先日、読売新聞に、「スペインで村長が略奪を指揮、貧者の「英雄」に」と言う記事が掲載された。
債務危機が深刻なスペインで、ラホイ政権の緊縮政策に対する地方の反発が強まって、南部アンダルシア州では、住民の先頭に立って略奪を指揮する村長まで現れ、失業者ら十数人を率いて州内のスーパーを襲撃し、略奪したコメや缶詰をセビリアで貧困家庭に配った。
村長は事件で全国的な注目を集め、貴族から奪った物を貧者に分け与えた中世イングランドの伝説にちなんで「現代のロビン・フッド」(エル・パイス紙)とも呼ばれた。事件後も毎週、州内を仲間とデモ行進し、銀行で座り込みを行った。と言うのである。
スペインの失業率は欧州連合(EU)で最悪の25%だが、アンダルシアでは実に34%に達しており、若者の失業率は、スペイン全土で53%だと言うから、新卒者たちは、殆ど就職できないと言うことである。
NHK BS1のワールドWAVEを見ていると、連日、スペインの危機的な財政悪化と国民の激しいデモを報じており、先日も、中銀総裁が、赤字はもっと深刻で政府の財政目標など達成不可能だと明言していたし、経済状況は、益々悪化の一途を辿っていると言う。
不動産バブルに浮かれに浮かれて破綻して窮地に追い込まれてしまったスペイン経済に対して、政府は、EUに穴埋め借金を頼む以外に何の有効な経済戦略もなく、殆ど経済成長から見放されてしまった上に、更に、財政支出を削減して経済成長の芽を摘み、国民生活を圧迫しようとしているのだから、状況を好転させる術など殆ど考えられない。
EU危機の発端となったギリシャも同様に、元々経済成長余力さえ乏しい上に、あらゆる経済政策の不備と対策が後手後手に回って、燭光さえ見える気配がないようだが、恐らく、ドイツが国運を堵してでもEUを死守する気概を起さない限り、解決は不可能で、現状維持は、問題の先延ばしに過ぎず、益々、EUの経済危機は、深さを増して行くであろう。
ところで、スペインのもっと深刻な危機は、FTが社説で論じた「スペインに迫る分裂の危機」であろう。
150万人にも及ぶカタルーニャ市民が「カタルーニャ、欧州の新たな国家」というスローガンを掲げてバルセロナの街頭に結集し、カタルーニャ自治州での分離独立熱の爆発が劇的に示した新展開である。
原因の一端はユーロ圏の危機にあり、危機はスペイン財政の仕組みのもろさを容赦なく暴いた。比較的豊かなカタルーニャは、年間経済生産の9%をマドリードの中央政府に差し出さねばならないのに、自分たちの債務や給料の支払い義務を果たすために中央に救済を懇願したにも拘わらず拒否されたためで、カタルーニャは、スペインの国庫に拠出する資金の割合がずっと小さいバスクのように、独自の税金を徴収する権利など財政の自治権を求めており、独立への地歩を築こうとしている。
だが、ラホイ首相がユーロ圏に全面救済を要請すべきか否かで苦しむスペインには、国の年金・福祉債務の履行にカタルーニャからの財政移転が必要であり、ラホイ首相率いる右派の国民党政権は地方分権に反対の立場で、危機に乗じてスペインを再び中央集権化しようと図り、財政の窮乏と国民の不満が入り交じる危険な状況を招いている。
スペインには、以前から、バスクとカタルーニャには独立意識が鬱積しており、一方、彼らのアイデンティティーを自己愛と見下しスペインの統一を神聖視するスペインの国家主義者との対立が一挙に噴出したと言うことであろう。
さて、私が言いたいのは、日本が、ギリシャやスペインと殆ど同じ道を辿っていて、あとは、時間の問題だけだと言うことである。
少子高齢化に加えて、人口が減少する一方で、飽和状態に近い消費の拡大は望み薄であり、成熟化した日本経済は、これ以上の成長を望めないとすると、世界経済の平均成長率が4%以上と言われているので、それ以上の成長率を達成出来なければ、日本は、益々貧しくなって行く。
深刻で巨大な国家債務を解消するためには、経済成長による税収の増加か、増税するか、支出削減するか以外に道がないのだが、経済成長が望めなければ、増税でも支出削減でも、有効需要を減少させるだけなので、益々、日本経済は縮小均衡の道を辿って貧しくなって行く。
異常な国家債務が、何時か、ターゲットになって、国債の暴落や異常な為替変動などで日本経済が危機的な状態に陥ったとしたら、その時は、国債の過半は日本人の保有なので、新円切り替えや金融資産凍結など色々な徳政令を敷いて、借金棒引きで償却すると言うことであろうか。
金融の知識が乏しいので良く分からないが、益々悪化しつつある異常な国家債務の解消などは、もうとっくに、不可能となってしまっていることだけは、事実であろうと思っている。
