中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

(プラス情報)「誰も気づいてくれない」

2024年09月14日 | 情報
当事案は、私企業で起きた事案ではありませんが、参考にしてください。
当ブログで繰り返し述べていますが、「早期に和解」がセカンドベストです。

「やることが多すぎる。誰も気づいてくれない」遺書記した福岡県職員の自殺、5800万円支払いで和解
2024/09/03 読売

2015年3月、福岡県立大に派遣された県職員の男性(当時55歳)が長時間労働でうつ病を発症して自殺したのは、
勤務先の安全配慮義務違反が原因として遺族が県立大と県に損害賠償を求めていた訴訟について、
福岡地裁で和解が成立していたことが分かった。
訴状によると、男性は14年4月に県立大に派遣され、入試や留学生の指導などを担当。
15年1~2月の時間外労働は月100時間を超え、うつ病を発症し、同3月に自殺。
遺書には「やることが多すぎる。誰も気づいてくれない。助けてくれない」などと記されていた。
関係者によると、和解は県立大が遺族に解決金5800万円を支払う内容。
県は8月9日付で和解に関する専決処分を行っていた。


損賠訴訟 県職員過労自殺、遺族と県が和解 /福岡
毎日新聞
2024/8/28 

2015年に県職員の男性(当時55歳)が過重労働によりうつ病となって自殺したのは職場の安全配慮義務違反があったとして、
男性の遺族が県や当時職場だった県立大に約8800万円の損害賠償を求めて福岡地裁に起こした訴訟が和解したことが27日、
県関係者などへの取材で分かった。和解は9日付。
県は和解に関する議案を9月5日開会の9…
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有給休暇の取得は順調ですか(続編)

2024年09月13日 | 情報
年次有給休暇について、復習します。法令を遵守していますか?

・「年次有給休暇」ですから、1年単位で管理します。3,4年まとめてという発想はありません。当然のことです。

・「年次有給休暇」は、労働基準法第39条に規定されています。
以下の要件を満たしたときに10日間の年次有給休暇を付与します。
これは法律上当然に発生する労働者の権利です。
使用者の承認は必要ありません。
①雇い入れの日から起算して6か月間継続して勤務していること
②その6か月間の全労働日の8割以上出勤していること

全ての企業において、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者(管理監督者を含む)に対して、
年次有給休暇の日数のうち年5日については、使用者が時季を指定して取得させることが義務付けられました。(改正労基法2019年4月)

厚労省HP 年次有給休暇の時季指定義務

・有給休暇取得の権利は、与えられた日から2年で時効になります。
与えられた日から1年間で使い切れなかった有給休暇の権利は翌年に持ち越すことができますが、
さらに1年間使わなかったときは、時効により取得する権利は消滅します。

・年次有給休暇等法定の休暇のみならず、会社で設けている休暇については就業規則に必ず定めることが必要です(絶対的記載事項)。(労働基準法第15条)

(参照)
・しっかりマスター 労働基準法・有給休暇編 東京労働基準局

・年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説 2019年4月施行 厚労省


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有給休暇の取得は順調ですか

2024年09月12日 | 情報
働き方改革関連法の施行(2019.4)により、年に10日以上の有給休暇が付与されるすべての労働者に対し、
有給休暇が付与される基準日から1年以内に合計5日分の休暇を取得させることが義務化されました。

いかに有給休暇の取得が有名無実化していた現実の裏返しが、法律改正の理由でしたが、
御社では、法律改正後の有給休暇の取得状況は、改善されていますか?

(参照)
令和5年就労条件総合調査の概況 厚労省 令和5年10月31日
(4)  年次有給休暇 
令和4年の1年間に企業が付与した年次有給休暇日数(繰越日数を除く。)をみると、
労働者1人平均は17.6日(令和4年調査 17.6日)、このうち労働者が取得した日数は10.9日(同 10.3日)で、
取得率は62.1%(同 58.3%)となっており、昭和59年以降過去最高となっている。 
取得率を産業別にみると、「複合サービス事業」が74.8%と最も高く、
「宿泊業,飲食サービス業」が49.1%と最も低くなっている。(第5表、第2図)

当然の作業ですが、改正法施行5年目です、制度のマンネリ化は起きていませんか?
令和6年度も10月より後半6月に入ります。ここで従業員の年次有給休暇の取得状況を再確認してください。

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メンタルヘルス対策等の自主点検結果について

2024年09月11日 | 情報
資料は少し古くなりますが、東京労働局の調査結果を入手しましたので、転載します。
東京労働局HP

◎メンタルヘルス対策等の自主点検について

14次防期間(令和5年~令和9年)の初年度の状況把握(令和5年9月実施)
都内の常時10人以上の労働者を使用する事業場を対象として、
事業場規模・業種・地域を勘案して約3,500事業場を抽出して郵送形式(回答はWEB)で実施


