職場の中庭に長いこと機能していなかった水辺があるのですが…。
これを直してくださる業者さんが現れ、ここ1ヶ月ほどあれこれ、ちょこちょこと工事しています。地下水を汲み上げて流す(噴水も出ます)という画期的な装置らしいのですが…。
先週、いきなり水が赤く染まる事件が勃発!!!
鉄?
サビ???
なんか、モワモワってしています…。
気になって調べてみると、これ、どうやら「鉄バクテリア」という細菌が作り出した沈殿物のようです。
鉄は地球の表層に堆積する元素の中で3番目に多く、ほとんどの生物が必要とする大切な元素。
地下水(特に表層水)には、その鉄が鉄イオン「Fe2+」という形で取り込まれていて、鉄バクテリアはそれをFe3+にエネルギーを得ているそうです。その後に作られるのが、水酸化鉄。
このモワモワはバクテリアが作り出した水酸化鉄の鞘。バクテリアが死ぬと堆積するそうです。つまりはバクテリア死骸の集団???
鉄は世界中の地表にたくさんあるので、鉄バクテリアも世界中の至る所に普通に存在しています。目に見えないほどの小さな細菌たちが、私たちの暮らしに大きく関わっていたのでした。知らなかったー。
一見、汚く見えるのですが、なんと人畜無害。浄水場などでは、このバクテリアを利用して、水中の鉄イオンを取り除いたりしています。鉄分の多い水は「金気(かなけ)が多い」なんて言われ、味に違和感がありますので、それを取り除く働きをしているわけです。
井戸水を利用していた江戸時代、シュロの樹皮の表面に鉄バクテリアを繁殖させて鉄分を除去する「カナケ抜き」なんて作業があったんだとか…。
ただし一般的には、パイプやポンプの詰まりの原因となるため,どちらかというと迷惑物質。
また、鉄バクテリアが水面に膜を作ると油膜のように見え、油の流出や不法投棄と疑われることもしばしば。
そういえば、尾瀬でも見たぞ!!!!!
春先の水辺。
「これは油ではなく地中の成分が…」なんて、解説していたのはこのことだったのか!?
学生時代に自然解説のバイトで話していたことを、今やっとちゃんと理解し始めました(^^;;
…てことは、尾瀬で「あかしぼ(赤渋/赤芝)」と呼ばれている現象もこれかっ!!!
尾瀬では、雪解けの頃雪原が赤茶色に染まる現象が起きます。
こちらの現象も表層水の鉄イオンが関係することは間違い無いのですが、鉄バクテリアが関与しているのか、藻類が関与しているのかはっきりしないようです(最近の資料を見ると、鉄バクテリアで決着したように見えます)。
今回の「水が赤く染まった事件」。
普段あまり意識していない「鉄」をめぐる、目に見えないレベルの細菌や微小生物たちの物語を垣間見ました。
鉄を始めミネラルと呼ばれる微量元素は、実は生命を維持するために最も重要と言われています。
これをきっかけに、自然界でのミネラルの動きにも目を向けていきたいなと思いました。鉄バクテリアすごいです!!!
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