債務危機が深刻なスペインで、ラホイ政権の緊縮政策に対する地方の反発が強まって、南部アンダルシア州では、住民の先頭に立って略奪を指揮する村長まで現れ、失業者ら十数人を率いて州内のスーパーを襲撃し、略奪したコメや缶詰をセビリアで貧困家庭に配った。
村長は事件で全国的な注目を集め、貴族から奪った物を貧者に分け与えた中世イングランドの伝説にちなんで「現代のロビン・フッド」(エル・パイス紙)とも呼ばれた。事件後も毎週、州内を仲間とデモ行進し、銀行で座り込みを行った。と言うのである。
スペインの失業率は欧州連合(EU)で最悪の25%だが、アンダルシアでは実に34%に達しており、若者の失業率は、スペイン全土で53%だと言うから、新卒者たちは、殆ど就職できないと言うことである。
NHK BS1のワールドWAVEを見ていると、連日、スペインの危機的な財政悪化と国民の激しいデモを報じており、先日も、中銀総裁が、赤字はもっと深刻で政府の財政目標など達成不可能だと明言していたし、経済状況は、益々悪化の一途を辿っていると言う。
不動産バブルに浮かれに浮かれて破綻して窮地に追い込まれてしまったスペイン経済に対して、政府は、EUに穴埋め借金を頼む以外に何の有効な経済戦略もなく、殆ど経済成長から見放されてしまった上に、更に、財政支出を削減して経済成長の芽を摘み、国民生活を圧迫しようとしているのだから、状況を好転させる術など殆ど考えられない。
EU危機の発端となったギリシャも同様に、元々経済成長余力さえ乏しい上に、あらゆる経済政策の不備と対策が後手後手に回って、燭光さえ見える気配がないようだが、恐らく、ドイツが国運を堵してでもEUを死守する気概を起さない限り、解決は不可能で、現状維持は、問題の先延ばしに過ぎず、益々、EUの経済危機は、深さを増して行くであろう。
ところで、スペインのもっと深刻な危機は、FTが社説で論じた「スペインに迫る分裂の危機」であろう。
150万人にも及ぶカタルーニャ市民が「カタルーニャ、欧州の新たな国家」というスローガンを掲げてバルセロナの街頭に結集し、カタルーニャ自治州での分離独立熱の爆発が劇的に示した新展開である。
原因の一端はユーロ圏の危機にあり、危機はスペイン財政の仕組みのもろさを容赦なく暴いた。比較的豊かなカタルーニャは、年間経済生産の9%をマドリードの中央政府に差し出さねばならないのに、自分たちの債務や給料の支払い義務を果たすために中央に救済を懇願したにも拘わらず拒否されたためで、カタルーニャは、スペインの国庫に拠出する資金の割合がずっと小さいバスクのように、独自の税金を徴収する権利など財政の自治権を求めており、独立への地歩を築こうとしている。
だが、ラホイ首相がユーロ圏に全面救済を要請すべきか否かで苦しむスペインには、国の年金・福祉債務の履行にカタルーニャからの財政移転が必要であり、ラホイ首相率いる右派の国民党政権は地方分権に反対の立場で、危機に乗じてスペインを再び中央集権化しようと図り、財政の窮乏と国民の不満が入り交じる危険な状況を招いている。
スペインには、以前から、バスクとカタルーニャには独立意識が鬱積しており、一方、彼らのアイデンティティーを自己愛と見下しスペインの統一を神聖視するスペインの国家主義者との対立が一挙に噴出したと言うことであろう。
さて、私が言いたいのは、日本が、ギリシャやスペインと殆ど同じ道を辿っていて、あとは、時間の問題だけだと言うことである。
少子高齢化に加えて、人口が減少する一方で、飽和状態に近い消費の拡大は望み薄であり、成熟化した日本経済は、これ以上の成長を望めないとすると、世界経済の平均成長率が4%以上と言われているので、それ以上の成長率を達成出来なければ、日本は、益々貧しくなって行く。
深刻で巨大な国家債務を解消するためには、経済成長による税収の増加か、増税するか、支出削減するか以外に道がないのだが、経済成長が望めなければ、増税でも支出削減でも、有効需要を減少させるだけなので、益々、日本経済は縮小均衡の道を辿って貧しくなって行く。
異常な国家債務が、何時か、ターゲットになって、国債の暴落や異常な為替変動などで日本経済が危機的な状態に陥ったとしたら、その時は、国債の過半は日本人の保有なので、新円切り替えや金融資産凍結など色々な徳政令を敷いて、借金棒引きで償却すると言うことであろうか。
金融の知識が乏しいので良く分からないが、益々悪化しつつある異常な国家債務の解消などは、もうとっくに、不可能となってしまっていることだけは、事実であろうと思っている。