メンタルヘルス対策に取り組む事業場の割合自主点検の調査結果
・14次計画の目標―2027年までに80%以上・・・89.4 %

・メンタルヘルス不調者の相談体制を整備している 82.4%
・メンタルヘルス不調者を医療機関等へ取り次ぐ体制の整備 82.4% 76.1%
・メンタルヘルス推進担当者を選任している 73.3%
・メンタルヘルス対策を衛生委員会等で調査審議  70.3%
・ストレスチェックを実施している 70.1%
  そのうち「50人未満の小規模事業場におけるストレスチェックの実施の割合」は47.2%
・メンタルヘルスに関する研修会を開催している 66.3%
・ストレスチェック結果の集団的分析を行っている 63.0% 
 50 人以上事業場では90.3%に対して、30人未満事業場では30%台となっている。

・集団的分析結果を勘案して心理的負担軽減措置を実施 61.8%
 50 人以上事業場では80.6%に対して、30人未満事業場では30%台となっている。

・メンタルヘルス不調による休職者の職場復帰支援を講じている  61.7%
 50 人以上事業場では77.7%に対して、30人未満事業場では40%台となっている。

・事業主がメンタルヘルス対策の推進を表明している 61.6%
 50 人以上事業場では77.4%に対して、30人未満事業場では30%~40%台となっている。

・管理監督者に対する教育研修を実施している 60.0%
 50 人以上事業場では76.1%に対して、30人未満事業場では40%台となっている。

・「心の健康づくり計画」を策定している  36.4%
 50 人以上事業場において 上述の11項目の実施状況は70%を超えているのに比べ、「心の健康づくり計画」の策定では50.3%にとどまっている。

・メンタルヘルス対策に取り組んでいる  89.4%

② 50人未満の小規模事業場におけるストレスチェック実施の割合
14次計画の目標―2027年までに50%以上・・・47.2 %

③必要な産業保健サービス※を提供している事業場の割合
14次計画の目標―2027年までに80%以上・・・87.8 %

※産業保健サービス:保健指導、健康診断事後措置、健康相談、メンタルヘルス対策、治療と仕事の両立支援、女性の健康問題への配慮等

取組内容(複数回答)をみると、「健康診断結果に基づく保健指導を実施している」が77.0%と最も多く、
次いで、「健康に関する教育を実施している」65.4%、「治療と仕事の両立支援に取り組んでいる」51.0%であった。

④過去1年間に定期健康診断を実施した事業場は99.7%。
このうち医師への意見聴取を行った事業場が74.2%、就業上の措置を講じた事業場は65.1%であった。

⑤メンタルヘルス推進担当者を選任している事業場の割合は、50人以上事業場では88.4%に対して、30人未満事業場では50%台となっている。

⑥メンタルヘルス対策について衛生委員会等で調査審議を行っている事業場の割合は、
50人以上事業場では97.1%に対して、30人未満事業場では50%を切る状況となっている。

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その日の行動を記録する

2024年09月10日 | 情報
大野先生の連載記事です。

その日の行動を記録する 気持ちが明るくなることも
こころの健康学 認知行動療法研修開発センター 大野裕
2024年9月7日 日経

10年以上前、認知行動療法の考え方を広く知ってもらうために「こころのスキルアップ・トレーニング」というサイトを立ち上げた。
認知行動療法を動画や文章で解説したり、実際に問題に取り組んだりできる作りになっているが、「こころ日記」というコーナーも作った。
文字通り毎日の出来事を書き込む日記で、その日に起きたよかった出来事と、よくなかった出来事を書く欄を設けてある。
書き込む欄を2つに分けた理由だが、まずよかったことを書き込むと気持ちが前向きになってくる可能性がある。
これまでの研究から、日記によかったことや楽しかったことを書き込んでいる人は心身ともに健康になる可能性が示唆されている。
同じ環境で長期間共同生活をしている修道女の日記を調べた研究では、ポジティブな記述が多い人ほど長生きしたという。
こうした活動記録は、役に立つ活動を見つけるヒントにもなる。
よく知られているように、楽しい活動が増えると気持ちが明るくなる。
逆にそうした活動が減ると落ち込みやすくなる。
楽しいことだけではない。つらい体験でも、やりきったというやりがいを感じることができると、気持ちが前向きになってくる。
このような研究結果から、うつ病などで落ち込んでいる人の治療では、
毎日の生活で行動を記録してもらい、気持ちが軽くなる行動を増やすように伝える方法が使われる。
行動活性化というこの方法は行動を通してこころを活性化するという意味で、
気持ちが沈み込んでいるときだけでなく、日々の生活でも意識すると役に立つ方法だ。
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