熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

日経:ギリシャ~領収書革命

2010年06月23日 | 政治・経済・社会
   今日の日経朝刊の「ユーロ危機」のコラムで、財政危機に揺れるギリシャで、政府が、地下経済にメスを入れるために、「領収書革命」と呼ばれる税制改革を始めたと報道している。
   所得に応じて一定額以上の領収書提出を義務付け、その額に満たなければ罰金を、それを越えて集めた場合は一定額を所得税から控除する「アメとムチ」の政策だと言う。
   ギリシャでは、領収書なしで課税を逃れる地下経済が、大きく、アメリカでもそうだが先進国でも結構この規模が大きくて、OECDの推計では、ギリシャの場合GDPの25%、実質40%に達していると言うのだから、驚きである。

   誰でも、出来るだけ税金の支払いは少なくして節税したいと思うのであろうが、やましい商売をオープンにせずに闇に潜らせるアングラ経済が一般的であろうが、この節税を目的とした地下経済の大きさも周知の事実で、ロシアでは、税金を引き下げたら、無理に地下に潜らせて危ない橋を渡るよりも、オープンにした方が良いと国民が考えて、地下経済の規模が縮小して、税収が増えたと言うのであるから押して知るべしである。
   税金については、サプライサイド経済を信奉するアメリカの保守派などは、いまでも、ラッファーカーブを信じて、税率を下げて減税すれば経済は成長発展すると考えており、日本の左派政党は、逆に、儲けの多い大企業や金持ちから税金を取り上げて格差解消を図れと壊れた蓄音機のように唱え続けているのだが、税金の経済への効果は、経済がどのようなシチュエーションにあるかによって全く違ってくる。

   さて、この記事を読んで、昔のブラジルでの経験を思い出した。
   もう、何十年も前のブラジル・ブームの時、我々日本企業も、大挙してブラジルへ進出したのだが、当時、物を買って持ち帰るなど移動する時には、必ず、買った時の領収書(確か、ノッタと言ったと記憶している)を所持していないと、抜き打ちチェックで見つかると罰せられると言われていたのである。
   ラテン系のブラジルなので、アングラ経済の凄まじさは、当然のことで、このような場合でも、係官に、それ相応のマネーをその場で手渡せば丸く収まるので、こんな制度で地下経済が解消される筈がないのだが、一般庶民は、真面目に対応していて、私も、ブラジル人の会計士から喧しく言われていた。

   ところで、日本は、比較的アングラ経済の規模が小さいと思われているが、私は、実質的にはかなりあるのではないかと思うことが結構ある。
   今、民主党も自民党も、消費財10%を議論し始めているが、消費税がヨーロッパ並みに高くなれば、商店や企業などの節税インセンティブが働くのは当然で、こんな消極的な面からも地下経済の拡大が始まるかも知れない。
   日本人が、かなりのアングラ経済を許容しているのではないかと私が思うのは、日本人が納税番号制度の実施に前向きではないからである。
   アメリカではソーシャル・セキュリティ番号で個人の殆どの経済行為がおこなわれているし、日本の場合にも、個人の経済行為をこの背番号で総てを処理すれば、所得・蓄財・納税などは勿論、日常の取引まで殆どオープンになり便利ではないかと思っている。(勿論、プライバシーや人権問題など、秘密主義の強い日本人にとっては、ネガティブ要因が多々あるが、ここでは、やらないよりはやる方がメリットが多いと言う前提の議論をしている。)

   余談だが、例の振り込め詐欺の場合にも、相手の納税番号を記入し正しく照合できなければ振り込めないようにすれば、あんなに易々と老人たちが騙されて、アングラ経済に金が回る筈がなくなる。
   あの話題をまいた住民基本台帳カードがどのように活用されているのか知らないが、私自身は、年に一回だけe-Taxで使うだけだが、これを援用して活用するのが良いのかどうかは分からないが、あくまで次善の策だとは思うが、行政効率化の切り札であるe-government推進のためにも、諸悪の根源である社会悪を取り締まる為にも、納税番号による国民総背番号制は、絶対に実施すべきだと言う気がしている。
   世界中で税収が大きく落ち込む原因でもあり、諸悪の多くの根源でもあるアングラ経済にメスを入れ、大鉈を振るう為には、経済行為の当事者である個人を捕捉しない限り到底不可能なので、個人の経済行為は須らく、納税番号なり社会保障番号なり個人に打たれた背番号で処理されるべきだと思っている。

   話が横道にそれてしまったが、要するに、何事もFAIRであるべきである。
   勿論、国民総背番号制の実施も、極論だと言うことは、百も承知の上での議論であるが、何十年も前からやっているアメリカに出来て、日本に出来ない筈がないと思っている。
コメント
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