していますが、最新の平成26年の調査で、
精神障害計で、3,175千人、気分障害(うつ病等)で、1,116千人と発表しています。

3.さて、より新しいデータもありますが、H26年度の実績で比較してみましょう。
精神障害等の労災補償件数は、497件(H26年度 厚労省発表)。
一方で、気分障害(うつ病等)の患者数(H26年 厚労省患者調査)は、111.6万人でした。

4.労働者に発病する精神障害は
(1)事故や災害の体験、仕事の失敗、過重な責任の発生等の業務による心理的負荷
(2)自分の出来事等の業務以外の心理的負荷
(3) 精神障害の既往歴等の個体側要因
が複雑に関係しあって発病するとされています。

5.ということは、極論すれば、労災補償件数497件以外は、私傷病か、個体要因になります。
即ち、統計資料から推定すれば、気分障害(うつ病等)の患者数(H26年 厚労省患者調査)111.6万人のうち、
少なくとも100万人以上は、私傷病か、個体要因になります。

6.これならば、ストレスチェック制度は不用ではないか、何のために法改正したのかという、疑問になります。

(2)へ続きます。

コメント
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